すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

友達の声掛けをスルーします

K君たちがヘルプを出してきました。「先生!みんなで一緒に遊べって言われたし、L君には『みんな』といわないで『L君』ドッジボールしよって呼びかけたのに全然反応してくれへんしもうわけわからん」と言うのです。以前(多様性社会と自発性 : 08/20 )でも書きましたが、支援学校生と小学生を分けて遊ぶのでは、せっかく同じ放デイに来ている意味がないということから、できるだけ遊びの内容が共有できるなら一緒に遊ぶことにしています。その中で、小学生たちが支援学校生にどう接すればいいのかも学ぶようになったというのは前回書きました。

L君に聞いてみました。「K君がドッジやろうって声掛けてくれたの聞いてた?」「聞いてた」「ルールの説明は聞いてた?」「聞いてたよ」「ドッジが嫌だったの?」「違うよ」「だったらなんで一緒に遊ぼうとしなかったの?」「う~ん。わからん」とのことでした。実はL君はK君が声をかけた時ファンタジー遊び(好きなシーンのイメージ再現遊び)をしていたのは職員は知っていたので、聞いていなかったんだろうと思っていたのですが、聞いていたし、内容も分かっていたと言うのです。これには職員も困りました。知っていたけどなんとなくスルーしてたわけです。

友達が声をかけたら何故反応しなければならないの?という根本的なところから出発しないとこの問題は解決しません。友達が「遊ぼう」と声をかけてくれるのは親愛の表現で、これをスルーすることは「君は嫌いだ」と言うサインになるから、必ず反応して「ありがとう、でも今はやりたくない」と反応することをソーシャルナラティブで教えるといいかなと職員間で話をしています。

そして、小学生たちには反応しないのは、別に君らの事を無視しているのではなく、何かやりたいことが他にある事が多いので、「あとでおいでね」と声をかけて今日みたいに先生に相談してくれたらいいと説明しようと話しました。彼らを一緒に遊ばさないとこんな課題は見つからなかったのでやっぱり一緒に遊ばせてよかったと思います。何よりうれしいのは、小学生たちが怒らないでL君を見捨てないで、どうすればいいか職員に聞くようになったことです。皆で遊ぶには知恵と工夫がいると子どもたちに言い続けてきた成果です。継続は力です。

 

 

エラー修正

J君は作業を終了したら、ご褒美に好きなものを飲んでいいことになっています。ただ、作業終了したことが職員に分かるように「作業終了したよ」報告を絵カードで行ってから、職員が作業内容を点検してOKがでたら、作業終了となるのですが、J君は作業が終わると「ジュースください」カードを持ってきます。ワークシステムも作って「ジュースください」の前に「終わりました」カードがあるのに何故かそこを飛ばして「ジュースください」カードを持ってくるのだそうです。

何回修正しても覚えないというので、どんな修正をしていいるのか聞いてみました。間違えると「やりなおしましょう」とワークシステムに身体プロンプトで向かわせ「終わりました」を持ってこさせて、「ハイOK」ということで次の「ジュースください」絵カードに進ませると言うのです。

職員にもエラー修正が必要なことがわかりました。やり直しは身体プロンプトするけど、身体プロンプトをフェードアウトしてリピートしないまま次に進ませていたのです。この修正の仕方だと、本人は「ジュースくださいカード」を自分で持って行く→やり直しと言われて身体プロンプトで「終わりました」カードを持たされ職員に渡す→自分で「ジュースください」カードを渡す→ジュースが飲める、と言う順序で理解したはずです。

つまり、身体プロンプトされるところが、新たに彼の「ジュースください」のルーティンに入っただけなので、何回修正しても、職員のいう「間違」いが生じているのだと思います。そして、修正介入を受けた後は結果的に何度もジュースが出てくるのですから、とても強力に強化されていると思います。この場合は、身体プロンプトで修正を行ったら、そのあとすぐに一人で作業の終わった場面から始めさせて正しい順番で行動するリピート行動が必要だと思います。

このエラー修正は、順番を修正するためにできるところまで戻ってプロンプトしていくのだから、バックステップエラー修正かなとも思うのですが、リピートをするあたりは4ステップエラー修正にも思えるのですがどっちでしょうか?どなたか教えてください。とりあえず職員の修正は選択の間違いですから4ステップエラー修正です。

 

怒りの感情を我慢する事

H君が「今日はバトミントンでI君と喧嘩しない」と申告してくれました。昨年までのH君を知っている職員なら、びっくりしたと思います。H君は乱暴者で暴言王の汚名をこの春返上しました。服薬で落ち着くから自制心が働く、自制心が働くから大人から賞賛される、賞賛されるからさらに適応行動をとろうとするという好循環が半年間続いています。

でも、良い子になろうとして感情まで抑え込んでないかどうかが気になると職員間で話しています。どんなときでも冷静ならいいのですが、大人の賞賛を得るために我慢していたり、納得してないのに我慢したりするのは彼のために良くないと話しました。H君たちは爆発するか我慢するかのどちらかしか選択できない場合が多いのです。人に話すという選択肢のあることを教えることが必要です。

彼らは困っても人に話さない事が多いので、誤解から生じた怒りかどうかも周囲は判断がつきません。ASDの子どもの社会的な関係での誤解が少なくないので、怒りの原因を聞いてみることはとても重要です。聞いてみれば、そんなことで怒ってたのかという内容が多いのですが、一人で我慢しているうちは悶々としていることが多いのです。怒りの感情を我慢するだけでは火だるまになってしまうので、職員に話せるように環境を準備しようと職員間で話し合っています。

一番良い環境は二人になれる送迎車の中です。職員は運転して前を向いているし子どもは横か後ろから話すので話しやすいのです。そこでは、ほとんどは相槌を打つ程度ですが、子どもは話せて良かったと感じているようです。子どもが大きく誤解しているなという時だけ、「違うと思うよ」と言います。「なんで」と子どもが聞くまでは理由は話しませんが、その対応でほとんどの場合、誤解は解けていきます。誤解が解けない場合は何度も同じ話を聞くことになりますが、同じように対応していればいいと思います。重要なことは、まず子どもが自分の思いを大人に話す事であり解決する事ではありません。

 

PDCAサイクル

今週はすてっぷの職員でこの2月に自己評価集計結果から検討した内容が実施されているかどうか、中間調査をしています。そもそも、「事業所の保護者及び自己評価集計結果」の公表は義務付けられており、公表しなかった場合は通常の放デイで年間約500万円程度の減算になります。そういうわけで、各事業所のHPには必ず1年に1回のペースで集計結果が公表されています。

しかし、1年に1回では忘れた頃に点検する感じになるので、PDCA(PLAN DO CHECK ACTION)サイクルで事業を改善するには間尺に合いません。そこで年度中間のこの時期に検討した内容が実施できているかどうか職員のみの自己点検調査を実施することにしました。組織体は目標が達成ができているかどうか、こうした文章を作って点検しますが、点検そのものが形骸化して文書を作った段階で改善できたような気持ちになってしまうことが多いです。

同じようにPDCAサイクルで点検するものに個別支援計画があります。これも、職員で時間をかけて協議して仕上げる割には、その後半年経つまで、振り返ることがなかなかありません。目標は具体的に「~をする」と書くようにしているので、半年たって実施していなかったことが明らかになったりします。そこで、目標を忘れないために、日々の利用者の記録の際に、半年間の目標が職員の目に触れるように運営アプリケーションで確認できるようにしています。作成した文書は、ファイルBOXの中で眠らせず、みんなで活用ができるように実践に生かせるように工夫していきたいと思います。

ショッピング支援は万全の準備を

Fさんに昼食をコンビニで買ってもらおうと、いつものお気に入りのナポリタンスパゲッティーのリマインダーを持って買いに行きました。買い物支援の必要なFさんとG君の二人でコンビニ内に入ったのが失敗でした。G君が会計をしているので職員がFさんから目を離した間に、Fさんは店内を見て回り、お気に入りのハイチュウーを手に取っていたのでした。それも、もう商品を開けていました。

ここで「やりなおし」と交渉しても店内ですから開封した商品を返すわけにもいかず、交渉のトレーニングもできていないので、修正すればFさんは大騒ぎになるのが必至です。せっかくショッピングの練習に来たのに、商品を勝手に開封するのを見過ごすしか方法がありませんでした。お客さんがいるのにFさんともめて迷惑をかけるわけにはいかないからです。次回も繰り返してしまう可能性があるので、商品を開封してしまったことを忘れるまでは店に入るわけにはいかなくなりました。

結果的に、Fさんのショッピングの機会を遠ざけてしまったことがとても残念です。行動問題のある方のショッピングはどうしても遠ざけがちになってしまいます。それは、店員の方や周囲のお客さんに迷惑をかけられないし、障害のある方を誤解をしてほしくないからです。行動問題のある方のショッピングは、支援者は練習に練習を重ねて、様々なイレギュラーも想定して挑む必要があります。必ず成功させようとする準備がないと、当事者の可能性を狭めてしまうからです。たかが買い物されど買い物です。購買行動は障害者があってもなくても、その方の権利です。買い物は楽しく選ぶという人生を豊かにする中身をたくさんもっています。障害の重い方にも適切に購入できるように支援したいと思います。