今日の活動
嫌な理由
夏と言えば水遊びプールの季節です。子どもたちは水遊びが大好きです。ところが、感染の恐れがあるとして学校プールは全滅です。このブログで何度も書いているように、学校プールの水は塩素殺菌されていますから、その塩素水飛沫が飛び散るプールで感染するなら、外を歩くなと言うに等しいです。さて愚痴はこの辺にして、すてっぷでは大好きな水遊びを実現するために大型ビニールプールを購入しています。小さな子どもたちはみんな大喜びです。みんなキャーキャー騒ぐので近所迷惑を気にしながらの毎日です。
ところが、Lちゃんがビニールプールに入ろうとしないのです。確か昨年は何ともなかったのに、後ろから押しても頑として跳ねのけて入ろうとしません。仕方がないのでプール横で水遊びをして過ごしました。職員で話し合ったところ、他の元気すぎる子どもと一緒にいるのでうるさすぎて入る気がしないのだろうという結論に至り、奮発して静かに遊ぶ人用のビニールプールをもう一つ購入しました。
早速新しいプールに一人で入ってもらおうと車いすから降ろそうとすると、Lちゃんはプールに足もつけようとせず、入らないのです。水が多いのが不安なのだろうかと減らしてみても入らないので、次は何も水の入っていない状況で先にLちゃんに入ってもらいました。そうすると難なく入れたと言うのです。そこに、徐々に水を入れていくとニコニコして水遊びをするのでした。
つまり、Lちゃんは水の入っているプールが嫌だったのです。空っぽで入って水を入れると何ともないことがわかって、次の日からは水が張ってあっても入れるようになったのです。Lちゃんには言葉がないので推測するしかないのですが、おそらく水の入ったプールで嫌なことがあったのかもしれません。水温が低すぎて驚いたとか、何らかの感覚的なトラブルがあって恐怖感が焼き付いて入れなくなっていたのかもしれません。言葉のない子どもが何をどう感じ取っているかを把握するのには、時間を取って様々な工夫や働きかけが大事だねと話し合いました。
集団遊びに熱中
K君が帰ってきて顔をほてらせて「今日はめっちゃ面白かったわ!」と職員に言うので、何のことかと振り返ってみると、職員入れて7名ほどで手つなぎ鬼ごっこをしたことらしいのです。暑いのに走り回ってどこが面白いのだろうと大人は思うのですが、K君には「最高!」だったのです。
学校でも地域でも集団遊びを普段しないので、みんなでギャーギャー騒ぎながら走るのが楽しかったようです。そういえば、最近暑いせいもありますが、公園で徒党を組んで遊んでいる子どもたちを見たことがありません。多くても3人程度でこじんまり遊んでいます。
サッカーチームや野球チームで大勢で練習することはあっても、集団でただ大声を上げながら走って遊ぶという経験はほとんどの子どもたちにありません。ただ職員にしてみれば「暑いから、1回だけにしてくれー」と切にお願いしたようではあります。今日も外気温は日なたは35度を超えています。集団遊びに熱中はいいけど熱中症には厳重警戒です。
身辺自立 夏の陣
夏休みに入ったのでIちゃんとJ君の身辺自立について本格的に取り組むことにしました。J君は食事、そして二人とも紙おむつに排泄という行動を便器に変える課題です。J君はおうちと同じようにすれば食べられると考えたので、トースターを持ち込んでトーストにするとすぐ食べました。今後はトースターをフェードアウトして家庭からのお弁当が食べられるように様々な工夫をしてみようと思います。外ではジュースしか飲まないと思っていたのが、この暑さで喉が渇くらしく、持ってきた水筒のお茶も難なく飲めたので、飲食の問題は早く解決するかも知れません。
問題は、紙おむつ排泄の連合をどう便器に変えるかです。事業所の横にビニールプールを設置しているので、プール大好き少年少女の二人をしっかり水遊びさせ、下半身に冷水刺激を与え、トイレで着替える前にビデオタイムにして便器に3分ほど座る中での尿意や便意の偶然性にかけています。この夏中に成功しないと、他の方法が思いつかない限り次の取組は来夏になるので、職員一同ビニールプールに願をかけています。
忘れ物リベンジ
不注意傾向の強い小学生の利用者の忘れ物防止策として(お忘れ防止チェックリスト : 06/29 )を実施しています。前回は、具体物と見合わせずチェックマークだけつけている子どもがいることを発見しましたが、今回は帰宅担当の先生にチェックリストを渡した際にOKをもらうと、「注意の武装解除」をしてしまって、結局事業所に忘れてきてしまう子どもがまだいるのでこれをどう解決するかを職員で話し合いました。
これから、水遊びが多い季節なので、家から水着や着替えを持ってくることになり荷物が増えます。この荷物の増える時期に、どうすれば子どもが自立的に忘れ物ゼロを達成していくか考えました。チェックリストは確かに効果があるのですが、先の「注意の武装解除」を防ぐ手立てが必要ですから、今後は送迎車の前で子ども自らがチェック表を再確認してもらうことにしました。つまりチェック表を車の中に持ち込むのです。
そして、送迎車から降りて自宅に向かう際にもう一度自分で確認して、問題がなければ運転していた先生に返すのです。このほかにも学校から忘れ物がある子がいますが、これは車に常設したチェックリストで子どもが確認申告してから発車するルールにしました。とにかく、忘れ物がないように大人が介入せず、子どもが自発的に行う事が重要なのです。もちろん、目標を決めて忘れ物0シールがチェックリストにたまったらご褒美にします。満を持しての新ルールで子どもたちの成果を待ちます。
注目要求と自立
H君は半年前まで逃げる子でした。目を離したすきに、ドアから飛び出して事業所の前のマンションのエレベーター遊びに行くのです。「エレベーターが好きなのでエレベーターに逃げていく」と当初は職員から聞いていたので、H君が来たときは事業所は施錠していました。それでもダイヤル式のカギは番号を盗み見して覚えて開錠して逃げていくことが何度もありました。
それが、最近では自分から好きな活動の準備をしたり、嫌いではない作業をしたりしてドアが開いていても、飛びだそうとしなくなりました。その理由は、H君の見立てを変えたからだと思っています。H君はエレベーター遊びは好きですが、逃げていくのは注目要求からだと考えたのです。それまでの事業所の子どもの不適切行動への対応は「見ないふりをする」スルー行動でした。しかし、それではどうすれば正しい注目をしてもらえるのか子どもにはさっぱりわかりません。注目しない職員のスルー行動は支援上役に立たないと修正したのです。
「適切な行動をすれば先生は見ているよ」というメッセージを出し続ければ子どもは逃げたりして注目を集める必要はありません。(注意喚起行動 : 2020/09/03)や(注意喚起も強化子に: 2020/09/18)で述べてきたように、注目要求には正しい行動を教えれば子どもは適切な行動を学習していきます。H君は(逃げる子 : 06/24)で書いたように注目要求が高い人なので、それがスルーされ続けた結果バースト(飛び出し行動)してしまった子どもだったのです。
ただ、良い行動を大人が見ている時は適切な行動ができるのですが、大人が注目しないと不適切な行動が呼び起こされるという心配があります。注目要求が続くという事は見守る大人と活動の提供がいつも必要で、余暇を一人で過ごすと言う課題は残っているのです。これは、賞賛やご褒美契約で消えるように思えないのです。H君の一番の強化子は大人の注目だからです。でも、適切な行動がどんどん増えているのだし、注目要求が本当の賞賛要求に変わらないとも言えないし、そもそも一人で過ごす好きなことが見つからない原因もわからないのだから、焦らないで見守ろうという事になりました。