すてっぷ・じゃんぷ日記

2020年2月の記事一覧

注目を得たい不適切な言動

F君が、いつもはそんな幼稚なことはしないのに、今日は変な事ばっかりするのでどうしたのかなとか、G君が仲間にブランコ替わって欲しいのに嫌味ばっかり言って逆効果なのにとか、スタッフから疑問が出ました。

要するに、もっと上手く振舞えるはずだし、わざわざトラブルのもとになるような言動を何故するのかというものです。上手く振る舞えないから、上手な交渉はできない、かと言って実力行使はダメだと知っている。しかし、要求は実現したいから不適切でも先の言動をとるのです。

自分の不安が漠然としてはっきりわからなかったり、わかっていても表現する言葉を持ち合わせていない時に子どもは大人の気を引く行動をします。また、上手にブランコを代ってもらう交渉スキルがないので、お友達が怒り出してしまうほどのセリフを言えば席を立ってくれるのではないかと嫌味を言うわけです。どちらも相手の感情がどうなるかは考えられていないので、高確率でトラブルも起こりますが、たまに自分の思い通りになる時もあります。これをギャンブル依存理論=間欠強化と行動分析ではいいます。

「なんて言えばいいかわからず困っているねん」「どういえばいいの」というワンフレーズを発信すれば済む話なのですが、大人に向かって援助を求めることが難しい人が多いのです。こういう場合は、軽微な内容ならその場で正しい言い方に修正させます。自分でも気持ちの整理がつかないような不安定な状態なら、まずは気持ちがフィードバックできる環境を作って自分がどういう感情だったかを確定してから取るべき行動を考えさせます。

よく、「注意喚起行動は無視する」とスルーすることが絶対だと勘違いしている大人がいますが、それはその子に利得を得させないという場合のみ有効なのです。しかし、修正介入しなければ事は解決しない場合に、無視だけしていても、どんどん激しい行動になって結局応じてしまわざるを得ないことが予測できるなら、さっさと修正介入すればいいのです。スルーはがまんくらべではないのです。

インフルエンザ

今年のインフルエンザの流行カーブは令和2年4週目からガクッと下降線を描き、現在は昨年の収束期の数値です。新型ウィルス感染予防の成果とは言え、手洗いはすごい効果のあるものだと、改めてその感染予防威力に脱帽しました。本事業所が把握している利用者のインフルエンザ罹患は2名です。一人は手洗いは絶対嫌だという子でしたが悔い改めたようです。

新型コロナウィルスの感染予防策では、北海道が長期の休校を、東京では時差登校を、全国的には卒業式は在校生抜きでという対策が打ち出されると、今日は政府が公立学校に春休みまでの臨時休校を要請しています。学校を休みにして、保育所や学童保育所などを休日モードで開所した方が感染を小規模に囲い込め、2次3次のクラスター感染を予防できるという判断です。私たちとしては、メディアの不確実な情報の垂れ流しに煽られないように、冷静な判断と手洗い飲水を心がけるだけです。

移行支援会議

今日は、保育所等訪問支援でした。小学校から中学校にどう支援を引き継いでいくかの会議です。小学校では当たり前のことも中学校では違います。例えば、小学校では担任の先生が全てを把握していますが、中学校では教科担任制なので、受け持ちの授業しか状況がわかりません。

ただ、前者は一人の先生の意見に左右されますが、後者はいろんな子どもの見方が出てきます。公的教育で好き嫌いをいうのは良くないのでしょうが、人間には相性というものがあります。子ども好みがあるように先生にも好みがあります。カリスマチックアダルトとは子どもの側からだけではなく先生の側からも許容できる生徒だということです。

 

避難訓練

昨日避難訓練をしました。想定は震度6強の地震です。みんな、学校で訓練しているので落ち着いて机の下に潜り込んでいました。避難は、近くの府立高校まで徒歩で行きました。若干1名、意味が分からず動けなくなる人がいましたが、他の人はスムースに10分ほどで避難移動できました。初めての訓練だったので、学校でもないのにと混乱した方もいたようです。繰り返すことが大事だと思います。「おはしも」を合言葉に防災訓練を続けたいと思います。

ベテランの見立て

こどもの状態について、キャリアの違いによって見立てが違うのは当たり前です。もちろんキャリアがあるからと言ってエビデンスもなく決めつけるのはキャリアのない人の学びにならない教条主義を助長するだけですから避けるべきです。F君は体調が悪いと学校から報告されていました。ところがスタッフの評価はF君とても適応して生活しているという報告でした。一方で、終わりの会でF君待ちきれずに離脱してしまったという報告でした。ベテランのスタッフは子どもの体調が悪い時場合によってはいつもより適応的な姿を見せることを知っています。でもそれは安定的な姿ではなく非常に不安定な臨床像だということも知っています。ところが経験量が少ないスタッフは適応的なのか不適応的なのかどっちなんだと短絡的な回答を求めがちです。答えはどちらもあるです。体調が悪いとしんどいので衝動性が低くなります。でも適応的に見えるからと言ってそれは実力ではありません。一番苦手な場面では衝動性は復活することもあります。これは経験の多いスタッフしか分かり得ないことです。

行き渋り

「Eちゃんがいるから」今日は行きたい・行きたくないと子どもでなくても思うものです。学校や職場は行きたくなくても行くのは仕方がないにしても、学童保育や放デイの放課後は、理由はどうあれその気持ちは尊重してあげたいようにも思います。好きな子がいるのは来なくてがっかりで済むけれど、嫌な子がいると心身をすり減らして放課後を過ごすことになります。世の中は嫌な人とも過ごすことはありますが、嫌な人との過ごし方を習ったわけでもないし、気になる人はとっても気になるのです。

ただ、放デイの場合は微妙でこうした事象について社会性の課題として介入するべきではあります。ただ、低学年であればあるほど短時間の生活ではなかなか効果的なフィードバックをしながら支援するのは困難だなとも感じています。家庭での保護者の適切なフィードバックも必要ですが放デイにはペアトレの機能はありません。月2回限度の1時間を超える家庭連携加算をこれに充てられるならトレーナーの捻出の課題はありますが実現の糸口は見えてきます。

避難確保計画

平成 29 年 5 月に改正された水防法において、要配慮者利用施設の所有者又は管理者に対して、利用者の洪水時等の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために必要な訓練その他の措置に関する計画の作成や計画に基づく訓練の実施が義務付けられました(水防法第 15 条の 3) 。

要配慮者利用施設の施設管理者等が、避難確保計画の作成を進めるにあたり、国土交通省では「避難確保計画作成の手引き」等を作成し、施設管理者等を支援しています。また、平成 30 年 3 月には「講習会の企画調整及び運営マニュアル~要配慮者利用施設 避難確保計画の着実な作成に向けて~」を作成し、地方公共団体による要配慮者利用施設の避難確保計画作成促進を支援しています。

今日は向日市役所に行って、マンツーマンで国土交通省の方からマニュアルの作り方を学びました。本事業所の位置は桂川の堤防が決壊して5時間ほどで30~50cm程の浸水があるそうです。向陽高校や5向小学校も浸水するので、すてっぷの場合は垂直避難、つまり2階に逃げるのが適当と助言を受けました。

淀川が決壊するなら、おそらく小畑側も決壊しているはずだし、外環とJRのアンダーパスも浸水するので、そう簡単には自宅からのお迎えを期待できないかもしれないということもシミュレーションでわかりました。今、避難確保計画を作成中です。

基地

E君が基地を紹介するからと、藪の中に連れて行ってもらいました。小山の中腹辺りに50cm程のうっすら掘られた横穴二つを指さして「先月から築城している」と説明してくれます。山城が完成したらまた教えて欲しいと言って藪を後にしてきました。日暮れまでせっせと石やら枝を運んで築城しているのだと思います。工作やら創作活動もいいのですが戦国武将か探検隊のイメージだけで土や石や木を見立てて仲間と共有して何日も楽しむ遊びは贅沢な遊びです。

 

PECS

D君のスナックタイムを使って、PECSに取り組んでみました。フェーズ1はカードを渡せば大好きなスナック菓子がもらえる設定はすぐに理解してくれました。フェーズ2は、そのカードを渡す人や距離を伸ばしても恒常的にできるかどうかでした。D君、距離が伸びても渡せました。でも人が二人いるとどっちに要求していいか分からなくなったり、ドアを開ける動作をしているうちに要求行動を忘れてしまったりするようでした。

驚いたのは、別の場所に行って他の友達が使っているカード(内容は違う)をはがしてスタッフに渡すのです。「ジュースが欲しいの?」と聞くとうなずくので、「はいジュース」と提供しました。その日は、スパゲティー調理の日でした。するとD君階段を駆け下りてきてまた友達のブックからカード(内容は違う)をはがしてスタッフに渡しました。「匂いでわかった?スパゲッティーどうぞ」ということで、D君その日のうちにフェイズ2の応用まで学習しました。次はカードの弁別のフェイズ3です。

おせっかい

D君は、低学年にやさしくて面倒見が良い人です。でも、低学年なら助言やフォローとして良いのですが力が均衡するくらいの相手になると、相手から「おせっかい」「うるさすぎ」と嫌がられてしまいます。

実はD君の口出しは人のためというよりは自分の馴染んだパターンから外れていたり自分の思いと食い違うときに、相手がどう感じるかを考えずに口を出したくなる場合が少なくないのです。でも低学年のうちは大人にとって「良い意見」であることが多く、よく気が付くねと褒められていたのです。

ところが高学年になっても同じようにやるので、周囲の仲間から何となく自分が浮いているのが分かるようになってきたのです。でも、相手の感情がうまく見えないので、D君は人といることが煩わしく感じるようになりました。心の理論「見えない約束2/7」についてはASDの人は遅れて理解すると前回書きましたが、全部が見えるわけではないです。そこで、ソーシャルストーリー等を通して「暗黙のルール」(非ASD者にとっては自然に理解しているもの)を学ぶ必要があるのです。