すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

手指を使った計算

計算が苦手な子どもの多くは手指を使ってたし算ひき算をしていることが多いです。ただそれには理由があり、手指を使うことが手軽ということや10の補数がわかっていないために数えているというわけではなく、10の補数を瞬時に思い浮かべることに困難さがあるなど「数的処理」を補うための外的手段として手指を使うと考えられています。

手指を使って計算している子どもの中にも大きく分けて3つのパターンがあります。そのタイプによって子どもがどこまで計算について理解をしているのかを知ることが出来ます。

①すべて数える方略

「1、2、3、4、5。。。」と被加数と加数を全て数える方略。両手指を使うことが多い。

②数え足す方略

被加数に「3、4、5」と加数のみを足していく方略。加数の指だけを使うことが多い。

③小さい方を数え足す方略

被加数と加数(例えば2と3)のうち、大きい3に小さい2を「4、5」と数え足す方略。この段階では②と同様、小さい2の数だけ手指を使って数えたり指をはっきり立てるのではなくほんの少し動かしながら計算する場合もあります。

 

このように一般的には手指を使用した計算とひとくくりにすることがほとんどですが、その方略にはいくつかの段階があり、それによって支援を考える必要があります。

今回は①の支援について紹介します。

①の場合、数を唱える際に被加数の次の数を瞬時に思い浮かべられないことがあります。すらすらと数を唱えるためには頭の中で数列を瞬時に思い浮かべる必要があります。したがって数をスムーズに唱えられるようにあんることを支援することから始める必要があります。数を途中から数え上げることや、ひき算で数え引きをするために必要な数え下げなど、基本的な数の理解に基づき数唱がスムーズにできるようになることを目指します。

「『よせて』って言えたよ!」

 小学生のUくんは5月からすてっぷに通い始め、3か月ほど経ちました。緊張も解けてきたのか、だんだんとUくんらしさが見られるようになってきました。

 先日は小学校グループが2つに分かれて、Uくんのグループは公園に行ってきました。もう一つのグループはボードゲームを終えて一足先に休憩へ。休憩時間はテレビゲームをすると言っていたUくんでしたが、公園から帰ってきたところに、先に休憩していた友だちがしているタブレットが目に入り、「タブレットがしたい!」と気持ちが変わったようです。ところが自分が続きをしたかったタブレットはすでに友だちが使 っていました。するとUくんは「なんでできないの」と泣き出してしまいました。

 実はUくん、すてっぷの過ごしの中で、要求が叶わないと思うと声を上げて泣き、適切に要求することが難しいという姿が見られます。このときも職員が「友だちがテレビゲームをするのはどう?」と提案すると、Uくんは「する」と答えました。切り替えはできたUくんでしたが、「じゃあ(先にゲーム機の準備をしている)友だちに『寄せて』とお願いしに行こう」と言われると、「できない!」とより大きな声で泣きだしました。

 大きな声で泣いていると、自分から動かなくても、要求が叶ったという経験があったのかもしれません。Uくんは自分から伝えに行くという行動に拒否感を示します。そこで職員は、Uくんをゲーム機が見えない場所に誘導し、カームダウンの時間を取りました。「落ち着いたらおいで。いっしょに伝えに行こう」と声をかけると、しばらく泣いていたUくんでしたが、泣き止んで職員のところにやってきました。1回目はいっしょに行くのを嫌がり、またカームダウンエリアに戻りましたが、2回目はすっと職員と一緒に友だちのところへ行きました。そして「どうしたらいい?」と職員に尋ねました。職員が用意していたメモ(『よせて』と書いていました)を見ながら、テレビゲームの手を止めUくんの方に向いてくれていた友だち(事前にお願いしていました)にUくんは見事!「よせて」と言うことができました。

 無事成功体験で終えられたUくん。このときばかりと職員も大いにほめました。子どものネガティブな行動に大人が反応すると、ネガティブな行動がより増長する場合があります。このときはUくんのポジティブな行動(落ち着いた状態で自分から友だちのところに行こうとしたところ)に注目して支援したことで、成功体験に繋げられたのだと思います。

 帰る時間になり、テレビゲームを終えようとした時も、「まだしたかったのに」と切り替えづらかったUくんですが、帰りの車で職員に「次は最初から(よせてと)言う」と落ち着いて伝えられました。自分から『次はこうしよう』と気づくことができたUくん。少しずつ成長しています。

新聞じゃんけん

じゃんぷの休憩時間、「新聞紙じゃんけん」をしました。

「新聞紙じゃんけん」は一枚の新聞紙の上に立ってじゃんけんし、負けた方が新聞を半分に折りたたんでその上に立つ。それを繰り返し、新聞の上に立てなくなったら負け、というルールです。

これが中々面白く、どの曜日の子ども達も大盛り上がりです。これをやる上でただ遊ぶだけ、というわけでなく、様々な視点から子ども達の様子を見ることが出来ます。

例えば片足立ちをせざるを得ない時、体幹、バランス感覚をどこまで養われているか。勝ったら新聞を広げられるルールを追加するとどこまで理解できるか、等々

遊びの中でも子ども達の発達を見ることが出来ます。ただ楽しむことが一番です。明日も楽しく遊びましょう!

「わかってくれた!」

 支援学校高等部のTくんは表出が弱く、自分の思いが伝わらないと注意喚起行動や他害行動が出ることがありました。すてっぷでは絵カードコミュニケーションの練習に取り組み、トレーニングの場面(おやつ時)では自分のほしいものを要求できるようになりました。ただそれ以外の場面では自発的な表出が難しく、『暑い』や『うるさい』などTくんが苦手な状況になったときでも、自分からは伝えられません。職員が「暑いね」「うるさかったね」と声をかけると、Tくんは「暑い」「うるさい」と返事をして、共感してもらえたと落ち着くのですが、自分からしんどさを伝えることが当面の課題でした。

 また昨年度から、Tくんは選択の練習に挑戦しています。以前も取り組んでいたのですが、『どっち』という言葉にこだわりが出て、選択の場面になると「どっち!?」と叫んで選択できないという状況が続きました。そこで選択の練習はいったん控え、こだわりが薄くなってきたころを見計らって、練習を再開しました。選択の練習は、休憩時間の過ごしを選ぶことに取り組んでいます。休憩時間になったら、スケジュールで休憩の代わりに貼ってある『えらぶ』カードの色を見て、同じ色の選択ボードから『ごろん(横になる事)』や『かるた』などのしたいことを選びます。したいことを選べる候補やタイミングを明確にすることで、自分で選んで向かえるようになってきました。

 この選択の練習を続けてきたことで、伝わった実感が積みあがってきたのかもしれません。次第に、表出できる種類や機会が増えてきました。そして先日、なんと自分から『しんどい』カードを職員に渡し、「しんどい」と言ったのです! 熱を測ると37度以上で、その日は保護者の方がお迎えに来ることに。保護者の方といっしょに帰るTくんに、職員は「しっかり伝えられたね」と褒めて見送りました。

 今では「うるさい」「あつい」と自分から伝えるようになってきたTくん。Tくんとずっと絵カードコミュニケーション練習に取り組んできてよかったと職員みんなで振り返りました。まだコミュニケーションパートナーは限られていますが、今後誰にでも伝えられるように、練習を続けていきます。

じゃんぷ夏祭り!

じゃんぷは今週夏祭り期間です!

去年は今年のじゃんぷ夏祭りは「魚釣りゲーム」をします。

ブルーのプチプチシートの上に魚を模したカードをたくさん置き、ビニールテープや送風機を使ってイソギンチャクや海草、風を表現しました。子ども達がじゃんぷに来た時に「楽しみー!」となるように工夫しました。

釣り竿作りから始めましたが、苦手な作業にも関わらず魚釣りゲームが楽しみなのでどの子も一生懸命三つ編みをしてくれました。

魚釣りゲームはすごく盛り上がり、「もう一回したーい!」という声がたくさん出てきました。

今日を含めてあと2回夏祭りをします。最後まで楽しもう!