すてっぷ・じゃんぷ日記

2023年6月の記事一覧

小6息子テストで70点で「満点やで!」と笑顔…その理由に絶賛の声 先生独自の採点に「個に応じた指導」「すてきな配慮」

小6息子テストで70点で「満点やで!」と笑顔…その理由に絶賛の声 先生独自の採点に「個に応じた指導」「すてきな配慮」

上のニュース記事は、書字障害の子どもへの配慮として、国語テストの漢字を書く部分はやらなくてよいことにし、70点満点のテストでやった、という記事です。

この子どもは漢字を読むことは出来るが自分が書くときに漢字の形を覚えることが難しく、漢字が出てこないのでしょう。おそらくひらがなカタカナでも相当苦戦したのだと思います。

最近は高校受験、大学受験でも合理的配慮としてタブレット端末を使って問題を解くことが出来るシステムを導入しているところも少なくありません。ただテストをするのではなく、子どもにとって何が大事なのか、どんな力をつけることが大切なのかを考え、既存のテストでも少し形を変えるということを柔軟に出来る教員が増えていくといいですね。

人差し指は『もう1回』

 支援学校小学部のSくんは、すてっぷでPECSの手法での表出トレーニングに取り組んできました。おやつや遊びでほしいものを伝える練習から始め、公園ではブランコ遊びをするときには「押して」、公園から帰りたいときは「てをつなぐ」カードを渡すなど、職員とコミュニケーションを取ってきました。

 そうして伝わったという実感が積みあがってきたおかげか、日常生活の中で手ぶりや行動での表出がだんだんと増えてきました。以前は拒否のサインと言えば寝転ぶことが多かったのですが、最近は手をパーにして『バイバイ』と同じように左右に振ります。よく見られるのが送迎時で、車のソファが心地よいSくんは家に着いても『降りたくない』と手をバイバイします。そして続けて人差し指を突き出してきます。これは『もう1回』のサイン。実際にこのサインが出た時、職員が「じゃあ友だちを先に送ろうか」と言って、一緒にもう1回ドライブしてから帰ってくると、今度はすっと降りることができました。

 また先日、Sくんが公園から帰ってきたときのことです。スケジュールでは次が自立課題で、その次がおやつになっていました。ところがSくんは自立課題のカードを自分で外し、おやつを次に貼り替えたのです。それを見た職員が修正し、「自立課題ができたらおやつだよ」と伝えました。するとSくんは『はい』と言わんばかりに手をパーにして上げました。そして自立課題に取り組み始めました。

 いろんなコミュニケーションが生まれてきているSくん。どういう表出なのか分かれば、絵カードでの表出に変えることで、誰にでも伝わるようにすることができます。ですが、どんな形であれ表出してきたらまずは受け止めること。Sくんが自分から表出できたことを褒め、どんどんコミュニケーションできる機会を増やしていきたいと思います。

「○○ありますか?」

 リリアン編みにチャレンジ(2022/8/2)で紹介した支援学校高等部のRくん。利用日に少しずつ取り組み、1mほど編んで筒状の生地編み物を作りました。それからまた新しく、リリアン編みを開始したのですが、前とは比べ物にならないほどのスピードで、もう2m以上も編み続けています。これにはとある理由が。

 もともと車が大好きなRくん。以前からも、家に帰るときにこの車に乗りたい!と「ノアありますか?」と職員に尋ねることがありました。そしてRくんがリリアン編みにチャレンジしていた昨冬、すてっぷの送迎車として新しくルーミーがやってきました。さっそく興味津々のRくん。「ルーミーありますか?」と職員に尋ねます。このときのRくんはリリアン編みや作業課題に毎日取り組んでいたものの、切り替えが悪かったり手が止まったりすることがありました。そこで職員は、トークンエコノミーシステムの目標にルーミーに乗れることを設定し、そのためにリリアン編みや作業課題にがんばろう!と提案しました。

 すると効果てきめん! Rくんはしっかりと目標を持ち、スピーディーに取り組むようになりました。切り替えよく課題に向かい、手が止まることもほとんど見られません。最初は苦手だったリリアン編みの毛糸のセット。職員に見本を見せてもらいながらも「いーやー」「てつだって」と職員にセットしてもらっていました。ところが編む回数の目標も増えて、早く取り組みたいRくんは職員にセットしてもらうよりも自分でセットしようとチャレンジ! 職員に教えてもらいながらだんだんと自分でできるようになり、ついにできたときは「やった!」と喜んでいました。

 今では自分で次々と毛糸をセットし、一巻きするごとの回数も自分でペンを使ってチェックし、確認できるようになったRくん。課題が終わったらトークンシールをもらい、喜んで表に貼っていきます。表が貯まったRくんは念願のルーミーで帰宅。満足しながらも次の目標もルーミーに乗ることを選んで、日々の活動を頑張っています。やりたいことを要求できたRくんに、すぐにトークンエコノミーシステムで支援をしたことで、Rくんは自発的ながんばりを見せてくれました。子どもの要求は最大のチャンス、すかさず支援していきます。

イライラした時の対処法

 支援学校から帰ってきた高等部生のNくんが職員に声をかけました。「もんもんと(イライラ)していることがあるんだけど」。実はこの日の前日、学校で嫌なことを言われたそうです。中学部の時も嫌なことを言われたことを職員に相談していたNくん。当時のことを思い出したようで、「(中学部のときの)○○さんといっしょかな」と尋ねてきました。職員は気持ちを受け止めながらも、「今日の担当の先生(すてっぷ職員)は誰かな」とNくんと一緒に確認。この日のNくんの担当職員はOさんでした。Oさんは「あとで話を聞く時間を取ります。相談したいことをノートに書いてみる?」とNくんに伝えました。Nくんは「わかった」と答え、ノートに伝えたいことをまとめ始めました。

 後日このことを共有した別の職員はNくんの成長に驚きました。昔のNくんはイライラしたことがあっても、素直に相談することは難しかったのです。でも自分の気持ちに気づいてほしいと友だちや職員にアピールするために、ものに当たるなどの不適切行動につながってしまいがちでした。そのNくんが落ちついて相談があることを伝え、職員を待ってから話すことができたのです。さらに驚いたのがノートのことでした。

 実はNくん、この数週間ほど前から自分のノートを持ち、自分で記録を書き始めました。きっかけはお母さんが「何があったか忘れないように書いてみたら」とアドバイスしてくれたからだそうです。そこには、自分のできごとや大人からのアドバイス、そして次はこうしようと思っていることなどが、きれいに書かれています。それも時系列がしっかりと整理されて、他の人から見ても分かりやすくなっています。

 ノートに話したいことを書き終えたNくん。Oさんの手が空いたのを見計らって、「今、話していいですか?」と尋ねました。Oさんは「いいよ」と答え、Nくんといっしょに机につきました。Nくんは手帳を開き、書いた文字を指で押さえながら、何があったかを話してくれました。自分で書いて整理してから職員に相談できたNくん。本当に素晴らしい成長を見せてくれました。

特別支援学校

先日、向日ヶ丘支援学校の学校説明会に行きました。筆者は小学部のみの参加でしたが、今まで具体的に知れなかった部分が知れたように思えます。

ここに通う子ども達の姿は見ていても、学校の中でどんな勉強をしているのか、活動をしているのかまでは知りませんでした。また、児童発達等の福祉の視点と、学校の学習が繋がっているような活動がなされている、ということに気づくことが出来ました。

地域の小学校の特別支援学級で取り組むには難しい学習の方法であったり一つのことを膨らませていき、教科の学習に繋がったり社会性の学習に繋がったりなど、見てて面白い取組がたくさんありました。

教員時代に支援学校に研修に行く機会があまりなかったので、どれも新鮮な気持ちで見ることが出来ました。

何よりも子ども達が学校でも楽しそうに活動をしている様子を見れたころが一番の収穫でした。