すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

「ぼくもそれしたい!」

 長かった夏休みもとうとう終わりました。今年の小学生たちの過ごしは、午前日陰のある公園で運動し、午後は室内での活動で遊ぶことがほとんどでした。室内での活動では、特に「犯人は踊る」や「人狼ドッチ」などの、隠された手札を読み当てるボードゲームが盛り上がりました。

 夏休みの初めは、集団でのボードゲームは「みんなで相談して遊ぶことを1つ決めよう」という狙いを持って取り組んでいました。UNOやトランプなど希望がばらけた中で、みんなで相談して決めることにチャレンジし、職員も支援することで狙い通りできるようになってきました。ただ、次第にみんな好きなものが上記の2つに固まってきて、相談もそこそこにボードゲームの時間がスタート。3ゲームやっても15分ほどで終わって、好きな一人遊びに駆けていくという姿が多くなってきました。そこで後半は、一人ひとつやりたいことを挙げ、提案された遊びを順番にやっていく時間を作るようにしました。また、5人くらいの人数が集まった時は、前半は5人全員でやるゲームで遊び、後半は遊びたいことで2人や3人に分かれるようにしました。

 すると、変わらず人気の上記2つの遊びだけでなく、「ワードバスケット」や「ゴブレットゴブラーズ」といった、全員でやるときには提案されにくいけれど、本当は面白くて遊びたいというゲームが次々に提案されるようになってきました。また、人数に合わせて遊びを決めようとする工夫も見られます。そして「次はこれにしよう」「ぼくもそれしたい!」とにぎやかに楽しんで遊ぶうちに、気がつくとあっという間に1時間が過ぎるほど熱中するということも多くなっていました。

 ボードゲームの良いところの1つは、同じ机を囲んで遊ぶことで、友だちと様々な出来事(感情、経験、作戦など)を共有できることです。そして、それらを共有するということは、他人への気づき、ひいては自分への気づきにつながります。遊びの種類や時間を増やしながら、子どもたちが自分で気づけたことを、褒めていきたいと思います。

「みんなで登れば楽しいね」

 もう夏休みも終わりですね。この夏休みは真夏日が続きましたが、室内での過ごしばかりで体がなまらないように、運動にも出かけていました。日陰のある公園に行ったり、西山に行ったり。特に山は木陰で涼しい中で歩けて、よい運動になります。先日は小学生、中学生、高校生混ざった学年バラバラのみんなで山登りに行きました。暑い中、淡々と登るより、みんなで楽しく登れたほうがいいだろうと思って、登る前に職員は、「今日はみんなで楽しく登りましょう。」と、親睦を深められるようにお話していいことを伝えていました。

 さて、出発してすぐに顔が曇ってきたEくん。Eくんは運動は好きですが、暑いのは苦手です。職員に「暑い。疲れた。もう帰ろうよ。」と伝えてきました。「一つ目の休憩はすぐだからね」と励ましながら休憩地点へ。そこで休憩していると、友だちみんなで話していたのが盛り上がり出しました。Fくんが「俺のこのモノマネ見て何のキャラか当ててや。」と言うと、Gくんは「クイズ出すからみんな参加してよ。」とみんなに声をかけ、Hくんが「Eくん。Eくん。あのね…」とEくんを誘います。みんなの話に混ざっていくと、Eくんも笑顔になってずっと笑っていました。

 元気な気持ちを取り戻したEくんは、登山を再開すると最初は後ろのほうをゆっくり歩いていましたが、お友達と話して盛り上がっているうちに歩くペースが速くなっていきました。いつの間にか先頭に立って、笑顔ではきはき歩いているEくん。しんどかった気持ちが楽しい気持ちに切り替わっていく様子は、歩くペースに表れているようです。その後もEくんは職員に「暑い。」と言いながらも、「帰ろう。」とは言わずに歩き続けました。そして、目標の折り返し地点に到着! 達成感いっぱいのみんなは、お話も大盛り上がり。Eくんもテンションがマックスになり、楽しそうに爆笑していました。下山もスムーズで、職員からの「楽しい?」という問いに「楽しい!」と答えました。

 Eくんにとって、「気持ちを立ち直らせる経験」ができてよかったと感じた職員。夏休みも終わり、2学期がいよいよ始まりました。子どもたちが夏休みと学校の「気持ちの切り替え」ができるように職員も支援していこうと思います。

「ひとりでできたよ」

 「わたしもできたよ」(2022/7/29)で紹介したRさん。今夏は集団遊びでワニワニパニックに毎日のようにチャレンジし、お盆休みの前には職員の支援が少し必要でしたが、ワニをたたくことができるようになっていました。

 ただお盆休みの間にすっかり忘れてしまっていたようです。お盆休みが明けてからもワニワニパニックにチャレンジしていたのですが、Rさんはみんなと並んで座れるものの、自分の番になっても固まったまま動けません。

 やはり見通しを持てないと、初めてのことが苦手なRさんには難しいのかなと、しばらくはRさんはパスすることにしました。ただ友だちとのワニワニパニックは毎日取り組み、Rさんの番になったら「Rさん」と呼び掛けるようにして、見通しを持ててできるようになるのを待ちました。

 そして昨日今日と、Rさんは自分の番でピコピコハンマーを持って立ち上がり、見事ワニをたたくことができました! それも職員の支援なしで、1人で時間いっぱいワニをたくさんたたくことができたそうです。やはり見通しを持てることがRさんにとっては大事なんだなと実感しました。Rさん、1人でできてえらいね!

カタカナなしでカタカナ語説明

 この夏、新しいボードゲームを導入しました。「カタカナーシ」というゲームです。さっそく小学生たちが遊んでみると、かなりの盛り上がり。「次もやりたい!」とリクエストも出て、楽しんで遊んでいます。

 「カタカナーシ」は一人ずつ交代で出題者になり、カードを引きます。そこに書かれているカタカナ語(外来語や和製英語)を、カタカナを使わずに説明します。他の人はそのカタカナ語が何かを回答し、当てられたら回答者と出題者両方に得点が入るというゲームです。

 シンプルなルールで分かりやすく、すてっぷの子どもたちもすぐに理解しました。自分の知っている語彙を駆使して、他の人に伝わるようと工夫して説明します。回答もぽんぽんと出てきて、出題者は「違うよ」「惜しい!」などリアクションを返し、子ども同士のやり取りでどんどん盛り上がっていきます。なかなか回答が出てこない時もありますが、そんな時は出題者が追加の説明を考えて正解が出ることもありますし、簡単ルールとしてパスして次の出題カードを引いてもよいことにしています。

 他にもいくつか簡単ルールを導入しています。出題のとき、本来はカードに6つの言葉が書かれていて、それがランダムに1つ決められて出題しなければいけないのですが、簡単ルールではその6つの言葉から好きに1つ選んでいいことにしています。また出題者がカタカナを使ってしまったとき、それを回答者の誰かが指摘したら、出題は終わりで、指摘した人に得点が入るルールなのですが、それもなしにしています。

 こういった学習が活きるボードゲームは進んで導入していきたいのですが、それが子どもの苦手感に繋がってはいけないので、子どもたちの状況に合わせて簡単ルールで遊ぶなどの工夫をしています。やってみると子どもの強みがたくさん見えたり、子ども同士のやり取りがどんどん広がるので、職員からも「それ、いいね!」と褒める言葉もどんどん積みあがる時間になっています。

時間の見通し

 支援学校高等部のDくんはこれまでの療育で、スケジュールやiPecsを使えるようになっています。学校の行事や放課後等デイサービスの利用日で休みたい日があると、前日にお母さんに上手に伝えられます。すてっぷでもスケジュールに楽しみがないと、「すてっぷ、おやすみ、ください」と利用前日にお母さんに伝えることがありました。そこで、その日のスケジュールに楽しみにできることを入れようと相談し、本人が大好きなおやつ作りの活動を入れることになりました。また夏休みに入り、生活リズムが変わった中、本人が見通しを持てるようにスケジュールをある程度固定化しました。基本のスケジュールは【自立課題⇒作業(設定遊び)⇒買い物学習(昼食をコンビニへ階に行く)ご飯⇒休憩⇒自立課題⇒作業⇒おやつ作り⇒休憩⇒帰る用意⇒帰宅】にしました。

 夏休みも中盤に入り、毎日の過ごしに慣れてくると、自立課題や作業への切り替えもOK、おやつ作りへの切り替えもOKと、スムーズに切り替えることができるようになってきました。新しく入った職員は「スケジュールに楽しみなことを入れることが大切と研修で習ったけれど本当ですね。改めて学びました」と話してくれました。

 ただおやつ作りをスケジュールに入れると、昼食後の休憩をいつもより短くして、作業もすぐに終わらせて「おやつ作り 下さい」と要求するようになりました。時計を見ると1時過ぎです。スケジュール通りの順番でてきぱきとこなしているのですが、彼のスケジュールには時間が入っていませんでしたので、楽しみにできることを早くしたいとスケジュールを進めるのはあって当たり前です。そこで、「デジタル時計をつかってみたらどうか」と試してみることにしました。

 デジタル時計とリマインダーで、「2:00作業、2:20おやつ作り」と提示するようにすると、時間通りに切り替えできるようになってきたDくん。おやつ作りだけの切り替えが良くなったのではなく、作業の準備などほかの活動でも、時間の見通しが持てて自立的に始める姿も見られます。スケジュールに楽しみなことを入れ始めてからは休みなく通ってきてくれていて、安定して活動を積み上げられています。

「ぼくもできたよ」

 支援学校小学部のCくんは、「わたしできたよ」(2022/7/29)で紹介したRさんと同じように、今年ワニワニパニックで集団遊びにチャレンジを始めました。Cくんはごはんや自立課題など座っての活動中に、たびたび立ち歩きます。ぐるっと室内を回って戻ってきたり、ソファに行って寝転がったりと、なかなか集中して続けられないときがあります。

 ワニワニパニックも、始めた当初は同じでした。自分の番でもピコピコハンマーを手に取れなかったり、他の人の番のときも待てなかったりと、しきりに他の場所に行きたがりました。そこで職員で話し合い、違うことにチャレンジしてもいいのではという意見も出ましたが、違うことではなく同じことを繰り返して続けていこうと決まりました。その方が、Cくんが見通しを持てて、分かってできるようになるのではないかと考えたからです。

 さて、このワニワニパニックを4、5回続けて行ったところ。この間もCくんは、集団のところから、ソファを行ったり来たりといった感じでした。ですが、友だちが交代してワニをたたいているところを見ていたのか、職員がこうしてみようと見本を見せていたのを見ていたのか。次第に、笑顔でワニをたたくようになっていき、座って待てることが増えてきました。そして先日、職員がワニワニパニックを始めようと準備し始めたところ、びっくり! Cくんがすでに座って待っているのです。スケジュールも自分でワニワニパニックに変えていました。そのまま準備が出来るまで待ち、ワニワニパニックを楽しんで、「終わります」のあいさつで自分からスケジュールに戻って、好きな遊びに切り替えていきました。

 Cくんはスケジュールの学習も今年から本格的に始め、毎日同じように取り組むことで、今では自分でスケジュールを確認できるようになりました。このワニワニパニックも見通しが持てることで、最初から最後まで集団に参加できるようになりました。今は友だちとの2人で2回ずつできるようになっているので、取り組みはワニワニパニックのままで、いっしょにやる友だちが変わったり、増えたりしてもできるようにしていきたいと思っています。さてRさんも、いっしょに取り組めるようになるのでしょうか。

頼れる先輩

 小学生のAくんはすてっぷではしばらく後輩でした。そんな彼も成長し、上級生に。今は年下の子に囲まれながら、リーダーの役割を果たしてくれています。ただ、最近少し頭を悩ませているのが、年下の子がそれぞれでAくんに話しかけてくること。Aくんも一人一人とは楽しんでやり取りしていますが、一人と話し合っているところに、もう一人がそれも別の話題を出してくると、もうパニック。なんとか苦労して、折り合いをつけていました。

 先日、公園からの帰り道、Aくんが支援学校中学部のBくんとでお話をしているところに、年下の子が話しかけてきました。Aくんがどう返事するか悩んでいたところ、Bくんが「今俺たち大事な話をしているんだから、話に入ってこないで」と答えました。年下の子が「俺も大事な話やし」と食い下がると、Bくんは「わかった、じゃあどうぞ」と返答し、二人で年下の子の話を聞くことに。ですがそばで聞いていた職員にも大事そうな話には聞こえない話です。二人もそう受け取ったようで、Bくんはきっぱりと「それは大事な話じゃないね」と年下の子に伝えました。そして二人で話を再開しました。

 Bくんは、以前は嫌なことがあった時は「やめてよ!」と甲高い声で制止することが多かったのですが、この日は割り込まれたことに怒りもせず、落ち着いた声で伝えられたことに、職員はBくんの成長を感じました。Aくん、すてっぷにはまだ頼れる先輩がいるよ。

アルファベットの小文字

じゃんぷに通う中1のZ君が「小文字が覚えられない~!」と悩んでいます。大文字は書くことが出来るようになりましたが,学校の授業で小文字に苦戦しているようです。

実はこのような子どもは少なくありません。大文字は,ABCの曲等と一緒に習得できる子どもが多いですが,小文字には苦手意識をもってしまうケースが多いといいます。その一方で実際に英字を読み書きする際には,大文字より小文字を使うことが圧倒的に多いです。

ではなぜ小文字を覚えることが難しいのでしょうか。小文字は大文字に比べ,英語が始まるまでに触れる機会が少ないです。また,大文字は左右対称ではっきりとした特徴をもった字形のものが多く,子どもでもその特徴を把握しやすいものとなっています。それに比べて小文字は,小さな点がついているなど繊細な字形のものが多く,大きさも大文字に比べて小さいため,字形の認識が難しくなります。

Z君には「順番に覚えなくていい」ことと,「大文字と同じ形のものから覚える」ことを勧めました。まず簡単な文字から覚え,少しずつハードルを下げ,覚えれた,書くことが出来た実感を持ちながら取り組むようにしています。

漢字の感じ!

じゃんぷでは夏休みに,子ども達が自分で課題を進めていく「ウォーミングアッププリント」に取り組もうと考えています。

その中の「漢字の書きプリント」は,プリントの中に「言葉による手がかり」を用意し,聴覚記憶が強い子どもが得意な認知を生かして学習が取り組める,というものです。

「言葉による手がかり」とは,例えば「女」という漢字を「くのいち」と覚えるように,漢字の組み立て方を言葉で示したものです。

視覚的に見て,書いて覚えることが苦手な子どもでもこの方法なら「漢字をちょっと書けるようになった!」「漢字の感じやな!」という子どももいます。じゃんぷで取り組んでいる漢字指導の一環として,紹介をします。

リリアン編みにチャレンジ

 支援学校高等部のRくんは、休憩中に過ごせることがなかなか見つかりません。昔はホワイトボードにオリジナル性豊かな絵を描いていましたが、今は見向きもせず、うろうろと立ち歩いているだけ。レタリングや塗り絵も試してみましたが、まるで課題やタスクのように、職員から提示されたものをこなすだけで終わってしまいます。

 そんなRくんが去年ようやく見つけた趣味がペーパークラフト。はさみでの作業が好きなことから、職員がRくんに提案したところ、自分から進んで作るようになりました。自分でできるところでも「手伝ってください」と職員を呼ぶのはご愛敬。出来ているところを見てもらうと、自分で次の作業に移っていきます。「大人の注目」がRくんにとって最大の強化子になっていることは、以前手伝ってください(2022/2/22)で紹介した通りです。

 ただRくん、できあがったペーパークラフトを「持って帰ります」と言って持ち帰るのはいいのですが、家でポイっと置きっぱなしになっているとのこと。せっかくなら作ったものを自分で使ったり、家族にプレゼントできたりと、実用的な製作に取り組めたらいいねと職員で話していました。そこでRくんにリリアンサークルでペットボトルカバーを作ることを提案することにしました。

 リリアンサークルは突起が複数ついたリング状の道具で、100均でも購入することができます。これに毛糸を巻き、専用の針で糸をすくって上からかぶせて編んでいきます。以前も他の利用者が取り組み、無事にペットボトルカバーを完成させました。さてこの編み物はRくんにヒットするのでしょうか。

マインドマップ

前回書いたアイデアいっぱい!マインドマップで整理しよう! ( 07/28 )で登場した「マインドマップ」について少し詳しく紹介をします。

「じゃんぷ」ではマインドマップという方法を使って読書感想文を書いたり,夏休みの思い出の作文を書いたりしています。マインドマップというのは頭の中で行っている思考プロセスを「見える化」して,思考の整理や今からしようとしていることを整理するのに役立つ方法です。一緒にホワイトボードに思いついたことを「話すだけ」,順番に話したことを「図にするだけ」,整理された内容を「書くだけ」と作業を一つにしぼって実行します。

そうすると,「こっちのことを先に書きたい」とか「ちょっと言い方(表現)を変えて書いといた」等自分なりの工夫やアイデアが浮かんできます。

「読むのがイヤ」「書くのがイヤ」「なんて書いたらいいか分からないからイヤ」と思いがちな宿題も,実は頭の中の思考を整理することの悩みだったといえます。

「わたしもできたよ」

 すてっぷでは、設定遊びとして室内の集団遊びに取り組むことがあります。多くは、順番交代で行いながら、得点を競います。ボールダーツや弓矢ダーツといった市販のおもちゃを使ったもののほか、段ボールで作ったゴールを狙うボールシュートなど、手作りのものもあります。中には得点を競うのではなく、ボールを当てたところに分割の絵を貼り、みんなで一枚絵を完成させる協力型のものもあります。これらの中から選んだり、新しく作ったりして、メンバーに合うものを準備して取り組んでいます。

 支援学校小学部のRさんは、この集団遊びに参加し始めたところ。今月は「ワニワニパニック」に取り組んでいます。「ワニワニパニック」は職員がワニを操作し、子どもは仕切りの穴から飛び出してくるワニにピコピコハンマーを当てる遊びです。やったことがある子は慣れた手つきで、ワニをピコピコ叩いていきます。初めての子でも、「ねらう」「たたく」といったシンプルな活動のため、初回から、笑顔でテンポよく叩ける子も少なくないです。ところがRさんは、何度も回数を重ねても、そっぽを向いて近づこうともしません。Rさんは初めてのことが苦手だから、少しずつ取り組めるようにしていこうと職員で話し合いました。

 そこでまず、参加するだけでいいというところから始めました。離れたところにいすを置き、そこに座って見ているだけでも、参加できてすごい!と褒めて、回数を重ねました。次第に友だちの活動の様子を見ることが出来ることが増えていったRさん。先日、他の子どもたちと一緒にいた職員がRさんに「こっち来る?」と誘ってみました。するとRさんは、みんなのところへ! いっしょに並んで座って参加することが出来ました。そして次のときも、みんなといっしょに座って待つRさんの姿が。そこで職員が、みんなと同じようにRさんの顔写真をホワイトボードに貼り、順番を示します。するとRさんは自分の番だとわかり、友だちから手渡されたピコピコハンマーを握ります。そして「用意スタート」の声で、飛び出してくるワニをしっかりとみて、ピコピコハンマーで叩けました!その瞬間にRさんの笑顔がこぼれました。「できたね!」の職員の声掛けにハイタッチを求めたRさんの顔は誇らしげでした。

 初めてのことが苦手なRさんに、最初から全部参加させようとしても、できなかったで終わり、失敗体験を積んでしまうことになります。そこで取り組みを細分化し、最初の課題は達成しやすいもの(今回で言えば見ているだけでOKにする)から始め、それができたら次の課題は少しずつ高めていくという「スモールステップ」で、Rさんは最終的に「ワニワニパニック」に参加できるようになりました。できることを増やすことと、成功体験を積み重ねていくことが、成長の両輪になると考えています。

アイデアいっぱい!マインドマップで整理しよう!

じゃんぷに通うP君が夏休みの宿題を持ってきました。先日持ってきたのは「絵日記」です。

P君は先日旅行に行った時のことを書く,ということでその時の出来事を次々と話してくれました。普段書くことが苦手なP君が鉛筆が止まらないようでした。ただ頭の中で浮かんだことを文章にすることはまだ苦手なようで,継ぎ接ぎな文章になってしまうようです。なので絵日記をじゃんぷに持ってきたとのことでした。

P君はたくさん出来事を話してくれるので,それをマインドマップにして時系列を整理し,文章の構成を組み立てました。そして文章を一緒に作り,それをP君が絵日記に書きました。

すごく達成感があったようで,「最後まで文章書けた(空白を作らず文章を埋めれたということ)の初めて!」と喜んでいました。

漢字の間違いやすいポイント

子どもたちが夏休みの宿題を持ってじゃんぷに来ます。漢字の宿題に対し,集中して取り組んでいる様子が見られます。

子どもたちの宿題やテストの様子を見ていると,やはり漢字にも間違いやすいポイントがあるようです。同じように間違いをしていることが多く見られました。今回は漢字の間違いやすいポイントについて紹介をします。

①画の長短を間違う

例として「未」の横画の長短を間違えると「末」になってしまいます。

②点の有無を間違う

「械」や「博」の点を忘れることが多く見られます。また,本来必要ない字に点をつけてしまう間違いもあります。

③線の本数を間違う

「達」のように何本かの横線が並んでいると,多くしてしまったり,少なくしてしまったりする間違いが多く見られます。「編」や「備」のように縦線と横線が交わる場合それぞれの本数を反対にしてしまうこともあります。

④似た形の字と間違う

例として「己」「巳」「乙」の混同等,形が似ている漢字との間違いはよく見られます。これは,例えば「巻」のように,ある漢字の一部となっている場合も同様です。「眼」の「つくり」を「民」「良」にしてしまうこともあります。

⑤「へん」ともとになった漢字との違いを間違う

「きへん」を,ただ「木」の横幅を狭くした形に書いてしまっていることが少なくありません。「木」の右はらいは,きへんでは「とめ」になります。

⑥「とめ・はね・はらい」を間違う

「とめ・はね・はらい」のうち、「とめ」と「はらい」は字体による違いもあり,どちらかに統一するのが難しいケースもありますが,代表的な部分についてはしっかり押さえておきます。

⑦点と棒の違いを間違う

点と棒の違いを意識しないことも少なくありません。例えば「主」の一画目は棒ではなく点です。また,「賞」の一画目は点ではなく棒です。特に「賞」の「かんむり」に見える部分を「つかんむり」にしてしまう子どもが多くいます。「つかんむり」の二画目(中央)は棒ではなく点です。

⑧出る・出ないを間違う

縦画と横画が交わる場合に十のように交わるか丁のように出ないのかについても間違いが見られます。

 

上記8つが主な間違いのポイントです。あらかじめ知っておくことで漢字を教える時に役に立つかもしれません。また,チェックポイントとしても役に立ちます。

(出典.引用 新国語授業を変える「漢字指導」 著 白石範考 出版社 文溪堂 2019)

挑戦者が現れました

 O君は『マイクラ』が大好き。すてっぷでパソコンやゲームが出来る時間はいつも『マイクラ』をしています。ですがO君以外の子ども達はあまり『マイクラ』をしません。みんなでできるテレビゲームの『スマブラ』が人気です。ゲームの趣味は人それぞれなのですが、職員は一緒に遊べるようになれるといいなと思い、O君に「一緒にしてみん?」と、日頃から『スマブラ』に誘っていました。けれど、O君は、「うーん。いいやー。パソコンする。」と誘いに乗ることはありませんでした。職員がO君に「今までどこかでしたことある?」と聞くと「2回だけある。」と言っていました。『スマブラ』は操作は簡単ですが、プレイ経験がある人とない人では実力差が出るゲームなので、勝てるように操作するのが大変だったり、負けるのが嫌だったりするのかなと考えていました。

 先週、職員と子どもたちで『スマブラ』をしているところに、O君がやってきました。その日もパソコンのゲームを選んで遊んでいたO君。見てみるとパソコンは閉じられていました。そこで「O君もする?」と聞くと、「ううん、見とく。」と言ってゲームの様子を見学していました。そして先日、『スマブラ』をしている子どもたちの輪の中に、コントローラーを握ったO君の姿が! 職員が「今日はO君もするんだね。この前、見てたからしたくなったりしたの?」と聞くと、O君は「うん。今日が3回目の『スマブラ』。」と答えてくれました。

 さて、せっかくO君が参加できた初めての『スマブラ』。楽しく遊んでほしいと思った職員は、「個人戦だったらO君が負けてしまったで終わるかもしれない。職員が入って2対2のチーム戦を提案しようかな」と考えていました。すると、職員の心を見透かしたようにP君が言いました。「O君、初心者で操作慣れてないから俺かQ君とチーム組んで2対1で遊ぼうや。」職員はすかさず「いい提案だね!」と褒めました。Q君も「O君が参加するって、『挑戦者が現れました』みたいやなぁ。」とP君の提案を受け入れ、3人で遊び始めました。

 『挑戦者』というのは、『スマブラ』で遊んでいると、CPUが割り込んできて勝負を挑んでくるシステムのことなのですが、子どもたち3人はそれになぞって遊びをどんどん盛り上げていきます。O君とチームを組むのがP君からQ君に交代したり、CPUを入れて2対2にしたり、決められたアイテムだけを使って対戦したりと、アイディアがいっぱい! 職員が提案しなくても、初めてのOくんが楽しめるように子どもたちだけで工夫できたことに感嘆の職員は見守るだけ。Oくんも操作はぎこちないですが、友だちといっしょに楽しそうに遊ぶことができていました。

 今日も『スマブラ』をしようと準備している子どもたち。その輪の中にO君もいました。職員がO君に尋ねました。「O君、今日も『スマブラ』するの?」O君は答えました。

「うん。4回目。」

挑戦者が、レギュラーメンバーになりそうです。

同音異義語

日本語の特徴の一つとして,「同音異義語」があります。一部のIT技術者の中には,日本語は音声での認識や音声での文字化が困難な言語である,と声をあげている方もいるとかいないとか…

同音異義語の場合,音を聞いただけではどの言葉かわからないので前後の文脈や言葉づかいで意味を理解しています。また,同音異義語にはひらがなも漢字もあります。

例えば「はな」は「花」と「鼻」があります。この場合,「はなをかざる」「はなをかむ」等,文脈を参考にして意味を理解してから読む練習をします。

同音異義語について苦戦している子どもはよくいます。一つ指導の参考として紹介をしました。

友だちといっしょ

小学生のMくんはここ最近、2つのマイブームがあります。一つはひそひそ声で話すこと。職員に話しかけられても、ささやくように返事をします。もう一つはおやつを持ち帰ること。なので、スケジュールで次がおやつだとわかると、職員に「もちかえります」と伝え、職員がおやつを見せて「どれがいいですか?」と聞くと、「これ」と答えます。

 先日、Mくんと支援学校高等部のNくんとがいっしょの車で公園にお出かけしました。しかしNくんは公園に着いても車から離れません。先に公園に行っていたMくんがそのことに気づくと立ち止まり、「Nくんは?」と職員に尋ねます。職員は「車かな」と答えると、Mくんは車の方を気にして動きません。「迎えに行く?」と聞くと、Mくんはうなずき、職員と一緒に車に戻りました。

 迎えに行くとNくんは車から離れ、Mくんといっしょに公園までやってきました。ですが、Nくんは見晴らしのいいところまで来ると、そこから動こうとしません。Mくんも、職員にボールで遊ぼうと誘われますが、Nくんのそばを離れません。そこで職員はMくんに、「Nくんを誘いに行く?」と尋ねました。うなずいたMくんといっしょにNくんのもとへ。職員が「Mくんがいっしょに行こうって言っているけど、どう?」と聞いてみました。するとNくんは、いいよと言わんばかりにMくんの近くに歩いてきます。そのままMくん、職員と一緒に公園を散歩して、ぐるっと大回りの一周を歩きました。

 職員が言っても動かなかったNくんが、友だちの誘いで長めの距離を歩けたこともそうですが、Nくんを気にかけたMくんにも驚いた職員。今回は職員が声をかける形になってしましましたが、次回はお誘いのカードを持って行って、Mくんが友だちに手渡しして伝えられるようにしたいと思っています。

漢字の読み方

漢字の音読みと訓読みに苦戦する子どもは多いです。「読み」が苦手な子どもにとってはなおさらです。しかし覚えるために繰り返し練習をしても中々結果が伴わず,学習が苦手になるきっかけになってしまうかもしれません。

例えば「重い」を「おもい」と読むことが出来ても,「重ねる」「体重」を読めないことがあります。「重」の漢字を習うときに「おも(い)」「かさ(ねる)」「じゅう」は習いますが,その時だけで定着するわけではありません。しかしその習った単元の中で出てくる言葉は「重い」なのです。だから「重い」は読むことが出来ても他の読み方が定着しないことがあります。

こういうときは身近に使う文章にして指導をしています。「紙を重ねる」「体重をはかる」等,日常で使える短い文章にし,それを一目で見てわかるようにプリントやホワイトボードにまとめます。子どもが一目で見て読み方がわかるように支援し,日常でも使うことで音読み,訓読みを覚えることが出来るかもしれません。

わりばし鉄砲作り!

ここ最近じゃんぷに通所してくる子ども達が夏を感じさせることを話してくれます。「セミの抜け殻見つけたで~!」「プールいきたい~!」と元気に話す子もいれば,「暑い…」「夏バテや~」と疲れた様子も見せる等,それぞれです。

さて,今年は3年ぶりに祇園祭の山鉾巡行(やまぼこじゅんこう)が行われました。子ども達に話を聞くと「祇園祭行ったことあるよ~りんご飴食べた!」「祇園祭行ったことないなぁ~」「"イオン"祭りって何?」とこれまた子ども一人一人違った反応を見せてくれます。

先日じゃんぷの放デイでは「じゃんぷ祭り2022」ということで射的遊びをしました。射的をするためのわりばし鉄砲を自分たちで作り,それを使って射的をし,当たったお菓子をもらうという活動です。

小学1年~6年まで様々な年齢の子どもがおり,工作が得意な子もいれば苦手な子もいます。なので使う道具は最小限にし,それぞれのパーツで使うものをまとめてみました。

すると「こういうの苦手やなぁ…」と話していた子も自分で手順書を見たり説明を聞いて組み立てることが出来ました。輪ゴムを留めることは難しかったようですが,そういうときはきちんと援助要求が出来ています。こういった遊びの中でも構造化をし,子どもが「自分で出来た!」という達成感を得られるように支援をしています。

「ただいま!まずはくつ!」

 すてっぷでは、帰ってくる子どもたちに「おかえり」と声をかけています。「ただいま」と答える子どもはすてっぷではそう多くありませんが、あいさつをする子はあいさつをし、到着後の活動に入っていきます。帰ってきた子はまず、靴を脱いで靴箱に片づけます。次にICカードをタッチして出席確認をして、かばんから連絡帳を取り出してかごにしまいます。最後にかばんも棚に片づけ、自分のスケジュール確認に向かいます。子どもによっては順番が変わるかもしれませんが、これらのことは到着後にしてほしいこととして職員から子どもたちに提示しています。このとき、すてっぷでは子どもが自立的にできるように、到着後にすることをイラストと文字で視覚的にわかるようにしています。これが以前から紹介しているワークシステムです。

 このワークシステムの表ですが、最近新しく2パターンのものを作ってみました。1つは、することを一つずつ1枚にイラストと文字で描き、リングでまとめて1枚ずつめくれるようにしたものです。すてっぷではおやつ作りや工作をするときの手順書を、これと同じめくり式にしていました。もう1つは、上からすることが並んでいるのですが、一つずつカードにして、輪ゴムでくくるように固定することで、1つ終わるごとに1つずつめくれるようにしたものです。めくったらカードの裏が白紙なので、せっかくだからとはなまるのイラストをつけてみました。

 新しいワークシステムの表を作ってから1か月ほど経ちましたが、変化が少しずつ見られます。Kさんは以前の表だと流れがわからず、職員が先に示すことで、次の活動に向かっていました。ですが今はめくり式を使っていて、靴を片付けたら靴のカードをめくって、次の活動を確認。ICカードだとわかって、ICカードを取りに行きます。その後も一つずつめくって次の活動に向かうことを繰り返し、職員が何もしなくても、自分だけですることを全て終えられるようになりました。またLさんは、以前の表でも流れを理解しているようでしたが、他に興味を持ったことにどんどん転導していきます。結局は職員が表ですることをLさんと一緒に確認しながら、Lさんが終えるまで側にいるという形で、到着後の活動をしていました。それが一つずつめくってはなまるが出てくる表にしてみると、Lさんは打って変わったかのように、自分から次の活動に向かいます。そして終わったら「はなまる」と嬉しそうにカードをめくります。はなまるが出てくることを楽しみに、自立的に到着後の活動ができるようになったのです。

 普段使っているワークシステムの表でも、振り返って評価してみることで、子どもがうまく活用できていないことに気づけます。「PDCAサイクル」(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(確認)→ Act(改善)の4段階を繰り返して業務を継続的に改善する方法)という言葉が「放課後等デイサービスガイドライン」にも載っているように、福祉の現場でも意識されています。今回は改善からの計画、実行がうまくいったというケースでしたが、また次の確認のため、職員で振り返りと評価をしていきます。