すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

凸凹特性

M君が「うろうろするのは何症候群て言うの?」と聞くので「多動性症候群」とスタッフがこたえます。矢継ぎ早に「その他にも合わさっているんやなぁ」と質問します。「不注意が重なることもある」と言うスタッフに「なんていうのそれ?」とたたみかけて来るので「ADHDともいう」。スタッフの本棚を見て、あーこれかーと「ADHDのおともだち(ミネルバ書房)」絵本を手に取って読み始めました。「不器用とかもあるんやなぁ」「うわっ 部屋汚い」と読み進めます。

学校が始まって頑張ろうと思えば思うほど、自分が気になる時期でもあります。高学年ならなおさらです。自分のことが知りたいときに、凸凹な状況を説明してあげるのは大事なことです。ご家族と話し合って、できれば主治医も含めて話し合い、計画的に持続的に肯定的に説明しようと思います。

田んぼの田

L君たちを呼んで、「田んぼの田」ゲームをしました。他府県では十字鬼ともいいます。走り回って遊べるのが楽しいゲームです。

一辺が4~5mの四角形を描きます。その中に十字を書きます( 田の字 )。十字の部分は「鬼の道」です。幅50cmぐらいの道幅にします。「鬼」を一人決めます。鬼以外の人は「子」になります。

子をスタート位置(升の一つ)に集めます。子が4つの升を何周するのか、鬼は、「○週!」と決め宣言します。鬼は「鬼の道」を行ったり来たりしながら子をタッチします。子は鬼にタッチされないように「田の字」のコートを鬼が決めた回数だけ回ります。子は鬼の道には入ってはいけません。鬼の道を飛び越えながら進みます。コートは右回りでも、左回りでも良いです。但し、途中で回る方向を変えてはいけません。

「鬼にタッチされる」「鬼の道に入る」子はアウトです。子が決められた回数を回ることが出来たら子の勝ちです。すべての子を鬼がタッチ出来たら鬼の勝ちです。サブルールとして、「人数が多い時は鬼が2人」「タッチされたら鬼になり、鬼がどんどんと増える」というルールやチーム対抗戦にして、チームワークを楽しむ高学年版もあります。

はさみチョキチョキ

Kちゃんが初めて鋏に挑戦しています。線に沿ってチョキチョキ切っていくのですが、紙をうまく固定するのが難しいようです。鋏のコツは実は添える手が重要です。みんな鋏の利き手に注目しがちですが、紙は固定しないとうまく切れません。紙をどう固定するのか、どこを持つのか、どのくらいの力で固定するのかを、鋏の利き手と連動させてつまんだり添えたりするのです。

就学前で鋏を使わなくても、教えればだんだん上手になるので心配はいりませんが、実はこうした手先の活動は粗大運動と並んで重要なのです。ものを変化させる(紙を切る)ために、自分の方が力や位置を調整しながらモノに働きかけていく活動は、自己コントロールの力を育てていきます。もちろん粗大運動でもこの力は育つのですが、対象物が変化するところが重要なのです。Kちゃん口をひん曲げて上手に切ろうと頑張っています。

泣くことの理解とトランジッションカード

Jちゃんはようやくスケジュールを見て一日の流れが分かるようになってきました。それでも、何かの拍子に事業所の入り口の前で泣きだすことがあります。おそらく、何かいつもと少しシチューションが違って、見通しが持てなくなる時に泣くのではないかとスタッフで話し合いました。

そこで、トランジッションカード(スケジュールを見てきてねカード)を渡して「今日は何があるかな」と言ってスケジュールボードへの移動を促すようにしました。この作戦で、Jちゃんは、ほとんど泣かなくなりました。要するに、悲しいから泣くと言うより、分からないから泣いていたということです。もちろんJちゃんは言葉がないわけではありませんが、言葉が機能的に利用できることをまだ知りません。それよりも、泣くことで解決した事が多かったのだと思います。たまに要求が実現するので繰り返そうとすることを間欠強化行動と言います。ギャンブル依存もこの一種です。

案の定、公園からご機嫌で帰ってきたJちゃんがまたまた玄関の前で大声で泣きだしました。トランジッションカードをスタッフが渡すのを忘れていたのです。他のスタッフが気付いてカードを渡すと、スケジュールに行っておやつがあることがわかって泣き止んだのでした。ここで重要なことは、毎回繰り返される行動であっても、スケジュールやトランジッションカードが頼りになるということは忘れてしまう子がいるという事です。そして身についた行動(トランジションカードで移動する)が理解を助けるという事です。あべこべみたいですけど、Jちゃんは、わかることができることにつながるのではなく、できることがわかることにつながるのです。行動が認知を助けるのです。

 

 

 

「~してはいけません」はNGです。

先日I君がシュレッダーの破砕ごみを掃除機で全部吸い取ったので、掃除機が壊れてしまいした。そこで、スタッフが「掃除機でゴミは吸いません」と張り紙をしたのです。I君その張り紙の前で固まってしまいました。そして「●★×〇?ɤ!」とパニックを起こしました。

「掃除機はごみを吸うものです!!」と困っているのです。言葉でいうと何ともなかったのは十分に意味が分からなかったからです。ところが文字で書くと何度も読むことができます。しかも「掃除機はごみを吸うもの」と相場は決まっているのに、「ごみを吸うな」と書いているからI君にとっては天変地異が起こったのと同じです。「シュレッダーの粉砕ごみを吸わないでね」というのがスタッフの真意ですし、非自閉症の方なら書いていなくても前の経験からその文脈がとれたかもしれないのです。しかし、I君は字句通りにまっすぐ受止めるのでこうなったわけです。

この場合は、「シュレッダーのゴミ以外を掃除機で吸います」と書けばうまくいったはずです。視覚支援の効力を知ったビギナーが良く起こす間違いが「~してはいけません」です。「~してはいけない」はわかるけど、では何がいいのかわからないのです。だから、ASD支援では「~していいです」風に書くのです。これは4日前にも書いたのですが伝わらなかったようです。