すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

あまりのあるわり算

先日じゃんぷに通っている小3の子どもの宿題で以下のような問題が出ていました。

その子は最初答えを「8きゃく」と答えていました。「あまりのあるわり算」の単元では文章問題の答え方が2パターンあります。最初は下の画像のように「〇個できて△あまる」といった答え方と初め紹介したような「〇個必要」といったものです。

文章を読むことが苦手な子どもにとって文章の意味の違いを理解し,答え方を変えることはすぐに出来るものではありません。その時は問題を2つのパターンに分けました。

1.「〇個できて△あまる」と答える問題だよ!

2.「答えに+1する」問題だよ!

このように子どもがわかりやすいように整理し,宿題に取り組みました。本来は「いくつ必要なのか」を読み取り,問題の意味を違うことを考えさせることが目的なのですが,読み書き障害のある子どもにとってはそこでつまづいてしまい,苦手感を持つきっかけになってしまうかもしれません。まず本人がわかりやすいように問題を取り組めるよう支援し,その後ゆっくり問題の意図を理解できるように今回は支援をしました。

「きょうはフリスビー!」

 先日、支援学校高等部のUくんといっしょに公園に行ってきました。Uくんは運動自体できますが、スポーツ競技に興味があるわけではありません。職員が誘うとサッカーやキャッチボールなどしますが、あまり長い時間は遊べません。ブランコといった遊具は好きで、自発的に遊ぶ姿がよく見られます。ただその日に行った公園は、遊具がない人工芝の公園でした。職員は自発的に選んでほしいと思い、Uくんが選びやすいように、バレーボール、野球ボール(グローブ)、フリスビーを並べました。すると、Uくんはおもむろにフリスビーを手に取りました。

 Uくんは、フリスビーをひょいと投げました。そして、芝に落ちたフリスビーを拾って、職員がいない方向へ歩いて行きました。職員が(Uくん、フリスビーを選んだのかな? それとも、1回投げただけで、別のところに行こうとしてるのかな・・・?)と様子を見ていました。するとUくんは足を止めて、職員の方に体を向けました。それは以前、Uくんと職員がフリスビーで遊んだ時と同じくらいの距離でした。そしてUくんは、職員に向かってフリスビーを投げたのです。その後、Uくんと職員でフリスビーを投げ合って遊びました。

 フリスビーを遊んでいる途中に、職員はUくんが他のボールでも遊ぶかもしれないと思い、Uくんが手に取らなかったバレーボールや野球ボールを「いくよー」と声をかけて投げてみました。Uくんはそれぞれのボールは拾いに行きましたが、職員に投げ返すことはなく、それぞれのボールを最初に置いてあった位置に置いて戻しました。それを見て職員は「フリスビーをしっかり選択できていたんだ!」と感心しました。職員が「フリスビーしよっか」と声をかけてフリスビーを投げると、Uくんはキャッチしてから投げ返して、そのままフリスビーを続けて遊びました。

 自発的に選ぶということは、「楽しむ」ということに大きく関わっているように思います。子どものおやつも、大人が選んだものばかり与えられるよりも、自分でおやつ売り場に行き、どれがいいか選んで、レジに買いに行くという活動の方が、食べるときにより楽しみが大きくなるではないでしょうか。「自分で選ぶことができる」ということが、Uくんにとっても遊びや運動をより楽しくするとともに、選択肢を広げることで活動の幅を広げていけると思います。これからもUくんがいろんな活動の中で、選択できる機会を増やしていけるように支援していきます。

「きんようび、ホットケーキ♪」

 支援学校小学部のWさんは休憩中のタブレットが大好き。お気に入りのピンク色のカバーがついたタブレットがほしいと、「ピンクのタブレットください!」と職員に伝えます。ただ友だちが使用中で、職員が「まってね」というと、「ピンクタブレット~!」と大声で叫んでしまうことがたびたび見られました。大声を出したら要求が叶った経験があったのかもしれません。

 そこで、こつこつトレーニング(2022/10/4)で紹介したVくんと同じように、「まって」トレーニングをすることにしました。最初の数秒から少しずつ長くして、職員と交渉して待っていたら約束を守ってもらったという経験を積んでいきました。30秒待つ練習の頃から「まって」カードといっしょにタイマーを渡すようにすると、Wさんには分かりやすかったようです。そこから時間を長くしていっても、じっとタイマーを見て待つことができるようになってきました。また同時に、ほしいタブレットを友だちが使っていたら、友だちに「ください」と要求を伝えに行くトレーニングを進めました。友だちとの交渉には職員が支援に入り、「〇時になったら交代ね」とホワイトボードに書いて示します。そしてWさんにタイマーを渡して、時間になったら交代して友だちからタブレットを受け取れた経験を積み上げていきました。

 これらのトレーニングを、要求が出るたびにこつこつと2年以上続けてきました。すると先日、驚きの成果が! Wさんが公園から帰ってくると、友だちがホットケーキを作っていました。Wさんはそれを見て、「ホットケーキください」と職員に伝えます。しかし材料はその友だちの分しかありません。職員が間に入り、友だちに「1切れください」と伝えてみました。うなずかない友だちを見て、職員が「また今度ね」とWさんに伝えると、Wさんは「きんようび、つくる!」と言いました。次の利用日が金曜日と分かって言ったのです。日をまたぐ交渉ができたのはすてっぷでは初めて。それも自分から! 「きんようび、ホットケーキつくろうね。たのしみ♪」と言って帰っていきました。

 金曜日、事業所に着くなり「ホットケーキつくり、たのしみ♪」と職員に伝えてきたWさん。一緒にホットケーキを作り、職員が勧めたシロップを断り(!)、プレーンのホットケーキを満足げな表情で食べて、お片付けまで完璧に終えました。「あー、おいしかった、ごちそうさま~♪」

長さ・重さ・かさ

久しぶりのじゃんぷ日記です。

今,小学3年生の算数は「重さ」の単元です。一人の子どもが「先生,この問題の意味がわからへん。」と質問して来ました。

その子は計算問題(2kg500g+1kg700g=等の重さを計算する問題)をスラスラと解いており,この単元は何も問題がないかな,と思っていました。

質問してきた問題が「トンネルの長さ 2□(□に適切な単位を書く)」といった問題でした。「ん?トンネルの『長さ』を聞いてる問題でしょ?長さの単位って何だっけ?」と尋ねると「グラム?キログラム?あれ…?」と戸惑った様子でした。

つまり1000g=1kgや,1200m=1km200mといったことはわかっていても,そもそもの距離や重さの感覚が実感としてわかっていなかったようです。

数字はわかっていてもその意味がわかっておらず,例えば家からじゃんぷの距離は大体「km」で表せるといったことは「?」な様子でした。

まず,「長さ・重さ・かさ」の単位を整理し,それぞれの距離感や重さ,かさの感覚を教えました。「そういうこと?」と理解した様子でしたがまだ定着出来ていないとは思うのでスモールステップで定着を図っていこうと思います。

こつこつトレーニング

 支援学校中学部のVくんは、なかなか待つことができませんでした。友だちといっしょに山登りに行けば、どんどん先に歩いて行きます。友だちと協力して空き缶つぶしの作業をするときも、先に先にと箱から空き缶を取り出してどんどんつぶし、プルタブを外す友だちが間に合わずに箱の中が空になるということがよくありました。

 そこで、Vくんに「まって」のトレーニングをすることにしました。ただ、山登りや作業といった、Vくんが大好き!というわけではない活動から取り入れても、うまくいくとは限りません。そこでVくんが大好きなおやつの場面から練習することになりました。ちょうどおやつのときも、待てないことが課題にあがっているときでした。

 PECSの「まって」トレーニングの方法に従い、初めは「ください」を言ってから数秒待ってもらうところからスタート。待つ時間を少しずつ長くしていきました。そしてタイミングを見計らい、作業でも「待って」トレーニングに挑戦! 友だちがプルタブを外すまで、「まって」カードを渡すと、Vくんは見事待つことができ、友だちから空き缶を受け取ってからつぶすことができました。

 驚いたことにトレーニングはその1回だけ。以降は「まって」カードがなくても友だちを待って、作業ができるように。また山登りでは友だちと同じペースで歩いたり、遅い友だちを休憩場所で待ったりできるようにもなったVくん。いきなり変わることが難しくても、毎日少しずつトレーニングすることで、できることが増えていきました。すごい!