今日の活動
「ぼくもできたよ」
支援学校小学部のCくんは、「わたしできたよ」(2022/7/29)で紹介したRさんと同じように、今年ワニワニパニックで集団遊びにチャレンジを始めました。Cくんはごはんや自立課題など座っての活動中に、たびたび立ち歩きます。ぐるっと室内を回って戻ってきたり、ソファに行って寝転がったりと、なかなか集中して続けられないときがあります。
ワニワニパニックも、始めた当初は同じでした。自分の番でもピコピコハンマーを手に取れなかったり、他の人の番のときも待てなかったりと、しきりに他の場所に行きたがりました。そこで職員で話し合い、違うことにチャレンジしてもいいのではという意見も出ましたが、違うことではなく同じことを繰り返して続けていこうと決まりました。その方が、Cくんが見通しを持てて、分かってできるようになるのではないかと考えたからです。
さて、このワニワニパニックを4、5回続けて行ったところ。この間もCくんは、集団のところから、ソファを行ったり来たりといった感じでした。ですが、友だちが交代してワニをたたいているところを見ていたのか、職員がこうしてみようと見本を見せていたのを見ていたのか。次第に、笑顔でワニをたたくようになっていき、座って待てることが増えてきました。そして先日、職員がワニワニパニックを始めようと準備し始めたところ、びっくり! Cくんがすでに座って待っているのです。スケジュールも自分でワニワニパニックに変えていました。そのまま準備が出来るまで待ち、ワニワニパニックを楽しんで、「終わります」のあいさつで自分からスケジュールに戻って、好きな遊びに切り替えていきました。
Cくんはスケジュールの学習も今年から本格的に始め、毎日同じように取り組むことで、今では自分でスケジュールを確認できるようになりました。このワニワニパニックも見通しが持てることで、最初から最後まで集団に参加できるようになりました。今は友だちとの2人で2回ずつできるようになっているので、取り組みはワニワニパニックのままで、いっしょにやる友だちが変わったり、増えたりしてもできるようにしていきたいと思っています。さてRさんも、いっしょに取り組めるようになるのでしょうか。
頼れる先輩
小学生のAくんはすてっぷではしばらく後輩でした。そんな彼も成長し、上級生に。今は年下の子に囲まれながら、リーダーの役割を果たしてくれています。ただ、最近少し頭を悩ませているのが、年下の子がそれぞれでAくんに話しかけてくること。Aくんも一人一人とは楽しんでやり取りしていますが、一人と話し合っているところに、もう一人がそれも別の話題を出してくると、もうパニック。なんとか苦労して、折り合いをつけていました。
先日、公園からの帰り道、Aくんが支援学校中学部のBくんとでお話をしているところに、年下の子が話しかけてきました。Aくんがどう返事するか悩んでいたところ、Bくんが「今俺たち大事な話をしているんだから、話に入ってこないで」と答えました。年下の子が「俺も大事な話やし」と食い下がると、Bくんは「わかった、じゃあどうぞ」と返答し、二人で年下の子の話を聞くことに。ですがそばで聞いていた職員にも大事そうな話には聞こえない話です。二人もそう受け取ったようで、Bくんはきっぱりと「それは大事な話じゃないね」と年下の子に伝えました。そして二人で話を再開しました。
Bくんは、以前は嫌なことがあった時は「やめてよ!」と甲高い声で制止することが多かったのですが、この日は割り込まれたことに怒りもせず、落ち着いた声で伝えられたことに、職員はBくんの成長を感じました。Aくん、すてっぷにはまだ頼れる先輩がいるよ。
アルファベットの小文字
じゃんぷに通う中1のZ君が「小文字が覚えられない~!」と悩んでいます。大文字は書くことが出来るようになりましたが,学校の授業で小文字に苦戦しているようです。
実はこのような子どもは少なくありません。大文字は,ABCの曲等と一緒に習得できる子どもが多いですが,小文字には苦手意識をもってしまうケースが多いといいます。その一方で実際に英字を読み書きする際には,大文字より小文字を使うことが圧倒的に多いです。
ではなぜ小文字を覚えることが難しいのでしょうか。小文字は大文字に比べ,英語が始まるまでに触れる機会が少ないです。また,大文字は左右対称ではっきりとした特徴をもった字形のものが多く,子どもでもその特徴を把握しやすいものとなっています。それに比べて小文字は,小さな点がついているなど繊細な字形のものが多く,大きさも大文字に比べて小さいため,字形の認識が難しくなります。
Z君には「順番に覚えなくていい」ことと,「大文字と同じ形のものから覚える」ことを勧めました。まず簡単な文字から覚え,少しずつハードルを下げ,覚えれた,書くことが出来た実感を持ちながら取り組むようにしています。
漢字の感じ!
じゃんぷでは夏休みに,子ども達が自分で課題を進めていく「ウォーミングアッププリント」に取り組もうと考えています。
その中の「漢字の書きプリント」は,プリントの中に「言葉による手がかり」を用意し,聴覚記憶が強い子どもが得意な認知を生かして学習が取り組める,というものです。
「言葉による手がかり」とは,例えば「女」という漢字を「くのいち」と覚えるように,漢字の組み立て方を言葉で示したものです。
視覚的に見て,書いて覚えることが苦手な子どもでもこの方法なら「漢字をちょっと書けるようになった!」「漢字の感じやな!」という子どももいます。じゃんぷで取り組んでいる漢字指導の一環として,紹介をします。
リリアン編みにチャレンジ
支援学校高等部のRくんは、休憩中に過ごせることがなかなか見つかりません。昔はホワイトボードにオリジナル性豊かな絵を描いていましたが、今は見向きもせず、うろうろと立ち歩いているだけ。レタリングや塗り絵も試してみましたが、まるで課題やタスクのように、職員から提示されたものをこなすだけで終わってしまいます。
そんなRくんが去年ようやく見つけた趣味がペーパークラフト。はさみでの作業が好きなことから、職員がRくんに提案したところ、自分から進んで作るようになりました。自分でできるところでも「手伝ってください」と職員を呼ぶのはご愛敬。出来ているところを見てもらうと、自分で次の作業に移っていきます。「大人の注目」がRくんにとって最大の強化子になっていることは、以前手伝ってください(2022/2/22)で紹介した通りです。
ただRくん、できあがったペーパークラフトを「持って帰ります」と言って持ち帰るのはいいのですが、家でポイっと置きっぱなしになっているとのこと。せっかくなら作ったものを自分で使ったり、家族にプレゼントできたりと、実用的な製作に取り組めたらいいねと職員で話していました。そこでRくんにリリアンサークルでペットボトルカバーを作ることを提案することにしました。
リリアンサークルは突起が複数ついたリング状の道具で、100均でも購入することができます。これに毛糸を巻き、専用の針で糸をすくって上からかぶせて編んでいきます。以前も他の利用者が取り組み、無事にペットボトルカバーを完成させました。さてこの編み物はRくんにヒットするのでしょうか。