みんなちがってみんないい
「靴ひも」を結ぶ
「靴ひも」を結ぶ=大治朋子
2020年10月13日【毎日新聞】
障害を抱える人々との交わりを難しくするものがあるとすれば、それは障害そのものなのか、それとも障害を持たない人々が心に宿す「壁」なのか。そんな問いに改めて向き合う機会をくれた映画だった。
日本で近日公開予定のイスラエル映画「靴ひも」(ヤコブ・ゴールドバッサー監督)を見た。約30年前に離婚した妻との間に生まれた発達障害を持つ中年の息子と、妻の急死を機に同居することになった父親の物語。
自動車整備会社を営む1人暮らしの父親は、職場にこの息子を同伴して新生活を始める。心の距離を縮めようとする息子と、なかなか壁を崩せない父親。それを見抜いたかのように息子が言う。「出来損ないの息子でごめんね。父さんは僕を恥じてる」
率直な言葉や行動で果敢に壁に挑む息子が求めているのは、一人の人間としての尊厳だろう。すれ違う二人の心は、ちょうど息子がなかなか結べない2本の「靴ひも」のようにも見える。描かれているのは障害をめぐる親子の心の葛藤から生まれる、成長の記録だ。
日本での上映を前に先日、記者会見した監督は、自分も発達障害を抱える息子を持つと語った。そして、かつて自ら「心の周りにセメントの壁を築いていた」と打ち明けた。映画のモデルになったのは実在の別の親子だが、障害児を持つ親としての思いと目線が映画の随所に見て取れる。
イスラエルで6年半を過ごした私にとって、この映画のもう一つの見どころはイスラエルならではの「関わる」文化だった。親子と病院で偶然知り合った人が、かなりプライバシーに立ち入って父親にアドバイスをする。レストランで歌いだした息子を歓迎したり、公然と差別的な言葉を発したりする「率直」な客。政敵とされるアラブ人の医師の熱意にイスラエル人ながらほだされる父親。
そこから浮かび上がるのは、障害をめぐり葛藤する親子を傍観せず、良くも悪くも関わろうとする市民の姿だ。リアルなイスラエルの日常そのものに見えた。車椅子の人がいると、イスラエルでは通行人らが文字通り「寄ってたかって」乗り物への乗降などを手助けする。それ一つをとっても傍観したりためらったりしがちな日本社会との違いは大きい。
だが監督によれば、イスラエルでもまだまだ差別は根強いという。「映画が障害を持つ人々に対する世間の見方を変えるきっかけになれば」。日本の傍観グセに問いかける作品でもある。17日から順次全国各地で上映。(専門記者)
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イスラエルは、いまアメリカの橋渡しでアラブ国家と国交を広げようとしています。イスラエルと言えば、パレスチナとのし烈なミサイル合戦で戦時国家のようなイメージですが、実は敬虔なユダヤ教徒の国です。そんな国民の障害者観に興味を覚えます。京都シネマでそろそろ封切です。席数が少ないので当日券で入れない方がいたと、「スペシャルズ!」09/18の情報がありました。ネット予約がおすすめです。発達障害の息子と父描く「靴ひも」
親を困らせる子どもの本当の気持ち
気づいてあげて!「わざと」親を困らせる子どもの本当の気持ち
10/6(火) 20:21【ベネッセ】配信
気付いていないのは自分だけ? わざと親を困らせる子どもの本当の気持ち
何度注意しても、保護者のかたを困らせる行動をとる。しかも、大人の顔色をうかがいながら「わざと」やっている。お子さまのそんな姿を見たら、イライラしてしまいますよね。でも、この行動の裏には「かまってほしい」というお子さまの気持ちが隠れている可能性もあります。
わざと親を困らせる「試し行動」
まだ小さいお子さまなら、いろんなことを学んでいる段階。注意されたことを繰り返すというのは、よくあることです。でも、大きくなってきて物事の良し悪しもわかってきているはずなのに、親をわざと困らせてくる子どももいます。たとえば、このような行動です。
・絵本や大事な本を破る
・飲み物をわざとこぼす
・クレヨンを折る
・弟や妹をいじめる
このように、わざと親を困らせようと行っている行動を「試し行動」といいます。これは、「自分は本当に愛されているのだろうか」ということを確かめる行動。もちろん、困った行動がすべて試し行動なわけではありません。発達障害などが原因であったり、不注意でやってしまったりすることもあります。
しかしそうではない場合は、「試し行動かもしれない」と思ってみることも必要。そうすることで、お子さまの気持ちに気付きながら、困った行動を解決できる可能性もあります。
「かまってほしい」「認めてほしい」試し行動の心理
試し行動をしている時、子どもはどんなことを思っているのでしょうか。
・「こっちを見て」「私をかまって」と気を引こうとしている
仕事が忙しかったり、きょうだいが生まれたりして、少しお子さまとの関わりが減ってしまった時。そんな時に子どもは、「自分をもっと見て!」と気を引こうとします。これが、親を困らせる時の子どもの気持ち。赤ちゃん返りとも似ていますよね。
でも、どうしてわざと「悪いこと」をするのでしょうか。それは、子どもにとってこの方法が一番効果を感じるからです。子どもが「良いこと」をしている時は、手がかかりませんよね。だから、つい放置してしまいがち。そうすると子どもは、保護者のかたの気を引くために「悪いこと」をしようと考えます。
悪いことをすれば、「ダメでしょ!」「いけません」とすぐに駆け付けてくれる。たとえ叱られたとしても、子どもにとっては「かまってもらった」ことになります。「良いこと」をするよりも「悪いこと」をした方が、お母さんやお父さんを簡単に独り占めできるからなのです。
・「どんなことをしても自分を見捨てないか」を試している
その名の通り保護者のかたを「試している」こともあります。「どんなに悪いことをしても、私のことを好きでいてくれるだろうか」ということを、保護者のかたの反応を見て確認しているのです。
これは、「自分が愛されているのか不安」だからしてしまう行動。保護者のかたに対して、何か不信感を抱いてしまっている可能性もあります。だから、愛情が確認できるまで何度も繰り返してしまうのです。
「困った行動」だけに注目しないで!意識して子どもとの関わりを増やそう
子どもの困った行動が「試し行動かも」と思った時は、どうしたらよいのでしょうか。
まず、試し行動そのものに対しては、きちんと注意をしてOKです。ダメなことはダメと注意してください。でもこの時、子どもを否定する言葉は言わないようにしましょう。「〇〇をして、あなたは悪い子ね」ではなく、「〇〇はしちゃいけないよ」と行動だけを叱るようにしてください。
そして叱った後は、「どんなことをしてもあなたのことが好き」だということを、言葉や態度で伝えてあげましょう。抱きしめてあげるだけでも、お子さまはホッとするかもしれません。
また、困った行動だけに着目していても問題は解決しません。子どもの「かまってほしい」「もっと見てほしい」という気持ちに答えてあげる必要があります。ですから、少し意識してスキンシップを増やしたり、「ほめる」ことを増やしたりしてあげましょう。困った行動をしている時ではなく、良いことをしている時や何でもない時こそ、愛情を伝えてあげるチャンスです。
まとめ & 実践 TIPS
試し行動をする相手というのは、子どもにとって大切な相手。「この人に愛されたい」と思うから、気を引こうとします。それだけ、子どもはお母さんやお父さんが大好きなのですね。
もしお子さまが「わざと親を困らせている」と感じたら、少し自分の行動を振り返ってみましょう。「最近遊ぶ時間が取れていない」「スキンシップが減ったかも」「怒り過ぎているかも」そんな心当たりがあれば、ちょっと意識してお子さまと向き合ってみてください。
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ビール作って、多様性のある社会を
ビール作って、多様性のある社会をある精神科医の挑戦
2020年9月28日 14時44分【朝日新聞】大村治郎
京都・一乗寺ブリュワリー(京都市左京区)という地ビール醸造所を精神科医が経営している。会長の高木俊介さん(63)は20日、南区で開かれた研究会「嗜好品(しこうひん)文化フォーラム」で、「なぜ精神科医がビール醸造に挑むのか」と題して講演し、「ビールを通して、障害がある人もない人も、笑いながら多様性を認め合える世界をつくりたい」と夢をふくらませた。
高木さんは2004年、中京区に診療所を開いた。医師や看護師、ケースワーカーらの専門家でチームを組み、重度の精神障害者らの自宅を訪問してケアをする包括型地域生活支援プログラム(ACT)を導入。「症状が落ち着いた時、次に仕事があるとうまくいく」と気づいたという。
いろいろと模索した末、たどり着いたのがビール作りだった。「醸造のほかにも瓶詰め、ラベル貼りなど様々な仕事があり、将来的に精神障害者を雇用できるのではないかと思った」。ビールはいろいろな付加価値をつけることができ、社会や人とのつながりをつくれるとも考えた。
ビールは種類が豊富な酒で、世界中で作られている。原料は大麦やホップといった乾燥物で、すぐに運ぶことができる。さらに日本酒やワインに比べて醸造サイクルが速く、約1カ月でできる。高木さんによれば、職人の間にもあまり徒弟制度がなく、若い人が参入しやすい魅力もあった。
しかし、参入した11年当時、地ビールの評判は良くなかった。「高い」「まずい」と言われた。赤字経営が続いて苦労したが、職人たちが試行錯誤の中、腕を上げ、地ビールの国際大会で入賞するようになった。
比叡山のふもとに建設した醸造所では、スパイスを使ったエール、小麦を使ったビール、京都のユズの風味を生かしたビール、黒ビールのスタウトなどを作っている。高木さんの思いに共感した飲食店経営者のアイデアで16年、中京区御幸町通錦上ルに直営のビアパブ「ICHIYA」を開くと、人気店になった。
農業と福祉を結びつける「農福連携」にも取り組んでいる。自閉症の人たちの支援に取り組むNPO法人が運営する醸造所「西陣麦酒」(上京区)と協力。群馬県の障害者就労支援施設で作った大麦、ひきこもりの若者を支援する宮城県石巻市の農場で育てたホップを使ったビール「ふぞろいの麦たち」も作った。こうした取り組みを広げていきたいと高木さんは話す。
歴史をさかのぼれば、京都府内では明治の文明開化の中で、清水寺(東山区)の近くにあった京都舎密局(せいみきょく)麦酒製造所がビール醸造を始めた。京都舎密局の初代局長を務めたのが明石博高(ひろあきら)。京都の医者で、日本最初の公立の精神科病院の設立に携わった。精神科医の高木さんは、深い縁を感じるという。「ビールを通して、多様なものをつなげたい」と意気込んでいる。(大村治郎)
◇
たかぎ・しゅんすけ広島県因島市(現・尾道市)生まれ。京都大医学部卒。京都大医学部付属病院勤務などを経て、2004年、重度の精神障害者の地域生活を医師、看護師、介護福祉士らの訪問で支援する包括型地域生活支援を始めるため、たかぎクリニックを設立。その活動の中で、精神障害者の就労支援の必要を感じ、11年には地ビールを醸造する京都・一乗寺ブリュワリーを創業した。
発達障害のある生徒の自立支援 大阪府教委
発達障害のある生徒の自立支援 大阪府教委が指導書
2020/10/08 19:45【産経新聞】
発達障害のある生徒に適切な指導をするための教員向け指導書「高校で学ぶ発達障がいのある生徒のための社会参加をみすえた自己理解~『よさ』を活かす指導・支援~」(ジアース教育新社、税別1900円)を、大阪府教育委員会が出版した。大手書店でも購入できるが、府教委は全府立高校に配り、教員の指導力強化を目指すとしている。
発達障害を抱える生徒が高校卒業後の就職や大学進学といったそれぞれの進路先で、実際に直面した困り事の具体例から、在学中にどのような指導を行い、自立を手助けすればいいかを考える内容となっている。
たとえば、勤め先で机周りの整理整頓ができず、必要な書類が見つからないなど業務に支障をきたした事例を紹介。在学時にも保護者宛てのプリントを管理できなかったが、担任教師が保護者に内容を直接伝えるなどして配慮したため、トラブルにならずに済んでいたことが遠因と指摘した。
その上で、同様の傾向がある生徒には、生徒自身がプリントを管理できるようにすることや、整理整頓を意識づけることの方が有用としている。
府教委によると、府立高に在籍する生徒約12万人のうち、発達障害などで支援が必要な生徒は平成26年度の2266人から30年度には2861人に増えており、指導の充実が求められている。
ペアレント・トレーニング(ペアトレ)が注目されている
発達障害の子 接し方学ぶ…ペアトレ親が褒め方変え
2020年10月9日【読売新聞】
発達障害などの子どもへの接し方を親が学ぶ「ペアレント・トレーニング(ペアトレ)」が注目されている。親が変わると、子どもの行動も良い方向に向かうという。9月下旬、福岡市博多区で、発達障害の子を持つ親の集まりが開かれた。ペアトレを受けた母親ら8人が「学校の忘れ物が減った」「息子が進学に前向きになった」などと報告しあった。
開催したのは、福岡県筑紫野市の放課後等デイサービス「発達こどもアカデミー」原田校の施設長で精神保健福祉士の南川悠さん(42)。8年ほど前から保護者にペアトレを指導している。発達障害には、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)などがあり、相手の感情を読むのが難しい、順番を待つのが苦手、忘れ物が多いといった特徴がある。親が「なぜできないのか」と思って怒り、親子関係が悪化するケースが多いという。
国内で紹介されているペアトレの方法は複数あり、南川さんは普及団体「日本ペアレント・トレーニング研究会」認定のインストラクター。子どもの行動の分析や、褒め方の練習など、全12回の講座を行っている。講座では、子どもの行動を「好ましい行動」「好ましくない行動」「許しがたい行動」に分ける。子どもが好ましい行動をしたときは褒め、好ましくないことをしたら、好ましい行動に変わるまで待って褒める。人を傷つけるなどの許しがたい行動をしたら、いけない理由を伝え、適切な行いを教える。親が対応を区別することで、子どもは良い行動と、やめるべき行動を理解するそうだ。
重視するのは褒め方。ささいなことも褒める習慣をつけ、「着替えができて偉いね」など、良い行動を具体的な言葉にすることが大切だ。言葉や笑顔、スキンシップなどで「あなたを認めている」と伝えるよう心がける。3年ほど前に受講した福岡市の女性(46)は、ASDと診断された小学6年の息子に、褒め言葉をかけてから「次は宿題ね」などと促すようにすると、以前より素直に聞くようになった。「親が変わることが大事と教わった」と振り返る。
南川さんは9月、ペアトレや子どもとの接し方をまとめた本「発達障がい見方を変えればみんなハッピー」(梓書院)を出版。「子どもは自己肯定感や成功体験が得られ、親も育児に自信を持ち、親子関係の改善につながる。一般的な子育てにも応用できます」と話す。
日本では30年前導入
発達障害の当事者団体などでつくる「日本発達障害ネットワーク」(東京)によると、ペアトレは1960年代に米国で始まり、日本では約30年前に導入された。厚生労働省は、ペアトレの普及を目指し、今年3月に「ペアレント・トレーニング実践ガイドブック」を発行し、ホームページで公開。進め方などをまとめ、自治体などの実施例も紹介している。
ペアトレに詳しい福岡県立大の福田恭介特任教授(67)によると、実施機関はまだ少なく、人材の育成が課題。「小児科や保健所など身近な場所で行われれば、子育てに悩む親を支えることができる。ペアトレが広まり、様々な困難を抱えた子どもたちが生きやすい社会になってほしい」と話す。
体験ワーク三つ選んで
ペアトレを体験するワークを、南川さんに教えてもらった。自分に合った子どもへの関わり方を見つけるワークで、継続できそうな方法を三つ選び実行。難しいと感じたら別の項目に変えてよい。
・子どもの目を見て話す・ハイタッチをする
・OKサインをする・グーサインをする
・子どもを抱きしめる・子どもに笑顔を見せる
・穏やかな声で伝える・10分子どもの話を聞く
・子どもの遊びに付き合う・「ありがとう」を伝える
・「助かったよ」を伝える・「大好きだよ」を伝える
・子どもの切り替えを待つ・一緒に寝る
・気持ちを文字で伝える・子どもの怒りに共感する
・親がイライラしたらその場を離れる・15分親だけの時間を作る
(南川さんへの取材に基づく)
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ペアトレが子育てに有効なことは、いくつもの研究で実証され、エビデンスの高い保護者支援です。京都府でも福知山市が早くから取り組んで成果を上げています。ただ、他の地域では笛吹けど踊らずが20年近く続いています。
普及しない理由は、保護者に声掛けをする人がいないからです。子どもの行動問題に周囲の人が気づいていても、他の子どもと比べたり、「子育てに困っていませんか」と親と関係性の薄い第3者が保護者に声をかけにくいというのです。
ならば、毎日身近に接する保育所や幼稚園の先生、児童通所事業所の職員なら声はかけやすいはずです。しかし、ペアトレを開催しようとすると、園も相談事業所も放デイもかなりの時間とトレーナーとしての人材を使う(全7回×90分)のに、それに見合う公的な収益が保障されていないのです。京都府では各保健所管轄で補助金を出していますが間尺に合いません。(民間有料例で、全6回1名3万5千円程度の経費、京都府の子どもの各年齢平均人口は2万人、行動の問題が3%の発生とすれば600人、毎年の必要予算は2100万)。
それでも、京都府の山城南地域等では放デイと支援学校と保健所が力を合わせてその普及に5年以上取り組んでいますし、取り組めば必ず成果が上がっています。ペアトレはチーム学習ですからチームで勉強した親同士がその後も連絡を取りながら励ましあう関係もたくさんできています。こうした成果を知り、ペアトレを有料でも受講したいという保護者も増えてきています。当法人でも保護者から要請があれば取り組む方向で考えています。
デジタル教科書
「教科書は原則デジタル化を」平井デジタル担当相、文科相に提言課題は
2020年10月06日 20時25分 [樋口隆充,ITmedia]
平井卓也デジタル改革担当相は10月6日の定例会見で、義務教育で使用する教科書を原則デジタル化するよう、萩生田光一文科相に提案したと明らかにした。平井大臣によると、2日に開催された萩生田大臣とのオンライン教育に関する意見交換の場で提言。萩生田大臣からは「(実現に向け)前向きに検討したい」との返事があったと明かし、「デジタルファーストは時代の要請だという共通認識を持てた」と強調した。一方の萩生田大臣からは、生徒の学習データや学校での健康診断のデータを各生徒が個人で活用する条例改正に向けた提言があったという。
教科書のデジタル化完了に向けた具体的なスケジュールについては、「GIGAスクール構想の下、1人1台に端末が行き渡っているのが前提だ」として明言を避けたものの、「今のままでは、次の時代に中心となって活躍する人材を育てるのは難しい。早くデジタル化を進めたい」と話した。
普及に向けた課題は、デジタル端末の長時間利用による近視や斜視といった健康上の懸念だ。このため、「各教科等の授業時数の2分の1未満」の利用になるよう、文科省は2018年にガイドラインを定めた。児童や生徒の健康に配慮しつつデジタル教科書を活用していく方法については、文科省は7月に有識者会議を設置し、議論を進めている。「2分の1未満」の制限について平井大臣は「私からするとナンセンスだ」と批判した。
価格にも課題がある。デジタル教科書は1台の端末に複数の教科書をまとめられるため、持ち運びが楽になる一方、端末1台の価格が紙の教科書に比べて高価になる傾向があるという。平井大臣は「紙(の教科書)よりも高いのは考えられないので、何とかしたい」と述べた。
文科省が設置したデジタル教科書に関する有識者会議は、今年度内に中間報告をまとめる方針。また、全国の最大7割の国公私立小中学校にデジタル教科書を配備するため、2021年度予算の概算要求に52億円を計上している。
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「デジタル教科書」配備へ全国最大7割の小中学校に文科省、21年度実証事業
2020年9月29日 18時09分【毎日新聞】
文部科学省は2021年度、タブレット端末などの画面に表示する「デジタル教科書」を、全国の最大7割の国公私立小中学校に配備する方針を決めた。本格的な普及に向けた大規模な実証事業の位置づけで、21年度予算の概算要求に配信費用などとして約50億円を計上した。紙の教科書の無料配布も継続する。
文科省は19年度から、全国の小中学生が1人1台の端末を使って学べるようにする「GIGAスクール構想」を進めている。当初は23年度までに端末をそろえる予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大によってオンライン授業の環境を早く整備する必要に迫られ、20年度に前倒しすることを決めた。
この決定に伴い全国の市区町村を調査したところ、8月末時点で99%以上が年度内に端末をそろえられる見通しを示したため、21年度からデジタル教科書が使える条件が整うと判断した。
デジタル教科書を試験的に活用するのは小学校5、6年生と中学校の全学年。小学校は1教科、中学校は2教科分について、各教育委員会が採択しているものと同じ教科書の配信費用を国が全額負担する。端末に教科書を保存する形ではなく、教科書会社が用意したサーバーにアクセスして閲覧する「クラウド方式」を想定しており、サーバーがアクセス集中の負荷に耐えられるかどうかなど普及に向けた課題を検証する。
教科書の無料配布は教科書無償措置法で定められており、小中学校の教科書の購入費は国が全額負担することになっている。対象は紙の教科書に限られ、文科省は今回の予算措置と並行してデジタル教科書も無償化の対象とすべきかどうかについて、有識者会議で議論している。【大久保昂】
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9月の記事を読んで、いつまで試験運転(実証事業)するのかと思っていました。デジタル教科書など10年以上前から完成しています。ただ、紙の教科書以外は有償なので全く広がらず、一人一台のPC(タブレット)を買っても意味がないという「鶏が先か卵が先か」という堂々巡りを文科行政はしていたのです。今回、平井デジタル大臣の後押しもあって、やっと「両方無償にすればいい」という今回の発表になったのです。
デジタル教科書の有識者会議の「2分の1未満」のデジタル教科書制限は今回初めて知りましたが、平井大臣が言う通り意味がありません。子どもは家庭でもゲームをはじめとするデジタル媒体を使います。教科書だけを制限をしても意味がないし、大きなお世話です。どうして、こんなつまらないことに学者や医師を集めて時間を浪費しているのかと思います。逆に、弱視の人には拡大でき、読めない人には音読もでき、ユニバーサルな使い方で少なくない読み書きの障害を持つ人に役立ちます。デジタル教科書を制限したいのは出版・印刷業界ではないかと勘繰りたくなります。
聞こえているのに 聞き取れない
「聞こえているのに 聞き取れない」 APD当事者の悩み
2020.09.30【NHK:未来スイッチ】
APD取材班 ネットワーク報道部 井手上洋子
「雑音の中では話が聞き取れない」「早口や小さな声が聞き取りにくい」こうした症状、APD=聴覚情報処理障害といいます。
聴力は正常でも、人混みなど雑音の多い場所では必要な音や話を選び取れず理解できなくなってしまう症状で、いま、こうした悩みを訴える人が増えています。あまり知られていない症状のため周囲に理解されず、仕事や対人関係につまづくことも多いことから、当事者たちが苦しい現状を知ってほしいと、ネットを通じて発信する動きが広がり始めています。
異変感じた高校時代「話聞いてないよね」
笑歩さん
症状に悩む笑歩さん(23)です。
異変を感じたのは、高校生の頃でした。
「話を聞いてないよね」「たまに変なところであいづちするよね」。
友人からの思いがけない言葉が、きっかけでした。
当時、聴覚情報処理障害の症状を知らなかった笑歩さんは、うまく聞き取れないことを友人に説明してもわかってもらえず、戸惑ったといいます。 近所の耳鼻科など、複数の医療機関をまわって聴力検査を受けましたが、正常だと言われました。
医師に違和感を訴えたものの「そういうこともある」、「気にしすぎ」と言われ、明確な診断はつきませんでした。 悩んだ笑歩さんが、インターネットなどで調べたところ、出てきたのがAPD=聴覚情報処理障害という初めて聞くことばでした。
APDの聞こえ方って?
周囲に理解されにくい症状を知ってほしいと去年始めたのが、動画投稿サイトの配信です。
笑歩さんには、実際どのように聞こえているのか投稿した動画で再現しています。
例えば、次のようなことばも。
「携帯電話はマナーモードにしていただくか電源をお切りください」。
にぎやかなレストランでは、人の話し声や食器の音にまぎれ、一部の音しかわからないというのです。 「携帯電話は・・・・にしていただくか・・・・切りください」
「コンビニやスーパーなど、買い物の時が大変です。
いろいろな音が入って、耳に入ってくる情報が多いし、色々な音が入るので、頭がパンクしてしまいます。苦手なことはいっぱいあります」
ポンコツだと自分を責めた 仕事を失った
症状に悩み、仕事を失った人もいます。
ことし7月、自分の経験を漫画にした、きょこさん(39)です。
「このあいだ日曜日さー家族で水族館に行ったんだけどね」という何気ない会話も。
会話の音は聞こえていても、雑音にまぎれて、もやがかかったようになり、内容が理解できないといいます。
症状に気づいたのは、2年半前、工場でパートの仕事を始めた時でした。
上司の指示は全て口頭でしたが、機械の大きな音で聞き取れず、何をすればよいのかがわからなかったといいます。
さらに状況を悪化させたのが、仕事で着用するマスクでした。
上司の声がこもって聞き取りづらくなるうえ、口元が見えず話の内容がわかりづらくなってしまい、思うように仕事をこなすことができませんでした。
当時は育児のストレスも重なり、落ち込んだというきょこさん。
結局、仕事を辞めざるを得なくなったといいます。
きょこさん
「みんなふつうにできているのに何で自分はできないんだろう。
まさか聞こえのせいなんて思っていなかったので、ただただ自分がポンコツなんだ、自分ってできないんだと思ってしまって、それがつらかったです」
実態つかめていない日本 支援体制も不十分
聴覚情報処理障害は、脳の神経機能の問題などが原因とも指摘されていますが、詳しい原因はわかっておらず、明確な治療法もありません。
海外では、学齢期の子どもの約3%に症状があるなど、さまざまな研究報告もありますが、日本では詳しい実態がつかめていないのが現状です。
長年、聴覚情報処理障害の研究をしている国際医療福祉大学の小渕千絵教授は、日本では支援体制が整っていないと指摘しています。
国際医療福祉大学 小渕千絵教授
「いろいろな研究を見ると、日本でも海外と同じ位の割合の人がAPDの症状を持っていると考えられます。
ところが、日本では海外のように幼い頃に症状を発見し、支援する体制が整っていません。
このため、大人になってアルバイトや就職をしたあと、仕事でミスを繰り返して初めて症状に気付くケースが多いのが特徴です。
症状は個人差が大きく、症状を疑った場合は、専門の医療機関を受診して、自分の症状の特性や対処法を知って欲しい」
症状に悩む人たちが当事者会を作って生活の悩みや医療に関する情報を発信しています。 「APD当事者会」のwebサイトはこちらです。(NHKサイトを離れます)
発達障害の息子と父描く「靴ひも」
発達障害の息子と父描く「靴ひも」10月17日から公開
9/30(水) 10:45配信【産経新聞】
お皿の上の食べ物の配置や寝る前のルーチンなど、独自のこだわりがある発達障害の息子と、かつて妻子を捨てた父親。約30年ぶりに共に暮らすことになった親子を描いた映画「靴ひも」(イスラエル)が、10月17日から全国で順次公開される。監督のヤコブ・ゴールドヴァッサー氏自身も、発達障害を持つ息子の父親。9月29日に東京都内であった試写会にオンラインで登場し、「スペシャルニーズ(特別な支援が必要な人)へのイメージを改善する責務があると感じた」と、制作への思いを語った。
物語は、発達障害を持つ主人公・ガディが母親を交通事故で亡くし、自動車の整備工場を営む父親のルーベンに引き取られるところから始まる。工場の仕事を手伝うも、急ぎの作業より自分のスケジュールを優先して怒られるガディ。子育てから逃げた負い目もあり、息子への接し方が分からず悩む不器用なルーベン。互いに戸惑いながらも新しく親子関係を築き始めた頃、ルーベンが末期の腎不全と診断される。
映画では、ガディが靴ひもを結ぶシーンが3度ある。手先が不器用な発達障害の人にとって靴ひもを結ぶことは苦手な行為であり、親子関係の変化やガディの成長の象徴として描かれている。
ゴールドヴァッサー氏はこれまで、「公私を分け、作品はあくまでも他人の問題を扱う」と障害をテーマにしてこなかったが、「父親の責務として、当事者が成長し続ける姿を描こう」と決意したという。「悲しい出来事でも『ハート&ソウル』を感じられるものを」と考えたといい、「この映画は父と息子のラブストーリー」と語った。
「発達障害」(文春新書)の著者で昭和大の岩波明教授は映画に対し、「発達障害をテーマにした作品の中で、『レインマン』以来の傑作。多くの人に見ていただきたい」とのコメントを寄せている。
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京都 京都シネマ 10月23日(金)公開
ピースマンのまほうのハサミ【本】
散髪苦手な発達障害児の髪を「スマイルカット」美容師が10年の集大成を絵本に
2020年10月3日 15時18分【毎日新聞】
散髪が苦手な発達障害児への支援活動を、京都市伏見区の美容師、赤松隆滋さん(46)が始めて10年になった。これまで延べ4000人の発達障害児の髪を切った経験を基に、3月には絵本「ピースマンのまほうのハサミ」(電気書院、1320円)を出版。赤松さんは「子どもには散髪が苦手なのは悪いことではないということを、大人には子どもたちの言葉にならない心の声に気付くことが大切だということを伝えたい」と話す。
赤松さんが発達障害児の散髪を始めたのは2010年。児童館での子どもの前髪カット講座の講師を務めた際、参加した小学2年生の男児の母親から「他の美容院で切ってもらおうとしたら、聴覚過敏で耳元の音を嫌がり、うまくできなかった」との相談を受け、カットを引き受けた。来店した男児は静かに鏡の前に座り、5分間で大部分を切ることができた。「この調子なら大丈夫。仕上げまでできる」と思い、襟足をそろえようとバリカンの電源を入れた。そして、耳元に近づけたところ、男児はパニックになって店内を走り回った。なだめる母親を横目に、自分は何もできなかったことがショックで、その日は眠れなかったという。
自分にできることは何だろう
「ピースマンのまほうのハサミ」の一場面=電気書院提供
「美容師である自分にできることは何だろう」と自問自答。発達障害についてインターネットや本などで調べたり、福祉関係のセミナーに参加したりした。発達障害児の散髪も積極的に受け入れ、それぞれの特性に配慮し、ペースに合わせて無理をさせずにできるプロセスにした。さらに、常に笑顔を保ち、褒めたりハイタッチしたりして子どもとの距離を縮められるよう心掛けた。こうした取り組みを知り合いが「スマイルカット」と名付け、14年にはそれを広めるためにNPO法人「そらいろプロジェクト京都」を立ち上げた。
こうした経験を基に出版した絵本は、美容師が主人公。泣きながら嫌がる少年の散髪をどうしたらうまくできるようになるか主人公が悩んでいたところ、ヒーローの「ピースマン」が現れ、「魔法のハサミ」を渡す。主人公がこのハサミで髪を切ると子どもの心の声が聞こえるようになり、一人一人に寄り添うことの大切さを学ぶ。そして、再び少年が来店すると……というストーリー。
心の声を聞き工夫することが必要
絵本には物語のほか、美容院の内部や散髪の手順のイラストも付けた。さらに、ピースマンの絵描き歌をQRコードを読み取って聴けるようにするなど、親子で楽しめるように工夫した。赤松さんの小中高の同級生のイラストレーターが作画。本の帯には赤松さんが憧れている元「THEBOOM」のシンガー・ソングライター、宮沢和史さんが「自分と他人(ひと)との違いを楽しむことができたら、世界はもっとつながるのに…」とのメッセージを寄せてくれた。
赤松さんは主人公の子どもと関わって悩んだり迷ったりしながら成長する姿に自身を重ね、少年は実際にスマイルカットで出会った数人の子どもをモデルにした。赤松さんは「できないことで誤解や偏見を持つのではなく、心の声を聞いて工夫することが必要。残念ながら、すべての美容院が発達障害児を受け入れていない。あらゆる分野のプロが一人一人に寄り添うのが当然だという社会になって、いつの日にかスマイルカットが不要になってほしい」と願う。【柳澤一男】
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子どもは、なじみの散髪屋さんを持っていますか?小さい時からのことを知ってもらっていると、大きくなってからでも何かと便利です。感覚を嫌がる子どもの散髪も大事ですが、女の子のカットも重要です。自己フィードバックが弱いので漫画の女の子のようなロングヘアの髪型に憧れたりするのですが、これが似合うよとアドバイスしてくれる美容師さんの存在も大事です。
障害支援区分調査
わが子を悪く言うようで…葛藤する障害程度の調査慣れてるつもりでも
2020年9月29日【読売新聞】
シリーズ:アラサー目前! 自閉症の息子と父の備忘録 梅崎 正直
「なんかやったな!」
キッチンで妻が叫んでいる。言われてみると、家じゅうにいい匂いが漂っている。これはシャンプーかボディーソープだろう。
匂いのする液体があると、洗面所に全部、流してしまうという行為に洋介がハマってしまったのは、この5年ほどだろうか。シャンプー類ならいいが、化粧品や洗濯用の洗剤や漂白剤などに手を出すこともあるので、気をつけなければならない。歯磨きのチューブも好きで、これは一気にギュッと絞り出す。大量に流れだすのが面白いのか、気持ちよいのか。たぶん、スカッとするのだろう。キッチンにも魅力的なものが多く、ペットボトルを逆さまにし、豪快に全部流してしまい、家族のひんしゅくを買うのだ。
なので、こちらもボトル類は隠し場所を決め、シャンプーなどの詰め替えの際には中身をいつも半分以下にキープし、流されても被害が少ないようにしている。しかし、敵もさるもので、家の中であればだいたい探し出すし、この日は買ってきたばかりの洋介用のトニックシャンプーが、一度も使わないまま餌食になってしまったので、買ってきた妻のショックは大きかった。「もう、洋ちゃんにはかなわないわ……」などと嘆きながら、妻はふと何かを思い出したもよう。「これも明日、言おうかな」
障害支援区分調査は“真剣勝負”
翌日は、市が洋介の障害支援区分を判定するため、面談をする日なのだった。洋介は最重度の「6」判定を受けている。区分は受けられる福祉サービスや事業所への報酬にかかわるから、この面談は思いのほか“真剣勝負”となる。本人の状態が現実に良くなってはいない以上、区分は維持したい。
しかし問題は、洋介にも一応、「よそ行きの顔」があって、知らない人の前だと妙におとなしく、妙に聞き分けがよくなってしまうことだ。普段の 狼藉ろうぜき ぶりが影を潜め、「実際よりも軽い判定を受けてしまうのでは?」と心配になる。
厚生労働省が示す調査項目は、「寝返り」「歩行」など身体的なことや、「食事」「入浴」「排泄はいせつ」などの自立度、「金銭管理」「電話」など社会的なことなど多岐に及ぶ。主治医の意見書も必要だ。面談で普段の様子を伝えるとなると、結局、わが子の「できないこと」「問題行動」を、親が自ら並べ立てる状況になる。「食事は一人でできません」「お風呂では自分でちゃんと洗えません」……。
前回は3年前で、市の調査員の前に、本人と妻と通所施設の施設長が臨んだが、畑仕事の途中だった洋介が顔じゅうに自分で泥を塗りつけた状態で登場するというナイスアシストがあった。
初めはつい息子を「擁護」して
最初に「判定」を受けたのは、洋介が小学校に入ったばかりのころで、場所は県の中央児童相談所だった。初めて「療育手帳」の交付を受けるためで、この時も、身の回りの自立度や言葉の発達などを聞かれたが、「できると思います」「できるときもあります」などと言ってしまうことが多かった。障害の判定をするのは支援のためだと頭ではわかっていても、つい、わが子の評価を良くしようという心理が働いた。心のどこかでは、依然として障害を受け入れられない気持ちが色濃かったのだろうと思う。
その時の判定は中度の「B」。これが、小学校高学年には「A」となり、成人の手帳に移行してからは、さらに重度の「マルA」となった。学校を卒業し、通所施設などを利用するようになってからは、市の障害支援区分や年金の手続きもあり、僕らも「できないこと」や発達の遅れを並べたてることに、少しずつ慣れてきた。
やっぱりその日の夜は…
日々の暮らしの中で、わが子が「重度」だという実感があまりないのは、特別支援学校などで洋介よりもずっと大変そうな子どもを多く見てきたからだ。そのため、こうした「判定」になると、「今度はランク引き下げかな?」などと思うのだが、今回の面談を担当した市の調査員の感触は「変わらないのでは?」ということで、やはり客観的に見て最重度なのには違いなさそうだ。「うちの子、何でもできそうに見えるから……」との心配も、親の欲目なのだろうか。
これまで、数えられないくらい経験した「評価」の場。平日の面談に出かけることが多く、僕よりもずっと慣れているはずの妻も、そんな日の夜はきまって頭が痛くなるという。平気なようでいて、息子を悪く言い続けるのは、やっぱり今も相当なストレスなのだろう。(梅崎正直ヨミドクター編集長)
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障害判定の記事はみなさんあるあるだと思います。小さなうちは完全にできないことでも「できるときもある」と表現し、大きくなるとできることでも「完全ににはできない」と表現が変わっていくのです。これは、支援か自立かというステレオタイプで見るのではなく、支援と自立は共存するという事がだんだん理解できてくるからだと言われています。
そして、実はこの判定内容が放デイのサービスにも影響します。放デイでは事業所内の放課後等デイサービス指標該当「有」の利用者が半分を切ると、区分1-1の事業所の平均収入では年間百万円以上変わります。つまり指標該当「有」は人手がいりますという判定です。しかし、この制度は個人への還元ではなく事業所全体の収入に影響するので良い制度とは言えないのです。そして、マンツーマンの療育を行う場合も、生活自立度は関係ありません。軽度の人にも人手は同じようにいるし、軽度の人のほうが長時間の療育になることもあるからです。
公平な判定というのは難しいものですが、重要なことはその人の自立度が支援付きでもよいのでどの程度向上するのかということです。そして、小さな時期の支援が少なく大きくなって支援が多くなるのでなく、小さな時期にたくさん投資的支援をして成人してからの自立度が向上するのが本来の支援のあり方のように思います。