今日の活動
嘘つきゲーム??
カードゲームだけではありませんが、相手を欺いて勝利を得るというゲームがあります。ポーカーなどがそれにあたりますが、自分のカードのポイントが低くても相手には良いカードが来たような顔をして勝負に挑みます。挑戦者は相手の表情や言動が嘘か誠か見抜いて勝負に挑みます。どちらも自分の態度が相手にどう読まれるのかそれを読み取って欺くのが、このゲームの醍醐味でもあるわけです。
ところが、そんな嘘つきのゲームは嫌だとV君たちが言い出しました。「いや、嘘つきと言ってもそれがゲームの面白さなんだし」と言っても、自分が嘘をつくのも許せない気持ちなので楽しくないと言うのです。「隠れ鬼 04/13」でも書きましたが、他者感情を読んだりする遊びはASDの子どもたちは苦手なのでおもしろくないのです。「なら、何がいいですか?」と聞くと「人生ゲーム!」だそうです。確かに他者感情は読まずに偶然性だけで遊べます。なるほど。。。
宿題と電卓と信託
U君が帰り際に電卓計算をしていました。ワーキングメモリーが弱いのと不器用なのでキーボード操作が遅くて20問中10問しか仕上げていませんでした。「これあとどうするの?」「どうしよう。家に帰ったら電卓ないから計算問題できないよ」「すてっぷにいる時間を考えて、通所したら今日の日程を計画したらいいね」「うん、そうする」
こんな話をしていて少しむなしくなりました。新しい担任とはいえ、学校は引継ぎをするものです。U君にとって「字を書く計算する」は最もパワーを使う作業で、他の子はルーティン作業のような軽微な課題も彼にとってはそれだけで疲弊してしまう活動なのです。
学級担任と自営業の塾講師はどこが違うでしょう。塾の人気がなくなり生徒が集まらなければ塾は倒産ですが、学校の生徒は担任を選べません。生徒に指導の結果がでなくても収入が下がることもありません。それは、適切な学校教育をしてくれると国民が信託をしているからです。そこが自営業の塾講師とは違うところです。信頼しています。
手を使う事
Tさんは手が使えますが、職員が全介助でおやつも食べさせています。何故手を使わせようとしないのか聞くと、食べないことがあるからと言います。おやつなのだから本人が嫌なのに食べさせる必要はないと言うと、食べてみたらおいしくていくつも食べることがあると言います。本人が欲しがるなら手を使わせればどうかと聞くと、手が出ないといいます。本人は職員が口に放り込んでくれるものだと思っているからかもしれません。しかし、これでは堂々巡りで、いつまでたっても文字通り手が出せません。
昼食などは栄養価も考える必要があるので全介助で食べさせることが必要な場合もあります。しかし、おやつは好みで食べるものですし、自分の手で食べることを覚える絶好の機会でもあります。「食べさせること」よりも好きなものを「自分の手で」食べることを教えたいのです。そのためには当たり前ですがTさんの反応をよく見ながら食べさせる必要があります。次々に食べる事よりも、「おいいしいな、もうひとつ欲しいな」という反応や「まずい、もういらない」という表情を読み取ります。その読み取りで手でつかむように誘導します。こうして、少しづつ自立を促していくのが療育に求められている役割です。
Tさんが机の上にあるものを手で跳ね飛ばす原因も、こうして考えていくとわかるような気がします。職員は物が落ちるのが面白い、人が騒ぐのが面白いからと言いますが、それもあるのかもしれませんが、行動の初めの原因はもっとシンプルだと思います。いらないものを跳ね飛ばすとしばらくは大人に従わなくてもいいと言う利得ではないかなと思います。もちろん、大人は善意で与えよう・させようとしていますが、機能的コミュニケーションがない本人がどう受け止めたかを考える必要があります。これはABC分析ができると思います。
やりなおし??
S君が自立課題を床にぶちまけたので「やりなおし」でぶちまけたパーツを片づけさせて、やり直しをさせたという報告がありました。「それは、私たちが大事にしている『やり直し』ではありません」というとスタッフは「??」でした。S君は何故自立課題をぶちまけたのかを、私たちをおちょくっているからという意見もありましたが、本当かどうかは言葉のないS君からは聞く術が私たちにはありません。
他者をおちょくっていると考えるのは自由ですが、そこから建設的な方向性は見えてきません。せいぜい、そんなことをしてもやるべきことはやってもらうと強権的に振舞うか、いやならやめとくかと不適切な行動を認めてしまうかのどちらかです。私たちがS君に教えなければならないのは、床にパーツをぶちまけなくてもこうすれば伝わるよ交渉できるよという機能的コミュニケーションです。
やり直しと言うのは、ぶちまけたパーツを片づけてやり直すことではありません。やりたくないなら「嫌です」絵カードを示せば、適切に交渉に入れることを教えることです。ぶちまけたものを一緒に片づけるのは場合によっては必要ですが、一番大事なことは行動の修正です。「嫌です」とか「~したい」カードを出すことを教えてでてきたなら、まずは「よく言えたね」と褒めて、交渉に入ります。「この課題をしたら、君のしたいことができます」と課題の次のスケジュールカードにしたいことカードを張りつけて交渉します。これが「やりなおし」行動です。
機能的コミュニケーションの弱い人の不適切な行動は、他者の感情を弄んだりするために起こるものではありません。やり方がわからなかったり、前はできていたけど忘れたりして生じるものです。そして、言い分を受け止めればまず交渉は成立します。その交渉が成立してから、課題を拒んだ理由をゆっくり考えればいいと思います。その多くは課題に飽きているというのが理由です・・・。
不安と不適切行動(タイムスリップ)
R君の「外に飛び出す」不適切行動が久々に出ました。新しい男性スタッフの登場が原因ではないかとスタッフ間では話しています。スタッフが利用者の目を見て挨拶をするのが当然です。でも、R君には新しいスタッフが視線を合わせてくるのが不安なのかもしれません。新しいスタッフとの出会いの時期にR君の外への飛び出しは多いからです。
不適切行動の多くは危険回避のために、大声で注意されたり身体拘束されることが少なくないです。そして、機能的コミュニケーション力が弱ければ弱いほど当事者にとっては何が起こっているか理解ができず、不安や恐怖感情を抱きます。この情景は鮮明にASDの人たちに不安の感情と一緒に刻み付けられるようです。そして、全く脈略が違う場面でも一つ条件が一致すると不安になり、以前と同じ行動を起こすという「タイムスリップ」現象が生じます。
新しい出会いで視線を合わすのは通常は親愛の情を伝えるためなのですが、他者感情の読み取りの苦手な人の場合は睨まれたのと勘違いすることが高機能の方の場合でも大変多いです。視線が合うと(逆に合わない場合も)「怒ってる?」と何度も聞いてくるASDの方は少なくありません。多分、R君は新しい男性スタッフに睨まれたと思い不安になり意味もなく外に飛び出すという事になったのかもしれません。幸い、このスタッフは追いかけると不安を高めてしまうと判断したので気づかないふりをしたそうです。おかげで、R君の不安は消え事なきを得ました。
不適切行動はABAでよく使うABC分析が有効ですが、衝動的な行動は当事者の利得を誤解しやすいのです。逃げるのは追いかけて遊んで欲しくて誘っている等という分析に陥りやすいのです。そして、幼少の場合はこれに延々と付き合ったり、大きくなると逆に無視したり制止したりを続けます。どちらの対応も行動のバースト(爆発)を招き、行動を強化していることに大人はなかなか気付きません。ASDの方の不適切行動の場合は、タイムスリップ現象を考慮に入れておく必要があるように思います。
隠れ鬼
Qさんが、隠れ鬼がしたいというので、ルールを聞くと隠れんぼと鬼ごっこのミックスのようなルールで鬼にタッチされたら鬼交代を延々と続けるそうです。永遠に終わらない・・・まぁタッチ出来たら鬼は交代するからいいけど、ほとんどの子どもはただひたすら逃げ回るだけで、遊びにひねりと言うものがありません。「こんな単純な遊びが好きなのか~」「うん。逃げるのおもろい」
本来の隠れ鬼(たぶん全国バージョン)は、鬼一人だけ隠れて、見つけた子がそのまま鬼と一緒に隠れて、最後に残った(鬼が見つけられなかった)子どもが負けというもので、鬼を探す子をみんなで見て楽しむというちょっとイケズ(意地の悪い=京都弁)なルールです。でも相手の気持ちが読みにくい子どもたちは、人の気持ちを楽しむことよりも、追う逃げる交代するの関係の方がはるかに楽しいのです。なるほど、学校で同学年と遊びが合わないわけです。
新学期悲喜交々
P君が「あかん。細かそうな女の先生やった。相性が合わんかもしれん」とうなだれて送迎車に乗り込んできました。「女性だからと言って、細かいことを言うとは限らんよ」「俺、ええかげんな男の先生が丁度ええねん。母ぁさんをはじめ女の人は苦手やねん」「それは思い込みやろ」という会話が車の中で続きます。
担任が変わるかもしれないと思い始めた時から急速に食欲を失う子どもがいたかと思えば、「新しい先生?名前?知らん!」と全く気にしていない子まで様々です。私たちは、子どものことは良く知っているのでなんでも聞いてくださいと、新しい先生にはおひとりずつご挨拶をさせてもらっています。
基本は保護者の要請で連携をするのが建前ですが、毎回お迎えに行くので、保護者よりも放デイのスタッフの方が担任の先生と良く話している事が多い人もいます。子どもを真ん中にして家庭・学校・放デイ・相談事業所と連携を進めたいと思います。
転換性障害
Pさんが痙攣を繰り返し起こすことがありました。確かに、Pさんにはてんかんの既往歴があるので思春期に入ってまた出てきたのかと思っていました。医師の診断はてんかんではないということでした。思春期以降の女性に起こりやすい転換性障害の一つだという事です。
転換性障害は、伝統的にはヒステリーと言われたもので、意識化されない心理的葛藤により身体症状が生じる(転換される)と考えられています。これらの身体症状によって本人は一時的にせよ葛藤から解放されたり、葛藤による不安や苦しみが軽減すると考えられます(疾病利得)。身体症状は多彩で神経学的には説明つかず、運動障害や感覚障害などが認められると言います。
感覚の鈍麻や麻痺、歩行困難、不随意運動、けいれん、声が出ない(失声)、視力障害、聴力障害が生じます。当事者はこれらの身体症状にたいして、無関心であったり容易に受容している態度が見られあまり心配していないように見えます。
発症は突然で、当初は身体疾患が疑われ医学的な検査や処置が行われます。ほとんどの場合、数日から数か月で症状は消失しますが、心理的葛藤が生じるたびに繰り返されることもあります。葛藤となる問題が解決されると、症状が消失することもあります。
治療法としては、先ず支持的な対応で情緒的な援助を行い不安軽減に努める一方、葛藤内容がわかっているなら具体的な対処法を検討することで病状が改善することもありますが、わからないことも多いです。周囲が、一喜一憂せず自然に治るまで付き合うおおらかさが何よりも大事と言われています。
切り替え時の混乱
ちょっとしたことで怒り出すOさんが今日は静かです。実は意図的に移動の切り替え場面を少なくして同じ場所で活動するようにしたのです。移動時の切り替えで混乱する人が少なからずいます。ASDの子どもたちの場合はスケジュールなど視覚的支援で予告をすれば混乱はなくなっていくのですが、短期記憶のとても弱い人や、自分のつもりが切り替えにくく混乱すると興奮する人の場合、スケジュール指導が入りません。
この場合、「そうじゃないでしょ!」とやってしまうと、猛烈にもつれてしまいます。そして、抵抗が強いので結局本人の思い通りにするなら、大声を出せば要求が実現することを教えることになります。このやり取りを繰り返せばどんどん不適切な行動がバースト(爆発)してしまいます。
そういう危険性が高い場合は、切り替え(場所移動)の少ない生活を提供するしかありません。そして、穏やかな生活を作る中で、小さな切り替え(どちらでも良いスケジュールの変更等)の成功体験を積み上げていきます。ただし、あまりに興奮が激しく本人も辛そうな場合は服薬も提案する必要があると思います。
適度な距離感を
4月はスタッフが大幅に入れ替わる季節です。これまで息の合っていた支援のタイミングがずれたり、支援の意図そのものが伝わっていなかったりしやすい時期です。当然、子どもたちも違和感から様々なサインを出すことになります。この場合、子どもたちの新参者に対する洗礼(おちょくり)と通常は見えやすいのですが、実は子どもの側も心配になったり、不安になったりしていることが多いです。表現レパートリーが乏しいので、笑っているように見えて、からかわれていると大人は判断するのですが、不安で笑っていることもあるのです。その証拠に支援の揺がない子どもはそんなに笑ったり泣いたりせず淡々としている人が多いです。
最近、表出のコミュニケーションの伸びが素晴らしいN君ですが、新しいスタッフに変わって挑発行動が絶えません。スケジュールへ向かう身体プロンプトをされては大声を出し、物を投げては大声を出したりカードを投げ飛ばしたりして笑っています。こんな時むきにならずに、慣れているスタッフに変わって距離を開ければいいと申し合わせています。新人スタッフは子どもとの距離が縮まりやすいです。それは通常は、熱心にフォローしようとする表れなのですが、子どもの側からすると刺激や変化が強すぎることがあります。新入生ではないのですから子どもはルーティンワークは分かっています。だとすれば不適切行動の原因は新人スタッフの存在が考えられます。別に嫌っているわけではないのですが、いきなり距離を詰めると子どもが不安になることがあると考えればいいのです。
また、子どもの不適切な行動があったとき、何も気づかなかったようにスルーする場合がありますが、このスルー技術は実はとても高度な支援スキルで、これを使って成功している人を見たことがありません。何故かと言うと間違いなく子どもの行動はさらに激しくバースト(爆発)するからです。通常の場合、この爆発に耐えきれる支援環境ではないからです。周囲に多くの人がいて結局誰かが反応してしまうので、不適切行動の利得は必ずゲットできるからです。行動が爆発してから応じていたのではどんどん行動はエスカレートするばかりです。
すてっぷでは、スルーは効果なしとして代替強化をすることにしています。いわゆるやり直しです。正しい方法で要求するようにやり直しをしてもらいます。それが通用しない場合は、良いアイデアが浮かぶまでは先取りして不適切行動が出る状況を回避することにします。無視をして子どもと我慢比べをしたり、マウンティング(強圧的に従わせる=行動の弱化)をしてもよいことは何もないと説明しています。
こうしたことを的確に伝える職員への研修が重要です。実践系の研修は現場から離れて話を聞くようなOff -JTはほとんど効果がありません。実践しながらその経験に基づき細切れに立ち位置や声のかけ方のコツを学ぶ研修方法(コーチング)が大事だと思います。現場を離れて体型的に理論を学ぶのは、ある程度自分の中で問題意識が整理されてから自己啓発的に自発的に学ぶのが効果的だと思います。このブログはそのきっかけになればと思って書いています。
紙おむつトイレ
外出中の便漏らしは本人もつらいものです。周囲の人も何とかできないかといろいろ解決策を考えるのですが、回数が少ないのでトライする機会に恵まれません。できそうなことは便意を伝えるルールを訓練する事くらいです。そして、急に便意が起こる緊急の場合に限って外出時であったり、周囲にトイレは存在しないというのが緊急時あるあるです。
幼少期に紙おむつに便をすることからトイレで排便することにうまく移行できない人が少なからずいて、強固にこだわって青年期まで引きずってしまう人がいます。これには二つの課題があります。一つは、便は紙おむつにすると言う誤解です。もう一つは、便器の空間の中に排泄するという感覚の問題です。紙おむつではなく、便器にという認知の誤りは視覚的にも示すことができるので理解は得やすいのですが、便器で座っておなかに力を入れるという感覚は伝えられません。しかもおしっこのように視覚で確認ができないので、排泄場面の認識が困難です。
筆者が関わった成功例はたったひとつですが紹介します。シャワートイレでのシャワー刺激による便意引き出し支援です。高校3年生のASDで療育手帳は程度Aの方で、排泄は紙おむつの中でするという方でした。毎日昼食後に少し運動や作業をしてからシャワートイレで温水シャワーを出しながらタイマーで3分間座ってもらうスケジュール設定を担当者にお願いしました。今では便意を引き出すマッサージ機能のついたシャワートイレは当たり前ですが、当時はまだそんな機能はなかったので、ただ温水を当てるだけでした。
1か月もしないうちに担当の方が「成功です!」と教えてくれました。温水シャワーで気持ちよくトイレには3分間座ってくれたそうです。その時に後処理は紙で拭くことも教えられました。ある日、思わず便が出たそうです。トイレの中に浮かぶ排泄物を見て、彼は一度に全てのことを理解したみたいですと担当の方は報告してくれました。出すものを出せば紙おむつに排泄する必要はなくなり、毎日トイレに座る中で便器での排泄の経験も増え卒業時には完全に自立されたと聞きます。
20年程前の話ですが参考になればと思います。トイレ問題は結構困っている方がおられるのですが問題が問題なだけに話にあげにくいこともあるようです。他にも様々な方法や工夫があると思いますので、よろしければこのHPでトイレアイデアを集約させていただきますので下記アドレスまでご一報ください。
佐々木正美エール
西陣麦酒は自閉症の人たちの事業所NPO法人HEROESのビール醸造所です。このビール醸造所は、自閉症の支援プロジェクト「西陣麦酒計画」から誕生しました。そのプロジェクトを応援してくれた佐々木正美先生への感謝のエールをこめて、この春、限定醸造の「MASAMI ALE」が発売開始され我が家にも先週届きました。
佐々木先生の公演の受講料によってプロジェクトは資金が集まり、自閉症の人も働く西陣麦酒は生まれました。そして、今回はその成功のきっかけとなってくれた佐々木先生への感謝を込めて、その名前を由来とした「MASAMI ALE」が限定醸造されたのです。
MASAMI ALEは、ドイツ産ホップによるほのかなオレンジの香り、そしてはちみつの香りが特徴的なウィートIPA。味わいはとろりとしたマウスフィールに、しっかりとした苦味のあるビールに仕上がっています。
佐々木先生の自閉症論も子育て論もその神髄は「思いやりの心」です。子どもが我々に合わせるのでなく、まず、我々がが子どもに合わせるという思いやりです。「子どもが異常行動(不適切行動)を起こすのは確実に私たちのせいです」と佐々木先生は言い切ります。「発達障害は治らないけれども、私たちが彼らの文化に合わせて環境を用意すれば、必ず彼らは応えてくれえます」とも言い切ります。
MASAMI ALEを味わいながら佐々木先生の言葉を聞いていると本当に優しい気持ちになって、明日からも頑張ろうと思えてくるから不思議です。故佐々木先生の公演はMASAMI ALEとセットで販売しています。たぶん、もう売り切れているでしょうけど、DVDはすてっぷに常備しているので見ることができます。(見たい方は、ご連絡ください)
そして、この3月、ジャパン・グレートビア・アワーズ2021において、ジューシーまたはヘイジー・ストロング・ペールエール ボトル・缶部門にて「MASAMI ALE」が銀賞を受賞したそうです。おめでとうございます。
西陣麦酒 Nishijin BEER https://bakushu.base.shop/
ひいき目
この頃の気温は5月並みで昼間なんか暑くて半袖でいい感じです。Mちゃんを車いすにのせて公園に連れて行きました。たくさんの子どもが遊びに来ていて、Mちゃんも嬉しくて歩き出して、滑り台やブランコで遊びました。しばらくすると、Mちゃん自分の車いすのハンドルにぶら下がった水筒を触って揺らしたと言います。スタッフは、多分喉が渇いたという意味なんだと解釈して、水筒をもって「お茶飲みますか」と勧めたと言います。すると、Mちゃんは車いすに座って水筒のお茶を飲ましてくれるのを待っていたそうです。Mちゃんすごーいというエピソードでした。
Mちゃんは、まだ欲しいものとカードを交換するPECSのフェーズ1にも至らずVOCAのボタンの因果関係もわからなくてスタッフが頭を悩ませている子です。そのMちゃんが水筒という具体物をスタッフに(触って)示してお茶をくれと要求ができたのだということは、自発的な表出コミュニケーションがあったということです。でも、他のスタッフは、「ひいき目」の報告じゃないのかなと思っています。なんとなく触った水筒を見て「ああ喉が渇いたのか」と理解するのはスタッフの自然な感情です。子どもは乳児からこういうやり取りでコミュニケーションを学ぶのは事実です。
ただ、コミュニケーションは振りであれ、言葉であれ、絵カードであれ、意図的に人に向けてするものです。離れているスタッフを意識して水筒に触れたかどうかは分からないです。しかし、お茶をスタッフが持つと、お茶を飲む体制になろうと車いすに座ったというのは理解のコミュニケーションの力を感じさせます。これを手掛かりにして双方向のコミュニケーションが成立する方法を考えていきたいと思います。ただ考えてばっかりで、「ボタンキラキラBOX1号機」も未だに完成していません。
坂あがり?
L君に「今日は、先生と一緒に鉄棒しなかったの?」と聞くと「へ?何のこと?」とL君。「公園で先生が逆上がりしようかって言ってくれたのに、嫌って断ったんでしょ?」「え?さかあがりって、公園の坂を走って上がれってことやろ?それはつまらんから嫌やって言ったよ」「いやいや、違うがな・・・」L君は聞き違えがものすごく多いのです。
語彙が少なくて聞き違えることもありますが、語彙が少なくてもその場の状況で大意は解釈できるものです。この場面ならおそらくこの事を言っているのだなという推測をするからです。ところがASDの人や状況理解の苦手な人は字句通り聞き取って自分の知っている語彙に当てはめようとします。そして、誤解したままで応答したり行動するので「なんでやねん問題」は大人だけでなく友達とも多発します。
L君はスタッフが公園の中の築山の「坂あがり(あがりは関西では「上がりなさい」の意)」との命令を断ったわけですが、「逆上がり」の言葉も知らないわけではなかったのです。でも、この公園の鉄棒で遊んだことがなく、築山には何度か上ったことがあるのでこの反応になったわけです。この話をスタッフにすると他にもいろいろ聞き違いや誤解が多いことが報告されました。本人も「僕耳が悪いねん」と言い、困り感はあるようです。この問題をどう解決してくかは、まず本人自身に耳が悪いのではなく誤解が多いから、なんか変かなと感じたら(感じないかも・・・)「それってどういう意味?」と聞き直すトレーニングを提案しようかなと思います。
好きなものがない?
K君が朝から「食欲ないねん」と言います。昨日も「おなかすかへん」とお弁当に少ししか手を付けないまま一日を過ごしました。聞くと「これから行く習い事が憂鬱だから」だと言います。でも、昨日はその言動のおかげでスタッフ全員から「大丈夫か」「どっか悪いんちゃうか」「そろそろ食べられるか」などと結構注目を集めることができました。
もしかして、K君何か行き詰っている?疑惑が会議で持ち上がりました。K君は高学年にも受けがよく低学年や障害の重い人にも優しい子どもです。でも、K君には好きなことがあまりないのです。体を動かすことや、特定のアニメは好きですが、高学年ではやっているインスタでのカメラ撮影やサッカーや戦国話は興味がありません。かといって低学年の遊具遊びやゲームはもう飽きています。でも、彼が好きなものがなかなか見つからないのです。
何か好きなものを探さないといかんなという話はスタッフ間ではされているのですが、なかなか見つからない中での、今回の出来事でした。
中学生の支援ニーズ
すてっぷでは、地域の小学校在籍の子どもについては6年生で卒業にしています。そして、同じ法人経営の新しくできた療育中心のじゃんぷをおすすめしています。中学生の中心課題は学習です。もちろん自主的な遊びやスポーツも大事ですが学習を生活の軸にしていく感覚が重要です。平均的な学力がついているかいないかは本人が一番自覚しています。学習がうまくいっていないのに他の活動に向き合えるわけがありません。
じゃんぷの通所条件には保護者の意向よりも、本人自身が変わりたいと宣言することを大事にしています。人に言われて勉強したり療育を受動的に受けても子どもは変わらないからです。意欲がなければこの時期からの学力は身に付きませんし、読み書き障害などの学習障害を抱えているならば、まずはその特性の理解と支援の享受が必要となるので、自己決定はとても重要です。
もちろん、最初から何もかもと言うのは無理でしょうから、まずは一人で通所する決意をして、休まずに遅れずに通所できるかどうかを見ます。西向日駅から5分とはいえ中学のクラブが終わってから自転車や電車で通うのですから、それなりの自覚が求められます。自分の力で週2~3回通えるなら、自ずと自己認知の力は伸びていくし成果も目に見えるので持続的な通所は可能になってきます。小学校低学年は保護者に送ってもらうしかありませんが、高学年以上なら自分の意志で通う力はとても大事です。
学びの支援を自ら受けるという行動が定着してきたなら、中学生らしい自主的な取り組みを企画・実行していく流れにもなってくると思います。中学生の支援ニーズは特性に応じた学習です。しかし、学習より何より重要なのは良き自分でありたいと願うエネルギーです。このニーズを大事にしていくのがじゃんぷの支援コンセプトです。
ゲルマニウムラジオ
アマチュア無線士になりたいK君に良い教材だなと思って、ゲルマニウムラジオのキットを使って製作しました。ゲルマニウムラジオの部品はエナメル線12mとバリアブルコンデンサー、ゲルマニウムダイオードとセラミックイヤホンの4つの部品で作れます。
製作の肝は、トイレットペーパーの芯にエナメル線の巻き付けと、はじめてのはんだ付けです。どちらも不器用なK君には手ごわくエナメル線はもつれるわはんだは山ほど使うわでしたが、5分間集中少年のはずのK君が完成するまでの90分間集中して取り組めたのはすごいことです。
もちろん、話はよく聞いてくれないのでYOUTUBEのゲルマニウムラジオ作成の3分動画を与えて「何度も見ながら作っていいよ」と指示しました。すると動画を巻き戻したり早送りして何度も見て完成させました。いちいち口をはさんだり手出しするより自分から調べる動画は有効でした。
アースを事務所の窓枠につなぎ、アンテナを4mほど箱に巻き付けると、「電池もないのに、NHKとKBSが聞こえた!」と大喜びです。高学年は見えないものに価値を見出す時期です。電波という見えない存在も彼らの力を引き出す役割を果たします。
大声の件
大声の件はこのブログで何度か(大声の原因 01/06)(うるさい 2020/11/27) 取り上げてきています。今回も、PECSのフェイズ3BができるようになってきているJ君ですが、何かの拍子で大きな声で奇声を上げるのがPECS獲得後も変わらず、何故だろうと職員の疑問に上がりました。
何か要求があれば、J君は絵カードを職員に渡してくるので、あの奇声は要求ではなく癖なんだろうかとか、職員をおちょくりたいのではなかろうかとの推測がされています。癖と言うなら人がいなくてもするでしょうが、無人の時や何か自分が好きなことで取組んでいる時はありません。
おちょくるというのは、対象者が困ることを楽しむというものですが、特定の方に向けているという感じではないです。最初は、スタッフの新人が多い時に奇声が多いと思ったのですが、ベテランがいても同じような感じです。よく観察すると、彼が奇声を上げるとベテランさんはスルーして無視をしているのですが、パートさんは彼が奇声を上げるとたまらず彼に「大きな声やな」等と反応しているのです。そうなると、回数が増える感じです。
これは推測ですが、要するに暇なので遊んでほしいというサインではないかということです。声がどんどん大きくなるのは、たまーにヒットするパチンコ理論と同じで、無視すればするほどたまーに反応があると行動がバースト(爆発)するのではないかという理屈です。
この仮説の下に明日から3週間、奇声にはエラー修正で取り組むことにしました。奇声が出たらやりなおしで「遊ぼう」絵カードをもってきて彼の大好きな真似遊びをして最後PECSブックで何が欲しいか聞くことにします。さて、理解してもらえるでしょうか。ベースライン(現在の奇声回数)を調べてから取り組みます。
俺の得点をあげるよ
低学年のG君がストラックアウト・ゲームで得点が取れなかくてしょげていたので、高学年のH君が「俺の得点をあげるよ」と言ったそうです。当然、G君はふてくされたままですが、H君は良いことをしてあげたとスタッフに報告に来たそうです。
ストラックアウトゲームは自分で投げて思い通りの高得点が取れるのが嬉しいのです。人が取った得点をもらっても嬉しくもなんともないのです。そんな時はドンマイと励まし投球のコツを優しく教えてあげることです。H君がG君を励ましたいのは良くわかりますが、得点をあげる発言は日常生活の場面ならちょっとしたもめ事が起こる可能性があります。
もしも、G君が「そんなもんいらんわ!」と正直に言ったなら、善意の人H君のプライドはズタズタです。「いらんとはなんや!優しくしてやったのに!」とH君の大声制圧と威嚇が始まるでしょう。周りで見ていた子どもたちは「低学年に大声出すなんて、しょぼいなHの奴」と言いふらされて事態はどんどんH君の思いと反対側に進みます。
ちょっとした相手の感情が読めないばかりに、善意が悪意に変わってしまうのは活発系(ADHD系)のASDの子どもたちに良く起こる出来事です。私たちの事業所では、こうした行き違いをひとつづつ毎日の振り返りでH君らに説明をしていきます。SSTトレーニングと簡単に言うけどそう簡単ではありません。
電動車いす
Fさんの電動車いすの操作が上手になってきたとスタッフから報告がありました。外出時の走行も、狭い事業所の室内も上手に移動しています。「こんなに便利ならもっと早くから購入すればよかった」と保護者の方も言われます。
かつて米国の小学校を訪問した時、車いすの児童が廊下を疾走していて女の先生が「HEY BOY! SLOW DOWN!」 と遠くから叫んでいたのが印象的でした。車いすの子どもは、手先しか動かない筋ジスの5年生でした。もう10年も前の話です。
日本の学校で電動車いすはほとんど見ません。特別支援学校ですら限られた子どもしか使っていません。移動の自由とは自尊感情と大きくかかわっています。一人で移動ができる事、一人で意思が伝えられる事の二つは特に重要です。
手漕ぎが難しくなると予測できようができまいが低学年から電動車いすを導入し、手漕ぎを選ぶか電動車いすを選ぶかはTPOで本人が選ぶのが望ましいです。歩ける人が自転車や車を選ぶのと同じように考えればいいのです。日本の障害者支援に決定的に足りないことは、支援テクノロジーを幼少から享受させる経験だと思います。「~だからできない」ではなく、「~があればできる」というポジティブな思考パターンを育てることは誰にでも大事だと思います。