今日の活動
早い?遅い?
スタッフからP君の歩く速度がみんなよりとても遅くて困っているという話がありました。「もう他の子どもや、みんながずっと前を歩いているのに全然追いかけようとしないんです」というので、「P君に遅れているという意識があると思いますか」と問い返すと、「???」でした。ASDの子どももそれぞれぞれなので必ずという事ではないですが、言葉が通じにくい人たちに「もっと早く」とか「もっとゆっくり」とかを伝えるのはとても難しいです。
普通は周囲より遅れているので自分は遅いと感じたり、周囲より先を行っているので早いと感じるものです。もしも、この周囲の存在があまり気にならないなら、その人にとっては早いも遅いもないのです。P君は遅いなぁと思うのはP君と自分を比べる視点のある人の認識です。だって、P君はゆっくり山道を歩いていますが、ニコニコして快適そうに歩いていて、先を行く皆に待って欲しいなどとは思っていないようです。そもそも皆が見えていない感じです。
そんなわけで、P君は時々迷子になりやすいのでスタッフが付くことにしていますが、スタッフが新しいので自分もよく知らない場所なので不安になったのだと思います。さて、どうしたものでしょうか。早くとか遅くとか教えられるものでしょうか?「Qスタッフと一緒に歩けばご褒美があります」というご褒美制でうまくいくでしょうか?なんとなく、うまくいきそうな気がしません。うまくいったらまた報告します。
インスタグラム
小学生の子どもたちに何か社会的な励みになる取組はないかなと考えていました。「インスタで写真を投稿させればどうだろう」「ハートマークやイイネが付けば写真に興味持たないかな」と話し合いました。アカウントは事業所のアカウントなら管理もできるからと取り組み始めました。
スタッフの私物のちょっと高級なデジカメを子どもたちに見せて、「これで写真撮ってくれないかな」と問いかけてみました。そしたらN君が「俺やる」と手を上げました。今までアート系とは一番遠いかなと思っていたN君の立候補は意外でした。
N君の「森みたい」と言って撮った樹木のインスタ投稿にハートが二つ三つとついていきました。実は、スタッフの桜もいるのですがそれ以外からもついています。それを見たOさんも俄然張り切って撮影を始めました。今日は「雨の日のお花」のアップでした。ハートがいくつつくのかどきどきして待っています。
不適切な行動とやらされ感
M君がスタッフを叩いたと報告を受けました。ところがスタッフは叩かれることに身に覚えがないというのです。M君は感情を貯めるタイプで、その場にいても原因がわからない他害があります。以前は、やらされ感が強かったのではという後に出ています。どこかで、納得がいかない関係性がありストレスをためていたのだと思います。これは前回(指示待ちとカタトニア: 02/25)でも触れています。
子どもがしんどくなる時はどんな時か考えてみると、意味が分からないのにやらされる時です。やりたくないとは表現できず、自分を抑えて従ってしまった時です。言葉の喋れる人は、家族や友人に「今日こんな理不尽なことがあった」と人に聞いてもらって気持ちを整理しようとします。それがない人は、自分で余暇時間を管理して好きなことや運動に没頭してストレスを発散しようとします。その両方がない人は貯めこむしかないのです。
言葉でのコミュニケーションが苦手な人や、好きなことや余暇の自由がない人は、本人にしてみれば理不尽なことがあってもそれを解消する方法を持っていません。したがって、その気持ちを外に爆発させるか、内部に向かわせるしかありません。他害や自傷、強い指示待ちのある人には、そんな感情のマグマが適切に処理できていないと考えます。もちろん、コミュニケーショントレーニングや感情表出の練習はしますが、全ての支援者が足並みをそろえ、長い時間が必要です。
それでも、苦手なものは苦手ですから、こういうことで苦しんでいる人たちのルーティンを安易に崩したり、構造化支援は面倒だからとさぼったりして、「そんなことしなくてもできるでしょ」とやらせてしまうと、本人の苦痛を強め感情のマグマを蓄積させます。遅延する不適切な行動は、させる大人とやらされ感の強い(拒否できずにやってしまう)子どもの関係性の結果の行動だと考えようとスタッフで話し合いました。
勘と支援タイミング
LちゃんになかなかVOCA(VoiceOutputCommunicationAid=音声出力伝達道具)が定着しないばかりか拒否られてしまうとの報告がありました。Lちゃんは机の上のものを何でも跳ね飛ばしてしまうので絵カードコミュニケーションよりボタンプッシュで「欲しい!」「食べたい!」「助けて!」を発声するVOCAでおやつの時間にトレーニングしています。
後ろから身体プロンプトでボタンを押しておやつがもらえるというトレーニングを続けてきているのですが成果がないばかりか、最近はプロンプトしようとしても体をこわばらせて腕を押させまいとしているというのです。「それって、拒否のサインだよね」「Lちゃん嫌な時は体を硬直させて動こうとしないよね」とボタン押し行動が要求行動になってないことを話し合いました。
職員は良かれと思って、なんでもかんでも、おなかが減っていようがいまいが腕をプロンプトしてボタン押し行動をさせることもあったようです。一番大好きなものを少しだけ与えて、少しじらしたり、Lちゃんの表情が変わるまで待ったりしていないので、欲しくない時にもボタン押し行動があったのかもしれないという話になりました。コミュニケーション手段を獲得していない子どもの表情はわずかにしか反応がないことも少なくないです。そのわずかな反応を察知してプロンプトで行動を導くには勘が大事です。エビデンス重視の話をずっとしながら矛盾するようですが、支援者の勘が支援のタイミングを作るのは間違いないです。
友達がほしい
I君が砂場でJ君とKさんで作ったものを壊すとKさんが訴えてきました。スタッフがI君に理由を問いただすと「壊すのが好きだから」といいます。スタッフはJ君もKさんも、I君にこれまで遊びやゲームを優しく教えてくれて、I君もそれを楽しみにして来ていたのだから、このI君の言う理由は奇妙だと言います。
実はその前の様子を複数のスタッフに聞いてみると、K君が来た時J君が他の子どもとタブレットゲームで遊んでいて、K君は一人でつまらなそうだったというのです。その後K君はやることがなくて教材室に入っていますが、本当はJ君と遊びたかったはずです。しかし、スタッフに「ここに来ちゃダメ」と注意をされてふてくされた感じだったと言います。
ここで、K君のスイッチが入ったのだと思います。注意されることは他者の注意を引く行動です。本当は友達と遊びたかったのにそれが切り出せずに、不適切な行動で大人の気を引いて注目してもらう。ただ、これでは「なんでそんなことするの」と問い続ける大人の反応だけで友達とは遊べないです。でも彼にしてみればせめてそうしてでも大人の注目は集めたいのでやめられないのかもしれません。そして、その混乱の中で、当初の友達と遊びたい気持ちは失っているかもしれません。
本当に大事なのは、みんなと遊んで楽しかった経験の蓄積です。そして、楽しい経験のきっかけになった友達の誘いや自分から関わって成功した経験の蓄積です。彼はまだその方法もタイミングも知りません。「遊び仲間に入れて欲しい!」そんな彼の強い思いを「壊すのが好きだから」の言葉に感じています。でも、こういうナチュラルな関係性は訓練では作れません。そのきっかけができる時間の長さ、そこに導くタイミングが必要だと思います。
設定遊び
すてっぷでは「設定遊び」と言って、子どもの課題に合わせてゲームや工作に取り組む課題があります。先日のアンケート調査ではこれがマンネリ気味ではないかという結果でした。設定遊びの話をしている際に、G君とHちゃんはストラックアウト以外に缶釣りもあるよとの話が出たのは、マンネリ化はまずいという意識があったからです。ただ、マンネリ化と計画的に設定遊びをするのは全く意味がちがいます。
G君はHちゃんをリードすることを、Hちゃんはルールに従いG君のリードを受け入れることをこのストラックアウトを通して学ぶことを課題としています。この目標にある程度めどがつけば次の課題に取り組んでいくという実践のスタンスが必要です。逆に言えば、子ども一人一人の課題が見えていれば設定遊びにしても個別課題にしてもマンネリ化は起こりません。子どもの課題が見えていれば課題達成までは繰り返す事が必要だし、目標達成しているなら次の課題を与えるからです。当たり前のことですが、療育事業でもある放デイにとっては大事なことです。
不適切行動は蘇る
G君が2階の事務所まで上がってきて、電池の切れたトミカ道路セットのエレベーターを持ってきました。電池を新しく入れてくれという行動もこの1年で定着しました。今までは玩具を投げて表現していたのですが、絵カードでの要求表出=PECSを教える中で人に頼む姿が出てきたのです。電池を入れ替えてあげるとニコニコして帰っていきました。
ところが、しばらく遊んでいるうちに道路セットのパーツを投げたとスタッフがいうのです。おそらく、これまでは誰かが組み立ててくれたのでしょう。しかし、今回は誰も気が付かなかったのと、本人にも道路セットを組み立るのを助けてほしいという表現方法を教えてなかったのです。教えなければ不適切行動は蘇ることを如実に物語る一瞬でした。それくらい物を投げる行動が、未だに彼の生活の中で万能の要求方法だという事もわかります。
この場合の「助けて」カードを作って不適切行動があればエラー修正をすることと、トミカの道路セットが複雑すぎて、このままでは何年たっても自分で完成させることができないので最低限のパーツにして自分でできるように仕向けて行くことをスタッフと打ち合わせました。
指示待ちとカタトニア
外に出かけた時のことです。F君が立ち止まったままで「あっ あっ」と言って、散歩で歩くことを「行こうね」と促してほしそうにします。「いいよ。歩こうね」と促すとほっとしたように歩き出しますが、また何かの拍子で同じことを繰り返します。いわゆる指示待ちの激しいタイプでカタトニア様の症状です。カタトニアについては以前(カタトニア 2020/12/17)に掲載しています。
すてっぷでは子どもでも見てわかる工夫をして、できる限り「促してさせる」(言ってさせる)を避けています。もちろん子ども達は言えばします。「車からカバン下ろしてね」「手を洗ってね」と言えばします。でも、そう言わなくてもするという生活を目指しています。
小さい時は、それがしつけのように思っている大人は多いです。「食べてね」「かたづけます」と言えばする。いうことを子どもが聞いてくれて大人は満足するのです。
けれども、思春期にはこの関係が破綻することが多いです。「今しようと思っていたのに」「言われたくない」。とにかく「言う(指示する)」だけで「悪態を付く」場合もあります。
大人は、それまでの「しつけ」の延長だし、障害があってわからないことが多いから「良かれと思って」とは言いますが、それは「上から目線」でもあり、「自分は信用されてない」が子どもには伝わります。
こうした対応で、爆発するタイプでなければ、子どもの多くは「指示待ち」になります。「促してさせる」は「言われないとしない」となります。大人しいと言われますが、思春期には別の形の行動障害がでることが少なくありません。それが「強固な指示待ち」「自傷」「こだわり」。周囲も扱いが大変になってきます。
怒りの爆発にしても指示待ちにしても、この「促してさせる」「言えばする」を続けていくことは、悪い結果しか生みません。指示待ちの子は「カタトニア(寡動)」=動かなくなる症状が強くなることがあります。
カタトニアは、その昔、緊張病と言われたこともありました。統合失調症の中でカタトニアは語られていたのですが、現在、自閉症の人たちにも青年期に近い症状が出てくる人たちがいることが知られ始め、それもカタトニアと呼ばれるようになりました。
もともとの統合失調症のカタトニアと自閉症のカタトニアの何が同じで何が違うか、実はまだ解明されていません。すべて同じなのか実は違うものなのか、双方の本態そものもが解明されていないのです。
全然動けなくなってしまうこともあります。できていたこともできなくなるし、食べることも何もかも、ほぼ全介助状態になります。しかし、固まってしまうとは限らず、動きはできても自立性は低くなり、究極の指示待ち状態のようになるケースもあります。
自閉症の人で、カタトニア状態になるのは20代ごろに発症する、ということが言われています。しかし個人差があって、十代後半からその状態になる場合もあります。状態には変化があり、まだ動ける状況の時期もあれば、2時間くらい突っ立ってしまうとか、ある動作の途中で固まってしまうこともあります。
そんな人も、子どもの頃は多動であったり活発であったりしていた、という人も比較的多いのです。介助自体は難しくなくとも、できていたことができなくなるのを見るのは、親としては悲しいものです。何をどうしてやったら良いのかわからなくなるのですが、良くなったり悪くなったりするものは、先に書いた躾の問題だけでなく神経学的な病気と考える方がよいと思います。
できていたことができないのは本人もつらく苦しいと思います。本人たちは表情にも表せなくなっていますが。苦しみながら発する言葉には、表面は変化がなくとも内面では辛いのだと思います。発症した後のかかわり方は重要です。無視したりせず、どこで声をかけてほしいかはわかってくるので優しくかかわっていくことだと思います。服薬で劇的に改善する人もいるので医療との連携も重要です。関東のよこはま発達クリニックの動画にカタトニアの理解と簡単な支援方法があったので掲載しておきます。
落ち着いたのは薬のせい?
半年前まではすぐに怒ってぶちぎれていたE君が、薬がうまく合って、ここ3か月以上友達にやさしくするようになったと以前掲載(友達ができる薬?01/07) しました。ただ、いまだに本人は自分が優しくなれたのは薬のせいだと言います。先日もE君がそういうので、「薬のせいじゃない、薬はきっかけを作っているだけで、変わろうとしているのはE君自身だよ」とスタッフは伝えたというのですが、うまく理解している感じがしないと報告していました。
当事者の発達障害理解のためには、子どものための心理学的医学教育が欠かせないと言われて20年近くたちますが、医学とついているせいで医者がやることと思われたり、教育とあるので忙しい医者に教育の暇なんかないから学校ですることと思われていたり、どちらも押し付け合って前に進んでいないのが実情です。結論から言えばその子の関係者みんなでやるのです。月一度しか診察を受けない子なら、その間は、学校や家庭、療育機関の関係者が行うのです。
告知と間違えられている向きもあります。疾病告知は医師にしかできない仕事ですが、心理学的医学教育は告知後の当事者への取組です。治療と言えば治療ですし教育と言えば教育です。大事なことは科学的な根拠に基づいて発達障害の特性や服薬の内容を説明し、定期的にフィードバックを得ていく取組です。もちろん、医療と教育と福祉は連携してお互いの情報を出しあって、自分たちはどこを請け負うのか決めておく必要があります。もちろん重複することもありますが、同じ情報を当事者には提供する必要があります。
衝動的な行動はどういう脳の働きから起こるのか、それは服薬だけでとまるものか、本人の役割は何か、周囲の人の支援は何かということを少しづつ本人に提供し、いずれは減薬しどうしても不安なら頓服程度で済むようにしていく目標を伝える必要があります。医師も親も教員も支援員も心理士もこれらについて連絡しあってどこまで進めるのか決めておく必要があります。これまた、誰が音頭を取るのかでもめるのですが船頭多くして舟山上ることにならないように、通常は医療サイドが音頭を取るのが定石ですが、医療側の動きがないなら、他のサイドから働きかけても子どもにとって不利益がないなら進めていくべきだと思います。
バラエティー言葉
「ざけんなよ」テレビから流れてくる言葉です。バラエティーの場合この言葉の後は大抵笑い声が編集されています。見ている子どもはなんとなく楽しそうで使いたくなります。相手の手抜き行為や失敗に対し「ふざけんな」と叱責する言葉ですが頭の音を省略するのでなんかかっこいい感じがします。
ゲームでDさんが「ざけんなよ~」とやったのですが、スタッフがそういう言葉を友達に投げかけるのはいかがなものかと注意したと言います。おそらく、Dさんは仲間を下げずむ言葉として使ったというより、なんか楽しい気持ちで使った言葉かもしれません。「いけません」とやってしまうとどういう気持ちや意味で使ったかわからないままです。スタッフには、どんな時も「あれ?」と思ったら「なんで」と子どもに聞くことを心がけようと話しています。
周囲のムードや相手の気持ちが読みにくいASDの子どもの場合、言葉を誤解して使ったり、相手や場の反応が読み取れないまま修正できずに大人になっても使う事がよくあります。Dさんも、もともとは乱暴言葉が主訴で通所してきた経過があります。言葉は使わなければ身に付きません。「~はいけません」ではどうしていいかわかりません。「~すればいいよ」と楽しい感情を表現する肯定的な言葉を紹介してあげることが大事なのです。
食事量
6年生のC君が西山から帰ってきて事業所の廊下でぐったりしているので、「おっ、西山行ってきたか!体力ついてきたか!」と声をかけると「全然アカン・・・」と言います。他のスタッフが「ちゃんと食べてるかー?」「朝食ってない・・・」「お母さんが作った朝飯は?」「朝は食べる気がしない」「そらあかんわー」となりました。朝は食べないと、昼までの活動が持つわけないという簡単な理屈が本人に理解されていないのです。それで俺は体力がないと思い込んでいるんのです。
実は、当事者もそうなのですが保護者の方も子どもが大きくなって活動量が増えているのにお弁当箱の大きさが変わらない人がたまにあります。保護者に聞いてみると「子どもが、たくさんいらないっていうから・・・」と言う理由が多いのです。子どもは成長するにつれて体の大きさがそんなに大きくならなくても代謝量が増えるのです。ところが、発達障害の子どもの中に空腹感を食事時間に感じない子どもがいます。よく観察するとおなか減ったと活動中に言っているのですが、時間がたつと忘れているのです。そして、おやつも食べず、帰り際に突然お腹が空いて死にそうだと言い始めるのです。おなかが減ってないわけでなく、空腹感の信号が出るのが鈍いようです。
そんなわけでC君には「朝飯食べられないなら、食べられなかった朝食を持ってくるか、大好きなお菓子にプロテイン(出来ればそこにマルチビタミンミネラルのサプリ)とか、流し込みやすいカロリーメイトゼリーとか栄養剤を公園や山に持っていき運動しながら補給してごらん」と助言することにしています。そして、それ一つではおにぎり1個分=200Kカロリーで6年生の朝飯に必要なカロリーの3分の一も取れてないことも伝えたいと思います。
すてっぷアンケート集約結果
すてっぷアンケート集約結果
令和2年度の放課後等デイサービス「すてっぷ」のアンケート調査の集約ができたのでお知らせします。今後この結果を踏まえて職員一同努力してまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
1.表記について
回収率は保護者・従業員とも100%でした。今回は昨年度と比べ、10%以上の増減のあったものに上昇・下降の赤矢印を示しています。(10%以上上昇したものでも7割未満の「はい」評価には上昇矢印をつけていません)
2.保護者アンケートより
●環境・体制整備:設置基準やバリアフリー基準は府の基準を満たしていますが、マンツーマンを必要されている利用者が増えその分職員も増えるので従来よりも狭く感じるものと思われます。利用者のバランスを考えたいと思います。
●適切な支援の提供:昨年比2割減の評価で活動プログラムのマンネリ化が指摘されました。集団ゲームや創作活動、個別課題など新しい教材の開発を進めます。障害のない子どもとの交流がとても少ないという評価でした。毎日のように公園で近隣の小学生と遊んでいることを意識的にお知らせしていきたいと思います。
●保護者への説明等:保護者との意思疎通が1割減でした。送迎時や電話連絡の際に丁寧な対応を心がけようと思います。
●非常時の対応:避難訓練等に取り組んできましたのでおおむね好評を得ています。感染状況をみて保護者の引き取り訓練等にも取り組みたいと思います。
●満足度・その他:通所を楽しみにされているお子様の様子の記述に励まされました。しかし、職員が忘れ物を繰り返す事が複数指摘されており、連絡帳のダブルチェックや帰り際の個人ロッカーの確認等に力を入れていきたいと思います。
3.職員の自己評価より
●職員の自己評価は昨年と比較して努力したと意識している職員が多く、実際の評価割合にも表れています。しかし、職員は努力しているつもりだが、保護者の評価がそれに伴わない今年度の現象については真摯に向き合い、原因と対策を考えていきたいと思います。
●環境・体制整備:子どもと職員が増え活動エリアが手狭になっていることを職員も感じています。利用のバランスや外遊びと中遊びの入れ替えなどを工夫します。
●業務改善:今年度より第3者評価を実施していますが、調査の後だったので周知されませんでした。
●適切な支援の提供:支援計画の作成の際にアセスメントツールを用いて子どもの評価を行い始めました。また、有料発達検査の実施についての保護者了解項目を重要説明事項に加えています。パートの方も含めて支援文書の回議、実践の振り返りや留意すべき点などについて打ち合わせで簡潔に行うようにしています。
●関係機関や保護者との連携:地域のルール(相談事業所が調整)に制約されながらですが学校との連携に力を入れてきました。地域の子どもとの交流については、パートの方は定型の交流会などをイメージされていましたが、毎日の公園でのナチュラルな交流活動を大事にしている事を報告するように心がけます。
●保護者への説明責任:契約内容や保護者に協力してもらう事を丁寧に説明するように心がけています。大声での威嚇等虐待防止への取組や、虐待防止の根幹はコミュニケーション支援にあることを職員間で意思統一してきました。
4.第3者評価について
今年度より、障害のある子どもの支援に詳しい方から第3者評価を得るようにしました。長く口丹波地域で支援学級担任や通級の指導教室担当者を務められている山川様にお願いをしました。最後のページをお読みください。
宿題プリントを考える
放デイに通ってくる子どもたちの多くは学校から宿題を持って帰ってきます。ブログでの宿題ネタは2年間で50タイトル近くありますが、その中で学校にお願いしていることは、個性のある学習特性に合わせた宿題を出してほしい!自学自習になる宿題を出してほしい!自尊感情が高まる宿題を出してほしいということです。3つもあるのかと思われそうですが、(宿題は自学自習 01/15)でも書いているように、同じことを違う側面から言っているに過ぎません。
B君が、「先生助けてください」というので見に行くとクロスワードパズルのプリントです。「こいのぼりをあげる日は?って書いてあるよ」「う~ん春かな夏かなぁ」問題が読めないだけでなく、暗に祝日をさしている意図も読めません。B君には知的な遅れもありますがディスレクシアの問題も抱えている人です。学校では学校でやらせたことを宿題にしているだけだと言われます。五十音が不確かな子どもに、例えこれを学校で一度やったからとしてもできるほうがミラクルです。プリントは低学年の自習用のプリントで良く使うものですが、低学年用といえどもLD用には作られていません。教えたから覚えているだろうという先生の自信はどこから湧いてくるのでしょう。
他にも、ワーキングメモリーが弱い高学年の子どもに、繰上りのある計算問題を低学年用だからと出してくる鈍感さには首をかしげたくなります。その問題が自力で終了できないこと、電卓を使って回答しても電卓の練習にはなるがそれ以上でも以下でもなく、知的な遅れのないC君には屈辱の時間でしかないことが理解できないのだと思います。担任は難しくないものをと「善意」で通常(読み書き障害のない子ども用)の低学年プリントを宿題に転用しますが、読み書きの問題は知的な遅れとは違うのです。知的障害とは質的に違う読み書き障害のことを知ってほしいと切に願います。
障害の状態は一人一人違うのでオーダーメイドがいいですが、支援学級には最高8人の子どもがいますから全てとは思っていません。読み書き障害用のプリントはたくさん市販されているのでその中のチョイスでもかまいません。少々の手助けは必要にしても、基本は一人でできる事が大事なのです。
あの人・・・
「先生、あの人のドリブルうまいな」「あの人、まだおやつ食べてはれへん」「あの人」を連発するA君はここの放デイにきて3年たちますが、友達の名前もスタッフの名前もほとんど覚えていません。「先生」と「あんた」「あの人」で不便を感じなかったからと思います。
実はA君顔と名前がなかなか覚えられないのです。このことは前回(相貌失認 2020/12/19)でも書きましたが、これが友達に中途半端に分かってしまうと「A君とは長い付き合いなのに、まだ僕の名前知らない」という誤解を作ってしまいます。
でも、A君はいっこうに困らないのでこちらから声をかけることにしました。「あの人って、この中の誰の事かな」と玄関に貼ったスタッフ利用者顔写真まで連れて行って聞くようにしています。屋外で「あの人」がでたら、「A君、あの人の名前がわからなければスタッフに聞いてね」というワンセンテンスを入れるようにしています。
声のレベルメータ 了解!
Yちゃんは、声がでかくて音に過敏な先輩たちの頭痛の種です。学校つながりのZちゃんがちょっかいなどを入れてくると、もう「全員避難!」みたいな大声で叫び続けます。お願い勘弁して、スタッフもたまらずYちゃんを連れて室外に誘導します。
でもYちゃんはこの間いろんな事がわかってきて、行先パニックやらヘイトスケジュールやら少なくなっています。きっと声のレベルメータとかも理解できるんじゃないかと、スタッフが教えてみました。このツールは(声のメータ表 2019/06/10)で掲載したものです。
「Yちゃん、お部屋の中では2の声でお願いします」「2の声の人はご褒美です」と示すと、「うん わかった・・・」といきなり小さな声で応えてくれました。まさかこんな簡単に理解してくれるとは思いませんでしたとスタッフ。それでも次の日になると忘れていて、毎回お願いを繰り返すことにはなりますが、先輩たちは少し胸をなでおろしているだろうと思います。
できることを提供しましょう。
X君が弁別課題ができないことと、弁別認知の有無は別の問題だと以前書きました(弁別と教材 02/03)。人は動機がなければ行動しないということを、スタッフがどれほど理解しているかが問題です。つまり、X君は弁別課題ができないのではなく、スタッフが作った課題そのものに込めた意味が分からないのです。「▲を△の型に入れる?そーですか」と、仮にX君が「◆ではないは▲」を理解していても「で、それがどうした?」と思っていると話は前に進みません。
X君は10種類以上あるおもちゃやおやつのカードの貼ってあるBOOKの中から自分の欲しい物のカードを弁別して「探し出して」スタッフに確実に渡してきます。弁別力は十分にあるのです。しかし、スタッフの無味乾燥な課題を「完成させる意味」が分からないのです。通常なら大人に褒めてほしいなど共感を求めて子どもは完成しようとします。共感性の乏しい人でも、型通りの枠型にスパンとはまった快感を得たいと思う子も完成させようとします。
しかし、X君は違うのです。「それがどーした」なのです。だったら、スタッフは同じ事ばかりやるのではなく、X君が「なるほどー」と思うような教材や作業を開発したほうがお互いのためです。プットインに弁別過程があるとプットインの中身が広げられるというのが初めの狙いなのですから、わずか一例の弁別課題ができないから、別のプットインが作れないという事ではないのです。できないことを何度も提供するより、できる中身を考えて「できたー」の気持ちや「グッジョブ」の声掛けの回数が自尊感情を育てる基礎になると思います。
ススメ!電波少年!
W君は「西山に行って第2鉄塔のある最高点まで行こう」などとスタッフがと言うと「俺は体を鍛えるためにここにきてるんと違うんや。パソコンもしたいし本も読みたい。鉄塔却下!」と叫んで外に出ることを好みません。ところが、最近W君は電波チェックにはまったようで、短波ラジオで北朝鮮の放送や北京放送の日本語放送を聞いたり、電離層の反射で遠い海外から飛んでくる短波放送を聞くのを楽しみにしています。
アマチュア無線をやっていたスタッフから、「遠方の局が聞きたいなら妨害電波や高い建造物の影響を受けない高い山頂がいい」と教えてもらったので、嫌いな西山の第2鉄塔に行ってみたのです。アンテナを伸ばしてみると、航空機のエアバンドからも交信がかすかに取れるし、遠方のラジオ局も平地よりクリアに聞こえました。
「もう僕あそこに住む」と言うくらい満足して帰ってきました。今彼はアマチュア無線の丸暗記本を借りて勉強しています。小学生で合格している人は結構います。今はやりのFPV(First Person View:空撮無線映像を見る)ドローンを操縦するには4級アマ免が必要で、そのために多くの小学生が受験しています。電気工学は中学生くらいでないと理解できない内容ですが、4択で24問の丸暗記で対応できるので小学生でも合格できる可能性があるわけです。さて、W君はどうなるでしょうか。進め電波少年!
お山登りまーす!
Vちゃんは、1か月ほど西山に登るのを嫌がっていました。まだ、コミュニケーションスキルが低くて、とにかく大騒ぎをすれば要求は実現するとVちゃんは思っているので、送迎車の前で大泣きをし、登り道でもしばらく大騒ぎでした。しかたがないので、「こんなに嫌がっているんだからもうやめようか」とスタッフが言うので今日行ってダメだったら次回考えましょうと言うことになりました。
ところが、今日は車に乗る前からニコニコで山道もなんにもなかったかのように「お山登りまーす!」と歩きます。今までの拒否はなんだったの?とスタッフもあきれ顔。何かがVちゃんの中で吹っ切れたのかもしれません。結局理由は分からずじまいで、次回の山登りもご機嫌なら問題ないんじゃないのということになりました。理由を話せない子どもたちのことを私たちはあーでもないこーでもないと話しますが、わからないことも多いです。毎日子供たちに振り回されている感じも否めません。少しでも分かり合えたらと言う思いで、コミュニケーションスキルに取り組んでいます。
移動カード
移動カードはトランジションカードと言ってスケジュールに戻るときに言葉のわからない生徒に渡すカードのことです。トランジションカードとこのブログ内で検索してもらえばわかるように今年度に入ってほぼ2か月に1回触れています。最近は(トランジションカード 2020/11/06)で書きました。すてっぷではトランジションカードをやめたのです。U君たち言葉をうまく理解できない人たちに身体プロンプトでスケジュールに戻ったり行先にいくようにしています。確かに誤解はなくなり、自分で考えようとしている姿が2か月過ぎからみられるようになっています。
スケジュールを自分で見てもらうようにするには最初は支援があったにしてもその後その支援をどう減らすかを考えておく必要があります。声掛けで「スケジュールを見なさい」と言おうが、トランジションカードを渡してスケジュールを見に行かせようが、やっていることは同じです。人的介入で行動のきっかけ(プロンプト)を作っているのです。
大事なことは、この介入をどうやってフェードアウトしていくかなのです。カードよりヴォリュームがだんだん落とせて発音数を減らせる声の方がまだましかもしれません。カードをだんだん小さくしても視覚的プロンプトは最後まで残ります。それに引き換え身体プロンプトは後ろから触るだけですし、自分で行動ができるようになればそれでプロンプトしなくていいのです。どう考えても、身体プロンプトの方がフェードアウトはしやすく誤解も少ないです。
ではなぜ、トランジションカードが我が国で20年以上続いたかなのですが、結局、スタッフ側の支援「満足感」なのだろうと思います。カード渡すことによって子どもがスケジュールに戻る姿はスタッフにはいい気分なのです。スケジュールを子どもが自分で理解するにはどうしたらいいのかということも、エビデンスをもとに説明したものはPECSのマニュアル以外に見当たりません。
結局、2005年初版のPECSをよく読んだら書いてあったということなのですが、本がぶ厚すぎて286ぺーにまでたどり着いていない人が私も含めて多いという事です。それと、改めて応用行動分析理論については、対人サービスに関わる人すべてが学ぶようにカリキュラムに入れるべきだと思います。
自分のことは自分で
高学年が「先生次何するの~」「どうすんの~」{~君が~してはる~」「何したらいい?」と放デイで話すを、「知的な遅れもないのに、自分で考えて行動しないっておかしいと思いませんか?」と男性スタッフが言いました。ごもっともです。ついつい、支援と過保護を勘違いしてしまうのが放デイです。
以前も、高学年のT君が公園に水筒を忘れてきた時、スタッフに取ってきてほしいと言うので自分のものは自分で管理しましょうとスタッフが言うと逆切れされた話(昨日はすみませんでした 2020/12/23)を掲載しました。でもT君が大人がやればいいと思うのはT君のせいではなく、周囲の大人の問題です。子どもに任せて忘れ物で保護者にクレームをもらうくらいなら、大人が子どもの持ち物をすべて管理して家に送り届けようと考えてしまうのです。子どもに任せれば忘れたり落としたりするものですが、それも自立のプロセスの中では必要なことです。大事なことは、そのあとあきらめるのか、工夫するかの違いです。
しかし、それを避けるために大人がやってしまっては、子どもは伸びる可能性を失います。最近やっと子どもたちが、自分で考えられるようになってきたとそのスタッフは言います。「ノープランで大人に聞くだけではなく、自分はこうしたいがどうかなと大人に聞いてみよう」と「何したらいいのじゃなくて、これをしたい、これをやろう」という風に変わってきたそうです。子どもが自立できそうなことは失敗しそうでも工夫して自立してもらうことが放デイの療育です。すぐに声かけない、すぐに手を出さない、すぐに失敗をフォローしようとしない、1分だけ待つ余裕が大事です。
サッカー指導の合理的配慮
最近小学生中心にサッカーでのパスを教えていると以前書きました(グッジョブ!01/21)。R君やS君もすごく上手になってきました。パスのやり取りをするのは、相手も動きも考えながらボール操作が必要となります。あまり他者のことを考える機会のない彼らにとっては難しくもあり新しくもある取組です。
前にも書きましたが、学校ではパスができない彼らにはボールは回ってこず、ボールに触れないからスキルが上がらない、スキルが上がらないからパスが回ってこないという悪循環に陥ります。体育は支援学級の子も協力学級に戻るのですが、ボール運動などは他者理解の苦手な人にはみっちりパス練習をしないとコートに立っても「お地蔵さん」という存在になってしまいます。
やらせてみると、そこそこボールを操作するスキルがあることも分かります。「上手やん」とR君を褒めると、「学校では触る機会がないから」とうつむきます。スポーツは全ての人の権利ですが、ただコートに立たせるだけでなく、パススキルを時間をかけてわかりやすく教えてほしいと思います。これは体育教科における合理的配慮だと思うのです。
近所の子どもと遊ぶ
インクルーシブ教育だとかダイバーシティー社会だとか難しい名前を付けて各校各園、各地で様々な取り組みをしています。すてっぷではそんな大げさに考えず、地域の子どもと公園で自然に交流して遊べるようにしています。昨日もQちゃんが先輩のR君と一緒に公園で鬼ごっこをスタッフ交えて楽しんでいると、近所の中学年女子二人が「私らも寄せて」とやってきたので、ウェルカムで遊びました。Qちゃんは1年なので近所の中学年の速さには及びませんが、そこはみんなちゃんと手(足?)加減してくれて、みんな体がぽかぽかになるまで走り回りました。
最近公園で鬼ごっこなんてしている様子はなかなか見かけません。そもそも五~六人で遊んでる姿は見たことがありません。昔は、遊びの「定員」に達するまで友達の家を回って「~君!遊ぼ!」と「営業」しに行ったものですが、この頃そんな声を聴くこともありません。そんなわけで、公園で走り回っているのはすてっぷの子どもだけなので、きっとうらやましかったのだと思います。「声をかけてくれてありがとう!また遊ぼうね」と別れました。
タイマーは自立のために
P君が近頃はタイマーが鳴ったら帰る用意を全て自分ですると報告されました。当たり前のことですが、これができるようになるのに3か月かかりました。P君はすてっぷに3年近く来ていますが、やっとできるようになったのです。それまでも彼は帰りの時間までタイマーを使っていたのですが、タイマーが鳴ると職員のところに持ってくるだけで自分で次の行動を起こそうとしなかったのです。結局、職員はタイマーを受け取って「帰宅の準備をしましょう」と言っていたのです。
これではタイマーが、スタッフのスケジュール指示を引き出すものにしかなっておらず、自立には意味がないということで、しばらく帰りにタイマーを使うのは中止して、自分でスケジュール操作を行うスキルの再学習をしてもらいました。帰りの指示は「帰りのカバン」絵を本人の前に置いてスケジュールの前に移動してもらいました。これが完全に一人でできるようになったらタイマーを導入してタイマーが鳴ったらスケジュールの前に移動を促しました。
やっと自分でタイマーが鳴ったらスケジュールに行って「休憩」を下に落として、「帰りのカバン」絵を今からやりますエリアに貼って、帰り支度をするようになったのです。タイマーは大人に報告するためにあるのではなく、当たり前のことですが子どもが自分から次のスケジュール行動を起こすためにあります。職員が困らないのでなかなか気がつかなかったという話です。
帰りたくない
O君は最近一人で通所できるようになりました。今までは、スタッフの車で送迎していたのですが、今は来るも帰るもある程度は自分の裁量です。実はO君、以前から帰りを渋っていたのですが、自分の携帯電話で「これから帰ります」と家に連絡することで帰る契機にしていました。スタッフは、歩いて5分の距離とはいえ一人で帰るのが不安なのかなと思っていたのです。
ところが、だんだん日暮れの時間も伸びてきて外がまだ明るいとふんぎりがつかないようで「帰りたくない」と言って帰ろうとしないのです。しかたがないのでスタッフがお母さんに連絡して事情を話して、本人に受話器を渡すと「ハイ!ハイ!」と聞き分けよく返事をするのです。なので、もう帰るかなと見ているとさっきのお母さんの返事とはうって変わって「帰らへん」と言うのです。結局、最後の子が帰る時間まで粘っていましたが、「スタッフが帰ってくるまで待っている」と言うので、「アカン。カエリ!」と帰ってもらいました。
こういう葛藤も、一人で帰るという行動を支援しなければおこらなかったと思います。一人で帰らせることは様々なリスクもありますが、自分で考えて行動するから今回のような経験ができたわけです。放デイの送迎は当たり前と言う感じですが、子どもはこうしたことから生きた学びをするのだと改めて感じた出来事でした。
弁別と教材
N君がいくつかの要求カードを使うようになってきたので、二つのものを見分ける力もついてきたかととりくんでみました。まずは黄色い▲と赤い■を同じ図の上にのせるマッチング課題に取り組んでみました。(この前に下図のように木型にはめ込んで自分で正解が確認できる教材を示すべきでした)見事にできませんでした。改めてPECSのアセスメントフリー(発達段階にこだわらずに取り組める)の力を見せつけられた感じでした。
N君がカードの中から選んで要求してくるのは、音の絵本・キーボードですがこれには種類があって合計6種類ほど、おやつもシートに貼った合計6種類の中から選び出して要求します。なければブックのほかのページを探して見つけ出すこともします。けれども、無意味な二つのものの弁別は彼にとっては文字通り意味がないのです。私たちが示す弁別課題とは純粋な認知行動ではないのです。子どもは利得があるから正答するのです。そう考えると「あ、ご褒美かぁ」とひらめいたのでもう一度トライすることにしました。
昔、先輩の先生が、子犬を3つのカップの中の一つに隠し、子どもが覚えているかどうかの検査を実施した時のエピソードを思い出しました。それには全く正答しない子が、お菓子を隠すと即座に正答したエピソードです。結局、私たちは子どもの何に働きかけているのかわからずに、教材ができたできないと評価しているかもしれないのです。
一人で過ごす力
新年度に向けて支援計画の話し合いが毎日続いています。支援計画の中で特に大事に話し合いたいことは、コミュニケーション・社会性・生活自立です。年齢や障害に一人一人差があるけれどもこの3つの観点は支援するうえで重要です。
生活自立の中には、いわゆる一人で過ごす力を「余暇」「好きなことをして過ごす」などと表現して評価していきます。M君は一人で過ごすことができず、一人になると外に飛び出して大人が追いかけてくるのを待っています。なんとか一人で好きなことをして過ごせないかと、あれこれ好きなことはないかと提供して試行錯誤するのですが、うまくいきません。
この場合、大人といることが強化子ではないかと考え方を変えてみることも必要かと思っています。大人といることは依存的で自立度が低いので一人で過ごせるように考えてきたのですが、原因はわからないけれど大人が離れると不安が高まるのなら、大人を含めてみんなと遊んだり作業したりすることが好きにならないだろうかと考えたのです。
その際に絶対に落としてはならないのが表出のコミュニケーションスキルです。「○○さんと××をして遊びたいです」とか「△△さんと★★の作業をしたいです」と表現できるようになることの方が重要ではないかという話をしています。
表出のコミュニケーションスキルが弱いので人を引き付ける飛び出し行動が生じているとは思うのですが、強化子がもしも大人といたいということなら少し話が違うのではないかと思うのです。何をして一緒にいたいかという中身を作らなければならないというところでは、一人で何をして過ごすかと同じ課題なのですが、少し楽に考えられそうな気がするねと話し合っています。
リモート学習会
今日から、地域の通級の先生方と一緒に「T式ひらがな音読支援の理論と実践 | 小枝 達也 関あゆみ 」のリモート学習会が全五回で始まりました。発達性読み書き障害についての正しい知識を得ようということで、当法人とリンクして昨年からこの取り組みが続いています。
昨年は、11月に読み書き障害の診断テストである「STRAW-R」研修会を40名ほどのリモート研修参加者で実施しました。今回はその続きで、一昨年刊行された、小枝達也先生の本の学習会です。今日参加したのは26名ほどの先生方でした。学校の理解が進まない、教員の知識が少ないとぼやいているのではなく、みんなで勉強会をしながら知見を広げていくことが大事だと思うのです。
文字が読めれば読み書き障害ではないと信じている先生方がまだまだ多い中、流暢性の欠如こそこの障害の本体だという事や、単なる読み書きの環境が乏しいから生じる後天性のものではなく、視覚や聴覚、手足が動かないなどの機能的な障害と同じだという理解をすすめることが必要です。これを本質的に正常域まで持っていくことは無理にしても、読み書きの易疲労性を軽減して、興味関心を広げることは可能だという事をこの学習会を通して学んでいけたらと思います。
こだわりと不適切行動
L君には場所のこだわりがあります。事業所は狭いので利用者30名分のカバン置き場は作れないので、毎日利用する約10名分の棚に毎日氏名を貼り替えて利用してもらっています。L君は上の段に置くと決めているようでこちらも彼のこだわりを知っているスタッフは上段に名前を張るようにしていたのですが、たまたま知らないスタッフが下段に貼ったので、L君は大声を上げて「上段がいい!」とスタッフに怒鳴ったのです。それを見た他のスタッフが事を収めようと上段に名前を貼り替えたのです。
反省会で「それって良い支援なの?」と今度はまた他のスタッフが質問しました。事業所にしてみれば利用者の毎日入れ替わるロッカーが上段でも下段でもどっちを使ってもいいことだけど、指定された事が気に入らないと怒鳴って言い分が実現するのはいかがなものかと言う意見でした。その通りです。ロッカーはどっちでもいいけど不適切な行動をスルーして要求を実現してしまえば、怒鳴れば事が実現すると理解してしまいます。不適切行動はやり直しが大事です。
「○○さん、僕は上段にカバンを置きたいですと2の(大きさの)声でいいます」とやり直させて言えたら、良く言えたねと上段に置いてあげればよいのです。すてっぷは女性スタッフが多いので子どもの大声等不適切な行動に驚いてしまい、その行動をスルーしてしまうスタッフも少なくないのですが、みんなで協力して正しい行動を引き出し、双方が終わり良しにしましょうと話し合いました。その際に、こだわりについて認めるのかと言う意見がありましたが、それは時と場合や内容にもよるし、もしも変えなければならないこだわりなら、本人が荒れている現場で「勝負」すべきではなく、その場はうまく「折り合い(交渉)」をつけて終わらせ、計画を練って穏やかに行動変容させていく手段をとるべきだと話し合いました。
ローマ字入力と読み書き障害
すてっぷではみんなでキーボード入力ができるようになろうと、小学校からの利用者にはローマ字入力に取り組んでいます。視空間認知の良い3年生のJ君はキーの位置は覚えが早いです。しかし、J君は本が大嫌いで漫画ですら読みません。文字から音に変換するのが苦手なのだと思います。一方で、K君は興味のある本は大好きなのだけど、視空間認知が良くないのでキーボード入力は大嫌いで、音声入力で一生乗り切ると言って嫌がります。ローマ字でのキーボード入力も十人十色です。でも、みんな本当はスタッフがブラインドタッチで打ち込んでいくキーボード入力に憧れているのです。
ローマ字に取り組んでいるのは、読み書き障害のある子どもたちの中学時代に英文を読む課題があり、ここにものすごいエネルギーを割くことになるからです。その際にローマ字の表記を知っていればある程度対応できるのです。ただ、根本的には英語表記は不規則な発音が多くローマ字だけで対応できるものではありません。ここでは、みんなが憧れるキーボード入力と音声検索は恥ずかしいという動機を利用して、アルファベットに慣れてもらい、やり残している五十音表記の音声配列を長期記憶に定着させるというのが裏側のねらいです。
以前ブログに掲載した読み書きに障害のあるドローン操縦士の髙梨智樹さんは、オンラインゲームにハマったことでローマ字入力が身についたそうです。チャット機能で対戦相手とコミュニケーションを取りたい一心で覚えたと言います。確かに苦手なことへの取組は動機が大事です。子どもたちの動機も把握してうまくローマ字入力に結びつけてタイピングソフトで時間短縮を目指します。
「聴覚法」は読み書き支援に効果あり
放デイに小学校から通ってくるH君をはじめIさんもJ君もK君も書字速度が遅いですし、漢字の覚えも極端に悪く、毎年当該学年より低い学年の漢字ドリルを与えられて宿題にしています。なので、この人たちは学校では知的障害と思われて特別支援学級に入っています。通常学級では補習をやってもやっても効果が上がらなかったし、みんなについていけないと言われて入級したそうです。やってもやっても効果が上がらないのは読み書きに問題のない人たちの教え方だからで、教え方が適していなかったと言われた人は一人もいませんでした。
通常の子どもと違うやり方でトレーニングする読み書き訓練を10年前はバイパス法と呼びました。音声から文字変換を行う通常の変換回路が障害されているので他の回路を使うという意味で「バイパス」の言葉があてはめられました。今は、単純に「聴覚法」と呼ばれています。このやり方を知っている教員は極めて少なく、学習障害の支援をしている民間機関でもこの効果を知る専門家がいなければ取り組まれていません。しかし、やり方は極めてシンプルで、家庭で毎日10分程度2か月も頑張れば成果が出る訓練法なのです。
2012年に、ひらがなか、カタカナが1年間以上習得が困難であった発達性読み書き障害児 36 名に、音声言語の記憶力を使った文字訓練の結果が報告されています。全員知能には遅れがなく、単語の音声記憶にも問題のない小学生です。また、訓練開始前に訓練したいと言っていた児童です。
訓練は、1)50 音表を音だけで覚える、2)50 音表が書けるようになる、3)文字想起の速度を上げる、でした。平均 7 週間以内で、ひらがなやカタカナの書字と音読正答率が上がり、平均 98%以上の文字が読み書き可能になりました。さらに、1 年後に測定したカタカナに関しては高い正答率が維持され、書字の速度も上がりました。この研究で、良好な音声言語の記憶力を活用した練習方法が、正確性においても流暢性においても効果があることが示されています。
【訓練方法】
ひらがなとカタカナの訓練では共通の方法を用いています。実施前に、訓練内容について説明を行った後に、本人に練習の意思について口頭で確認します。本人の意思が明確でない場合や、練習を拒否した児童については訓練を行いませんでした。「良くなりたいから支援してほしい」という気持ちはとても重要だからです。
はじめに、50 音表の音系列の記憶(音声言語としての 50 音表の記憶)再生を行います。具体的には、「あ、か、さ、た、な、は、ま、や、ら、わ、を、ん」が言えるようにした後、「あ、あいうえお、あか、かきくけこ、あかさ、さしすせそ、…、あかさたなはまやら、らりるれろ、あかさたなはまやらわ、わをん」と各列の最初の音をあ行から言い、目標の列に達したら、あ段からお段へと言うように指導します。
3 日間連続して正しく言えることを、次の段階に移行する条件とします。これが可能となった時点で、音の系列に沿って文字列としての 50 音表の書字訓練を行います。書字はまず、「あ」から 7、8 割の文字を自力で書ける箇所まで練習し、そこまで正しく書けるようになったらさらに次の、7、8 割書ける箇所までを練習するというように、量を調整しながら行います。
50 音表がすべて正しく書けるようになったら流暢に書けるようにするため、小学校 3 年生までの児童は 2 分以内で、4 年生以上の児童では 1 分半で書き上げることを目標とします。3 日間連続してこの目標が達成された時点で、仮名訓練を終了とます。その後、ランダムに提示した 文字の書き取り(102 個)を行います。練習は基本的には自宅で保護者の監督の下にて 1 日に 10 分から15 分間行います。専門家は来所時に訓練方法が正しく行われているかどうかや,進み具合などを確認して適宜アドバイスを行います。
この方法は最初の専門的アセスメントが大事です。音声記憶経路の弱い方には向いていないばかりか、逆効果です。取組んでみたい方は「じゃんぷ」で専門的な支援をしますのでご相談ください。
「読み書きが苦手」の一般的理解
発達性読み書き障害の問題は特別支援教育の中心的課題と言われているのに、医療や教育の関係者の理解は「字は読めている」「字は書けている」という怪しい識別ラインのままです。H君は書字は遅いですが、本やネットの知識は山ほどあります。新しいことへの興味もすべてネットと本から得ており、明智光秀の生涯や短波無線については大人顔負けの知識人です。これだけ字が読めるのなら読み書き障害ではなく、眼球運動の調整の問題と医師が診断したそうです。専門家でも理解はこんなもんかとがっかりします。
彼は、電波の指向性について「しむせい」と読んだりします。「向」の字は小3で習い、コウ 向上 傾向 趣向;むく 向く 向き、と音読み訓読みを習います。彼はもうすぐ6年生ですが、音読みがなかなか入らないのです。音読みしかできない、あるいは訓読みしかできないというのはこの障害の特徴です。つまり一つの文字に複数の音が対応させられないのです。指向性は一例で彼と話していると音読み訓読みが無茶苦茶で、これまでの読書経験が豊富にあるならどこかで気づくはずの読みが気づかれないのです。これは音として読んでいるというより意味で読んでいるからでしょう。また、彼に本を音読させるとものすごく遅いし躓きも多いのです。
このように、読めているけど確実に読めていない問題を「流暢性」の欠如とか「変換速度」の遅さといいます。発達性読み書き障害の本体はここにあります。文字社会ですから文字が目に触れないことはないし、興味があれば本もネットも調べます。しかし、それで読み書き障害ではないとは言えないというのが今日の研究の到達点です。流暢にできるということは、少ないパワーで読み書きができるということです。読み書き障害を見つけるには、まず読ませたり書かせたりして「年齢並みに」流暢かどうかということが重要です。文字が読めるから障害はないなどとは言えないのです。
算数障害
放デイには算数障害と思われる子どもが少なくありません。算数障害は、知的能力が低くなくても起こる算数の困難で、認知能力のアンバランスから生じます。認知能力のアンバランスを測定するWISC-ⅣやKABC-Ⅱなどの検査を行うことによって、どの認知能力が高いのか低いのかを見極めることが重要です。たとえば数処理の中で、数詞を覚えることができるようになるには、聴覚認知能力や聴覚的短期記憶などが主に必要であるし、数字を覚えることができるようになるには、視覚認知能力や視覚的短期記憶などが主に必要です。数概念のうち、序数性の獲得に関わるのは継次処理能力だし、基数性の獲得に関わるのは同時処理能力です。このような認知能力間のアンバランスの把握が必要だということです。
また、計算は、手続きさえ踏まえれば、概念的に理解できていなくても答えは出せたりします。そのため、数概念(基数性)の理解の困難については、通常の算数・数学の教科指導の中では非常に見えにくい部分です。算数障害があっても手続きで、概念理解の困難さをカバーしている子どももいます。さらに、知的障害ほどの低さはなくても、知的能力水準が平均より低いレベルにある場合には、認知能力の中のアンバランスがなく算数障害とは言えなくても、小学校高学年の算数の教科学習の内容となるとかなり困難が出ます。G君もその一人で、G君は計算ではなくて推論(論理性)が苦手です。
そのために、表のようなチェックリストに多く当てはまる問題を抱える子どもたちには、必ず個別の知能検査を行うなどして、全体的な知的能力水準がどれくらいか、また、知的能力を構成する下位の認知能力の強い・弱い能力を同定しておくことが重要です。全体的な知的能力水準が下である場合には、その子どもの抽象化能力に限界はあるが、偏りがある場合には、指導によっては理解できることも多いはずです。
現在は、電卓もあるし、普段の生活に使える様々なICT機器があります。子どもの状態をよくわからずに、子どもに「これでもか、これでもか」と一つの教授法によって学習を強いても、算数嫌いが増えるばかりです。将来の自立した生活のために、算数・数学のどの内容を理解しておけばいいのか、子どもによっては内容を精選することも、また教える側がより柔軟な教授法をもっていることも重要です。
グッジョブ!
Fさんはサッカーボールを見るととにかく強く遠くまで飛ばすのが良いことと信じていました。「いやいや、全てのボールゲームの面白さはパスでしょう」とスタッフは教え続けたと言います。ボールを力いっぱい蹴ったり投げたりするのは固有覚(筋肉)感覚としては刺激が強く入り気持ちいいのはわかるけど、ゲームの面白さとは関係がないのです。
毎日パスの面白さをレクチャーした結果、子ども2大人1のサッカー対戦ゲームでやっとスタッフをパスで抜くことができました。G君のアシストもよくてうまく抜くことができました。「グッジョブ!Fさん!」「え?グッジョブ?良かった!ご褒美ポテチでいいわ」「なんやそれ」とずっこけながらもスタッフも嬉しそうです。
パスの面白さを教えるにはある程度のパススキルとゲームのソーシャルスキルが必要です。どちらも苦手な子どもはチームメイトから取り巻きにいるように仕向けられます。ボールに関与できるからパスの面白さはわかるのです。それでも粘り強く教えればわかってくるのです。どんな取り組みもそうですが「グッジョブ!」の一言を子どもにかけるために放デイスタッフは粘り強く工夫を続けると言っても過言ではないです。
アフォーダンス
Eちゃんが、なかなかVOCAボタンが押せないのは何故なんだろうという話をしました。Eちゃんは手を振る常同行動があって、それがあるので身体プロンプトでボタンを押させようとしても無理があるというものでした。Eちゃんは物を持つ手としての機能がまだ十分でなく、つかめば投げる、人がいれば叩く(と思っているかどうかは分からない)ようにしか使えないともいうのです。
では、滑り台に登るときEちゃんは手すりを離しますか?と聞くとそれはないと言います。手すりはEちゃんに登ることをアフォーダンスされているのです。アフォーダンスとは与えるとか引き出すという意味です。変化を起こすスイッチは押すことをアフォーダンスするのですが、Eちゃんには音が出るくらいではアフォードされないのだと思います。もっと、圧倒的な変化をスイッチがアフォードしてくれる必要があるのです。
その点、体をアフォードする大型遊具はよくできています(当たり前ですが)。ブランコの鎖はつかむから漕げるし、シーソーのハンドルもつかむから足でけることができます。生活の中のもののアフォーダンスをデザインする事が支援だと言っても過言ではないです。だからどうするって?う~ん。とりあえずは動くおもちゃとかピカピカ光るスヌーズレンボックスのスイッチに押しボタンを使う事かなぁなどと話しています。押し続けられないから、離しても数秒回路がつながっているタイマー回路の制作が難しいのです。う~ん。
なんか違う
D君の絵カード要求が頻繁になってきて半年ほどですが、最近10分おきにおもちゃを要求してきます。どうも、要求はしたけど遊んでいるうちに「これじゃない」と思うのかもしれません。
拒否の仕方は以前教えていて、頭を振るのではなく手で押しのける風に教えていますが、これは絵カードと違うものを渡した場合のシチュエーションです。今回の場合は、手に入れて遊んでいるうちに「なんか違う」と思うので「いらない」でもないのです。
生活をしていくためには「欲しいものの要求」手段だけでは生活できません。なんか違う場合どうすればいいのかは、D君の場合は語彙を増やすしかないかなと言う話になりました。D君は絵カードがおもちゃとビデオと食べ物だけだったのです。
外に行きたいとき自分の靴を持ってきていたのに私たちはそれで良しとしていたのです。外出要求を出されるとちょっと待ってとか、後でねの交渉が多くなるので敬遠していた旨もあるのです。しかし、言葉のある子だって、どっか行きたいとか言うわけで、毎日大人は子どもと交渉しているわけですから、D君だけ交渉しないわけにはいきません。
外に行く場合は、車に乗る、ブランコであそぶ、お店に行く、公園にいく等外出シリーズを作ることにしました。ついに「あとでね」とか「今はダメ」をD君に教えなければならない段階に入ったわけです。さてどうなることやら。
お互い様
先日の週末、雨が降ったり突風が吹いたりで、外の活動は控えようという事になり、急遽BOOKOFFで、E君が見つけたコミックシリーズの欠番を探しに行くことになりました。ショッピングがあまり好きではないC君D君がすかさずブーイング「勝手に行ってきて。行きたくない」コールでした。
スタッフが「あのさ、E君はねけった(缶蹴り)嫌いなのに、君らに付き合ってくれているでしょ。君らもE君のコミック探しに付き合ってあげるべきでは?」と言うと、はたと気が付いたように「ほな、しゃーないなー」と二人は付き合うのでした。自分に付き合ってくれたのだから自分もという「お互い様」の理屈は、友達作りの下手な彼らにとってとても大事だと思いました。
令和2年度保護者アンケート実施中
HPの右列の一番上にPDFで「令和元年度保護者及び自己評価集計結果(公表)」というファイルがあります。これは毎年1回事業所の経営について保護者とスタッフから評価をしてもらい、改善を促進する仕組みです。
障害児通所支援事業者は、自ら提供するサービスの質の評価を行い、常にその改善を図らなければならないことが、定められています。放課後等デイサービスにおいては平成29年4月から、児童発達支援においては平成30年4月から、事業者は自己評価及び保護者評価を行い、その結果と改善内容を公表することが義務付けられました。
対象事業者は、おおむね1年に1回以上、自己評価結果等とその改善の内容をインターネット等に公表した上で、その結果を管轄自治体へ届け出ます。平成30年度報酬改定により、自己評価結果等の公表について届出がない場合は自己評価結果等未公表減算が適用されることになっています。
前回、保護者からは緊急時の体制や訓練について低い評価を得たので、今年度は災害時の計画や訓練に力を入れました。また、職員からは療育スペースの狭さを指摘されていたので、支援学校以外の通常学校の児童の利用を6年生までとして通常学校の利用増を抑制して、通常学校小学生の高学年から中学生まで対応する新しい事業所じゃんぷを10月に立ち上げました。
集計は今月中に行い来月には公表する予定です。同じく新事業所じゃんぷでもアンケート集約を進めています。集計することによって次年度の方針を職員全体で考えていくうえで有用な仕組みだと思います。何年も言いっぱなしになる放漫経営への抑止効果もあるので大事にしたい仕組みです。結果はまたブログでお知らせする予定です。【昨年の結果はこちら】
宿題は自学自習
B君の担任から電話がかかってきました。「宿題の出し方について先程お問い合わせがあったので連絡しました」と素早い対応でした。話の中身は宿題の基本は自学自習、自分の力でやり切れることが大事だという事でした。そのうえで、B君は読み書きの力の弱さがあって、本当は宿題に問われている中身(笑う時の言葉・泣くときの言葉)は8割がた理解しているのに、苦手な読み書きで8割の力を使うと残る2割で宿題で問われている本質を考えなければならず、結局一人でできないことになります。今日も人の力を借りないとできなかったという体験だけが残ってしまうのは良くないから、既存のプリントに少し工夫を加えて8割は一人でできるようにしてほしいというお願いでした。
今回の課題は、一番後ろにある十数語を笑う言葉は前に泣く言葉は後ろの囲いの中に書くという課題です。笑う言葉は「にこにこ けらけら」等、泣く言葉は「しくしく」「めそめそ」と言う感じです。中に「ワンワン」という犬の鳴き声などが「泣く言葉」のひっかけです。彼は書くのが苦手ですから、「笑いは① 泣くは② どちらでもないものは× を言葉の上に書いてごらん」と設問を変えると犬の鳴き声以外はほぼ正解でした。「終わったら、①を前の枠に、②を後ろの枠に書きます」と指示すると時間はかかりましたが写すことができました。
このプリントは、今日学校で先生と取り組んだ問題だそうです。マンツーマンで取組むときはできたというのですが、まず一人で読まねばならない、書かねばならないという提示の仕方では、それだけで頭が真っ白になるのかもしれません。宿題は自学自習で取組める工夫が欲しいですし、もしもそれが難しいなら、どこまでを大人が支援するのかを示して出してほしいと思います。私たちは、一人で宿題が終われて、できたーと言って、スカッとした気持ちで遊んでほしいと願っています。
視覚的支援は調子のいい時からはじめて
Aちゃんが階段の踊り場で大声で泣いています。聞くと、事務室に入りたいのを止めたから泣いているというのです。以前も事務室をのぞこうとはしましたが断られて泣くことはなかったです。よく聞くと、山歩きの時もいつもは「もう少し歩こう」と言うだけで理解していたのに、今日は最初の休憩地に着くとすぐに帰ろうとしたそうです。行動に余裕がなく、できるだけ同じことをトレースしようとする傾向、つまり、繰り返しのこだわりが強いと言います。
ASDの子どもで、表出コミュニケーション力が弱い子どもは、いつものお決まりの繰り返しやパターンを大事にします。周囲はそれをこだわりと言いますが、聞いて理解したり要望が交渉できない人なら、とりあえずはパターンに頼って生活するしか方法がありません。「以前は言うだけで分かったのに」と大人はよく言います。誰だって調子のいい時と悪い時があります。前は調子が良くて聞いて理解できたのに今日は調子が悪くて理解できない場合もあるのです。
指示の方法は、理解や表出のコミュニケーション能力が低い時(調子悪い時)に合わせてあげるのが基本です。理解は絵や写真で、表出は要求カードで、お願いしたいのです。ただ問題は、調子が悪くなると絵カードが出てくる、視覚支援を行うというのはいただけません。考えてみてください、しんどい時にしか出てこないカードが頭に焼き付けば、カードを見るだけでしんどい場面が想起されるかもしれないからです。調子のいい時から視覚支援には取り組んでほしいです。
書初め
書初めをしました。スタッフから「好きに書いていいよ」と言われて「うし」「明日」、とか活動休止の嵐が好きな子はメンバーの名前を書いたりと様々です。その中で、Z君が「死」を書いていました。Z君は高学年のASD児で、後輩のいう事にはしんどい時も耳を傾けてうんうんと頷いているとても優しい子どもです。
スタッフに何故そのままにしておいたか聞くと、「好きに書いていい」と指示したからと言います。ASDの人の中には字句通り言葉を受け止める人がおり、言われたとおりに行動したのにケチをつけられて怒る子がいるのをスタッフは知っているから、修正しないままそのままにしたのです。
しかし、それではZ君は何も学べないよねと話しました。お正月が明けて、みんなが「おめでとう」と言って出てきた放デイで、書初めをするということは、好きに書くにしても「暗黙のルールがある」ことを説明する必要があります。いくら自分が「かっこいい」と思っている文字でも、他の人がお正月に「死」は嫌だなと言われたら、それは書かないというのが暗黙の「おめでとう」ルールだと説明すればいいと話しました。
その話を翌日にすると、Z君はこちらで用意した言葉から「己」を選んで書初め(正確には書き2回め)をしました。選んだ理由を聞くと、今年は自分を見つめることが大事だからと言ったそうです。Z君は4月から中学生です。
求人広告
「すてっぷ」の非常勤のスタッフが辞めるのでその補充に求人広告を出しました。地域密着型の広告紙なので次から次に電話がかかってきます。「放課後等デイサービスって障害児がおられるんですか」と言う人から「ホームページで見てよく知っています」と言う方まで千差万別です。広告紙の読者層もあるのでしょうが、ほとんどが「主婦」の方です。
求人広告を地域に配布するのは、ご近所の方にもこの活動をしってもらい、応援していただきたいという思いもあります。求人にあたって専門知識がなくてもよいのかと言われることが多いです。専門的な知識と言っても、子育てをしてきた方なら共通するものも多いでしょうし、子育て経験がない方でも子どもの頃遊んだ経験は支援に役立つ実践的な知識です。わからないことは、スタッフがサポートしますからぜひ一度お声がけください。もちろん学生の方も大歓迎です!
自立移動
Y君が散歩のときにいつもみんなから離れて歩くのでスタッフは見守りながら近くを歩いています。交通量の多い横断歩道でみんな青信号を待っていました。車が途切れた時に、ふっとY君が足を車道に踏み出したのでスタッフが止めましたが、信号は見てないのだという事がわかりました。
話し言葉でコミュニケーションできない人に信号や交通ルールがどの程度理解できるのかはよくわからないです。ただ、まったく無理だと思って信号や道路横断を教えないというのも違うように思います。赤なら止まることを教えるのは可能ですが、歩行者が青でも突っ込んでくる車両もあるので青の教え方は難しいです。
自立は可か不可かではなく、その間に依存度がどの程度かという考え方が重要です。「この人はわからないから」ではなく、どの程度ならわかるのかという見極めと挑戦が必要となります。「どっちにしたって人手はいる」という支援側の目線ではなく、一人でここまではできる、ここは手伝ってもらうという本人側の目線が必要です。その積み重ねが自尊感情を育てる土台になるのだと思います。
友達ができる薬?
犬猿の仲だったW君とX君がここ数か月大親友のように遊ぶようになりました。W君はもともと乱暴な子ではないのですが毒舌では彼の右に出るものはいません。X君はちょっとしたことで大声を出したり意地悪をするので、その行為を見てW君がX君をディスるのです。それでまた、X君が激情するという悪循環でした。
ところが、最近二人はとっても仲がいいのです。聞くとX君が怒ったり大声を出さなくなったというのです。X君は、一昨年から何種類か落ち着くことを目的に服薬を試していたのです。何種類目かに変えた頃からとても穏やかになったのです。そうすると本来のX君の良さが出てきてこれまで寄り付くことがなかった子までがX君と付き合うようになったのです。本当は友達が欲しかったX君はそれを契機にどんどん穏やかになっていったのです。
X君は薬のせいだと思っていますが、薬はきっかけを作っただけです。こうすれば友達はできるんだなと学習したからです。服薬の調整には時間がかかりますし、効果があっても副作用でやめざるを得ない時もあります。薬の種類を変えて自分に合う薬を探すのに粘り強く取り組んだ結果、「友達が欲しい」という願いが叶い、友達をゲットするスキルも自分の力で学べたのです。本当によかったなと思います。
大声の原因
U君やVさんが理由は分からないけど、えらく大声を上げるようになっているので心配です。ASDの方でコミュニケーションスキルが少ない方の場合、声のコントロールをお願いするのはとても難しいのです。「うるさい」というのは本人の感覚ではなく他者の感覚です。声ですから声を出した後は消えてしまいます。視覚に示すこともできません。つまり、他者が何をどうしてほしいのかがとても示しにくいのです。
コミュニケーションスキルがある程度ある人には、「声のレベルメーター」を示して「レベル2でお願いします」とは示せますが、レベルメータを認識するには人と自分を比べる力が必要になります。なので、事業所内で活動する時に声のコントロールができない人は一緒に集団活動ができません。音刺激に弱い人も大勢いるからです。
大声の理由は様々ですが、人が注目したり、人が離れていくことに利得を得ている人が少なくありません。しかし、最も厄介なのは本人の感覚刺激となって快感を感じている人です。腹筋や声帯に力を入れるのがいい人もいれば、頭の中で音が響くのがいい人もいます。この場合は快感を奪う方法を考えるわけですからとても難しいのです。
何かいいアイデアはないか検討中ですが、まずは詳細なアセスメントをして静かな時がどんな時かを見つけていこうと思います。ただし、本人の意思とは関係なく短い大声を出してしまうトゥレット障害の場合は、まずは医療との連携が大事です。服薬でよくなる方もいるようです。
応答の指さし
最近、T君が指差しをすると言います。「ほんまかいな?」と疑うスタッフがほとんどでした。指差しは前言後の段階です。よく1歳児が「あ、あ」と大人に向けて声を出しながら車や動物を指さします。「そうだね、ブーブーだよ」「ワンワンだね」と大人は答えを繰り返します。これが自発から叙述の指差しの段階です。そして音声を学んだ子どもは「ブーブー」と車を指さして大人に知らせます。
ところがT君の指差しにはこの段階を飛び越えて「欲しいのはどれ?」「どっち」に応答して指差しで答えます。もちろん「これ」「こっち」と言う言葉を獲得していません。おそらく、このスキルの獲得はPECSのトレーニングの結果だと思います。PECSのフェーズ3は欲しいカードを選んで相手に渡します。もちろん、どっち・どれとは聞きません。間違えば間違ったものを渡し、正しいカードを教えるだけです。
このトレーニングが「選択したことを指さしで相手に示す」方法をT君に気づかせたということです。発達的に言うとその前に指差しの「指向」「自発」「要求」「叙述」の段階を経て「応答」が始まるのですが、T君には応答以前の指差し行動は見られませんでした。いきなり応答の指差しだと言うのです。人と見たものを共感することより、欲しいものを指さしで手に入れる方が彼にとっては意味があったのかもしれません。
もちろん指差しは直接モノに触れず指さすから言語と言う記号に発展すると考えられているので、モノに指先を近づけがちなT君の指差しは「?」のところもあります。また、応答表出は自発表出を抑制しやすいから評価できないというのも彼に限っては少し違うような気がします。
現場が知る子どもの発達は同じ筋道ではありません。同じ人が多いというだけで全員同じだという根拠は無いのです。発達には順序性があると遠い昔に習った記憶はありますが、違う発達の筋道もあるかもしれないという柔軟な受け止めが大切だと思います。ただ、柔軟性はセオリーを熟知している人にしか担保されないのも事実です。教条主義は無知から生じるものです。
計算とワーキングメモリー
S君が朝から「俺、宿題するわー」と冬休みの宿題を始めました。分数の加算です。通分の意味は分かるのですが、分母を同じにする最小公倍数を見つけるのに時間がかかります。これはワーキングメモリーの問題です。頭の中で簡単な計算をしたり短時間記憶しておく機能をワーキングメモリーと言いますが、これは人によって計算回数の能力が違ったり記憶しておく単語量が違います。
小学校の場合、大きな数字は出さない代わり暗算で解を求めさせようとします。もちろん仕組みを教えるときに書き出して理解させようとしますが、実戦は暗算です。こうなるとワーキングメモリー量がものを言います。なので、暗算の苦手な子どももは書き出せばいいのです。
また、公倍数の意味さえ分かっていれば、たくさん課題を出さなくていいのです。課題をたくさん出すのは、トレーニングによって暗算が早くなるようにという訓練的な考え方からですが、ワーキングメモリーの少ない子どもは、やってもやっても早くならないし時間だけがかかり苦行でしかありません。学校の担任は、ワーキングメモリーの実態を把握してトレーニングで暗算が早くなる人かどうか調べてからにしてほしいものです。
S君には「ゆっくりやればいいよ。インターバルで少しづつやろう」とは言っていますが、量が多すぎます。意味が分かっていて暗算が弱いなら量は求めない配慮が大人には求められます。
公約数・最大公約数は『連除法』を用いれば楽に求められます。要は、連除法をして外側の数をすべてかければ最小公倍数となり、最大公約数は縦をかければいいのです。こうして書いて公倍数・公約数を見つけるのは時間がかかりますから、量を減らして意味をつかませながら計算をさせます。その方が、今後難しい問題に出会ったときに絶対に役に立つのです。
謹賀新年
新年あけましておめでとうございます。
昨年は格別 の御厚情を賜り、厚く御礼を申し上げます。
本年も一同、皆様にご満足頂けるサービスを心がける所存でございますので、 何とぞ昨年同様のご愛顧を賜わりますよう、お願い申し上げます。
皆様のご健勝と益々のご発展を心よりお祈り致します。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
新年は1月4日(すてっぷ)1月5日(じゃんぷ)から平常営業とさせて頂きます。
令和3年 元旦
NPO法人ホップすてーしょん 職員一同
よいお年をお迎えください
すてっぷでは子どもの記録をデータで呼び出せるように、エクセル1行100文字程度で毎日印象的な事柄の記録を残しています。細かく思い出すのは連絡帳がいいのですが、大きな変化や特徴的なことを短時間で把握するにはこちらのほうが使いやすいです。昨年の4月から初めて21か月分約5000行分の書き込みを眺めていると、確かな子どもの変化がわかります。低学年は支援がヒットすればすぐに変化を見せます。一方で、中高生は当たればホームランですが、相変わらずの結果も少なくないです。
もしも子どもたちが大人の記録をつけたなら、スタッフのことはどう記録するのだろうかと思います。新入りのスタッフはめまぐるしい成長を見せるし、年寄りは相変わらずの言動が多いのでしょう。自分たちの支援が本当に子どもたちに届いていたかどうかは子どもの変化に現れます。相変わらずと言っているのは私たちの力が及んでいないということです。また、子どもたちが放デイで過ごす時間はほんのわずかです。成長したのは家庭や学校や学童保育や他の事業所での育ちの総合的な結果です。そう考えてみると、一事業所の放デイが子どもの成長にどの程度影響を及ぼしたのかは測る方法がありません。
ほんのきっかけを与えるだけだったかもしれないし、足を引っ張ることはないにしても、家族の思いと方向性が違ったかもしれません。記録を読んでいくと一人ひとりついて話し合った記憶が蘇って、本当にあれでよかったかどうか考えさせられることも少なくありません。スタッフにも無理を言いすぎていないかも気になるところです。療育とは一人でできるものではなく総力戦だからです。そんな風に考えていくと、みんながつながって成長していく図が見えてきます。子どもだけでなく、その取り巻きも育ちあうことが大事なんだと思います。
今年は、10月より念願の新事業所「学びの広場 じゃんぷ」を西向日に開設しました。まだ利用者も少なく、地域住民にも広く知られていませんが、通級指導の先生などとも勉強会を持って、じゃんぷの認知度を上げていこうと努力しています。読み書きを中心とする学習障害のある小中学生への支援と、発達障害のある子どもの就学準備を家族と共に支援していく通所支援事業を軌道に乗せていきたいと思います。もちろん、自立性と自発性コミュニケーション支援を軸にしたすてっぷの実践にも磨きをかけていきたいです。
今年も保護者の皆さんはじめ、たくさんの皆様にお世話になりました。ありがとうございました。良いお年をお迎えください。
NPOホップすてーしょん職員一同
尚、HPとすてっぷは1月4日から、じゃんぷは1月5日から営業を開始します。
凧揚げ
凧揚げの季節がやってきました。凧揚げ名人のQ君やR君の腕の見せどころです。でも、昨年の教訓でAMAZONで値段の高い凧(ゲイラカイト 700円)を買っても、後ろを向いて走れない子が多くて逆さに凧を引っ張って走ってしまいすぐに潰れるので、近くの100円ショップで買う事にしました。なんとAmazon一個分が一個110円で6個も買えるのです。これで、子どものタコ走りを心置きなく鑑賞できます。淀川河川敷公園に今日はいい北風が吹いていて、高く高く上がりました。
自作凧を上げようとしているのですが、不器用な子が多いのでどの凧を作るか思案中です。連凧なんかが一体感があっていいのですが、ちょっと難しいです。グニャグニャ凧(縦張2本)だけどそこに一文字づつ書いてみんなの願いを上げたらどうかという案があります。お正月とか世界平和ではありきたりだし、宿題上等とか忘物御免とかでは迫力がないので良い案がないかこれも検討中です。
お買い物キャリア
今日は昼から雨が降って、凧揚げのプログラムが買い物に変わった人もいます。買い物でいつも思うのは子どもの経験値です。コンビニの前で突っ立ている子。商品棚の前でほしいものが選べない子。レジの前でもじもじして商品が購入できない子。そもそも、自分の財布という意識がなく財布は大人が使うものと思っている子。障害が軽くても重くても、経験を積み重ねている子どもとそうでない子どもは全く違います。
学校や事業所で、お買い物教材に取り組んでいますが、お金や財布の準備から店内の移動は全て介助が付き、レジでお金を渡すところだけ子どもにさせている風景をよく見ます。これでは買い物の経験にはならないと思います。最後はスタッフが店の外で待っている風にしないと経験にはならないと考えるからです。レジの人には前もって協力をお願いしておきます。子どもは失敗するかもしれないけど一人で買えるようになるように協力してほしいと依頼します。自分のことは自分ですることを、消費活動についても小さな時期からコツコツと取り組んだ子は、言葉が喋れなくても高等部の頃には、お店の中で堂々とショッピングしています。
お金の選択や計算の出来ない子には、財布に「おつりとレシートを入れてください」と貼って財布ごとレジで渡すように練習します。しかし、最近は電子マネーがあるのでタッチするだけです。ICOCA等公共交通系のフェリカカードは普段電車に乗らなくても、コンビニではとても便利に使え、指導もしやすいです。スマホがあれば金額と場所と時間がわかるので管理もしやすいです。