すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

フラッシュバック?

みんなで向日神社に初詣に行きました。小学生が真剣に手を合わせている姿をみると微笑ましいです。神社の参道はいつもは静かなものですが、さすがにお正月期間は人出も多く、ざわついた感じです。するとB君が1年ぶりくらいに走り出しました。B君の注意喚起行動は以前は毎回のようにあって、職員の注目がなくなると事業所を抜け出して、近所のマンションのエレベーターを目的に逃げ回ると言う行動です。

このB君の行動は昨年の今頃を境にして消滅していました。職員が対応を変えたからです。それまでは、自立を目的に自分のスペースで余暇を過ごしたり自立課題に取り組んだりという大人の注目を減らす取組でした。でも、B君は注目が欲しいのですからこの方略では利得がありません。たしかにサイダーやラーメンは好きですが、強化子が大変少ないのでいつもサイダーやラーメンと言うわけにもいきません。

最大の強化子が大人の注目なのだからと思い切って彼の適切な行動はどんどん注目するという作戦に変えたのです。結局、逃げないようにマンツーマン体制が必要なら、積極的にマンツーマンを生かしていこうという作戦です。作業や課題ができたら必ず褒めるというただそれだけの事ですが、大変効果がありました。要するに私たちは、もう中3なんだから自立してよと突き放すことが多かったのですが、彼にしてみれば中学だろうと高校だろうと無視しないでよと言いたかったのだろうと思います。

良い行動に良い注目のサイクルが出来上がると、B君の飛び出し行動がピタッとやみました。お手伝いや身の回りの準備など適応行動も増えていき、B君は注目は逃げなくても得られるとわかったようです。この実践例は私たちも大変うれしかったのと、目からうろこの実践だったので、昨年の成功例の中でも何度か繰り返し報告しています。

今回の参道での飛び出しは、神社の警官詰め所の中にエレベーターが見えたのが大きな原因なのと、お参りの人出の喧噪で周囲がやかましいと言う不快感がかつての不適切行動をフラッシュバックさせたのかもしれません。他にも年末お正月をはさんでの初めての通所で新しい職員がついているというのも少し緊張感があったのかもしれません。エレベーター室が施錠されていたのと、職員も派手に追いかけるという対応をしなかったので事なきを得ました。

フラッシュバック行動のあるASDの子どもは他にもいますが、今の文脈とは全然関係ないのに、不快感情が生じると繰り返してしまうのは本人もつらいだろうと思います。適切な社会行動を増やし安心して過ごせる環境の準備と、不快な事も表現できる表出コミュニケーションのトレーニングを積み重ねていくことが最も効果的だと思います。ただ、道のりは長いです。伴走者としての支援者の腕の見せ所です。

 

 

新年の抱負

子どもたちが通所してきました。今日は向日神社で初詣をして、西山に登って京都盆地も一望でき1年の始まりにふさわしい穏やかな日和でした。書初めで、みんなの抱負が事業所に掲げられました。

さて、NPO法人ホップすてーしょんの今年の抱負は、事業の「SDGs」です。「SDGs」は最近よくあちこちでレインボー輪のシンボルが掲げられて出てきます。持続可能な開発目標という英語の頭文字が「SDGs」です。17の世界的目標、169の達成基準、232の指標からなる持続可能な開発のための国際的な開発目標。 ミレニアム開発目標 が2015年に終了することに伴って、2015年9月25日の国連総会で採択された『持続可能な開発のための2030アジェンダ』 に記述された2030年までの具体的指針です。

国連の目標と民間会社やNPO法人に何の関係があるかと言えば、その17の目標のどれかに貢献することと、それを掲げた団体も持続可能な事業目標を持って共に活動しようと言う意味があります。「3 すべての人に健康と福祉を」「4 質の高い教育をみんなに」「8 働きがいも経済成長も」「10 人や国の不平等をなくそう」「11 住み続けられるまちづくりを」「16 平和と公正をすべての人に」「17 パートナーシップで目標を達成しよう」と7つほどの目標が共有できそうです。

福祉と教育は言うまでもなく、私たちの放デイが子どもたちを対象にして、彼らの苦手とする社会性を無理のない程度に伸ばす取組や読み書きを個性に合った方法で教えていく取組があげられます。就労や公平性については、私たちの職場でも、子どもたちの未来の市民社会でも実現を目指す取組です。そして、それを公的に求めることはもちろん、官民一体になって進められる事業体を目指そうと言う取組です。

SDGsの「持続可能な」というのは、お題目ではないと言う意味と、交渉しながら平和的に達成できる目標と言う意味です。実現可能な目標と実際に動き出す事業を作るという事です。我々の間ではよく「連携」という言葉が多用されます。保護者・学校・行政との連携、事業者間の連携と何度も何度も使われます。これは、笛吹けど踊らず状態が長く続いている証拠でもあります。掲げた目標が、実際に関わる人々の全員の利益になり負担が少なければ、パートナーシップは実現します。WinWinの関係を作るにはお題目にさせない知恵が必要だと思います。

放デイ事業については、PECSの契約を必要な利用者家族と行えるようにすることやトレーニングを受ける職員を増やすことです。読み書きのアセスメントも契約に基づいて実施し、ペアトレの契約希望者実施など専門支援にふさわしいPDCAサイクルを作っていくことが求められていると考えます。放デイの新しいガイドラインが実施される時期(おそらく2024年)までにこのスタイルを定着させていきたいと思います。また、放デイ事業が持続可能になるよう新陳代謝も行い新しい人材を迎えて、安定的な事業展開を目指します。

法人事業については現在のところ京都発達性ディスレクシア学習会の支援のみですが、法人社員も100人規模を目標に増やし、当面は発達障害の方の就労支援も視野に入れて検討していきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

NPO法人 ホップすてーしょん職員一同

新年あけましておめでとうございます。

新年あけましておめでとうございます。

「寅」という文字には「まっすぐに伸ばす、引っ張る」という意味があり、家の中で矢を両手でまっすぐに伸ばす様子を表しています。家を表すうかんむり「宀」に、「矢」、ひきとめるという意味の「臾」を足して「寅」という文字ができました。中国の『漢書』では、「寅」は草木が伸び始める状態を表すと解釈されています。

中国伝来の十二支は、もともと植物が循環する様子を表しており、その年の特徴につながるといわれています。寅は十二支の3番目で、子年に新しい命が種の中で芽生えはじめ、丑年には種の中で育つがまだ伸びることができない。寅年は春が来て根や茎が生じて成長する時期、草木が伸び始める状態だとされています。

寅年生まれの人の特徴は、前向きでチャレンジ精神が強く、何事も強い信念と自信をもって挑んでいく傾向があります。行動力に加え社交的なためリーダーに適していますが、自信家で負けず嫌いな性格から反感を買うこともあるそうです。

すてっぷは4年目、じゃんぷは2年目のお正月です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

すてっぷの営業は1月4日から
じゃんぷの営業は1月5日から

今年もご利用ありがとうございました!

「数年に1度」の強い寒気が流れ込んだ影響で、27日も日本海側を中心に雪が降り続きました。滋賀県彦根市では積雪が平年のこの時期の約36倍となる73センチを記録するなど、近畿北部や山陰で記録的大雪となって閉鎖していた名神高速道路は先ほどやっと解除されたそうです。事業所送迎車は冬はスタッドレスタイヤにいつも履き替えています。開設4年目でやっと日の目を見るかと思われましたが、本日まで雪はちらついたが積雪量はゼロということで空振りです。しかし、積雪があると、そもそも周囲の車がノーマルタイヤですから送迎車だけが雪タイヤを履いていても、衝突の危険率は高まりますので降らないに越したことはありません。

今年も無事に最終日を迎えました。今日は大掃除ですから子どもたちには早く帰宅してもらいます。昨年は、小学生卒業後の行き場がないのでじゃんぷを作ったけど、思うように利用者が増えないとぼやいていました。お陰様で1年たってやっと人件費と収入がバランスするようになってきました。新しい事業所の内容について理解してもらうには時間がかかります。高学年以降の学習障害のある子に自学自習ができるように支援していくためには、まず自分の力で通所してほしいというのが条件なのですが、「送迎があればいけるけど」という答えが返ってきます。自分で選び自分で決めるというのが高学年以降の子どもにとってはとても大事です。もちろん、選ぶものを紹介してあげたり背中を押してあげるのは家族や関係者の役割です。

低学年の時期は、行けば楽しいことがまず重要です。でも、その楽しさですら、長続きする楽しさや仲間で共有する楽しさを得ようとするなら、学びが必要です。それは暗黙の了解や常識という通常は見聞きできない約束事や、相手の心の動きが見えにくい子どもたちにとっては、前もって学んで取組んでみることが大事です。私たちが、子どもへの予告や約束、交渉や契約が大事だと言う所以です。そして、約束通りできたことは何度でも賞賛されたりご褒美があり、皆と楽しく過ごす体験を積み重ねていく中でこそ、本当の楽しさを知れるのです。その中で最も必要なスキルは表出コミュニケーションです。自分の欲しいものややりたい事が他者に表現できないと、交渉が成り立ちません。大人が決めつけたり押し付けたりしている約束は、自分の目的とリンクしていないので、約束はいつまでたっても本物にはなりません。交渉が成立して自分の目的も達成させる中でこそ約束=真の社会性は身に付きます。

そんなことを、あぁでもないこうでもないとブログに掲載し続けて、なんとホームページの閲覧者は、1千万ビューを超えた7月から半年で500万ビューを増やして、1千5百万ビューを超えました。これは、毎日3万回の閲覧を得ていることになります。兼好法師の徒然草の冒頭のように、「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。」風なブログなので、読みづらいし論理が一貫していないものもあったかと思います。そこは徒然草の冒頭の最後「(思わず熱中して)異常なほど、狂ったような気持ち」になっているのだとご理解いただき笑っていただけたらと思います。2千万ビューはこのままいけば半年後の予定です。ではみなさん、良いお年をお過ごしください。

読み書きのアセスメント

先日AさんのKABCーⅡ検査と発達性読み書き障害をスクリーニングするSTRAW-R検査を終えました。KABCーⅡ検査をしたのは、ご家族から進路にむけて知能検査面から説明を受けたいというご要望があったからです。認知面だけ検査するWISCーⅣと違いKABC-Ⅱは学習到達の状況も把握できるので、学習状況が正確に把握できない学校以外の施設で実施する検査に向いています。

そこでわかったことは、【認知総合尺度】と【習得総合尺度】はどちらも通常レベルとの境界域にありバランスが取れていることでした。詳細に見ると法則性を掴んだり吟味して推理する計画尺度が本人の平均値より低いことや、一般知識が少ないことでした。認知力の割に、学校での学習が、よく言えば無理をしていない事なのですが、理解できそうな事が教えられていない事が気になりました。おそらく支援学級在籍で教えられなかった事が多かったのではないかと思われます。

或いは、読み書きを中心とする普通の学習アプローチでは教えにくいことがあったのかもしれないと思います。そこで考えられるのは、興味の限局やこだわりによって新しいことを受入れにくかったか、文章がすらすら流暢に読み書きできない事が学習性無力感を作ったか、またはその両方があったと思われます。これを探る必要があったので、STRAWーRでスクリーニングをしてみました。すると流暢性かなり低く、RAN(rapid automatized naming=音読の自動化速度)課題が低学年並みの速度しかないことがわかりました。

おそらく、Aさんは音読は辛うじてできるけど読む速度が遅く、自分で読むには相当のパワーを必要としているのかもしれません。つまり、読書をするととても疲れてしまい意味を掴んで興味を持つところまで行きついていなかったかもしれないのです。もちろん、特性によるこだわりの線も捨てきれませんが、読みに問題がありそうなことは分かってきました。特支級に入ると勉強できない理由が、知的な遅れが原因とされやすく、適切な学習アプローチが明らかにならないことが少なくありません。まだ、はっきりわかったわけではありませんが、丁寧に検査返しをしていこうと思います。

興味本位

小学生二名と公園からの帰り道、Xさんが「質問しあいながら帰ろう」という事になりました。おそらく、Xさんは新しい職員のY先生の身上を知りたかったのだろうと思います。「え~っと、好きな食べ物は?」「プリン」「焼肉」「もみじ饅頭」などと「へー」を繰り返しながら楽しく帰りました。ところが、Z君は聞かれてもいないのに、好きな漫画のキャラクターの話やらを延々とするのでXさんが「Z君!」とたしなめました。

「あのね、これはZ君の興味のあることを説明するんじゃないの。一人ひとりが質問に対して、簡単に応えていく場なの。わかる?」。Z君はそうですかと頷きながら、また自分の番が回ってくると「なんで好きかと言うと・・・」と説明を始めるのです。Z君は人の趣味にはほとんど興味がないのですが、自分の興味のあることはみんなに説明したくて仕方がないのです。

Z君は来年中学生です。彼の町では市内の公立中学校が選べます。彼は将棋クラブに入りたいのですが、近所の中学校二つには将棋クラブがないので困っているとのことです。だったら、地域の囲碁将棋クラブもあるから無理して将棋クラブだけのために遠くまで通学しなくてもいいよと伝えていますが、彼の関心は通学距離よりも将棋なのです。また、Xさんに「あのね」と説明してもらおうかな。

大縄跳び

子どもたちに大縄跳びを取り組んでいます。W君は跳べるには跳べるのですがどんどん右寄りになっていくので回し手の職員も右へ右へと移動することになり、それに気づかなかった後ろの子どもたちが引っかかてしまって、全員で回数が稼げない問題が生じています。どうすれば、W君の右傾化を修正することができるのか考えてみました。

W君は空間認知が悪いと言われています。乗ってきた車の位置を覚えられなかったり、大好きなPCのキーボード位置がなかなか覚えられないなどがあります。他にも、毎回送迎車の右から乗降するのに運転職員の動きにつられて左側に来てしまうことです。これは多分空間認知だけの問題と言うより、動くものに過剰に反応しやすくそちらを見てしまう癖が強いのだとも思います。

下手なスキーヤーは木や崖など行ってはいけない危ない方を見てしまうので、どんどん危険な方へ吸い寄せられるように進んでしまう現象と良く似ています。論理派のW君にはこの動きをビデオで見てもらい、自分が回る縄の方向を見ていることを確認してから、人は見たほうに体が向くのでそこに移動しやすいという理屈を教え、縄は見ないで正面を見ることで練習してみようと思います。乞うご期待。

冬休みに、良質の睡眠が得られるように

支援学校では冬休みが始まりました。多くの生活型放デイは冬休みの子どもたちの適度な運動保障や社会性が発揮できる場を用意するために朝から営業をします。今日も朝からお天気で子どもたちは西山や公園へ出かけました。風はすこしあるけれど、お日様が当たっている場所はそんなに寒くはありません。日光を浴びることで、体はセロトニンを作り出し、夜には睡眠ホルモンのメラトニンに変化させると言われています。夜中にぐっすり眠れるように子どもたちは昼間はしっかり活動するようにしていきたいと思います。

V君は睡眠がうまく取れなくて、昼夜が逆転しがちな子どもです。ASDの子どもの中には睡眠障害のある人が少なくありません。朝早く起き出しているので昼食後は眠くなり学校で眠ってしまったり、事業所への送迎車の中で眠ってしまったりします。そこで、V君を担当している職員によって眠ったV君を起こすべきか眠らせておくべきか意見が分かれます。今寝かしてしまうと、良質の睡眠ができず寝たり起きたりで生活リズムが作れないので起こそうとする人と、眠いのに起こすと機嫌が悪くなって指導者との関係性が崩れるので起こさないと言う人です。

どちらにも一理ありますが、現実は、昼寝れば夜寝るのは遅くなり家庭で明け方近くまで寝ていられるという家族のニーズがあります。ASDの睡眠障害は短時間しか眠れないという子どもも多いようです。そんな場合に家庭で早く寝かしてしまうと夜中起き出して、家族が眠れないという場合が少なくありません。睡眠不足は健康破壊の原因ですから、家族の健康を優先するには、短時間しか寝てくれないV君が真夜中に起きないように、遅くまで起きていて欲しいのです。

V君の家族の願いは、V君も同じように朝まで眠ってほしいことですから、昼間に眠らせておくのも、家庭全体の健康を守るという対症療法としては仕方がないのかもしれません。子どもが夜中に起きてしまう、眠ってくれないと言うのは保護者にとってはつらいものです。ただ、だからといって療育機関である放デイがV君の休憩所になっていいものかどうかは、とても迷います。私たちにできることは、できるだけ外に出て日光を浴びて体を動かしてセロトニンの産出を促し、それを原料にメラトニンを増やし、良質の睡眠が得られるように努めることしかないようです。それでも事業所で眠ったときは家族の健康も配慮してケースバイケースで考えて行こうと思います。

K先生のじゃんぷ通信

K先生のじゃんぷ通信

年末が近づいてきました。
じゃんぷは2020年10月の開所から丸1年、おかげさまで利用者様も職員も増えて、去年よりずっとにぎやかな年末となりました。今年はクリスマスツリーに飾るリースを放デイで作ったり、(まだ年内ですが)書き初め企画をしたりと、利用者さんが増えたからこその学習以外の活動も充実してきました。

個別的な支援の中で、アセスメントをしながら読み書きや学習活動の基本から指導をしていきますが、「本当に力がついてきたなぁ」と感じるのは勉強場面だけではありません。数の理解や読み取りの力が伸びたことで、UNOやババ抜き、神経衰弱といったゲーム遊びの楽しさがわかるようになった1年生、おやつを食べながらのちょっとした読み聞かせを楽しみにしている3年生、ホワイトボードにその日の来所メンバーの名前を書いたり数字のクイズを作ったりするようになった読み書き困難のある2年生。

特に低~中学年さんの時期は、遊びや自由なかかわりの中で自信がついてきた力を、生き生きと発揮していきます。遊びの中味や質も、自分達で変えていきます。そんな子供達の姿が見られるのは、勉強も遊びも一緒の時間に行う放課後デイの醍醐味だなと感じます。

「勉強キライ」「今日はちょっとヤル気出えへん」と本音ももらしながら、やって来る子供達。穏やかな放課後の時間の中で、いざ机に向かえば、できそうなところは「ここは自分でできるし、何も言わんといて」と、一生懸命問題に向かう子供たちを見ていると、できない…難しい…という不安や弱音の向こう側に、やっぱり一人でできる!という実感や自尊心を、どの子も求めているのだなと感じます。

来年も、利用するお子さんにとって、穏やかに自分に向かい合い、適切な手助けを受けながら少しがんばれる、…そんな環境の一つになれますように、と思う2021年の年の瀬です。

 

子どもの最善の利益を考える

放デイにいるとたくさんの相談支援事業所の相談員と話をします。発達障害の事をよく理解されているなと思う人もいますが、知識の少ない人もいます。知識が少ないなら少ないなりに分からないことは保護者や事業所に聞けばいいのに、対象者が多くてそんな暇はないと言われます。いったい何のために相談事業をされているのかなと思う事もあります。

同じことは自治体の担当者にも言えます。子どもの事をよく知らないなら、保護者に電話する前に子どもを見に行くのが先決だと思うのですが、そんなことをしていては時間が足りないと言われます。だったら、事業者の言う事を信じてほしいと思うのですが、そういう方に限ってマニュアルの字句通りに判断しようとします。そして、現場に聞き取りもなく先に判断して支給に関する決定を突然現場に通告してきます。

確かに、サービスの支給量の決定権は自治体にあります。しかし、措置制度から契約制度に変わって20年近くたつのに、いまだに昔の感覚でお上が決めるのだから口をはさむなとばかりの高圧的な方もいます。いったい何時代かと思います。なんのために相談支援事業所がかくもたくさんできたのか、それは行政の仕事を肩代わりするだけの意味ではなかったはずです。

利用者に寄り添い丁寧に話を聞き、サービスの仕組みを説明をして利用者側の理解を得ていく相談のプロセスの中で、これはサービスにつなげる必要があると判断するのは事業者です。個別の理由を行政に説明する中で行政にも理解を得てサービス支給量を決定していくのです。決して行政が一方的に決めるのではなくよく相談をして決めるのです。マニュアル通りにやるなら機械にやらせた方が公平です。なぜそこに相談事業所があり人手を割いているのか考えてほしいです。

相談員は利用者に寄り添い、行政官は規則に寄り添いながらも、双方が話し合うのは利用者ニーズと行政規則の双方をすり合わせて、最善の解決をしていくためです。利用者側に立てない相談事業所は生き残れないし、相談事業者の提案を規則にないからと跳ね返してばかりいる行政官はAIにでも変えればいいのです。誰のために働いているのか、世知辛くなるとそこを忘れがちになるので、いつも原則に立ち返ってほしいと思います。

相談支援事業所とは 相談支援専門員が障害のある方やその 家族から相談を受け、様々な情報の提供や助言、及び福祉サービスを受けるための手続き等をお手伝いします。情報の提供をはじめ、必要に応じて行政機関や障害福祉サービス事業所とも話し合いを行い、子どもの利益を最優先にするための機関です。

ボールのやり取りとコミュニケーションレベル

Tちゃんが対人で向かい合ってボール投げやボール蹴りができないと職員が困っていました。Tちゃんは話し言葉がなく自分のつもりだけで動くので行方不明になりやすい子どもですが、しつけられた衣食のスキルは問題なくできる子どもです。Tちゃんの生活スキルだけを見ていると遊びもそれと相当なことが出来そうに思うのは無理もいないことです。

Tちゃん達は大人とマンツーマンの事が多く集団遊びが足りないので何か取り組めないかと提案されていました。そこで、先輩のU君やR君と一緒にボール投げやボール蹴りに取り組もうとしたのです。しかし、Tちゃん愛想はいいのですが、ボールが来てもそれを弄んでみたり座ってみたりするのでやり取りが成立せず遊べなかったというのです。

実は、コミュニケーションレベルとやり取り遊びは連動しています。コミュニケーションは相手からのメッセージを受信して返信していくというやり取りです。ボールのやり取りも言葉ではありませんが、そこに相手へに向けた意味があります。何も言わなくてもボールを相手に投げることは「うまく受けて返してね」という意味がこめられているのです。この意味を双方でやりとりするのでボールのやり取り遊びは楽しいのです。

この自分に向けてこめられた意味がわからなければ、ただ目の前にボールが転がってきただけなのです。向こうで職員が「こっちこっち」というから投げてはみますが、なんのために投げたか意味が分かりません。だから楽しくないのです。つまり双方のコミュニケーションが成立するには媒体が難しすぎたのです。簡単にするにはボールを相手に直接渡して「どうぞ」「ありがとう」の関係です。これなら渡すと言う意味は分かるし、距離が近いので気持ちも切れにくくなります。

Tちゃんには、PECSを取り組んだ方がいいねとご家族とも話しています。絵カード交換は、意味がカードに書いてあります。ボールに暗黙の意味を込めるのもすぐに意味が消える音声もよく似ています。私たちが絵カードコミュニケーションに力を注ぐ意味はここにあります。そして、Tちゃんに向いた集団遊びはみんなでつながって遊具をはしごしたり、向かい合って遊具で遊んでみる並行遊びが丁度いいかもしれません。楽しいねという情動を共有する場を作ることから丁寧に取り組みたいと思います。

 

支援計画作成の舞台裏

支援計画懇談が年度末にむけて始まりました。30名近くいる利用者の保護者に営業時間の限られた時間(午前中)内に来てもらうとなると、一日一人が精一杯ですから、毎日続けても2か月弱かかります。他にも、見学やら会議が入りますので、3か月弱は考えておくと、春休みに入れば朝から子どもたちが来るのでできないから、今頃から始めないと年度末中に終わりません。

長期休業以外の月に分散させても半年に1回支援計画は見直すので、1か月換算すれば10名にするか7名ほどにするかの違いなので、それなら実践計画や教材づくりに集中できる平日営業日を3か月間を作ろうということで、支援計画と計画懇談の期間を設けています。長期休業で全日忙しい3か月、教材づくりや実践の工夫をすることに集中する3か月に比べ、計画作成に関わる期間は6か月です。現場では計画作成に関わる時期が長すぎると感じています。

さらに、じゃんぷなど個別療育型事業所では週当たりの利用が1回だと、経営を成立させるためには利用者数をすてっぷの3倍程度に増やす必要があります。しかし、利用回数が少ないからと言って、機械的に作成時間や懇談時間を3分の1にするわけにはいかず、計画作成に関わる時間は大して変わらないので、支援時間に比べ計画作成にたくさんの時間をかけることになります。

それでも、利用者の保護者からは、他の事業所には見られないほど丁寧でわかりやすい計画書の説明だと感謝されることは多いです。そして、保護者理解が得られてこそ、全体で取組むことができ、子どもは変わっていくのですから、あまり機械的に時間を減らすのもできれば避けたいです。ただ、時間をかけたから理解が得られるのではなく、優先順位を明示して端的に説明することが大事だと心がけてはいます。

職員にとっても、自分の書いてきた計画やまとめを集団的に議論する中で、新しいことに気づいたり工夫が生まれたりしますから、大事な作業ではあるのです。それにしても、満足の得るものを作ろうとすると時間がかかります。毎回同じ計画を掲げているなぁと反省する子どもも出てきます。堂々巡りに行き詰った時は専門書を読んだり研修会に行ったりする必要がありますが、なかなか経営上難しい課題です。今回は、支援計画の舞台裏、楽屋話を書きました。ぜひ、事業所同士で個別支援計画の作成についての工夫などを交流するために話し合いたいものです。

できるようになっても褒めてあげよう

つい最近まで壁によじ登るわ、思い通りにならなければ叫ぶわ、衣服が少し濡れただけで素っ裸になるわのSちゃんが、最近とってもいい子だと評判です。不適切行動への最後の取組が9月頃、事業所に入る時の「こんにちわー」の大音声を、「2の声でお願いします」とあらかじめお願いして【2の声でお願いします : 10/13】、最近はひそひそ声であいさつをするSちゃんです。そこまで小さな声でなくてもいいのですが、やや小さいの調節はSちゃんには難しいようです。職員はSちゃんの小さな声でも必ずこんにちわと返すようにしています。それでSちゃんは満足なのです。

でも、賢くなったと言われ「普通になった」子どもは職員からの注目を浴びなくなります。特にASD児の場合他児ほど人に関心を示しませんから大人の方も忘れがちになります。しかし、それでは子どもは人に注目を向けないまま育ってしまいます。普通にできたことでも頑張っているんだと理解して、「上手だね」「偉いね」「すごいね」と声をかけてあげて欲しいのです。失敗しても大人の修正支援を受ければ褒めてもらえると言うことが記憶に残れば、今後も支援を受けやすくなります。

支援の「アフター支援」を確実にすれば、支援を享受するための関係性がしっかり結びつけられます。修正支援を受けた後は、しばらく褒めてあげることが大事です。できるようになったから褒めないのではなく、「よく覚えていた」「毎日頑張っている」ことを褒めてあげて、支援を受けて良かった感情をしっかり刻み付けてほしいと思います。そして、褒めている職員を見つけたら、職員の頑張りも褒めてあげて欲しいです。叱る事にはたくさんのリスクが付いて回りますが、褒める事にはリスクもコストもかからないですから。

 

文字が好きになる支援

R君が最近漫画の本を家で読んでいると聞きました。文字を見るだけで嫌悪感をあらわにしていたR君が漫画の吹き出しを読んでいるというのです。しかも、クリスマスのプレゼントのR君のオーダーは漫画本だそうです。えー字が嫌いだったのではないの?字をみたらイライラするんじゃないの?とこれまでのR君を知っている職員はびっくりです。

以前【発達検査でわかる事:10/20】でも書きましたが、遊ぶ仲間が変わり興味が増えるにつれ自分から文字を読むことが増えた印象があります。その変化に同期して認知力が向上したという知能検査の結果が出たのです。以前ブログに掲載した読み書きに障害のあるドローン操縦士の髙梨智樹さんは、オンラインゲームにハマり知らない相手にチャットを打つのが楽しくてローマ字入力が身についたそうです。R君も友達とマイクラ等でパソコンを使う事が多くなってから文字への抵抗が薄れてきています。しかも、R君には発達性読み書き障害はなかったので上達はあっという間でした。

R君が文字を嫌うようになったのは、スタンダードな文字の教え方をしたからです。通常、ひらがなを教える時、読めたらすぐに書けるように文字を練習させます。これは伝統的な「書いて覚える」という指導法です。R君の場合それがいけなかったのです。R君はASDでこだわりがあります。文字を見ると自分のこだわりで下から書いてみようとしたり、そっくりに書かないと気に入らないのでものすごく書写速度が遅くなり、その分練習量が確保できません。

そして、書き順についても周りの大人が「ちがうちがう」とダメ出しを連発します。ASDの低学年児に「ちがう」「まちがい」「ダメ」「✕」はご法度です。文字の練習のたびにこだわりが認められず、ダメ出しが続けられたR君は「文字なんて嫌だ」となったわけです。ところが、友達と共通の遊びでPCを使ったり将棋に興味を持ったりする中で文字にアクセスしないわけにいかなくなったのです。好きな事なら頑張れたというわけです。

そんなわけで、ひらがなカタカナも簡単な漢字もR君は自学自習で好きなことを支えに自分で獲得したのです。きょうだいの読んでいる漫画も面白いことに気づいたようです。漫画は全て文字にルビがふってあるので知らない言葉でも読めるし、絵で何となく意味がつかめるからです。こうしてR君は今も新しい言葉を仕入れて「勉強が楽しく」なってきたそうです。

周囲の大人はてっきり発達性読み書き障害があると思っていたのです。ASDの特性を考慮していない文字の教え方が原因で、文字を嫌っていたとは夢にも思いませんでした。自分の感情にも気づかず、言葉でもうまく表現ができない低学年期のASD児の行動は大人に誤解されやすいのです。我々も専門家でありながら2年もそのことに気づかず、発達性読み書き障害を疑っていたのですから、R君には申し訳ないと思っています。そして、まさか遊び集団を変えることで勉強が楽しくなるきっかけを作るとは思いもしませんでした。

字が読めることができれば新しい知識はどんどん入ってきます。今回の検査数値の急激な上昇もこのことと無関係ではないようです。もともと、低学年の時も文字を読む力はあったけれど、新しいことを学習する力が弱かったのです。こだわりへのダメ出しに過敏に反応していたのです。ASD児への教え方の王道は好きなジャンルから攻めることです。それは、どの子も同じですが、特にASD児はこの事が重要だと改めて思いました。

注意されたことは忘れる?

Q君が「事業所に早く着けばタブレットでゲームする時間伸ばすって約束だったよね」と職員にいうので「それはQ君が勝手に言った事で約束はしていないよね」「約束は双方が合意しないと約束って言わないよ」と懇々と職員が話すにつれて、Q君の顔色が暗くなっていき「約束したやんけ」とうめくように呟いて塞ぎ込んだ様子で事業所に入っていきました。

Q君は、こうした記憶違いがよくあり、それを大人から訂正されても翌日には忘れていることが多いです。あたかも記憶を飛ばしているようにも見えるのです。しかし、一方で服薬調整が成功したこの半年間は、自分の感情のコントロールがとても上手になり、友達もQ君はこのごろ怒らなくなったと評価しています。残っているのはこの思い違いと、注意されたことが記憶に残らず、注意されるとおなかが痛くなることです。

逆に、褒められたことで翌日にその行動を忘れることはありません。どうやら、注意されてブルーな感情に落ち入ると、記憶が残らないようです。友達と興奮してディスりあってお互いにあそこまで言うことはなかったなという結論があっても、次の日また同じように喧嘩していることが多々あり、周りの子どもは「また同じ事言って」と次第に相手にしなくなるのですが、Q君は気づいていないことが多いのです。

Q君は気分が崩れてしまうような失敗経験は学習が成立しないようです。良かれと思ってQ君を安易に注意するよりも、あらかじめ約束をして、うまくできたことをほめて、良い経験の学習を成立させることが大事なようです。職員にも、Q君には苦言よりも誉め言葉と頑張った彼へのリスペクトが重要だと話しています。Q君が背負ってきたこれまでの体験が、嫌な気分から記憶を飛ばす癖を作っているなら、これからは良い気持ちで学んだ記憶を増やしていくことを支援しようと言うことです。

大人から逃げ出す子

Pちゃんが、公園で最近大人の顔を見ながら逃げようとするそうです。Pちゃんは前にも行方不明になったことがあり、安全のために目が離せないのでマンツーマンの体制にしています。以前の事は、自分の行きたいところがあって勝手に出て行ったというのが理由ですが、今回は「逃げますよ」と大人の顔を見ながら気を引く注意喚起になっているところが違うと言います。

子どもがその場から逃げていくのは、その場が面白くない、飽きた、退屈だと言うのことでしょう。気を引きながら逃げていくと言うのは、追いかけ遊びの期待かも知れないし、大人が驚く顔が面白くて、やり続けているのかも知れません。そして、根本的な原因はPちゃんがいなくなるかもしれないと言う不安から、大人がべったりついてマンツーマンでいることがこうした注意喚起行動の原因ではないかと話し合いました。

もちろん、どこかに行ってしまっては危険なので目は離せませんが、そうなると職員とPちゃんだけの関係になってしまい、息が詰まりそうです。公園には他の仲間たちも来ており、この人たちもお話が出来ず障害の重い子ども達もいますが、別に一緒に遊ぶことが嫌いなわけではありません。お互いにボールを転がし合って遊んだり、手をつないでくるくる回ったり、パラバルーンを持ってきて遊んだり、ロープでつながって電車ごっこをしたり、遊具遊びでつながって遊んだりと一緒に遊ぶ中身はいくらでも考え付くはずです。

ところが、マンツーマンの体制を作ってしまうと、この子は私の担当だからと子どもとの距離が縮まって子どもの側からすれば息が詰まるような関係性になってしまいます。不思議なもので、そんなに息苦しいなら逃げだしてしまえばいいのに子どもはそうはしません。逃げるふりをしては追いかけて来いと誘うのです。つまり、閉じた関係性の中で遊ぼうとするのです。大人は「こらこら」と追いかけます。逃げるよと振り返る注意喚起行動はこうして強化されていきます。

マンツーマンが必要な子どもであればあるほど、子ども同士の関係性を意識して作り出す必要があります。皆と一緒にいれば楽しいことがある。この遊びはみんながいるから楽しい。という経験が蓄積される中で子どもの関心は大人よりも仲間に向いていきます。大人方逃げ出す子にはお友達が見えていないのです。楽しい遊びの経験ができるように、大人も担当の子どもの方ばかりを向くのではなく、他の職員と一緒にみんなで遊ぶ楽しさを演出することを大事にしていこうと話しています。

 

 

悪さを真似をするギャングエイジ

小学生になると子どもたちは急速に仲間意識が発達し、今まで以上に友だちとの関わりを求めたり、遊ぶことに喜びを覚えたり、生きがいを求めるようになります。ギャングエイジのグループは家族以上に大きな影響を持つものであり、子どもは大人から干渉されない自分たちだけの集団であることを望んでいるのです。

ギャングエイジの特徴としては、子ども間で共有する価値観や行動様式を重視し、徒党を組み、画一的な行動をするようになります。集団は5~6名で構成されることが多く、結合性が強く、秘密主義に満ち、外部に対し対立的、閉鎖的に振舞います。子どもたち自身の世界の成立を意味し、青年期への準備期間の役割を持つと言われます。

ところが、現代のこどもは、「ギャングエイジの欠如」が問題とされています。徒党を組む機会がないのです。スポーツ少年団や塾は大人の言いなり、学童保育や通所療育も大人の介入が入ります。子どもが自分たちだけで隠れる暗がりはある程度必要です。いじめも縦割り集団とギャングエイジ活動が欠落した結果の現象かもしれません。

発達障害の子どもにとっても、この集団は必要です。悪いことでも徒党を組み、悪さが発覚して全員が叱られる場面は子どもにとって必要な栄養です。P君が構造化された集団場面では丁寧な言葉遣いなのに、先輩が悪態をついた課題のあとでは自分も同じように悪態をつくと報告がありました。無理もないよねというのが職員の感想ですが、保護者にしてみれば悪態を覚えるために療育に来ているのではないと思う方もいるかもしれません。

仲間とともにありたいというのが、ギャングエイジの願いです。考え方も、行動様式もしゃべり方もまねようとすることで、親から仲間へ帰属意識を移す訓練をするのです。当然間違いや失敗も生じますが、それが大人の前で顕在化した時が成長のチャンスにもなります。この時に、支援する大人の力量の真価も問われます。

失敗を叱るだけでなく、もっと良い方法がなかったのか問いかけ、リカバリー策をこども集団と支援者が一緒に考えることで一人づつに働きかけるより大きな成長が見られることもあります(支援が下手だと全体の質を落とす危険もあります)。親は集団や経緯を見てないので、ハラハラしますが、職員は子どもを泳がせてタイミングをはかっています。情報は緻密に収集しているので、放置しているわけではありません。でも、心配な時は職員までご相談ください。

 

 

質問癖

O君は、新しい人を見ると体重と身長が聞きたくなります。べつにそれでどうという事はないのですが、データーを集めるのが趣味なのです。以前は【太ってるね: 2020/03/04 】で掲載したように、太っている?質問の真意は、おはようこんにちわのあいさつ時間の境界線のようなもので、基準が気になっているだけなのですが、今は興味が移って、ただ単にパーソナルデータを集めたくてしょうがないのです。今回は、新人男性職員が入ってきたので、いそいそと「身長は何センチ?」と聞いていました。

女性の場合は、体のサイズの事は聞くと失礼だから聞いてはいけないと諭されていたので、新人女性職員が入っても彼はかなり我慢をしていたのです。今回は男性なのですごく喜んで聞きに行ったということです。データ取集の間があくと禁断症状がでてきて、近所のコンビニのアルバイトのお兄さんにも突拍子もなく聞いたりしていました。職員から「たまにしか会わない人に聞くと男性でもびっくりするよ」と説明を受けましたが、「それは分かっているけど、もうがまんができなくなって、欲望に負けるねん」と告白していました。

物や現象なら観察したり書物やネットで調べられますが、人のパーソナルな情報はその人に聞くしかないです。個人情報に関心を持ったばかりにO君はマナーとの狭間で大変苦労をしています。他の事なら研究熱心と言われるだけなのに、パーソナルなことに関心を持つと誤解されることが多いです。その溢れ出るエネルギーを他の事向けることはできないかとも思うのですが、こればかりは仕方がありません。欲望に負けてはならじと踏ん張っているO君を励まし支え続けていきます。

 

言葉遣いと友達関係

低学年のL君の言葉遣いをめぐって先輩たちの間でホットな議論になっています。先輩たちは、L君の口の利き方で一番気に入らないのが呼び捨てで呼ぶことだといいます。普段は「俺はちゃんや君付けで呼ばなくていい」と言っているM君までが、先輩の呼び捨て方が癇に障るといいます。あんたたちいったいどのお口でそんなこと言っているのと思いますが、人の事はよくわかるのです。

あれでは友達ができないと1年上のN君も断言します。要するに先輩たちは先輩への言葉遣いを謙れと言っているわけではないようです。自分たちだって敬称抜きで友達と名前を呼び合って遊んでいるからです。何が違うかと言うと彼らも正確には言えないのですが、名前を呼ぶ時の声のトーンや音量のようです。遠くから大声で先輩の名前を呼び捨てるように言うから先輩たちはイラついているのです。

でも、L君に全く悪気はないのですが、先輩たちは悪意があるように聞こえるのです。それ、あんたらもやけどなと教えてあげたいのですが、相手がどんな気持ちになるかについて見えない人にはなかなかむつかしいです。先輩たちだって呼び捨てて呼び合っているじゃないかとL君は思っているのです。でもそれはTPOがあるのですが、それは言外にあるルールです。従って、名前を呼ぶ時は近づいて行って、笑顔で小さめの声で呼びかける、できれば敬称はつけたほうが誤解されないという事を、L君に伝える必要があるようです。友達と衝突が多いというL君の学校や学童保育の課題がなんとなく見えてきました。

京都市内巡り

今日は小学生の「京都市内巡り」の日です。お天気も良く、市内は観光客であふれかえっていますが、地元の駅からみんな元気に出発しました。今日の予定は京都駅で市バス1日乗車切符(350円)を購入して、金閣寺、清水寺、二条城、東寺と回ってくるはずです。前回、この企画の経緯について【清水って水の上に浮かぶお寺ですか?10/16】 で掲載しましたが、実はみんな前の日はドキドキだったようです。

K君は昨日、送迎車の中で「僕、絶対財布落とすからもう行きたくないねん。考えただけで吐きそうや」とナーバスです。実はK君、その日公園で上着を忘れ、車内に帽子を忘れ、とどめに連絡帳を事業所に忘れています。今日は激しいねぇと聞くと、「もう無理、明日お金なくして京都市内から走って帰ってこなあかん」と落ち込んでいます。

みんなで行くから大丈夫だよと励ましてはみましたが、暗い顔で自宅に帰っていきました。公共機関を一人で利用したことがないというのが、プレッシャーのようです。皆で行くから、助けてくれるとは考えられないようで、一人で何とかしなくてはというのも彼ららしい思考パターンです。大丈夫、助けてと言えば知らない人でも助けてくれるよと言えば、「もしも極悪非道人やったらどうする?」と悪い方ばかりに想像が進みます。どうなることやら、土産話を楽しみにして待っています。

「聴覚法」効果あり!

最近J君から、PCのキーワード検索する時にキーボード打ってほしいと言う要求がなくなったと職員の間で話題になっていました。J君は今は一人でiPadの50音表で検索キーワードを打ち込んでいます。まぁ、これまではパソコンのキーボードなのでローマ字入力もできないから仕方がなかったのではという職員もいますが、PCでも50音表を出して入力することは可能でしたがそれすら煩わしがって、職員に入力をお願いすることが多かったのです。

J君はおそらく(医師の診断がない)発達性ディスレクシア(書字表出障害「ディスグラフィア」を含む)で6年の1学期ですら50音表が頭に入っていなかったのです。それに職員が気づいたのは車で出かける時にカーナビの検索をお願いすると、50音表で入力するとき文字の位置がわからず、文字の形を探して入力するので、検索がものすごく遅くもしやと思って、1学期から50音を暗唱する聴覚法に取り組んだのです。

聴覚法と言うのは極めて簡単で短時間のトレーニングです。ただ、機械的で面白いものではないので、自学自習は難しく、大人が毎日ついてあげる必要があります。J君は週3回通所しているので、毎回5分~10分取り組めば、効果が上がるはずだと4か月ほど経過しました。このトレーニングは、読み書きの苦手な人は、すらすらと頭の中に50音が思い浮かばない事が原因だと言う仮説の元に、頭の中に九九を覚えるように50音を「あ~ん」まで唱えて音で50音表を記憶してしまうという手法です。

ひらがなの読みから書きカタカナへと進み通常半年ですらすらと50音の読み書きが可能になります。J君は本は大好きな軍事ものや無線関係はむさぼるように読むのですが、書くのはからきし遅いです。読みも、間違えて読んでいるものもあります。今回はタブレットの50音表入力が苦労なくできるようになったとのことですが、これは頭の中に50音表が音として入ったのだと思います。

4か月でひらがな入力がものすごく楽になったJ君ですが、最初は「俺はあほやから訓練しても変わらん」と自分のことをよく卑下していたものです。最近は自分をディスることが少なくなりました。ひらがなの入力がスムースになるだけでも自己イメージは相当変わるという事です。書くことは視知覚や不器用の問題もあり訓練コスパが悪いので、キーボードでのローマ字入力を勧めています。これも今はかたくなに拒否していますが、アルファベットでローマ字音が頭に入れば気持ちも変わるはずです。

不安と行動

H君が、I職員に抱っこをしてほしがるのは、お母さんが入院していることと関係あるのかという話がありました。家庭環境が変わって母がいなくて寂しくて不安で他人に抱き着くのだろうという推測です。確かにH君は不安かもしれません。しかし、不安だから抱き着く行動がH君に起こるかどうかはわかりません。

それは、他の職員には抱っこをしてほしがらず、特定のI職員にのみ要求するからです。たぶん、以前にもI職員がH君の担当で抱っこ経験があったからだと思います。その時はお母さんは入院していませんでしたが、H君にしてみれば、抱っこをしてくれる職員としてインプットされていたのではないでしょうか。

H君は散歩でも疲れてくると、職員に抱っこを要求します。これも、歩けないのではなく、散歩の場面ではよくそうして大人が抱っこしていたのかもしれません。もうすでに抱っこに耐える体重でもなく、一人で歩ける足腰になっていますが、H君の中では、これまで抱っこしてくれたのだから同じように要求しているだけです。

話は翻って、私たちは子どもの行動から子どもの感情を類推しています。しかし、子どもにしてみれば以前も同じようにしたので今回もそうしているだけという場合も少なくありません。確かに、H君の感情を理解して支援に生かしたいとは思いますが、こちらの思い込みで行動を受け止めても子どもに違うメッセージを送ってしまうので、判断が難しいねと話しました。

やり直しは最後までフォロー

6年生のE君が帰り際車に乗せてもらう時に、F職員を呼び捨てにして声をかけたと言います。それを聞いていたG職員が「E君、やりなおし」と適切な声掛けをするように注意したそうです。「で、そのあとE君はどうなったの?」と聞かれると、忙しかったからどうなったか見てないというのです。それでは、やり直し支援になっているとは言えないという話になりました。

E君は、以前に忘れ物が多いのでチェックリストをつけるように指示されていたのですが、めんどくさいのでチェックしない日が続いたのです。そのことを以前も他の職員から指摘されていて、帰り際のE君の心は少しざらついているのです。そんなこんなで帰りにのせてもらう職員を呼び捨てにして自分の気持ちを表現したのかもしれません。話の文脈としてはそういうことです。

呼び捨てはいけないのでG職員のやり直し指示は正しいです。しかし、横から口をはさんだのは否めませんから、高学年としては気持ちのやり場がなくなります。せめて、最後までE君の行動を見納めて「聞いてくれてありがとう、よく言えたね」と評価するところまでで指導のワンセットです。口だけはさんで、見届けないというのはアウトです。E君の心はさらにざらついたことかと思います。子どもの行動は、大人の鏡です。ざらついた気持ちを癒すのは大人の丁寧な支援にかかっています。

 

 

 

大丈夫?という言葉

Dさんのトイレの後始末で、Dさんに「あとは大丈夫?」と職員が聞いて、Dさんが「大丈夫!」と答えたので本人に任せたら、トイレは汚れたままで全然片付いていなかったという報告がありました。職員は「大丈夫?」の前に、「トイレが汚れているけど一人で片づけられますか?大丈夫ですか?」と言う意味を込めて「大丈夫?」と聞いたのです。

ところが、Dさんにしてみれば「大丈夫?」は体調の良し悪しの際に使う「大丈夫」と理解していたので、体は元気なので大丈夫と答えたのです。「いやいや、トイレが汚れているから職員がDさんの支援にきたという文脈でわかるでしょう」というのが職員の言い分です。通常は職員の言う通りです。でもASDの人の場合は字句通りか、良くて経験通りにしか理解しないことが多いのです。

女性の場合男性に比べて主語や文脈を省略して話すことが多いように感じます。これは、相手に状況の共有ができていると感じている経験が女性に多く、男性の場合は正確に言わないと伝わらないことがあるという経験に裏付けられるのかもしれません。今回は、女性職員の女子への言葉かけの場面ですから余計に主語や「共有されているはず」の中身が省略されたのかもしれません。

こうした、言葉の背景にある意味を理解するのをメタ認知といいます。自分と他者の関係や状況、文脈を客観的・俯瞰的に理解する力です。ASDの人はこうした言外の意味理解を前提とするメタ認知が弱い人が多いのです。男性が男性に向かって「ライターを持っていますか」と聞くときは「喫煙するのでライターを貸してほしい」の意味ですが、ASDの人はライター所持の有無を聞かれたと思い「はいライターは持っています」と言って立ち去る例が喫煙者が多い昔はよく取り上げられました。

最近よく使われる例では、友達が言いにくそうに「お金持っている?」と聞けば「お金を少し貸してほしい」という意味ですが、ASD者は「お金は持っているよ」でそのあとの話が進まない場面がメタ認知の弱さとして紹介されます。こうしたやり取りが続くと、空気が読めないやつだと卑下されたりしてハラスメントにつながっていきます。主語や内容を省略する「大丈夫?」は対人関係の中では多用される言葉ですが、ASDの傾向のある人には、主語や文脈が共有されていないかもしれない事を留意して、手助けの必要性を具体的に質問することが大事です。

ごほうび考

Bちゃんが、C職員の言う事の聞き分けが良いのはC職員が「圧をかけている」からだと他の職員が思っているそうです。C職員の指示をBちゃんが素直に聞くのは、C職員のいうとおりにしたらBちゃんにとってメリットが多かったからだと思います。Bちゃんはコミュニケーションがうまく取れないので、不適切な行動が多かったり、思い通りならないと大声で泣いたりする子でした。

Bちゃんの支援は不適切な行動に大人があれこれ注意するより、適切な行動ができている時に褒めようという、スタンダードな作戦を立てました。ただし、Bちゃんは褒められると言う意味が分からないので、大好きなおやつを少量あげながら褒める行動を並行させるようにしました。褒める事は簡単な内容で褒めました。移動している時に先頭の職員を追い抜かない、列から離れ出して呼ばれたら皆の列に戻ってくるという行動を褒めました。「えらいね、みんなと歩けたね」と褒めては少量のお菓子を提供しました。

仲間と一緒にゲームに取り込めたら同じように褒めます。タブレットゲームの終了時間になって終えられたら褒めます。こうした褒める活動に一番力を入れていたのがC職員でした。1年たってBちゃんには今はお菓子は提供していませんが、C職員が言うと「はい。わかりましたー」と聞き分けるようになりました。食べ物を支援に使うのは、動物の餌付けのようだと嫌う方もいますが、動物も人間も報酬で学習することは同じです。でも、最後は食べ物があるから行動するのではなく、褒めてもらえるから行動するようになります。

甘さは、快感物質のエンドルフィン、ドーパミンやセロトニンと言った学習や意欲に関係にする脳内物質の放出を強めます。これは、誉め言葉でも同じ効果が得られますが、報酬系の反応の弱い子どもの場合は、言葉だけでは報酬系が作動しない場合があります。甘いものはこれを助けるブースターのような役目を果たします。重要なことは、同時に大人がしっかり褒める事です。このことによって褒められた経験と意欲や快感が連合していきます。そうなると糖分は必要なくなり、褒めるだけで同じような脳の状態を作り出します。Bちゃんが、C職員の指示を聞くだけで行動を止めたり、始めたりするのはこういう神経学的なメカニズムが推測されます。まだ、残念なことに他の職員とはこうした作用が生じないのは、Bちゃんが言葉と言う聴覚情報ではなく、C先生の姿という視覚情報がまだまだ強く作用しているという事です。

本当に誉め言葉が分かるようになれば誰の支援でも享受するようになると思います。今は、まだ他の人の場合、ご褒美が効果的なのかもしれません。ただし、糖を脳に効率よく利用させるために重要なことは運動です。つまり、運動することにより糖が脳に利用されやすくなり、脳が活性化しやすくなるのです。運動しないで甘いものばかり摂取しても、その甘いものは脳にほとんど利用されず、脂肪蓄積の方にばかり利用されるため太るだけになり、脳は活性化しないのです。また、糖分作用の依存性は麻薬作用のそれと同じですから、計画的な使い方が必要です。適度な運動・ご褒美・誉め言葉この3つがそろうことが大事です。

 

感情を表現する

Aさんが、水曜の帰りの時間になると「木曜日はすてっぷです」とわざと言います。木曜日は他の事業所なのですが行きたくないようです。自宅に送っていくときは、わざわざお迎えの家族の前で「木曜日は〇△◇事業所行きません!」と訴えています。大人としてはそれは困るので、何も反応せずにスルーしていると職員から報告を受けました。

大人として都合の悪いことは、子どもが上手く話せないからと言ってスルーしても良いものかどうか議論になりました。そうは言っても、理由もなく事業所を替えるわけにもいかないし、「そうだねー」と同意するのはまずいのではないかという意見。だからといって、「つべこべ言わずに行きなさい!」も信頼関係を構築する上ではまずいよなという意見。だとすると、無視する(聞こえていないふり)と言う選択も止むを得ないのではないかと堂々巡りです。

行為は認められないが気持ちは分かるという対応はできないものか検討しようと言うことになりました。以前、室内がうるさくて小さな子どもを叩く子どもに、それ以外の表現方法を教えればどうかということで、「うるさい!苛々する!」感情絵カードを職員に渡すことを教えました。その結果他害が完全になくなったわけではないですが減少させることはできたという経験があります。感情カードを持ってきたら「そうだなーうるさいねー」と同意するだけなのですが、それで少しはカタルシスを得たのかもしれません。

ASDだからと言って、他者の同意や共感は全く影響がないわけではないという事です。伝えて同意を得るのは形のあるお菓子や玩具が欲しい時だけではないと思うのです。「しんどい」「つらい」「悲しい」というネガティブな感情は生活の中で抑え込みがちですが、感じたことを伝えて「そうなんだー」と今の感情を理解してもらう事は大事なことだと思います。Aさんの場合にどうアプローチするかは検討が必要ですが、まずは健康チェック時など感情カードを使う機会を決めて「元気」などポジティブな感情を表出する経験を作り、今回のようなネガティブ感情の機会をとらえて、教えていくことから始めてみたいと思います。

だるまさんがころんだ

最近、子どもたちの間で「だるまさんが転んだ」が流行り出しているようです。おそらく、Netflixで配信されている韓国のサバイバルテレビシリーズ「イカゲーム」のヒットが原因だと思われます。ファン・ドンヒョクが脚本・監督を務め、この秋にNetflixで全世界公開され、ビデオゲームまでできているそうです。描写は頻繁に血しぶきが飛ぶ射殺シーン等全体として残虐で子ども向けではないです。ただ、そのプロローグで「무쿠게의 꽃이 피었습니다.(ムクゲの花が咲きました)」と言うゲーム、つまり、だるまさんが転んだゲームをするので、流行しているのかも知れません。

最近は、小学生とASDの障害の重い子どもも一緒にできそうなゲームは出来るだけ取り組むようにしており、このだるまさんが転んだゲームもレパートリーの一つです。鬼がこちらを向いたら止まるというルールはわりとわかりやすい様で、低学年のYちゃんができるのだから高等部生のZ君もできるだろうと参加してもらいました。Z君は1年前までは、目を離すと事業所を飛び出して職員の気を引く注意喚起行動が少なくない人でしたが、褒める事で注目要求を満たしていく支援を繰り返すことで安定して過ごせる様になりました。その結果、周囲の子どもの行動にも目が向くようになってきた人です。

取り組んでみるとだるまさんがころんだを理解していました。周囲の仲間の事をよく見ていたのです。でも、あまり楽しそうではないので、無理強いはできませんが、みんなと一緒にゲームしていることに職員が注目して褒めています。まぁ注目してくれるならまんざらでもないかなと参加しているZ君です。以前は逃げるのが好きだったから、だるまさん転んだも鬼タッチから逃げるところがあるので好きになるかなと思ったのですが、逃げて楽しむはもう卒業したようです。

 

 

食が細い

ASDのX君たちの食が細いのではないかと職員が心配していました。いわゆる偏食もあるけど、高学年にしてはおにぎり1個とか少なすぎるのではないかというのです。家ではがっつり食べている子でも外では給食も含めて食べる量が少ない子どもがいるのは確かです。原因はいろいろあるでしょうが、環境の変化に過敏で食欲がわかないというのが多いようです。

生理的な欲求の事を他者からあれこれ介入されても、いらないものはいらないのですから、あれこれ言うべきではないとは思っています。ただ、中にはそもそも、空腹感や満腹感の弱い子どももいて、自分がおなかが減っているのかどうかも分からない子もいます。周囲の人がどれくらい食べているのか興味がなく、低学年の頃と同じの量で良いと思っている子どももいます。

修学旅行に行ってみたら、旅館の夕食メニューが半端なく多いのにみんな食べてしまう子が多いことに驚くASDの子がいるように、食事量と言うのは年齢と共に増えていくものだと言う情報がなくて食べない子もいるようです。栄養価とか年齢に応じたカロリー量と食事量などを理屈として教えておくことは大事かもしれません。そのうえで、ざわざわしているところでは食べにくいというなら、家で多めに食べておいでという支援が必要な子もいるようです。ただ、保護者の方も同年齢の子どもの食事量を知らない方がいるので、これも正しい情報が必要なようです。

 

手が使えない場合のAAC

Vちゃんのスナックタイムでは、かなりはっきりとVちゃんが意思表示できるようになってきたと言う報告がありました。前回(スナックタイム改めコミュニケーションタイム: 08/26 )でも書きましたが、手が使えないからと言ってどんどん口に運んでしまっては、意思を表現する機会がないので、いらないものが口に入ってから吐き出すと言う行動になるという話をしました。

スナックタイムは何が何でも食べる必要はなく、本人の好みやタイミングを大事にしたコミュニケーションタイムにしてはどうかと言う提案をしました。すぐに口に持って行かず、手の届かないところで待ってみる。本人のアクションが出たら「はいどうぞ」と食べさせる。いらないものでスナックを持つ手を払いのけるような行動があれば「いらないね」と食べさせない。好きなものが二つあっても、二つを示して「どっちがいいの」と待ってみる。好きな方を手差ししてきたら「これが欲しいね」と食べさせると言う、本人の意思が出てくるまで待つと言う療育時間にしました。

これを3か月ほど続けてくる中で、欲しいもの、いらないもの、欲しかったけどもういらないもの、という意思伝達がはっきりできるようになってきました。また、家庭ではお姉ちゃんにふろ上がりのドライヤーをしてほしくて、ドライヤーをそっと手差ししてお姉ちゃんに要求する姿なども見られてきていると言います。

欲しいものの選択もできるし、誰にでも手差しや手払いでYES・NOが示せるならPECSなど代替コミュニケーションに移行したいのですが、Vちゃんの場合、手に届く範囲に物があると、何であろうと手で払い飛ばすという癖があって一向に収まらないのです。欲しいジュースを手差ししているのに、近づけて手に届く範囲にくると、わざわざ手で払いのけて飛ばしてしまうのです。従って、絵カード操作など手を使うものが難しいのです。

従って、今目の前にあるもののYES・NOしか意思表示ができないので、目の前にないものを要求する事ができないという限界がきているのです。そこで考えられるのは、手差しに変わるスイッチ類での意思表示ですが、目の前のものは手で払いのけるという動作しか経験のないVちゃんにこのトレーニングを強いることでストレスにならないかということや、NOの意思表示が「ボタンを押さない」という強化しにくい行動なので思案しています。もしかしてと、アイトラッカー(視線感知センサー)などを使った視線入力装置などの方が導入しやすくはないかと、これも思案中です。

 

地域の中でわくわく Y先生のじゃんぷ通信10

地域の中でわくわく Y先生のじゃんぷ通信10

放課後デイに通う子ども達は自分たちの住んでいる地域のことをいっぱい知っています。1年生のSさんが、学校で近くの神社にどんぐりひろいに行った経験をすると、「お母さんとたくさん見つけてきた」とどんぐりを持ち込んでくれます。それでコマを作ったりしていると、2年生のT君が、「僕の家の近くでいっぱいとれるから持ってくる。」と言って次の時、箱にいっぱい集めて持ってきてくれました。又3年生のNさんが「噴水公園のところにいっぱいおちてるよ」と教えてくれて、先生と一緒に取りに行ってくれました。

地域の中で見つけたどんぐりで何か作ろうとリース作りを提案するとどんどん広がりました。リボンを穴に順に通す作業やリボン結びをする作業、手順を考えてどんぐりや星飾りをつけていく作業は学習にも通じる生きた教材になりました。一人一人取り組み方が違ったり、手順のここで困っているのかと発見があったり、こんな発想の仕方をするんだといい所が見つかったりしました。

放課後デイ「じゃんぷ」の支援は直接的には、学習の困りに対する支援を繰り広げていますが、最終的には自分たちの地域の中で生きていける子どもたちにしたい、そんな思いも大切にしながらの日々です。みんなが作ったリースをクリスマスツリーに飾ると季節感いっぱいの生活が広がります。

事業所によって子どもの様子が違うのは何故?

Rちゃんは二つの事業所を利用しています。すてっぷでは最近めきめきと成長が感じられるRちゃんで、他の子どもたちと仲良く遊べたり、予告と褒める事を繰り返す事によって不適切な行動はほとんど見られなくなりました。ところが、別の事業所では職員が困るくらい不適切行動が多いと言うのです。

子どもが、場所によって違う姿を見せるのはよくあることで、その原因のほとんどは対人関係を含めた環境の違いです。見通しのある環境では安心して過ごせるので、少々のイレギュラーな事態も乗り越えてしまいますが、見通しや自分の要求が他者に伝わらずイライラして不安が多い場合は、ちょっとしたことでも爆発してしまうのです。

つまり、同じようなハードルであっても、本人の安心感の度合いによって反応は全く変わってくるという事です。今回は、別の事業所の方からRちゃんの様子について事業所職員が相談を受けて工夫していることを伝えましたが、そもそもの対応が違えば小手先の工夫は効果がないし、すてっぷでも1年かかっての今の様子なので、総合的に比較してもらって療育方法を考えてもらうしかないと思います。これは、すてっぷだけで不適適切行動を起こして、他の事業所や学校ではうまく過ごせている例でも同じことが言えます。

他の事業所や研究会に行って、同じようにやってみたけどうまくいかないので、学んだメソッドは効果がなかったという支援ビギナーの意見を耳にすることがあります。見た目同じことをしても、先述したように本人のメンタルが安定するような環境や対応の蓄積がなければ、同じ反応が得られるはずがありません。もしも、相談を受けるなら、百聞は一見に如かずで数回見学に来てもらい、総合的に検討してもらう事が大事ですねと話し合いました。

 

 

睡眠障害

Q君は混乱が激しく泣きわめいて何もかも拒否する時と、めちゃくちゃスムースに楽しそうに行動できる時の差が大きいので原因を話し合ってみました。おそらく、睡眠の量や質と関係するのだろうという話になりました。Q君は幼少の時から寝つきが悪くご両親は苦労されてきたと聞きます。薬物療法としては、メラトニン受容体作動薬が処方されています。最近、発達障害児の睡眠と行動問題が注目されはじめ、この処方をしている子どもは少なくありません。ただ、現場感覚としてはあまり効果を感じた経験は少ないです。

私たちができることは、しっかり太陽光線を浴びて遊んで運動量を確保することです。学校や事業所で眠ってしまうので、仕方がないと思ってきたのですが、周囲がざわつく昼間の睡眠は彼らにとってはあまり質の良いものではなく、結局家庭で眠れないまま過ごしたり早朝に起き出したりしてしまうので生活リズムが大きく崩れていきます。活動すべき時間に起きていないと運動量も確保できないし、心理的にも楽しんで満足した生活が得られず、寝たいから眠らせるのは逆効果だと考えています。

幼い子は、昼寝するものと言う定説に惑わされず、就学期は昼間は起きて活動する事を基本に生活を組み立てるようにしたいと考えています。経験的には半年たてば事業所で眠ることは少なくなります。夕暮れが早い時期なので、僅かな日照時間を逃さず、しっかり散歩や遊びを取り入れて外遊びを保障したいと思います。

視機能(見る力)がかかわる Y先生のじゃんぷ通信9

視機能(見る力)がかかわる Y先生のじゃんぷ通信9

放課後デイに通う子ども達の中には、平仮名や漢字、計算ドリルを書いて作業することに苦労している子が多いことに気づきます。以前にも書いたように手指の操作が難しかったり、筆圧が強かったりして時間がかかってしまい、疲れてしまいます。

もう一つの要因に「見る力」が影響していることがよく指摘されています。ただ書くのが遅いとか、間違いが多いとかだけでなくよく観察してみてください。見本をどこに置いているのか、一度見ただけで書いているのか、書く字をどれぐらいの時間注視しているか等様々な書き方をしています。

書くことと眼球運動が関係していると言われます。京都大学の加藤寿宏先生(作業療法士)によると「文字を書くためには、この『追視』と『注視点移行』が不可欠です。文字を学習するには、まず教科書や黒板の見本を写す必要があります。写すためには、見本の文字と自分が書いている文字を見比べる必要があり、『注視点移行』が必要となります。また、書いている手元を見続け、文字を構成する線の方向が正しいかどうかを目で追い続けなければならないので、『追視』も必要となります。」と説明されています。

それから、見本とノートとの焦点距離をうまく合わせる機能(『輻輳』)も人間の目には備わっています。しかしこの「輻輳」(より目)の力がうまく発揮できないと縦書きと横書きでは微妙に読みやすさも変わり、注目する時間にも影響が出てきます。

ノートを書く様子を見ていると縦に見本を置くのか横に置くのか、右に置くのか左に置くのか、書く字にすぐに目が移せるのか、探している様子なのか違いが見えてきます。一人一人によって見え方があり、その困りにピタッとくる支援をして、「うまく書けるようになった経験」が持てるようにします。

いずれにしても、子どもたちがどんなふうに書いているかを観察することから始まります。じゃんぷでは、見本の置き場所を工夫する、手本にすぐ注視点が行くように定規を当てる等工夫をしながら取り組んでいます。

 引用 京都府総合教育センター発行冊子 「特別支援教育ガイドブック 読める!書ける! ~すべての子どもが楽に読み書きを学ぶために~」)p42~45より

職員募集

NPO法人ホップすてーしょん  常勤・パート 職員募集中!


児童の支援に必要なものは、子どもの気持ちになって物事を想像する力です。自分が子どもの時、挑戦したいことがある時、友達になりたい時、人に否定された時、誰かの助けが欲しかった時、そして苦労している自分を支えてくれた時、その時の気持ちはどうだったか?そんな子どもの気持ちを感じることができる方は大歓迎です。

子どもには、放課後等の限られた時間ですべてを教えることはできません。私たちが子どもに身につけて欲しいことは、自分で考えたり調べたりする方法。困ったときに助けてもらう方法。失敗した後の立ち直りの方法です。自分が支援した子どもが新しいことに挑戦していく未来を想像してみませんか。みんながそれぞれの生き方に誇りをもって進んでいく姿。みんなちがってみんないい。私たちは、子どもの今と未来を支える使命を私たちと共有できる人材を求めています。

求める人材像は
1 子どもを含む様々な人から学べる人。 2 様々な人の「いいところ」が応援できる人です。あなたのエントリーをお待ちしています。
詳しくは電話・メールでお問い合わせください。

〈正職員〉職種:児童指導員・保育士  若干名
部 署:あゆみの広場 いっぽ(児童発達支援事業所)

   育ちの広場 すてっぷ(放課後等デイサービス事業所)

   学びの広場 じゃんぷ(放課後等デイサービス事業所)
年 齢:不問(経験や資格の有無により、若手優先)
応募資格:専門学校卒以上(未経験可)

優遇資格:保育士、教員免許や特定の学部卒などの児童指導員任用資格、公認心理士などの国家資格
勤務地:向日市
勤務時間:9:00~18:00(いっぽ)

     10:00~18:30(すてっぷ)

     11:30~20:00(じゃんぷ)

※すてっぷ、じゃんぷは学校の休みや短縮授業により、勤務時間の変更あり(シフト制)
休憩時間:60分
休 日:2日/週(すてっぷ、じゃんぷはシフト制) 有給休暇は有 夏季休業3日間 年末年始休業12月29日~1月3日 
社会保険 健康保険、厚生年金保険、労災保険、雇用保険
交通費(上限1万円)、福祉職員共済組合加入、退職金制度有
給 与:200,000~(処遇改善費込) 賞与あり(2023年度実績3.0か月分)
昇 給:あり
※選考面接を実施し採用を決定します。

<パート>職種:児童指導員 数名
年 齢 :63歳まで
応募資格 :自家用車で送迎できる方(保育士・教員免許所有者優遇)
勤務地:向日市
勤務時間:9:00~18:00(月~土)、シフト制、週3回程度から、時間応相談
休 日:日曜日 第4土曜日 年末年始休業4日間
給 与:時給1,000円~ ※交通費なし
※児童との活動の後、面接を実施し採用を決定します。

メールでのエントリー記載内容
氏名(ふりがな)・生年月日・性別・住所・連絡先電話番号(電話可能時間)・email アドレス・在籍学校・会社(あれば)・志望動機(100字以内)※履歴書添付可 履歴書様式.docx 履歴書サンプル.pdf

宛先:NPO 法人 ホップすてーしょん

児童発達支援 あゆみの広場いっぽ リーフレット

放課後等デイサービス 育ちの広場 すてっぷ リーフレット

放課後等デイサービス 学びの広場 じゃんぷ リーフレット
採用担当 田中 一恵 
075-924-5010
sodachi.step17@nifty.com

面接で感じる事

来年度の職員を募集するために、希望者の面接をはじめています。一般公募にするといろんなタイプの方がいるなぁと改めて社会の多様性に気づかされます。採用も決まっていないのに、すでに住居を決めてきたという気の早い人から、常勤が4月から必要だと提示しているのに、最短1年も先の公認心理士の試験に通るまではしばらく非常勤で働いてみたいという人もいます。自分は穏やかな性格なので福祉の仕事が向いていると、福祉現場は穏やかだと決めつけて見学に来たという人まで様々です。

数ある放デイの中からこの事業所を選んできているのだから、ホームページくらい読んでいるだろうと尋ねてみると、読んでいない人ばかりでした。もうその時点で、帰ってくださいと言いたいのをがまんして、何がこの事業所やこの職種を選んだ理由か聞き出そうとしますが、ほとんど聞き出せないままというか、考えていないのだろうなという結論を得てお帰りいただくことが続いています。

これから、ホップすてーしょんの面接を受けに来る方にお願いがあります。何故この仕事を選んだのか、何故ホップすてーしょんの事業所を選んだのか、ここ1か月くらいのホームページの内容を読んで、共感できることやもう少し聞いてみたいことは何か、最低それくらいは仕込んできてほしいと思います。もちろん、選んだ理由にも読んだ感想にも正解はないので安心してください。そのことを話のきっかけにして、お互いの相性が合うのかどうかをお互いに感じる必要があると思います。小さな職場ですから、相性が合わない事には仕事はできないからです。子どもと元気に遊べるあなたをお待ちしています。

絵カード使う進路先

P君のお母さんが、もうすぐ卒業だけど近所に絵カードコミュニケーションや視覚支援を大事にしている成人施設がないと言われます。自閉症協会などが取材でよく取り上げる施設はもうすでに満員で、京都市内の中でも数えるほどしかないと言われるのです。

それに、これから行こうとする施設に「視覚支援をしてほしい」「PECSを使っていほしい」と言えば、施設側に嫌がられるかもしれないので言いにくいそうです。障害のある人の進路はいつも需要側の方が多くて、供給側が少ないのでサービスを受ける側があれこれ言うのは気後れするというのです。

確かに、そんなことを親が言わなければならないというところで、教育や福祉行政が掲げる「途切れない支援」っていったい何ですかと言いたくなります。そんなことは学校が進路先に求めるべき内容で、親が気を使いながら施設に言うべきことなのかと首をかしげたくなります。

しかし、学校が視覚支援を標準の支援内容と考えずに高度なオプションサービスくらいに考えているとすれば、途切れない支援とは関係のない話で、学校は応えてきたが進路先にまでは求められないという発想になるのかも知れません。

未だに、ASD者への視覚支援や代替コミュニケーションを標準的な支援と考えていない施設が山のようにあること自身が情けないですが、視覚支援で何百万もかかるわけでもなく、PECSの研修だって毎年順番に講習すればそれほど高額なわけでもなく、こんなものは合理的配慮の範疇ではないのかとも思います。しかも、福祉施設ですから標準装備で当然だろうと思うのです。時代遅れの実践を変えようとしない福祉法人の既得権益を打ち破るために、正当な競争を持ち込もうとした30年前の基礎構造改革でしたが、まだまだ道半ばです。

 

 

発達はらせん状

L君は不眠気味の子どもです。昨日は通所時の送迎車の中でもずっと機嫌が悪く、事業所についても寝そうで寝ない状況が続いていました。いつものように行先を選ぶ場面に来て職員の袖を引くので、行きたい公園カードを渡すように他の職員が身体プロンプトすると、要求が叶わなかったと勘違いしたようでわんわん泣き出しました。

その後も、時間が来たので帰るよと車に乗せようと指示すると、タブレット遊びを止めさせられたと思ったか車の中で大泣きでした。同乗していたM君は自分がL君を泣かせたのかと誤解して、しきりに運転している職員に「N先生、ごめんなさーい」と謝り続けたくらい大泣きだったそうです。

自宅について降車するように指示しても泣き、職員が抱っこしてお父さんに渡そうとしても泣き続け、L君にしてみれば最悪の日だったかもしれません。昨夜の睡眠不足でウトウトして過ごしているので何もかもがいらいらして何もかも拒否する感じだったと思います。覚醒していないとこれまで身に着けたスキルも発揮できず泣くだけのL君に戻ってしまったようです。しかし、眠いだけでは、今まではこんなに崩れはしなかったと職員は言います。

この秋は以前より後退した感じがすると職員は言います。それでも話し合っていると、そう言えばOさんだって昨年の今頃は身に着けたスキルが全て吹っ飛んで後退した感じがする時があったと、振り返って考え直したようです。子どもの発達は直線状ではなく、らせん状に発達すると言います。子どもの発達はずっと良い現象だけでなく、後退したかに見える現象もあります。それをぐるぐると繰り返しながら上昇していく様子を発達のらせんモデルと言います。

もちろん、適切な支援が続けられての話ですが、適切だと考える支援が続いていても、効力がなくなったかのように後退した姿を見せる事があるのです。支援が間違っていたのではないかと思わせるほどの後退を見せる場合もあります。多くは、大人が思うほど成長したというよりは、新しい支援になんとなく適応していた姿を、大人が過大評価していただけで、実は十分に身についていたわけではなかった場合が多いのです。

そして、経験によって周囲の事はよくわかるようになっているので、わかる事とできる事のギャップに子ども自身が苛立つときが来ていると観るのが良いのではないかと話し合いました。子どもは変わっていきますが、平たんに変わっていくのではなく、うねりを持ってダイナミックに変化していきます。そこが、難しくもあり、子どもに関わる仕事の醍醐味でもあります。

 

それは、いらない。

もうこれ以上はジュースはいらない場合、「いらない」絵カードを作って渡すのかどうか話題になりました。フェイズ4までの絵カードの基本は要求です。自分の要求したものと違う時は、手で遮ったり、首を振ったりして意思を伝えるようにフェイズ2で教えます。カードで伝えるには内容が抽象的だし「はい」「いいえ」の応答コミュニケーションなのでこれで十分だという事です。

ただ、気に入っていたものでも「もう十分」「もういらない」と自発的に表現するのは「いらない」カードが必要となります。大人が離れている場合には実物か対象絵カードと合わせて「◇△は、いりません(✕)」と文カードにして大人に手渡すのです。ただ、この場合に交渉が始まる場合もあります。もうちょっと勉強しよう、もうちょっと作業しようなどです。この場合には視覚強化(ごほうび)システムを使って、交渉する時があります。

では、食べ物や飲みものはどうするか、生理的な欲求に基づくものは基本は本人の意思通りにするのが原則です。もう十分なら「おかずは、もういりません」の文カードが出たらもういいのだと思います。食べず嫌いもあるからなどという自分の子ども時代の経験則で、食べ物の量や種類を交渉しようとする人がいますがあまりお勧めできません。まずは、コミュニケーションが安定して取れるようになり、安心すれば食べてみようとする場合もあり、自発的に食べて受け入れるものが広がった経験を積む事のほうがはるかに有意義だからです。

道を選ぶ子

前回道に座り込む子:11/02で話し合ったように、K君が道端で座り込んでしまったら、何種類かの公園絵カードを見せてK君が「行きたい公園」を職員に差し出せるようにしました。案の定今日もやっぱり二つの公園の道の分岐点でK君は座り込みました。K君は身体プロンプトしてもらって好きな方の公園の絵カードを職員に渡しました。「OK!K君はL公園に行きたいのね。わかったよ一緒に行こう!」

嬉しそうにK君はL公園に行くだけでなく、いつもならすぐに公園から帰ろうとするのに今日は日が暮れるまで思いきり遊んだそうです。自分が選んだことが実現して嬉しくて仕方がなかったのと、安心したのでしょう。自己選択と自己決定が安心感を与えたのです。これまでしゃがみこんでしか嫌なことを伝えられなかったL君の今後が楽しみです。確かに、職員が決めた公園の方がみんなで遊べて都合がいいのですが、そんなことは子どもには伝わりません。今大事なことは、たとえこだわりであっても自分の行きたい公園があり、そのことを適切に大人に伝えれば大人は応えてくれることを教えたいのです。

だって、これまではK君は何も言えずにずっと大人に不本意ながら合わせてきたのですから、今度は大人がK君に合わせる番です。ただ、座り込んで泣くのではなく、行きたい場所を絵カードで大人に示すという新しいルールが加わりました。伝わるという事がK君に理解できれば、その次は条件が揃えば叶うという交渉を教えていきます。先は長いですが焦らず取り組みたいと思います。今後、家でも学校でも取り組んでもらえるように地道な成果を積み上げていきたいと思います。

伝聞情報と正しい情報

J君が不適切な行動をするのはJ君の内面のコンディションがさらに悪くなっているからだという報告がありました。根拠を聞くと、いつもと同じように指示をしたと担当の職員から聞いたが不適切行動が2度続いたと言うのです。J君はこの間排泄のこだわりがあり、大人が見ていないと便意もないのに無理やり排泄しようとして、汚れた手を壁で拭く行為が続いていました。

症状から言うと強迫性障害と言うべきですが、ASDの思春期以降にもたまに見られる症状です。普通は手洗いやカギ閉め食事への強迫感が多いのですが、これが排泄に向かう時もあります。原因としては強い不安からの行動ですから、脳内ホルモンの中でセロトニンと言う伝達物質が何らかのトラブルで不足した症状だと言われます。そこで、セロトニンをうまく働かせる薬物療法が通常はおこなわれます。併せて行動療法も使われます。これは不安なままにしていても何も起こらなかったという経験を積み上げる認知行動療法です。

さて、J君には理解できる言葉が多くないので通常の認知行動療法は使えませんが、トイレに行って不適切行動をしなくても、注目されたり褒められたりする経験を重ねることで改善しないかどうか取り組んでいます。トイレの前に正しく利用する写真を示し、成功したら褒めたりご褒美をあげたり注目をしてあげる事です。今回、支援をした職員がいつもと同じように指示をしたと伝聞していますが、適切な行動をした時に褒めて注目したかどうか、失敗を叱責しなかったかどうかも聞けていないと言います。

不適切行動には関係性の原因が少なくありません。本人の内面の問題にしてしまうのは簡単ですが本人から理由を聞くこともできないので根拠がありません。担当者の責任にしたいのではなく、何か大人とのその場のやりとりの関係性でイレギュラーがなかったかどうか調べてみることで支援の道が広がることがあります。失敗を成功の元としたいのです。

検査報告

今日はI君の検査の報告をお母さんにしました。すてっぷでは、KABC2という認知面と(学習の)習得面が測れる検査を使います。検査は事業所の利用者でKABC2が可能な人であれば、保護者が申し込めば誰でも受け付けています。KABC2は先に述べた二つの検査があるので、二日に分けて1時間くらいづつ実施します。

I君は認知面がとても伸長していて習得面が追い付いていないこと(発達検査でわかる事 : 10/20 )をお母さんに話しました。検査結果を話していると、お母さんも最近I君が様々なものに興味を持ち始め、学校でも友達とよく遊ぶようになったといいます。これまで、I君は誘い掛ければ一緒に活動はしますが、活動するのは義務のようにしか受け止めていない感じでした。遊びはほとんど一人遊びが多かったのです。

ところが、この間、友達のしているマイクラに興味を持ったり、わからないところを友達に質問したりするようになったのです。また、お気に入りの友達に家で猫を飼い始めたことを話しています。I君が自分から家の事を話すなんてみんな耳を疑ったそうです。検査は数値で伸びたことしかわかりませんが、子どもの世界が広がり豊かになっていることが検査報告で保護者の方と話しをているとはっきりわかります。

ですから、検査報告と言うのは、ただ単に保護者の方や当事者に結果を話すというだけのことではなく、検査の結果と当事者の様子が一致しているかどうかを生の生活から確認しなおす作業とも言えます。そうして話しているうちに、検査報告で書いた支援策よりももっとリアルな支援策を思いついたりします。

検査報告は保護者の方にするのですが、報告書には関係者に「報告書の閲覧は保護者が了解している」という旨の鑑をつけているので、保護者は結果報告を手渡したい人に報告書の写しが渡せるようになっています。この報告書を一番見てほしいのは学校の先生です。最近は学校でもWISC4等の知能検査を行うようにはなっていますが、あまり、検査結果が生かされているようには思いません。何故なら、せっかく実施した結果について報告書を関係者に見てもらって支援に役立てるという発想が感じられないからです。

病院の検査は保護者の責任で誰が読んでもいいようにされていますが、その病院の検査結果でさえ、所有権は学校あるという前代未聞の発想をしている管理職もいます。検査報告の所有権は当事者と保護者にあり、保護者が求めれば情報は提供されなければならないことすらわかっていない学校があるから驚きです。当たり前のことですが、検査はその結果をどう生かすか関係者チームで考え、子どものために役立ててなんぼです。

 

ほめ倒す

G君が集団ゲーム中待っていられなくてうろうろするので、職員が「椅子に座ろう」とあちこちから声を掛けます。あげく、抱っこされて待つことになりました。H職員が椅子を示して「G君は順番で呼ばれるまでここに座って待ちます」と指示して、G君が座った途端、H職員が「自分で座れて偉いね!」と即座に褒めました。数分後に座っているG君を見て「頑張って座っているね偉いよ」とまた声を掛けます。

こうして、「誉め言葉」で間欠強化(部分強化=たまに褒めることで行動を持続させる方法)をし続けると、G君は今か今かとH職員をずっと見続けるようになりました。ところが、今まで椅子に座ろうと注意していた職員が何も言わなくなりました。この現象は「職場あるある」です。不適切な行動には注目するが、適切行動には注目しないという現象です。

良い行動は褒めることで強化されます。特に不適切行動から適切な行動に変容した時は誉め言葉を雨あられのように降り注ぎます。適切な行動した時に大人が注目してくれるということを学習させたいからです。ところが、良い行動に変容した途端に声をかけないのでは、学習が進みません。当たり前の行動でも、多動な子どもにとっては頑張っている行動です。褒める事にコストはかからないのですから、良い行動はインフレが起こるくらいほめ倒してあげてください。ただし、パターン的に褒めると慣れてしまうので、ランダムに不定期に褒めるのがコツです。

 

道に座り込む子

今日は座り込みエピソードが2件話し合われました。E君と初めての公園に歩いて行ったのですが、途中で以前遊んだことのある公園への道を見つけたE君は、そこから押せども引けども動こうとせず道に座り込んでしまったのです。頑として動かなかったので、しかたなく、初めての公園に行くのはあきらめてE君が目指す公園に行ったそうです。

Fさんは広い通りで横断歩道を行ったり来たりして歩くのが気に入ってしまい、職員が制止しようとすると道端で座り込んでしまって困ったという話です。おそらく、横断歩道を渡るときに車は止まってくれるのでそれが面白いので、遊びにしてしまっていると推測します。二人ともまだ低学年なので強制的に移動させたり制止することはできるけれども、それでいいのだろうかという話でした。

この場合はケースバイケースだと思います。Fさんの場合は四の五の言っている場合ではなく、公道での危険行為ですから座り込もうが何をしようが制止します。地域の方もこんな無法な光景を見せつけられたら不安になります。E君の場合は、このままでは座り込んだら要求が実現するということを教えた事になるので交渉が必要です。

E君には言葉がないので座り込むしか方法がないのですが、もしも、それが予測できるなら、行先の絵カードやご褒美を準備して出かけます。行きたがりそうな公園の絵カードも準備します。行く前に、行先の絵カードを示すことは大事ですが、新しい行先に抵抗が多い子どもの場合はご褒美も準備していることを伝えます。つまり、言葉のない子どもと出かける時は交渉のツールをフルスペックとはいかないまでも準備していきます。スマートフォンに必要な画像を入れておくのも一案です。

途中で座り込んだら、二つの公園の絵カードを示し、目的外の公園の時はご褒美がないことを伝えます。そのうえで、目的外の公園を差し出したときには要求を実現します。つまり、座り込んで実現させるのではなく絵カードコミュニケーションで要求が叶う事を教えます。転んでもただは起きぬ作戦です。もちろん、修羅場で絵カード要求や選択を求めても良い結果は出ませんから、毎日のトレーニングが交渉をうまく運ぶ担保になるねと職員で話し合いました。ピンチはチャンスです。

 

見ざる聞かざる言わざる

支援学校にお迎えに行ったら、D君が他の事業所の送迎車を叩こうとしていました。なのに、明らかにその行動を見ていた送り出しの担当教員は知らん顔して教室に引っ込もうとするので驚いたと職員が言います。子どもを手渡したら、あとはお迎えに来た人の仕事でしょという意味だろうかと職員は首をかしげます。

たぶんそれは、自分には対応不可能な行動問題なので「見なかった」ことにしているのだと思うのです。それは、事業所の中でも多かれ少なかれ見られることです。自分の担当でない子が不適切な行動をしていても、「見なかった」ことにする様子はあちこちで見かけます。

それは、善意にとらえれば、担当の職員の方針があるだろうから自分は口出ししないということでしょう。でもこれは、善意ではありません。先の支援学校の対応と同じだからです。「ここからはあなたの仕事、私は責任がない」と目の前で生じている事態に向かい合おうとしないのです。相手はモノではなく子どもです。障害がなんであれ、不適切な行動をしているのに修正がされなければ、それは認められたことになります。或いは、「君のことは気にかけない」というメッセージを送ることになります。

もしも、修正の方法が分からなければ、最低とるべき行動は一つです、近くの人と自分には対応が分からないけどどうしようと相談することです。スルーして逃げてはいけないのです。少なくとも、その場での最良策を話し合って、お互いが持つ情報を交換し合うのがプロの対応の仕方です。厄介な行動問題から逃げ出したくなる気持ちは分かりますが、私たちは行動問題にも向き合うことで口に糊する職業です。「見なかったこと」にしたりスルーするのは許されません。

 

修学旅行

C君が明日から修学旅行だと嬉しそうに話してくれました。感染症予防のために伸びに伸びた修学旅行がやっと実現するのです。しかも、一泊二日の旅行でホテル宿泊だそうです。発達障害の子どもでよく聞く修学旅行ネタは、不安で行きたくないというものが多いのですが、C君は無茶苦茶楽しみにしています。家族以外と遠くに行けるというのが楽しみだそうです。行先は和歌山方面らしく家族ともいったことがあるところだそうですが、知っているだけに見通しが持て安心していけるのかもしれません。

旅行中の集団行動がうざいとか、宿泊先の相部屋で相手と何を話したらいいのかわからないとか、自由行動で何をしていいかわからず不安だとか、ASDの子どもたちにとって見通しのない旅行は疲れるだけという子が多いのです。そのため、同じ場所に出かけてみる家族もいるくらいです。そこまでして、旅行する必要があるのかとも思いますが、参加しないという選択は普通はできないので、当事者にとっては深刻です。個室を与えてあげれば宿泊のストレスは軽減できるので、参加しやすくなると思いますが、それはそれでえこひいきだと陰口が気になるようで双方が受け入れられません。

そういう子もいるよとC君に話すと、「ふーん大変やね、僕は一日でも家族と別の場所で過ごせることがわくわくするけどな」とバスに一人で乗れないと嘆いたくせに生意気なことを言って、3000円のお土産代をどう使うかの細かな計画を饒舌に語ってくれました。良いお天気でありますように。

教えて!

A君が「B君!そのマイクラどうやって作っているのか教えて!」という質問をしていました。A君が、友達の名前を言って教えて等というのは利用して4年目で初めての事です。昨年までは他の学校の友達の名前すら覚えておらず、声をかける事がありませんでした。私たちは、人に関心がない事それがASDというものだと勝手に思い込んでいました。

しかし、支援学校の子どもだけで遊びのプログラムを作るのではなく、できるだけ小学校の子どもと遊びが共有できるなら共通のプログラムでやっていこうと(多様性社会と自発性 : 08/20 )を掲載したころから意識して取り組むようになりました。教えてのロールプレーは1回しか取り組んでいませんが、きっと今のA君の心に響いたのだろうと思います。以前はマイワールド招待の子のPC番号すら聞けずにいたA君の2か月前を思い起こすと驚くべき成長です。

私たちは、インクルージョンを進めるには子どもによって時期があると考えています。もっとも重要なのは子どもの安心が確保できるかどうかです。その安心は子どものスキルに裏付けられるものだと思います。表現する術もないのに、一緒にいれば何とかなるだろうという考え方はダンピングといって、現場に丸投げの安上がりなやり方で間違いです。子どものスキルを育てながら、やがて子どもがそのスキルを自分で使えるようになる時期を見通しながらインクルージョンは進めるものだと思います。

今回、障害児通所支援の在り方に関する検討会(座長=柏女霊峰・淑徳大教授)が報告書を出し、保育所や学童保育のインクルージョンが進まないから、一定時間を放デイから移行させてはどうかと提案していますが、子どもに社会性スキルが育っていないのに、子どもが安心して過ごせるかどうか考えてみればわかる話です。何故、子どもが学童保育に行きたがらないのか、そこを考えないと、放デイの利用総量も減ったが、学童保育に行く子どもも更に減少したという事になっては意味がありません。

 

ドッジボール逃げてどーする?

小学生が集まってくると公園に行ってやることは決まっています。鬼ごっこ・かくれんぼ・だるまさんが転んだ(ボンさんが屁をこいた)・風がなければバトミントン・風がある日はドッジボールです。昨日は、冬型の気圧配置でめちゃめちゃ風が強かったのでドッジボールをしました。

X君もY君も逃げ専門だったと言います。それなら、投げ専門がいるはずだと思い聞いてみると、「昨日Z職員が肩が痛いってぼやいていたよ」と言うので聞いてみると、逃げ専門の子どもばかりなので職員がずっと投げてたというのです。他の子どもの投げ方も、両手投げでヘロヘロ玉なので勝負がつかないのです。

ボールが受けられないのは、手加減して受けられるような球を投げればいいのですが、問題は投げ方です。片手でボールを持って同じ側の足で支えます。持った手と反対側の足を踏み出し腕から腰で投げるという力の入れ具合がまるで分らないようなのです。投球動作を教える時は少し重みのある小さな野球ボールの方がよいのかも知れないので、キャッチボールを教えてみるかと職員で話しています。投げ方をうまく教える方法は様々ですが、基礎からやった方がいいけど高学年だとモチベーションが持てないしと思案中です。

 

視線が合うようになってきた

ASDのVちゃんの視線が最近職員と合うようになってきたと言います。Vちゃんと出会ってから18か月が経ち、やっと職員と目が合うようになったのです。Vちゃんは、欲しいものがあると宙に向かって叫んでいました。冷蔵庫に向かって「ジュースくださ~い!」と叫んでいたのです。おそらく、就学前まではそれでジュースが出てきたり欲しいものが手に入ったのでしょう。要求が叶わないとこの声はもっと大きくなるからです。

先日、公園に行ってロープ遊具で遊ぶ時に先生の援助が必要になった時、いつものように遠くから宙に向かって「ロープとってくださーい」と叫んでいました。職員が反応しないので、走ってきて職員の目をのぞき込んで「W先生 ロープ取ってください」と言えたのでした。この目をのぞき込む要求行動と並行して、Vちゃんの事業所での適応が良くなってきたそうです。相変わらず、一度自分で決めたパターンは崩せないのですが、指示は通りやすくなったと言うのです。

前回、(2の声でお願いします : 10/13) でも書きましたが、事業所に入る前にお願いすると、毎回ボリュームをひそひそ声にまで落として、こんにちわと挨拶してくれます。声をかけられた職員は必ず目を見て挨拶を返すようにしています。このように、Vちゃんが指示に沿えるようになってきたのは、職員の側がVちゃんのニーズが分かったからだと思います。

大声の原因は、あいさつしたら挨拶を返してほしいという要求だったとわかり、宙に向かって叫んでいる時と同じで、相手が特定できないまま要求していたことが分かったからです。ならば、目を見て私が受け止めたよという返事と2の声でと言う条件をセットにして適切なコミュニケーションを積み上げていくことができたからだと思います。

コミュニケーションが適切に取れだすと必ず子どもは落ち着いてきます。もう窓に登ったりして職員の反応を引き出す必要はないのです。声を出して喋ることができていたVちゃんへの導入は絵カードコミュニケーションよりこの方が良かったようです。ただ、声は消えてしまって見直すことができません。そろそろ、本格的にPECSに取り組もうと思います。

発達検査でわかる事

この間2件続けて発達検査をしています。すてっぷではKABC-Ⅱという認知も学力も測れる検査を利用者の希望があればしています。この検査では、認知総合尺度と習得総合尺度が測れるので、得点を比べて認知に適した学力が形成されているのかどうかがわかります。例えば認知総合尺度より習得総合尺度が低ければ、教え方によってはもっと学力が伸ばせるということです。逆に習得総合尺度が高ければ、先生の教え方が良かったり生徒が努力しているということになります。

よく使われるWISC-Ⅳはワーキングメモリーと言って数唱を覚えたり覚えて並べ替えたりする指標がありますが、いずれも聴覚記憶です。KABC-2は、視覚による短期記憶も継次尺度として測るのでどのような短期記憶が得意なのかわかります。ただ無理なく検査しようとすると、高学年なら二日間かかるので学校関係ではあまり使われないようですが、検査の結果が支援へのヒントに直結しやすく便利な検査ではあります。

今回はU君を検査をしましたが、U君の認知総合尺度に比べ習得総合尺度が著しく低いという結果が出ました。というか、前回2年前よりも認知総合尺度が著しく伸びているので、勉強の内容が合っていないというプロフィールになっています。通常、知能検査の数値やプロフィールは年齢によって大きく変わらないと言われているのですが、認知尺度中、継次尺度以外の尺度が全て著しく高くなっていました。

特に新しい学習に取り組む力と言われる学習尺度の伸びが極めて大きく伸びていました。U君はASDなのですが、最近言葉による理解力が伸びており、NHKの将棋講座などを視聴して腕を伸ばしている等があり、このことと大きく関係するのだと思います。U君の認知尺度に適した学習をこれから用意して、積み上げていくことが学校の課題になってくるのだと思います。とりあえずは、この結果を家族と当事者であるU君に理解できるように説明する準備を始めています。

連続落とし物

R君の財布を事業所に忘れていませんかと、小学生と外出した職員から電話がかかってきました。今日は科学センターに行きお昼は回転ずしに行って帰ってくる外出日です。財布がないと言うR君はいつも財布をなくしています。みんなから、カバンの蓋が開いているから物を落とすよと言われていますが、一向に改善しません。職員総出で探していると、現地の職員から職員の車のシートの間に落ちていたと連絡がありました。

やれやれと思ったら、お昼ごろ、今度はS君の財布がないと発覚し科学センターに連絡したところ、落ちていましたと折り返しの電話がありました。R君の件でみんながあれだけ大騒ぎしていたのに、ブルータスお前もかでした。二人に共通することは、大事な財布を無くしているのに「ないない」とパニックっているだけで、援助してほしいと求める事ができません。そして、見つかっても、迷惑をかけたと想像ができないのでお詫びができないのです。まずは、適切に援助を求める事や手を煩わせたことについてのお詫びの仕方を教える必要があるなと感じています。

ただ、前回の公共交通機関が使えないのと同じように、日常的にお金を使うという活動ができていません。それは、この子たちが金銭を紛失しやすく自立的な行動をさせることに不安があるので経験させない、経験をさせないから失敗から学べないという悪循環に陥っていることも考えられます。生活行動は経験と工夫の積み重ねで自立していくものです。大人になってからでも経験のない人は苦労している人は少なくありません。子どものうちにサポートがしやすいうちに経験を重ねさせることが大事だと思います。