すてっぷ・じゃんぷ日記

今日の活動

昨日はすみませんでした

P君をいつも通り学校に迎えに行くと、「昨日はすみませんでした」と突然頭を下げて謝るのです。「いえいえ別に何とも思ってないよ」と言って恐縮しましたとスタッフがいいます。スタッフが子どもから自発的に次の日に改めて謝罪されることが、これまで一度もなかったので驚いたという話です。

P君は前日、公園に水筒を忘れたのです。「水筒忘れてきたから、取ってきてほしい」とスタッフに言いました。「え?君の水筒を探すなら、『すみません。水筒を公園に忘れてきたみたいなんで、一緒に探しに行ってほしいです』と言ってください」とスタッフに窘められます。「取ってきてくれてもええやん!けち!」とP君は逆切れしました。

結局、二人で探しに行ったのですが、スタッフは「車の中で待っているから、まずは自分で探しておいで」と促すと自分で探せたそうです。話はここまでなのですが、支援を受けている子に依存的な言動が多いのが気になるという話をそのあとスタッフ間で話していたのです。忘れ物も多い、落とし物も多い、不器用で物を壊しやすいなどがあって、ついつい大人が手伝ってしまう事が多いことが原因かもしれません。大人は手伝っているつもりが、当の本人は自分の事でも大人がするものという誤解をしているのかもしれません。

でも、P君は「自分のものは自分で探せ」と大人に言われたのが初めてだったのかもしれません。自分で探したことも初めてだったのでしょう。そして、自分で見つけた時に嬉しかったのかもしれません。きっと一晩中そのことを考えていたのでしょう。「先生ごめんね」をどう伝えていいか考えていたのだと思います。それが、いきなり「昨日はすいませんでした」だったのです。迎えに行ったスタッフはとても嬉しかったそうです。

滑り台

Oちゃんが初めて滑り台に上がって足から滑り降りました。スタッフみんなで大喜びです。滑り台は発達的に考えると2歳を超えると滑れるようになります。1歳なりたて児の滑り台の滑り方で一番よくあるのが、スロープをよじ登って力尽きて腹ばいに落ちてくる子です。次は階段を上がって踊り場でそのまま頭から滑る危ない子です。つまり、姿勢の転換ができないのです。

滑り台は1歳半の節目を試す遊具でもあります。登ったら姿勢を変えて足から滑ります。つまり、遊具に合わせて体を調整しているのです。ここから、場面に沿う、指示に沿う力が芽生えてくるのです。それまではお母さんの真似がしたくて、櫛を反対向けていたのが毛の方に向けたり、スプーンで茶碗をたたいていたのが落とさないで抄うことに気が付いたりと、意味を操作で理解していきます。なので、Oちやんの滑り台の踊り場での姿勢転換(座ったままの足の入れ替えでしたが)はすごいことなのです。

スノードーム

透明な容器のなかに雪景色を再現するインテリア、スノードーム。好きなオブジェを用意して、雪に見立てたキラキラ素材と一緒に、水で薄めた液体のりを入れるだけで完成です。ジャムの空きびんや 100円ショップのふたつきびんのほか身近にある素材を使って、クリスマスにぴったりなスノードームが簡単に作れます。

今回は、スヌーズレン用(ビーズがゆっくり舞うのを楽しむため)のスノードームを作りました。ラメ用にホログラム折り紙とマルチカラーの極小ビーズがびんの中でふわふわと舞う、ロマンティックなスノードームです。言葉のない障害の重い人でも楽しめる、ふわふわキラキラワールドが簡単に小さなびんの中に完成。

N君が「サンタは置かないの?」と聞いてきましたが、今回はスヌーズレン用に作ったので小物を用意していませんでした。空きびんのふたを下にして、雪だるまやモミの木を接着剤で貼り付けて置くともっと素敵になるので次回はこれに取り組みます。

相貌失認

今日はお天気がとてもいいので西山歩きにいってきました。L君は久々の運動が西山歩きだったので帰ってくるころにはスタミナ切れで、青息吐息でぐったりしていました。そのL君にM君が矢継ぎ早に漫画の話題を話しています。M君は一つ年上のL君がとても気に入っていて、L君が来るととても嬉しいのです。それがわかるL君はぐったりしながらも「うんうん」とM君の話に頷いています。L君の優しさには頭が下がりますが、M君はそんなL君のしんどそうな表情がまるで認識できないようなのです。

相貌失認(そうぼうしつにん、Prosopagnosia)とは、脳障害による失認の一種で、特に「顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔か解らず、もって個人の識別が出来なくなる症状」を指すそうです。これは頭の怪我などからわかってきた障害ですが生まれつきの人もいます。ブラッド・ビットが2013年に相貌失認かもしれないと告白しましたが、ASDの人たちの中にも程度の差は人によってそれぞれですが少なくないようです。

M君は3年ここに通所してますが、いまだに「あの人」と名前が覚えられない子どもやスタッフがいます。人に興味がないというより、顔が覚えられないのかもしれません。そして、大好きな人の表情も読みにくいので、しんどそうに頷いているL君に自分のお気に入りを話し続けているのです。こんな時、どんな支援がいいのか考え込んでしまいます。表情が見えないのに見ろというわけにもいかないからです。

この場合は、まず自分が他者の顔や表情が読みにくいことを知り、そこから起こりうるリスクとそのリスク回避の方法(謝り方等)を学んでもらう事と、極身近な人たちにはカミングアウトして援助を求めていくのが良いかなと考えています。筆者も相貌失認の傾向があり、スーパーなどで買い物をしていて親しげに声をかけられても誰か思い出せず「急いでいるので」と買うものも買わずにその場を逃げ出すことがたまにあります。研究によると人口の2%にこの傾向が確認されるそうです。

 

アセスメント

支援で最初に重要なものはアセスメントです。医療でも診断がまず大事です。どこが痛いのかまず調べます。頭が痛い人に消化薬を処方したり、腹痛の人に頭痛薬を出さないのは当たり前です。ところが、教育や福祉の現場ではそれがちょくちょくあって、悪意はないがいつまでも頭痛の人に消化薬を出し続けていることがあります。この間違いの多くの原因は教条主義とアセスメントを動的に捉えられないPDCAサイクルの欠如です。

K君は表出のコミュニケーションが弱いと言われてきました。ASDの人ならある程度言語がわかるのに不適切な行動をしている場合は、まず表出のコミュニケーションの弱さを疑います。それで大体の子どもはアセスメントOKですが、うまくいかない場合があります。表出を支援している場所なのに不適切行動が減らない時や、他の生活場面では不適切行動がないとするなら、表出以外に何かあるなと考えてこれまでのアセスメントを疑ってみます。

課題が難しい、生活がつまらない、褒められることが少ない等が考えられます。しかし、どんな子でもそんなに自分のことは分かってはいません。ですから、「自分はOK」と思える生活かどうか、「好きなことがある」のかどうか、「君なかなかやるね」と褒められる人がいるかどうか等をトータルに見直す必要があります。また、弱いところだけに着目した療育は必ず失敗します。必ず強みや得意なこと楽しいことと組み合わせて実施できているかも重要です。K君の生活を見渡せるほどの放デイの利用回数がないので分析は難しいのですが、定点観察をしながらアセスメントをすすめたいと思います。

カタトニア

J君に、大好物のおせんべいをメニューに示しているのに「おやついりません」といいます。どうも調子が悪いようです。顔色もよくありません。他の様子を観察すると、自立的なスケージュール行動はできていたはずなのに、その日はスタッフが誘導しないとなかなか動けませんでした。

J君にはカタトニアが時々出ます。カタトニアが出ているなと判断した際は、J君のタイミングで行動が切り替えられるように、いつもより本人と距離を取って待つようにしています。ただ、どれくらい待てばいいか、状況を見ていつ声掛けをするかは、本人の状態もあるしスタッフによって差があるもの事実です。

ASDにカタトニアの症状が出るのは、10代中盤の中学生ぐらいから20代前半ごろと言われ、期間も数ヶ月程度のものから数年間にわたる物まで幅広いです。カタトニアと思われる症状には、動作の停止、動作の遅れ、行動のやり直しなどが有ります。

飲食時の動作では、飲食の際に自分から動き出せずに止まってしまったり、摂取する動作が非常に遅く定められた時間内に食べられない事があります。本人のお腹の調子が悪かったり食べたくないのかと思い片付けると、「食べる」と訴え最後まで食べることもあります。場合によっては自分ではお皿から口まで食べ物を運べなくなってしまい、周りの大人が介助をして食べさせることもあります。飲食の遅れがあると時間内に食べ切れず、体重が減ってしまう事もあり注意が必要です。

室内の移動や屋外への移動、車に乗り込む際などに動けなくなったり、移動がとても遅くなる事があります。動けなくなってしまったときにカウントダウンや様々な声かけで促したりしても動くのが難しく、移動するのにとても時間がかかる事があります。自宅でも外出時には1時間ぐらい前から移動を促したりしても、学校のスクールバスなどに間に合わない事もあります。また、移動の際に部屋の敷居や段差などがあると、そこをまたごうとする行為で止まったり、何度もまたぐ動作をやり直したりする行動が見られる事もあります。

トイレで排尿の際に便器まで行きズボンとパンツを下ろしますが、そこで止まってしまい排尿をする事もパンツやズボンをあげる事もできなくなることもあります。また、本人は既に何度も行って理解している作業や動作にもかかわらず途中で止まってしまい、周りからの指示や促し、場合によっては体を押して前に進ませたりさせないと次の動作が行えなくなってしまう事もあります。

カタトニアは、指示をしても抵抗して嫌がる場合もある(周囲には嫌がっていることも伝わらない時がある)ので穏やかにかかわる必要があります。治療方法には薬(向精神薬等)による治療方法があります。カタトニアの原因や症状により治療方法や服薬する薬が変わってくるため、専門の医療機関での診断が必要です。

 

 

ホームページのお休み

毎度ご愛読いただきありがとうございます。
ホームページ等のメンテナンスのため12/16水曜まで掲載をお休みします。しばらくお待ちください。

しんどいです!

前回お話していたW君の交渉は進行中なのですが、先日W君は自分で契約した回数ができないと訴えてきたのです。10本を二回やると契約したのですが、2回目の時に「しんどいです。やりたくないです」と訴えてきたのです。スタッフの偉いところは「たかが缶潰し10本じゃないの」とはいわずに、「そうですか。では今日はやめましょう」と受け止めたことです。

W君のしんどい中身は良くわかりませんが、作業中にこんなことを言ったのは初めてなのです。たいがいは、始まるまでに「いやです」「しません」か少量付き合い程度に作業するかだったので、今回のような中断の要求は出しようがなかったとも言えます。でも作業中に彼としては思うところがあったのでしょう。その契約の内容がまずかったのか、本当に途中でやるせなくなったのかはW君にしかわからないことですが、彼の発言は尊重したいし、契約の仕方にもう少し工夫ができないかどうか次に生かそうと話し合いました。

熱い心と、冷たい頭

子どもの検査所見にはいろいろあります。観察は素晴らしいのに、で、どうするの?と具体的な支援が見えない場合があります。『何を指示しても嫌だ嫌だと拒否するI君(4歳児)の相談があったので、検査を行いました。検査者と関係が持ててきたので、模写課題をやってみようとしました。I君検査者が持っている模写カードを盗み見していて「簡単なのは嫌やで」というので難しいかなと思ったのですが正方形模写(3:6)に挑戦してもらいました。

「見んといてや」と隠すように正方形模写に一生懸命取り組みました。できた模写を見てみてみると、四角の頂点がどうしてもうまく描けず、何度も修正してモデルの絵に近づけようとした軌跡が描かれています。なりたい自分への葛藤というI君の願いがそこには表れていました。嫌だと言うI君を頑張れと追い込むのではなく、I君が自分の力で取組もうとしたり修正してくるタイミングを大事にしてあげたいものです』

I君への思いが美しい表現で綴られています。でも、これでは「ちゃんとしなさいと追い詰めないで待つように。そのうち自分で取組むと思うよ」としか読めません。嫌の原因はできないかもしれないという不安が高まるからだというのは良くわかりますが、大人の側が追い込んでいるからというだけが理由だろうかと、応用行動分析では考えます。「課題の与え方がボトムアップでゴールに届きそうにないから嫌なのかもしれない。トップダウンで見通しのある届きそうなところから取り組ませれば自信になりはしないか」と環境側にその原因を求めます。

子どもの内面の物語(スジ書き)を作ってしまうと、環境側や大人側の課題が見えなくなる可能性があると思うのです。子どもの内面だけでなく、子どもの外側に問題がないかどうか考えてみること、できるために何が足りないのか考えてみること、それが子どもをリスペクトする専門家の仕事だと考えています。学生の頃、お花畑のようなことを言って、先生から「情緒的な言葉は時として私たちから真実を遠ざけることもあります。熱い心と冷たい頭を持ちなさい」と言われたものです。
『熱い心と、冷たい頭をもて』アルフレッド・マーシャル (イギリスの経済学者)

祝500万ビュー!

祝500万ビュー!

本日でこのブログは500万ビューを達成しました!昨年4月から1年で100万ビュー、この4月から8か月で400万ビュー増加なので指数関数的に増加していると言えます。先日も見学の保護者の方から、利用しているサービスからスケジュールへのトランジションについて見直しをしているという話を聞きました。

え?それどこかで聞いたような。あ!それ私です。ブログに書いた覚えあります。見学者の方が教えてくださったサービスは我々のブログのフォロワーさんのようでした。こんなふうに身近でも読まれているのかと知ると、嬉しいような怖いような不思議な気持ちです。毎日1万回以上読まれるのは、何か共感してもらえるものがあるだろうと思います。

ということで、この500万ビューを次の1000万ビューの跳躍台にして、皆様のご期待に添えますよう職員一同精進して参りますので、どうぞよろしくお願いします。この調子で行くと来年度には1000万ビューに届きそうです。敢えてコメント欄は設けていないのですが、ご意見やアドバイスがございましたらオフィシャルアドレスまでメッセージをお願いします。

やればできる人

G君は高等部生ですがシャイな人なのでスタッフに声をかけられないとなかなか自分から進んで事が起こせません。トイレですら「大丈夫ですか?」と聞かない限り自分では行かないで我慢しています。

そのG君が、近ごろ新入りのH君と仲が良くなり二人だとちょっと元気になって、H君がいれば様々な新しい課題でもトライするようになってきました。かなり自信ついてきたねとスタッフも評価していました。友達の力は本当に偉大です。

そんなある日、別の学校の中学部生が事業所に見学に来ました。G君はチラチラと新参者を見て気にしているようです。すると、何と言うことでしょう!ストラックアウト・ゲームはいつもヘロヘロ球だったのに今日はバシッと速球で決めてきます。声もでかくなって、「俺はやるよー」と豪語しています。そして、なんとスタッフに「トイレ行ってくるわー」と言うのです。「え?ついていかなくていいですか?」「イランイラン」と手を振ってトイレに一人で行きました。新参者の中学部生が見ているとはいえ、やればできる人だったのです。後輩の力も偉大です。

スケジュールとタイマー

F君が家からタイマーを持ってきているというので、どんな使い方をしているのか聞くと、机の横にセットもせずにおいているだけと言います。では休憩時間はどうやって終わるのか聞くと、そろそろ片づけてほしいタイミングでタイマーセットしてタイマーが鳴ったら声をかけて終わらせていると言います。この使い方では「終わりやで」と声をかけているのと変わらないです。でもこれは支援「現場あるある」事象です。なんのためにツールを使うか良くわからないまま支援の中にツールが入りこむ悪い例です。またF君自身も何のためにタイマーがあるかわからないけど、机の上にこれがないと不安なので家から持ってきているのだと思います。

タイマーは小学生から障害の重い高等部生までよくタイマーを使いますが、どんな目的で使っているのか聞くと、大人の都合で使っているだけだと言うことが少なくないです。タイマーを使うのは子どもが自発的に次の行動に移るために使うのですが、それを理解させるにはスケジュール操作を丁寧に教える必要があります。

タイマーは休憩時間や遊び時間に使うことが多いですが、これをタイマー理解の導入に使うのは間違いです。楽しいことが終わる行動が強化されるはずがないからです。重度の人には楽しいことが来る時間にタイマーを設定します。小学生には、自立的にタイマーで行動ができたらポイントをあげるという形でタイマーを教えます。

こういうことが定着したうえで、休憩時間にタイマーを使ったり、作業を途中でやめるためにタイマーを使い、自立的にスケジュールを操作できるように支援すればうまくいくはずです。

いいえ・違います

E君が遊びたいかなと、「音のなる絵本」をスケジュールに入れておきました。E君がその絵カードを渡してきたので、いつもの音のなる絵本を渡すと、押し返して自分の頭をたたくのです。そうか、新しい音のなる絵本が欲しいのかぁと新しい本を渡すと遊びだしました。

E君は絵カードでかなり要求ができるようにはなっているのですが、カードの弁別が十分にできないのと「違う」が自分の頭をたたく行動になっていることです。確かに頭をたたけば「違う」ことは誰でもわかりますが、もっと穏やかな拒否の方法を探しています。

手で押しのけるのはいいのですが、拒否を強く伝えるために言葉のない人の中では自分の頭をたたく人は少なくありません。これを穏やかな身体サインに変えたいのです。ところが、「いいえ」「違います」のトレーニングは簡単そうで難しいのです。

PECSでは身体プロンプトで首を振らせて拒否のサインを教えるように提案していますが、背後から手を添えて首を左右に振らせるのは難しいのです。顔を触ることで、本人の「何すんねん!」の反応が出ることが多いからです。なので、両腕を出して「NO」の表現の方がいいかもしれません。要は頭をたたく行動から代替させやすい行動がいいのです。さてどんなサインがうまくいくでしょうか?

 

先輩はつらいよ

外遊びの科学的根拠12/02」で掲載したように、B君C君は外遊びに行こうかと誘うと、「え~」となるのでビタミンDを強化子にして外遊びに誘い出しています。しかし、そんなことをしなくても「高学年のプライド」とという素晴らしい強化子を発見しました。

低学年のD君が「鬼ごっこがしたい」と言うと二人とも、「ええよー」と頷くので、「あんたら いつもとちゃうやん」とスタッフは思っていました。しっかり走り回って全員つかまって帰りましょうかという雰囲気の中、スタッフが言ってみました「もう一回しようか?」BC君そろって「却下!」と言います。「Dちゃんどうする?」と聞くと、「もう一回やりたい!」BC君揃って「しょうがないなー もう1回やろか」ということになりました。

延長戦も終了し、「さぁ 帰ろ帰ろ」と言うBC君の背中にD君が「もう一回したい」と声を掛けました。 さすがに「え~~もう帰ろうや~」と絶叫します。スタッフがD君に「D君どうする?」と聞くと「もう一回したい!」「このようにD君はリクエストしていますが…」とスタッフが言うと、「ほんな やろかぁ」と3回目も肩で息しながら付き合う高学年二人でした。先輩はつらいよ。

ボール投げ

Z君が公園でAさんとボール投げをしてにこにこしているという報告がありました。Z君はこれまで「前庭覚ニーズ」が高いと外出しては公園でブランコという日課が多く、小さい子が室内でうるさく叫ぶと他害もあり、他の子どもとはあまり交流せずにスタッフと過ごしてきた経過がありました。

しかし、他害の原因は他の子どもの大きな声が耐えがたく攻撃するというものですが、Aさんなど小さい子がうろうろするだけでイライラする様子もあったので、少し一緒に遊ぶなど交流させてはどうかという提案をしました。公園に行ってブランコをするだけではなく、Aさんとボール投げに取り組んでみました。スタッフと3人で取組んでAさんが受け損ねるとZ君が走って取りに行くなどの変化がみられています。

他害などがあると、なかなか他の子どもとの交流を避けがちですが、他害の関係を打ち消すほどのものかどうかは分からないけれど、一緒に楽しく活動する関係をどう作っていくのかも考えていく必要があると思います。

外遊びの科学的根拠

小学生高学年のY君らは「外で遊びたくない、面白くない」とよく言います。じゃぁ室内で何がしたいのと聞くとゲームかパソコンです。放デイ以外の日は外で遊んだことなどないというのです。友達もいないし、だいたい高学年は習い事で時間も合わないという悪循環で、友達と交流するのは学校か放デイだけだというのです。

外で遊ぶと、①太陽の光を浴びることで基礎代謝があがる②体を動かすことで心肺機能が高まる③空腹感を感じることで食欲がわく④睡眠の質があがる⑤生活のリズムが整う⑥運動することでストレス発散となりポジティブ思考につながる。ことを、丁寧に医学心理学的に説明しています。

丈夫な骨を作るためには、運動や日光を浴びてビタミンDを増やすことが重要で、夏は紫外線量が多く、ビタミンDを短時間で効率的に増やせるから夏に背が伸びやすく骨折もしにくいと説明します。背は高くなりたいと皆思うようでしぶしぶ外に出ています。あと、抜け毛は諸説あるので原因は一つではないけど、有酸素運動とストレス防止と抜け毛防止は関係があるという人もいるらしいというと、男の子は靴を履きだします。ただし頭皮に紫外線はほどほどにねと帽子を渡します。みんな、外で遊ぼう。

 

VOCAの意味

VOCAは、Voice Output Communication Aidsの略で音声出力会話道具が直訳になるでしょうか。大事なのはOutput(アウトプット)=出力というところです。言葉のない人の音声言語の代わりに使う道具という意味合いが重要です。人は、人から促されて喋ることはほとんどありません。自分が必要な時に自分で喋るのです。

XさんのVOCAの使い方は、先生が手にVOCAを持った時に「おかわり」と、Xさんがボタンを押しに行くという報告がありました。「え?それって『大人がおかわりと言いなさい』と言った時だけ喋れという指導と同じですよ」と他のスタッフが言いました。その通りです。自分から音声出力する=自発性言語を育てるはずのVOCAが受け身(応答性言語)の道具になっているのです。

肢体不自由の人は移動・食事・排泄など依存的になることが多いです。しかし、電子機器などを使えば、自分の意志を伝えることは可能なことからVOCAが生まれました。もちろん最初は身体プロンプト(後ろから手を添えて操作させる)をするなどしてVOCAの意味を教える必要があります。ただ、教え方は自発性を担保する教え方でないと、そばに人がいないと伝えられないとか、VOCAを人に持ってもらわないと使えないようになってしまいます。本人が操作しやすい位置にVOCA専用台を作る等いろいろ工夫して、自分だけの力で操作できる環境を整えようと話し合いました。

うるさい

すてっぷには、低学年から高等部生までの子どもが毎日10人前後出入りします。当然、はしゃぐ子もいたり、室内での声の大きさのルールがわからない人もいます。ところが、活動する部屋は一つですし、広さは40畳以上あるのですが、それでも大声は響きます。ASDの人の中には突然の大声がたまらなく嫌な人がいます。イライラしているとそれが他害につながったりするので、職員は部屋の使い方にはナーバスになります。

うるさくてイライラして壁を叩くなどの行動がある子どもには、「うるさい」「しんどい」をスタッフに伝えることで幾分楽になる人もいるので積極的に自分に気持ちを表出する練習をしています。しかし、それも度重なると我慢の限界を超えます。大声を出す子にはルールを教えます。声のレベルメーターでわかる子はいいのですが、それが理解できない子の対応はとても難しいです。うるさくしても注目しないようにはしますが、静かにすれば利得があるわけではないので教えるのが難しいです。何かいいアイデアはないか考え中です。

交渉

W君に作業の打ち合わせで10本の空き缶つぶしをお願いすると、W君は「8本」と交渉してきました。そこで、スタッフ側も「では5本で休憩入れて2回のインターバルでお願いします。」と再交渉すると「わかった」と契約成立しました。「おやつは何がいいですか」と聞くと「グミ8個!」とさっきの「8」を引きずっている様子なので、「グミ2個を2回でどうですか」と聞くと「わかった!」とこれも契約が成立しました。

わずか10本の空き缶つぶしですが、言われたからやるのではなく、報酬も要求しながら自発的に取り組んでほしいという願いが私たちにはあります。もちろん言い値で了解するのではなく、お互いに駆け引きしながら合意していくプロセスを大事にしたいのです。今は、作業の量ではなく取り組むときの質=受け身ではなく自発性が大事だと考えています。

正しいコミュニケーション学習

お話の出来ないU君は、何かをお願いするとき片手で頭を押さえてお辞儀をします。それがとてもかわいい仕草に見えるので、大人はついついリクエストしていました。新しく入ってきたスタッフがその様子を見て悪気はないにしてもリクエストしているのは疑問に思うと言ってくれました。

おそらくこの行動は、最初は大人が頭を下げるように手で押さえて教えていたのが、いつの間にか、自分の手で頭を押さえてお辞儀するようになったのかもしれません。

彼は今PECSのフェイズ3で要求物を選んでお願いができるようになっています。それでも、大人があの仕草を求めて自然に待ってしまうタイムラグがあるので、お辞儀も続けてするのです。それは良くないだろうというのがスタッフの意見です。確かに、可愛いからと言ってこちらの基準でお願いのオプションを求めるのはおかしな話です。今まで怒ることで要求が叶うと思っていたU君が自発要求していているのですから、そのことを第一に喜んであげて、早く要求のものを渡してあげてほしいのです。

同じように、VOCA(音声出力ボタン)の練習中の子に、大人は「ただいま」とか「ありがとう」などから教えたいと思うのが人情ですが、まずはボタンを押せば自分の要求が叶う事がVOCA練習の1丁目1番地です。つまり「おやつほしい」とか「喉乾いた」とか「おかわり」「もっとほしい」です。これが結び付けば、自分の意志で言葉(ボタン)を選ぶ方向に結びつきます。大人の求めていることと子どものコミュニケーション学習の順序は違うのです。

増やしたり減らしたり

「みんなでホットケーキ作りをしたときに、RさんやS君は秤を見ながら増やしたり減らしたりできないです」「T君は微妙な量もきっちり調整しようとするのにどうしてでしょう」という話がありました。通常6歳ころから底の広い入れ物の水を、細長い入れ物に入れて水かさは高く見えてもその量は同じだとわかってきます。この頃から長さや量を測るという意味が分かってくるのです。

その前の段階では「大きい・小さい」「長い・短い」という2元的な判断です。就学前に向かうにつれて「中くらい」「まぁまぁ」が理解でき、7歳の節目では極小から極大までの変化「だんだん」がわかるようになります。重さは見えないので見えないものを把握しようとするのは小学校中学年ころからです。こうした認識を基に量を計るときに慎重に増やしたり減らしたりもできるようになるのです。つまり量の認識には発達段階があるという事です。

子どもたちの遊びや、調理を見ているとその子がどの段階にいるのかよくわかるのです。逆に言うと、そういう量の微調整ができるのに、読み書きが難しかったり文章の意味が取れない場合は知的な遅れより学習障害などを考えて詳しく子どもを見ていきます。

なんで?

「最近Q君がタイマーが鳴っているのに無視してやり過ごすんです」とか「Q君みんなと一緒にけった(缶蹴り)とかしようとしないんです」などとスタッフが子どもの行動が理解できないと質問するとき、「なんで?」って聞いたのかと返すようにしています。特にASDの子どもの場合、その行動が不適切なのかどうかも意識していない場合が多いからです。

また、子どもたちに「どうして?」と聞かないスタッフの気持ちには、その場はまずいとか、悪いことだと気が付いていないなら責められたと思い傷つくかもしれないとか気を使っているのです。

その場がまずいなら、さっきのこと後で聞くから教えてねと予告すればいいのです。また、気が付いていないなら「ああ そういうことか」と素直に気が付くか、「わからん」と理解できないかどちらかです。ASDの子どもたちはとても合理的で、理屈さえわかればはっきり言った方が納得するし、逆に遠回しな言い方にはピンとこずかえって誤解をしたりします。

そして、「なんで?」と聞かれることで、彼らが「なんでやろ」と考えてくれる機会を作るところに意味があるのです。子ども達が自分を振り返ってみる機会は、こんなスタッフの問いかけが契機になったりするのです。スタッフには、「ああ、そういう考え方もあるね」という子ども観が広がる機会ともなります。

就労支援

P君にASD(自閉スペクトラム症)の子どもたちに使っているジグ(作業を進めやすくする補助具)を使って自立課題に取り組んでもらいました。「できました」と言ってくれたので点検すると、不揃いな「完成物」が出来上がっていました。使った課題はボルトワッシャーナットをビニール袋に入れる20セットほどの組み立て包装です。

あっちの袋にはワッシャーが2枚入ったセットやら、こっちの袋はナットが入ってないセットやらでバラバラでした。完成品モデルは目の前に示していたし、何回かセット方法は教えはしたのですが、やっているうちになんとなくイメージで作ってしまった感じです。これはASDの子どもたちにはほとんどない間違い方ですが、短期記憶が弱く注意集中が持続しにくい人たちにはよくある間違い方です。

P君は人懐っこくて、指示に対しても「はい」と丁寧に答えてくれる高等部生です。簡単なものであっても作業が正確にできることは就労に結びつきつきます。これからP君に合いそうなジグやワークシステムを工夫して就労に結びつくように支援していきます。

他者理解と自己理解(その後)

一昨日、「他者理解と自己理解」投稿日時 : 11/17  について報告しました。毛嫌いしていたO君が自分の伴奏で楽しんでくれたことを知ったNさんは、O君にキーボードを譲ったり、「O君今何してますか」と友達を気にするようになったという話です。この話には続きがあります。

Nさんの作業課題が終わって、帰るまでに半時間ほど時間が余りました。「帰るまでの時間、キーボードを演奏したいです」とNさん。その時O君がNさんから譲ってもらったキーボードで遊んでいました。スタッフがNさんに「O君に一緒にお願いしよう」と提案しました。

なんということでしょう。Nさんが近づいてくるだけでO君は事情を呑み込んだかのようにキーボードをかたずけて渡そうとしていたのです。今までだったら猫の喧嘩みたいにお互いに威嚇していたのに「はいどうぞ」とばかりにO君は譲ってくれたのです。ギブアンドテイクがO君に理解でき、しかも自発的に譲ったところがすごいなぁとみんな感心しました。今日もO君は、視覚障害のNさんに「キーボードください」絵カードを渡し、カードをスタッフに読んでもらったNさんは「はいどうぞ」と優しくO君に譲っています。こうなってくると信頼関係とも言えるように思います。

課題設定

支援計画の事後評価の会議をしていると、時々、書いてある通りだけど書いてある課題を設定していないことがあります。これは、計画は立てるけれども日々のプログラムはそのまま続くのでスタッフのモチベーションが長く続かないと取り組めない内容があります。また、毎回課題としては書いているけれども達成できずに次回送りとされていつも評価は3段階評価の真ん中あたりでお茶を濁している評価もあります。

P君が自発的にスケジュールを見て行動できるようにというのもこの2年間同じでした。評価はいつも3段階評価の真ん中です。P君は来年の3月に卒業です。このままではきっと3月も「ほぼ達成できている」になりそうです。それなら、もう少し具体的に二つの内容なら自分でスケジュールを操作して行動できるにしてはどうかと提案しました。

いつも提示するスケジュールが多すぎるために、毎回スタッフがスケジュールを見るように促すことが定番になってしまっているのです。おやつの前の作業提示とかもっと簡単なスケジュール課題にしてはどうかと話し合いました。目標が高いか低いかは、当事者だけの問題ではなくスタッフのモチベーションの問題もあります。スタッフにもスモールステップでモチベーションが持続しやすい目標設定も大事だと思います。

 

 

他者理解と自己理解

Nさんがとても穏やかに友達と接することができるようになったという話をしました。Nさんは視覚障害があり、自分の周りに小さい子どもたちが寄ってくると不安なので「近寄らないで!」といつも厳しい声を出していました。結局それが面白くて、もっと子どもたちが寄ってきてNさんいじりが始まって、Nさんも大声で対抗するという毎日でした。

Nさんは、キーボード演奏がとても上手で以前から何度も、音楽遊びの時の伴奏をお願いしていたのですが、「嫌です」とけんもほろろに断られ続けていました。何の拍子か偶然Nさんが気まぐれに伴奏をしてくれることになり、その時に一番Nさんの邪魔をするO君も音楽遊びに参加していました。終わった後、NさんにO君らがとても楽しんで演奏していたことを少し丁寧に伝えました。

それからはNさんはO君にキーボードを譲ったり、「O君今何してますか」と友達を気にするようになりました。一緒に活動をし、他の人たちの様子を言葉で丁寧に伝えることで、Nさんの放デイの友達観が変わったようです。人が喜んでくれることに自分の値打ちを感じる、行ってみれば当たり前のことですが、この機会をどう演出するかが支援者の醍醐味です。

高学年の課題

生活型の放デイでは高学年の活動や内容づくりが難しいと何度か書いてきました。難しい理由は大人側の問題が大きいです。それは、発達障害があろうとなかろうと関係ありません。全国の学童保育所で高学年あそび問題も古くて新しい問題です。大人に依存的な低学年と、自立を模索し始める高学年とでは活動の質が変わってきます。

今日も高学年の子どもの暇つぶしに「ジグソーパズル」を課題として与えていいものかと議論になりました。好きに遊んでいいと言ってもパソコン以外は難しく、せめて静かにしてほしいのでパズルを与えるというスタッフ側。子どもにしてみれば、早くパソコンがしたいのでなんでもいいから手っ取り早い課題をするということで双方の利害が一致するのでこの「パズル問題」は見過ごされてきたのです。

しかし、これでは子ども自身も、放デイに何をしに来ているのかということになります。もちろん、ダイナミックな外遊びの提案だけでは毎日は運営できませんし、パズルでも内容やねらいによっては優れた課題になることもあります。生活型療育であっても、何のためにこの活動をしているのかスタッフが語れないような内容はNGだという話をしました。

服薬

L君は服薬を始めたたばかりで日によっては眠そうにしています。Mさんも服薬を始めたばかりですが、穏やかに過ごせるようになっています。こう書くと、L君は副作用が出ているから多いのではないかとか、Mさんは著効して良いのではないかとか言われそうですが、それは、放デイという環境でわずかな時間の話です。

自宅や学校の過ごしはどうか、何より本人が過ごしやすくなっているかどうかというトータルで一定長期間のデータが必要なはずです。その割には主治医や薬剤師から現場が求められる情報は皆無というほどありません。様々な環境で様々な様子を見せているはずなのに、医療は現場から遠いところにあるように感じます。

 

紅葉の特別入山

光明寺の『紅葉の特別入山』が明日から開催されます。総本山光明寺は承安5年(1175年)宗祖円光大師法然上人が御歳43歳の時、日本で初めて念仏を上げられた立教開宗の地です。今年は、現在放送中のNHK連続ドラマ小説「エール」のモデルになっている古関裕而さんの作曲した「念仏讃」直筆楽譜を初公開するそうです。

いつも静かな光明寺がこの時ばかりは「密密」です。同時に駐車場が拝観者用に有料になるので、お寺を散策したりする駐車場にも使えず、西山歩きにも使えなくなります。ただ、今年からは奥海印寺方面からアプローチする西山歩きを考えていますので、特別入山中でもなんとかなりそうです。

今の西山は一番歩きやすい時期でもあり、一服時の一杯のインスタントラーメンが至極の味です。今日もJ君がリュックにラーメン・コッフェル・バーナーの「山歩き三種の神器」を担いで、いそいそと山歩きにスタッフと向かいました。ちょっと時雨ている時もあったけど夕日が差してきたので大丈夫そうです。光明寺の紅葉が最も美しいのは、通常は12月初めころです。

 

 

私を見て

不適切な注意喚起行動の原因は大きくわけて二つです。一つは、ここで何度も掲載してきている機能的コミュニケーションの障害で、相手にうまく伝える表出コミュニケーションスキルがなくて、大声を出したり、物を壊したりする他害行動でしか伝えられない場合です。

もう一つは、家庭内が落ち着かないなど心理的な不安定で他者の注意を引く行動です。家庭は外で活動してきた後やれやれと帰ってきて、お風呂に入ったり、ご飯を食べたり、ぐっすり眠たりして一日の心身の疲れを癒す場所です。しかし、もしも、この心身のケアステーションである家庭が、いつも場所が変わったり、ゆっくりご飯が食べられなかったり、不安で眠れなかったりすれば、子どもは声なき声で訴えます。

知的に遅れがあったり、言葉でうまく表現できない子どもの場合は、大人への注意喚起行動「私を見てて」とばかりに、不適切な行動を繰り返して大人の注目を得ようとします。この場合は、機能的コミュニケーションの問題が原因ではないので、表出のコミュニケーションスキル訓練では解決しません。まずは、おうちの中の生活を安定させ家族の時間をゆったり持つことが必要です。

ただ、家庭の中でも一度顕在化した注意喚起行動は、最初のうちは簡単には消えません。保護者が音を上げてしまうような強く長いものもあります。この時、公的な支援システムの保護者支援がとても重要です。保護者が疲れてしまわないように、子どもとうまくかかわれるように支援することが重要ですが、片親がこんなに増えているのに、保護者への心身の支援はとても少ないと言わざるを得ません。シングルペアレントを支える多様な取り組みが求められています。

本人参加の支援会議

子どもの支援計画を議論する中で、高学年児は目標やその手立てについて本人も懇談会に参加してもらい、なぜこの目標を設けているのか、どのようにして目標を達成しようとしているのか話し合う場を設けることが必要だと話しあいました。

高学年ともなれば、自分はどうなりたいのかを考え始める時期です、対人関係や学習など様々な困難を抱えている子どもたちも、自分は何者か考える時期です。自分は何のために通級指導や支援学級に在籍して学んでいるのか、何のために放デイに来ているのか薄々子どもらも考えてはいるのです。

子どもにこっそり聞いてみると、たいがいはネガティブな理由です。通常学級ではしんどいから、勉強がわからないから、みんなとうまく遊べないからと、できない理由をたくさん並べてくれます。けれども、通級指導を受けたり支援学級に在籍したり放デイに来たらどんなメリットがあるのかは、どの子も答えられないのです。せいぜい、気兼ねなく生活できるという答えでした。

半年に一回懇談会があって保護者とスタッフが自分の話をしているのは子どもらは知っています。それならば、高学年からは本人も交えて支援会議を持てばいいと思うのです。中学からは3者面談を行いますが、ほとんどは成績と生活態度の反省会のような形になっています。そうではなく、どうすればうまくいくのかを話し合う必要があります。そして、とても困難な状況になっても3者で協力して乗り越えていく会議のスタイルを小学生の時期から持つことはとても重要です。とても困難になってから本人を無理やりに引っ張り出すのではなく、穏やかな時期から一緒に話し合いを積み重ねていく支援会議を大事にしたいものです。それが、自分のことは自分で決めるアプローチになると思います。

正常性バイアス

Jさんの評価について、関係者間で意見が違うというスタッフの報告がありました。行動問題が多く服薬したほうがいいという意見と全く問題ないから服薬などやめたらいいという意見などです。

そもそも、長く様々な関係者と付き合っていると考えが同じことのほうが少ない感じがします。保護者の意見も学校の意見も事業所の意見も相談所の意見もすべてが同じであったことのほうが少ないくらいです。それくらい、子どもの評価は見ている環境によって違ってあたりまえだということを知っておくことが大事です。

環境がちがうのだから評価が同じであるわけがないという前提に立てば、相手の考えていることが客観的に見えてきます。Jさんの場合もそうなのでしょう、場面の切り替えや移動が少なければ穏やかに過ごせるし、切り替えが多ければ混乱しやすくなるということを、障害特性と数年間の経緯が把握できていれば、いろいろなJさんの姿を知ることができると思います。

関係者や保護者が自分の知らない混乱したJさんの状況を聞かされたとすれば、たとえ嘘のない事実であったにせよ、疑ったり気分を害してしまう場合もあるという想像力が支援者には必要になります。良いことは共有しやすいですが否定的なことは共有しにくいのです。正常性バイアスといって、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう心理は誰にもあるものです。関係者間連携とはこういう前提で取組むものですから、「自分のやり方が悪いのかもしれないので協力して欲しい」という理由で動画など客観的なものを用意して、結論は出さずに困っているところをみんなで知ることが重要です。その上で、「うまく生活できているところからはたくさん情報や意見が欲しい」と知恵を出し合う取組を丁寧に行うことが必要です。

トランジションカード

スケジュール指導ではトランジション・エリアとトランジション・カードが定番で使われますが、トランジション・カードについては誰が発案したのかよくわかりません。スケジュールを置いてある場所をトランジション・エリアと言い、トランジションカードは「スケジュールを確認しに行きなさい」と指示するためのカードです。

この移動カードのシステムは、指示待ち(プロンプト依存)を作ってしまう場合があります。I君がタイマーが終わったのでスタッフにタイマーを持ってきました。こちらとしては帰る用意をスケジュールに示しているので帰る用意をしてほしいのですが、I君にしてみれば「タイマーが鳴りました」と示しに来るだけで、次の活動とは結び付いていないのです。

仕方がないのでスタッフは毎回トランジション・カードを渡して、スケジュールを確認するように仕向けるわけです。これは、プロンプト依存を作っているのと同じです。人的介入を絵カードにしているだけで声をかけているのと同じなのです。なんのために声をかけてはいけないということがわからないと、こんな形で声かけより厄介で強固なプロンプト依存を作っているのです。

トランジション・カードはスケジュールに戻って次の行動を確認しましょうというものですが、やることがわかっていても「トランジション・カード待ち」をするASDの子どもがいます。しかも、このカード渡し行動はフェードアウトのアイデアが浮かびません。

結局、ピラミッドアプローチで説明されるように、次の行動を起こす一連の動作として、スケジュールボードの一番上のカードを「これからやります」場所に貼り付け、その内容が終了したらスケジュールボードのおしまいボックスに入れて、一番上のカードを「これからやります」場所に貼るというルーティンを覚えたほうがよいのです。

そして「これからやります」の内容が終わっているのにスケジュールボードに戻れないなら、「これからやります」カードを貼る場所を子どもの目につく場所に貼って、終わればそのカードを持たせてスケジュールボードのおしまいボックスに入れさせて次のカードを取って移動するほうが合理的ですし、正しいやり方に移行する時のフェードアウトが身体プロンプトのフェードアウトで済むので移行しやすいです。

ということで、今後すてっぷではプロンプト依存養成トランジション・カードを廃止し、自立型スケジュール計画を考えていきます。

指示待ち

H君が、ワークシステム(自立課題の行動支援システム)にとりくんでいました。内容はプットイン課題3つですから重度の子どもです。でも左から課題をとり、課題が終われば右のおしまい箱に上手になおしていきます。動画を撮影していたこともあり、H君は終了すると撮影者におわったよとモーションをかけてきます。

撮影者は「ワーク中には声をかけてはいけない」と思っているので、しばらく反応せず撮影を続けていたのですが、申し訳なくなって「グッジョブ」サインを送りました。H君はいつもどおりに「よくできたねー」の反応をしてほしいのに「親指立てても意味わからんし」とばかりにせっかく片づけたおしまい箱をけって課題をひっくり返して大人の反応を引く行動に出ました。

要するに、終わったら、大人はいつも頭をなでて褒めると共に次の行動を指示してくれていたので、その大人の行動と指示をひたすら待っていたというわけです。通じなかったら不適切な行動でとりあえず注意を引くというH君のこれまでの姿がでてしまいました。

表出コミュニケーションが弱いことと指示待ちと不適切な行動はトリプルセットなのです。でも、どうすればいいかというスタッフへの次の課題をH君は提示してくれています。がんばります。

節目だから進路を考えられる

土曜にG君が昼過ぎにやってきて「また、やってしまった」と朝から来られなかったことを反省していました。週末は自分へのご褒美に、平日我慢しているゲームを夜中までやることにしているそうです。そして、今度こそは朝から放デイに行くぞと決意するのですが、朝目覚めても「もうちょっと寝よ」と昼まで寝てしまうそうです。

6年生の2学期ともなれば、子どもは中学校の生活に思いを馳せてあれこれと情報を友達などから収集するものです。でも、不登校の子どもにはリアルに情報を得る機会もないし、節目の時期の雰囲気も感じることができません。親や周囲の大人は進路についてあれこれ相談したり、悩んだりしますが、進路について正面から考える機会を与えられていない子どもには、その内容も親の思いも十分には伝わりません。大人は配慮のつもりで学校の事を話すのを控える場合が少なくありませんが、それではますます子どもは情報が得られません。

進路選択という節目の時期は子どもにも親や関係者にも大変な時期ではありますが、成長の時期でもあります。親や関係者は新しいステップに進むための情報を子どもに示し、子どもはできれば実際に見て自分の進路を考える機会です。これは節目の時期だから出来ることで、いつでも出来ることではないです。当然、大人と子どもは知識量が違うので意見の食い違いもあるし、正しいとわかっていていても反発することもあります。けれども、それは双方にとって殻を破るときの痛みです。自分の選択を表明することは、自問自答を深めます。「またやってしまった」という彼の言葉に「次こそは」という可能性を感じながら、進路のことを考えさせられました。

VOCAセットできました!

前回「VOCA 09/15」に掲載したように、LさんにVOCAに取り組んでみてはどうかというお話をお母さんにしました。Lさんにはボタンの意味を理解してもらうために、お散歩犬玩具をケーブルでつないでボタンを押せば鳴きながら歩く、手を離すと止まるというセットを作りました。そこからボタンを押せば変化が起こることを伝えようという事です。

それと並行しながら、ボタンを押せば「もっとー」とか「おかーさん」とか「せんせーい」と呼び声を録音して、手遊びをするとか、散歩に出かけるとか、おやつのおかわりをするなどのVOCA(Voice Output Communication Aid)に取り組んでもらいます。何と言っても学校の生活時間が一番長いので、学校で取組んでもらえるようにお母さんからお願いしてもらいます。ただ、おもちゃのボタンなのですぐに潰れるかもです。

 

BOOKOFF

K君が本棚に並べてある「結界師(田辺イエロウ 小学館)」の欠番があるのが気になって「全部揃えたい」と前から言っていたので、BOOKOFFに探しに行きました。ただしBOOKOFFですから必ずあるとは限りません。あちこちのお店を探すことになります。でも、そろえたいK君には嫌なことではありません。

放デイの漫画本は欠番だらけですから、そのうちK君文庫ができるかもしれません。1冊110円もうちょっと安くならんかね。結界師は全35巻だけど10冊くらい欠番で、ちょっと出費が痛いです。

結界師は妖怪退治のお話で、結界師である主人公が、夜の学校を舞台に「結界術」を使い妖怪を退治していく物語。平成18年度(第52回)小学館漫画賞少年向け部門受賞。2020年6月時点で、累計発行部数は1700万部を突破している人気漫画。ジャンルとしては「鬼滅の刃」と同じジャンルのようです。などというとファンに怒られます。主人公が鬼と化した妹を人間に戻す方法を探すために戦う姿を描く和風剣戟奇譚の「鬼滅の刃」は、22巻で1億部を突破しているので足元にも及ばないというべきなのです。

メモ書きと読み書きの苦手

他所で受けた検査の結果から、空間や位置の把握が苦手そうなAちゃんが、紙粘土で作ったおかずを、お手本通りお弁当箱に詰める課題に取り組んでいました。いちばん大きなおにぎりでも、指でつまめる位のサイズです。手先の不器用なAちゃんにとっては少し難しいところもあったと思いますが、よくお手本を見比べながら、丁寧に詰めていました。

楽しかったようで、いろいろアレンジがしたくなったAちゃん。スタッフに作っておいてほしいおかずが次々と思い浮かぶので、ふせんに書き出すことにしました。

ただしAちゃんには読み書きの苦手があります。『レ…タ…ス』と書きたいけれど、すぐに『タ』が想起できず、鉛筆が止まります。ほんのいくつかの単語を書くだけでも一苦労です。

こういう時に、どういう支援をしたらよいか。予め想定していた学習の場面ではないので、スタッフも書字支援の十分な準備がありませんでした。読み書きの練習場面ではないので、細かい字の間違いを指摘せず、楽しく『書いて伝える』ことそのものを楽しんでほしいのです。この時は、わからない字をスタッフがモデリングして、それを写しながら仕上げました。Aちゃん、ふせんを3枚も自分で書きました!次回のお弁当作りを楽しみにしています。指導後、事業所で相談すると『iPadなどで音声変換してみたら』とアイデアをもらいました。次回、同じような機会があれば試してみたいと思います。

読み書きの困難がある場合、ちょっとした『読む』『書く』に伴う、易疲労性を無視することはできません。本人が、『今は字を勉強する時間』と構えを持っているときならともかく、遊びの場や、読み書きが情報整理の手段でしかない場合、読むことや書くことの辛さで、やりたいことや考えたいことを止めたり諦めたりすることはとても残念なことです。

じゃんぷはLD支援に積極的に取り組んでいこうとしていますが、読み書きの困難と向き合うというのは、本人にとってはどういうことか、読み書きの苦手がありながら目の前の事に達成感を持つにはどうしたらよいか、そのことをお子さんやご家族と考えていける場でありたいなと思っています。

スタッフの療育の理解

J君が自立課題をするのを若手スタッフに任せました。内容はビー玉をつまんで穴に入れるプットイン課題です。スタッフは丁寧に一つ一つJ君がビー玉をつまむように指示し、穴に入れるたびに「すごいねーできたねー」と励ましていました。それを見ていたスタッフが、自立課題というのは自分の力で最後までやり遂げることを目的にした課題で、声掛けや行動プロンプトはできるだけ少ないほうがいいとアドバイスしました。

「なんでですか?」と若手スタッフの質問にアドバイスしたスタッフは驚いたそうです。若手と言ってももう1年以上実践しているスタッフから「初心者あるある」の質問を受けたことに驚いたというのです。確かにスタッフには常勤のスタッフだけでなくアルバイトのスタッフや経験の浅いスタッフがいますから、毎日、子どもへの指示の出し方や距離の取り方も説明はしています。

しかし、なぜ自立課題に取り組ませているのか?なぜ、声掛けを少なくするようにしているのか、なぜ、子どもとの距離をつめないようにしているのかについて、その目的を話したことはありません。支援のハウツーは話すけど、ここの療育が何を目指しているのか説明したことがありません。そんなことは自明の理だと、当たり前のことだと常勤スタッフが思っているからかもしれません。でも、結構このコンセプトは普通の人には当たり前ではないのです。人は励まされたり、お世話されて頑張ろうとすると理解されているからです。そして、もしもそれが真実ならなぜJ君がこれまでそうならなったのかという想像力が必要になります。

どんなに障害が重くても、どんなにハンディーがあったにせよ、人間は自分の力でできることで自尊心を育てるのです。できることならお世話はされたくないし、一人でやりたいのです。これは障害があろうがなかろうが同じです。もしも、成人のあなたがあれこれができなくていちいち人の手助けや励ましがいるとすればこれほどめんどくさいことはないという想像力が必要です。

そんなわけで、月曜から1週間、スタッフに「子どもたちが少しでも一人で自立して行動できるように、スタッフのみなさんの工夫をお願いします。次週はそのアイデアをお一人ずつ話してください。」というアナウンスをすることにしました。さてどんなアイデアが出てくるか楽しみです。

 

5W2H

「Fちゃんに、お菓子を持って山登りに行こうと車に乗ったまでは良かったのですが、車が走り出しだしてから、行先とは違う方向を指さして、騒ぎ出しました」とスタッフが言います。前の日はおやつを持って公園に行ったそうですから、多分「山登り?」公園に行くのと勘違いしたのでしょう。言葉をしゃべっているからと言って、すべての言葉を理解しているわけではないという初心者あるあるです。

昨日も一昨日もFちゃんは公園に行っておやつを食べたのです。今日もルーティンで行先を誤解したのです。行先は特徴的な場所を写真で示さないと「山登り」なんて言葉は理解できないことが多いです。「お菓子」と言ったので昨日と同じだと「シンボルキーワード」を聞いてで行先まで同じだと誤解したのです。

明日からは山登りでおやつを食べるポイントの写真を「西山」と命名しておやつも絵で示し、「西山でおやつ食べよう」と説明していきます。ASDの子ども達は場面場面の違いを理解しにくいので、昨日とやり方を変えるのなら明示的な5W2Hの説明が必要です。だったら、変更やめとこうかという声も出そうですが、世の中は変更だらけですから変更を教えることは重要なことです。

また、逆に考えればルーティンには強いのですから、正しいやり方を教えるとすぐに定着するところはいいところです。この強みを使って生活規律や作業手順を教えればいいのです。

 

ローマ字表と暗唱

ローマ字の宿題について、C君D君は苦手みたいだとスタッフから報告がありました。ローマ字には規則性があるので、ローマ字表のマトリックスを眺めていれば通常子どもは理屈として理解します。「一番上に横に並ぶKSTNHMYRWに、右端縦のAIUEOが合成されて50音が構成されるという発見です。「へーぇ、九九と同じやん」と納得するのですが、空間認知の弱い学習障害の子どもは表を見ただけでは気づかないのです。

空間認知は強くて音声処理の苦手なE君はすぐさま理解して、キーボードの位置も覚えてしまいます。でも言葉で説明されるとかえって混乱してしまいます。ワーキングメモリーモデルという認知理論では、視空間スケッチパッドと音韻ループでの処理の偏りが「見てわかる人」と「聞いてわかる人」を分けると言います。これの非常に偏ったものが学習障害の原因ではないかと言われています。

ですからC君D君にはローマ字表を見せながら言葉で一番上の並びと一番右の並びの文字が合わさると一音が表現できると説明したうえで、「ケイ、エス、ティー、エヌ、エッチ・・・」と「エイ、アイ、ユー、イー、オー」を暗唱させ、「かきくけこ。ケイ。エイ、アイ、ユー、イー、オー」「さしすせそ。エス、エイ、アイ、ユー、イー、オー」と順番に暗唱できるようにします。とてもめんどくさいけど・・・確実です。これに合わせてキーボードを打てば一石二鳥ですが不器用な子はひとつづつしないとパワー切れを起こします。学習障害(LD)はラーニングディフィカルティー(学習が難しい人)ではなくラーニング・ディファレンシー=学び方の違う人です。

 

 

 

じゃんぷエントランス照明完成!

5時になるともう足元が暗くなる毎日です。エントランスのスロープは、じゃんぷへの教室通所の子どもにはちょっと足元が危なそうです。開所の際には京都府の福祉のまちづくり条例に従わなければならないので、車いす用のスロープはあったのですが高さ60cmで2m傾斜では条例規格に外れるので、折り返し付きの6mスロープにしたのです。

もともと外灯も暗いうえに、玄関先のスロープの陰になって手前のスロープの足元が真っ暗だったです。じゃんぷの看板も薄暗くてパッとしないなぁということで、足元ライトと看板用スポットライトを増設しました。エントランスが明るくなりました。

 

しんどいが言えるように

B君が昨日はとても眠そうで、作業の合間にソファーに横になったり、また立ち上がって作業したり、独り言も多くて作業がはかどらなかったという報告がありました。

ASDの方は、スケジュールが示されると体調が悪くても、やらなければならないと思い無理をする人が少なくないです。原因は、自己フィードバックが弱くて少々の疲れは感じにくく、高熱が出て急にダウンすることがあります。

また、「しんどい」「休みます」を言い出すタイミングもつかめないので、支援する側から休んでいいことや与えられた課題を全部こなさなくてもいいことを教えていくことが大事です。

低学年では、毎日、「今日は元気ですか」と子どもに聞きますが、感情カードを張っておき、しんどいカードがすぐに使えるように貼っておきます。しんどいことはそう簡単には訪れないので指導のタイミングが難しいのですが、毎日、子どもの様子を見ている人がチャンスをうかがって指導します。

おやつ

「昨日は山歩きをして、たくさん歩きました」「1年生もたくさん歩いてくれました」とスタッフから報告がありました。「おやつは食べた?」「いつも通りのおやつです」そこはちょっとスペシャルなおやつにしたほうがいいよと話し合いました。

放デイの日課はとかくマンネリ化しやすいものです。同じ道、同じおやつでは必ず飽きが来ます。飽きて当たり前です。ちょっと頑張ったかなぁと思うときは、その子が好きそうな味のおやつや飲み物を持っていくのがコツです。おいしかったという満足感と活動体験が心理的に連合するように準備するとわりと飽きがこないものです。

おやつだって、うまく使えば大事な支援の助っ人になってくれます。決まった時間に決まったおやつを出すのがおやつの時間と考えていては、ちょっともったいないという話でした。おやつの出し方にもメリハリをつけて活動の中に組み込みます。

 

なぜ子どもは窓に登ろうとするのか

「Zさんが窓に登るのは何故だと思いますか」と聞くと、Aさんの真似をしたいから登っているとのスタッフの理解でした。確かにAさんとZさんは同学年でZさんはAさんの後ろをついて離れません。そして、Aさんの好きな人形を奪ってAさんの大騒ぎを面白がったりするのです。

Aさんが窓に登るのは、固有感覚を刺激したくて、つまり力が余っていて窓に登るのです。そして、「Aさん!窓から降りてー」とみんなに注意されます。Zさんは、公園へ歩いていくのもめんどくさがる低緊張の、つまり体を動かすのに時間がかかる人です。誰も見ていなければ、窓になど登るニーズはありません。Aさんは人が見ていようが見ていまいが窓に登ります。

そうです。Zさんはめんどくさい体を動かしてでも、一つの目的で窓に登る必要があるのです。それは「みんなの注目」です。ZさんはAさんの真似をしたいツボは「ダメでしょ!」とみんなに注目を浴びることです。とすれば、療育の目標は適切な行動をしてみんなの注目を浴びる内容=「Zさんアイドル化大作戦」を考え出すことです。

運動会

先週の土曜が雨で運動会延期だったので、今日明日に運動会をする小学校がほとんどのようです。Y君が「今日は俺と走るやつ二人ともデブかったから1位になれたけど、あんまりうれしくない」というので「3着の奴は今最悪の気分かも知れんで、2着3着の人をリスペクトする意味でも、素直に喜んどき。」「あーわかった」とわりと素直に聞いてくれました。23着をリスペクトするというのが響いたかもしれません。

この日彼は、転校した学校での初めての運動会での徒競走だったのです。学年ごとの保護者観戦とはいえ緊張で喉が乾ききって、出番の時間までに持ってきた1リットルのお茶を飲みほしたと言います。相手の気持ちが読めないので全員が自分のことを注目しているに違いないという誤解からの緊張です。集団演技のソーラン節も終え、迎えに行ったら彼は疲れ果ててはいましたが、徒競走の成果もあり晴れ晴れとしていました。運動会は彼らにとってはかくも過酷な舞台なのです。

 

避難訓練

先週の土曜日雨で延期になった避難訓練を今日しました。「震度6強で近隣火災、向陽高校まで避難」という設定でした。前回も向陽高校まで避難だったのですが、武漢風邪予防の臨時休業中という理由で、職員はいたけど避難場所の体育館までは入れませんでした。今日は、体育館までは入れて、子どもたちはここに避難することが分かったと思います。

今回は車いすのXさんは介助者がおらず自力で戸口まで逃げるという訓練をしました。避難開始から戸外の車いす移乗まで5分かかりました。また、安全用のヘルメットも買ったのでみんなで被って高校まで移動しました。結構気に入ってがぶってたみたいです。

今日の避難人数は大人も含めて15名。避難から点呼まで5分。向陽高校体育館までは15分かかりました。みなさん、お疲れ様でした。

【避難開始から向陽高校体育館まで15分】

怒りの地雷を踏まないで

W君がもっとパソコンがしたかったのだけれど、その日はスケジュールが圧していて思うほどPCで遊べませんでした。W君は前回約束した通り約束した時間に終えてPCを片づけました。

でも、約束は果たしたけれど気持ちが収まりません。周囲のスタッフに悪態をつきはじめました。とは言っても彼は悪態=腹いせをスタッフにぶちまけているつもりはありません。「悪態」のように他の人には見えるだけです。自分が他者からどう映っているのかはW君にはあまりわからないからです。

彼にしてみれば、みんなが「腹減ったー」と言うのと同じ感じです。スケジュールが圧したのは誰のせいでもないけど納得がいかないのです。ところがスタッフがこの怒りに付き合ってしまうとややこしくなります。人にはこの思いを聞いてほしいけど解決してほしとも思ってないからです。

反応したスタッフは地雷を踏んだも同じです。子どもは怒りに任せて「なんでやねん」と喋っているだけなのに、「それは違うやろ」とか「理由は君も知っているやろ」などと返すと、「はー」と売り言葉に買い言葉の関係になります。こんな時は思いだけはうんうんと聞いてあげて、「約束通り終われてよかった!ありがとう!」でいいのです。それ以上踏み込んでは彼の値打ちが下がります。

PECS Ⅳ+ アプリ 今なら安い!

iPadで操作できるPECSツール「PECS Ⅳ+ 」が10月は半額セールだそうです。10,400円が5,260円です。

Facebookより
拡大・代替コミュニケーション啓発の月に敬意を表して、10月中、PECSIV+ とIHear PECS:動物のアプリが割引価格でお求めできます。

Apple®のアプリストアからご覧ください。アプリの詳細については、www.pecs-japan.com/apps からチごらんください。

また、PECS®と聞いたことがあるけど、何だろう?気になる?と思っている方、10月19日夜8時から無料でPECSの概要を開催されます。
受付は www.pecs-japan.com にあるトレーニングスケジュールからお申し込み下さい。

PECSの概要 – ZOOM®, オンライン (2020年10月)
 開催地: Zoom®
開催日: 2020年10月19日 - 2020年10月19日
日程: 20:00 - 21:30
受付開始: 19:45

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PECS Ⅳ+ は PECS からハイテクのコミュニケーション機器へ移行する際の解決策です。フェイズ Ⅰ から Ⅳ までを従来の PECS のブックを使って習得した学習者にとって、PECS Ⅳ+ はハイテク機器を使った次のステップとなります。研究で実証されいる、世界で話題の PECS を創り出したピラミッド教育コンサルタントから出た PECS Ⅳ+ は、学習者が複数の絵カードを使って文をつくることを可能にします。述語ページを含む各ページには、PECS の絵カードを 24 枚まで置くことができます。そして、それぞれの絵カードの音声を再生するシステムがアプリに内蔵されています。


PECS Ⅳ+ の特色

• マジックテープがついているタグのあるページと文カードがある従来のカラーのPECSブックと似ているので学習者の使用しているPECSブックと同じようにPECSⅣ+のブックを設定できます。

• 従来のPECSのブックと同じ方法を使ってタグのついているページから文カードに絵カードをドラッグしておとします。

• ページ間をスクロールし、タブをタップすることでページが変更することができます。

• 絵カードの絵を削除することなく、文カード上の絵の順序を並びかえることができます。

• 絵カード上の絵を取り除くにはボタンを一回押すか、各絵をブックにスワイプして戻します。

• 1000個以上のPics for PECSの絵カードが入っています。

• PECSの指導方法に含まれている一定時間遅延プロンプトによって音声表出を遅らせる機能も組み込まれています。


各ブックのカスタマイズ

• 専用の述語ページを1回タップすることであけたり閉じたりできます。

• 1枚から20枚のタグのついているページを作ることができます。

• 各ページに24枚の絵カードをのせることができます。

• 各ページのマジックテープの数、色、カテゴリーのアイコン、そして絵カードの枚数を決めることで各ページをカスタマイズできます。


絵カードのカスタマイズ

• Pics for PECSにある絵を使うか写真ライブラリから写真を追加したりウ。

• 絵カードの文字を変更する。

• 文字を絵カードの上か下かにつけたり、絵カードから文字を取り除いたりできます。

• 絵カードのサイズを変更できます。

• Pics for PECSのライブラリの機能を検索する。


音声

• カスタマイズ可能な合成された音声(AV音声シンセサイザー)を使うか、自分の声を録音することができます。

• 生徒が発語する機会を作り出すために研究で実証されている一定期間遅延プロンプトを文章に組み込んでいます。


カスタマイズするために設定されたプロファイルを選択する、または新しいプロファイルを作成する

• 絵カードを動かす方法:タップ、ドラッグ、または両方

• 絵カードの絵を削除(リセット)する方法

• 述語ページの可視性

• 左から右、または右から左の文カードの読み

• 文カードを読むタイミング:各絵カードが選択される度か、文カード完成後」に音声表出のボタンを押した時


生徒の使用状況の痕跡

• 日毎の作られた文カードリスト

• 最も使用頻度の高い絵カードの週毎、月毎の分析


ピラミッド教育コンサルタントは機能的コミュニケーショントレーニングをアプリを使ってまたは音声表出コミュニケーション機器からはじめることはおすすめしません。なぜなら、ハイテク機器はコミュニケーションには不可欠なそしてPECSの根本理念である対人相互作用を必要としないからです。機能的コミュニケーショントレーニングは従来のPECSのブックを使って始める必要があります。研究では、ほとんどの学習者は3ヶ月から9ヶ月の間にローテクのPECSの指導方法でフェイズ1から4まで習得できるとされています。

 

西山歩き

V君は西山歩きではいつもだらだら歩きなのに今日はガンガン歩いていたというので理由を聞くと、目的地での飲み物がサイダーなんだそうです。なるほどV君はサイダーが大好きです。家に送っていく時もお母さんを見るなり「三ツ矢サイダー?キリンレモン?」と催促しています。

以前、欲しいものがあることはいいことだと書きましたが、好きな飲み物や食べ物があることもとてもいいことです。好きなもののために頑張って、「よく頑張ったね」と褒められることの心地よさは、自分にも相手にも良い感情を育てます。たかが、サイダー。されど、サイダーです。