掲示板

みんなちがってみんないい

サービス支給量

支給量とは、福祉サービスを利用できる日数や時間数のことです。児童デイサービスの場合、「支給量」とは、ひと月に利用することができる日数です。支給量については、子どもの特徴や保護者のニーズ等に合わせて、自治体が決定します。この上限基準は厚労省が決めます。ところが、自治体によってこの基準が異なることがあります。事業所が少ないとかいろいろ理由はあるでしょうが法の下の平等、つまり人権の問題があります。

 相談支援を利用されている方の支給量については、相談支援事業者が自治体に提出した「サービス等利用計画案」に基づいて、支給量が決定されます。上限を超えた支給量を受ける場合は、相談支援事業所が自治体と保護者の間に入り、支給量変更の申請を行います。障がいの状況や家族の状況等によって上限を超えた支給量を受けることが必要と認められると、上限を超えた支給量を受けることが可能になります。

 自治体とは市町のことですが、大抵は保健所管轄範囲、乙訓なら向日市長岡京市大山崎町で基準を申し合わせているので同じ基準です。ただ、障害の種類も程度も多様、家庭事情も多様なものに基準を設けても意味がないのです。この基準はあくまでも公的な財政上の予算を明確にするために利用者数で割り算した数値です。

この数値の中には多様な事情は入っていません。たったそれだけのものなのに、この数値に意味を付け足す相談支援者がいます。親が楽をしてしまう。子どもが普通に育たない。親が働いているなら足りないところは学童保育を利用すればいい。こんな乱暴な話はありません。そんな考えで相談事業料や給料を、税金からもらっているのです。

平成の福祉の基礎構造改革の最も重要な点は障害者とその家族に措置や施すという考えは間違いで、サービス側と対等平等だから契約に変えたということです。今、NHKの連ドラは保育所制度が始まった昭和の中頃、家で子育てするのが当たり前という行政窓口の意見に母親が苦悩するところを描いています。同じことばが令和の障害者の親に向けられているのです。こうした化石のような話が未だにあることは残念ですが、契約制度はこうしたサービス事業者を変えられるようになったことです。利用について疑問を持たれたら是非事業者を変えてご相談になることをお勧めします。

 

フラッシュバック

フラッシュバック (flashback) とは、強いトラウマ体験(心的外傷)を受けた場合に、後になってその記憶が、突然、そして非常に鮮明に思い出されたり、同様に夢に見たりする現象です。突然怖い目にあった時の心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害の特徴的な症状のうちの1つです。これは単に嫌な事を思い出すというレベルの現象ではなく治療の対象といわれています。

フラッシュバックという用語は過去に起こった事で、その記憶が無意識に思い出されて、それが現実に起こっているかのような感覚が非常に激しいときに特に使われます。フラッシュバックが起きた場合には、必ずしも映像や音が存在する記憶とは限らず、「恐怖」などといった感情や味覚、痛覚など、感覚の衝撃として発生することもあります。

フラッシュバックは、幼児期に経験した外傷体験を言語的に認識する能力を持たないまま記憶し、それでもなお忘れられない場合にも起こります。この、体験を取り込むことに失敗する現象のことを解離といいます。この記憶はまともに意識に上らないため、時間が経っても薄れません。また、フラッシュバック性の記憶はその鮮明さにも関わらず言葉で表現することが困難です。さらに時間とともに原記憶よりも鮮明さは増す傾向が強いのです。

幼年期のトラウマの体験者は、これらの感情の記憶を意識化しないまま持っている可能性もあり、そしてフラッシュバックにおいてそれらを再経験する可能性があります。ASDの方達の中にも対人関係理解の混乱時の苦痛の思い出が、その後フラッシュバックを引き起こす原因になることがあります。このフラッシュバックの治療は、行動療法の脱感作療法や認知行動療法がありますがいずれも言葉理解や表出が必要なので、言語表出レベルが低い方には大変難しいです。当時の恐怖のきっかけになるようなことを避ける予防策を取りながら、EMDRなどの新しい脱感作療法を行うことが必要と言われています。

フラッシュバックは、現在の本人の関係者が努力をしていないからでも、楽しいことが少ないから生じるものでもありません。何かのきっかけで電子レンジで解凍されるように生じる精神医学的な現象として捉える必要があります。被虐待の経験者に多いことからもわかるように、ASDへの特性を無視した対応は、虐待と同じPTSDの原因になる可能性があることを理解することが彼らのフラッシュバックを予防していくことにつながると思います。

子どもユーチューバー

今や小学生の「将来なりたい職業ランキング」にもランクインするというYouTuber(ユーチューバー)。子どもたちにYouTubeが浸透しているということですが、どんな番組を見ているのかご存じですか。378名の小学生に実施したという「好きなユーチューバー」アンケートで2位と圧倒的な差をつけたのは、日本のトップユーチューバー、HIKAKINさんです。大人にも知名度は高いですが、子どもから絶大な人気を誇ります。アンケートでも「ユーチューバーのどこに面白さを感じているのか」という質問には、「リアクション・表情:44票 話す内容・話し方:17票 つっこみ:10票」という回答でした。要するに中身よりも人物重視ということでしょうか。それとも単なるパフォーマンスの面白さでしょうか。私たちが子どものころにはYouTubeなんてものはありませんでしたが、今の小学生たちには「YouTubeを観る」ということは、日常のひとコマなのでしょう。知らない人や知らないチャンネルも多いかと思いますが、だからこそ大人も観てみると意外と面白い発見があるかもしれません。

来週から始業式、youtube三昧の子どももようやく「一息つける?」節目ですから、うまく切り替えていけるように大人のサポートが必要です。始業式と言えば、不登校小学生youtuber「ゆたぽん」さんがメッセージを出していました。

https://www.youtube.com/watch?v=GembS1OhJsE

「夏休みが明けても死にたくなるくらいなら学校なんか行かなくていい!」それはそのとおりだけど、うーん。大人は悩んでしまいます。確かにゆたぽんさんの動画を見て「宿題も当番も当たり前だと思っていたけれど、ゆたぽん見ていると、自分はかなりがんばって生きているんだと認識できて良かった」という逆説的な感想も少なくないそうです。また、ゆたぽんさんとその保護者に対するネット叩きを見ていると、気に入らないものは何でもディスるというネット社会に嫌気がさします。

ちなみにyoutuberの収入は再生回数×約0.1円だそうです。ゆたぽんさんの「不登校は不幸じゃない!」の動画は200万回以上視聴されましたから、この動画1本で20万円以上の収入が見込まれます。(収入を得ているかどうかは知りません。)ネットで叩かれれば叩かれるほど視聴数が上がっていくのは、N国の党首の動画とよく似ています。ただ、そんなセンセーショナルなテーマでなくても、おもちゃの遊び方を、子どもの顔出しなしで演出する2017年度の年収が約2,200万円の70cleamさんの

https://www.youtube.com/user/70cleam

動画なんかは親のアイデアとはいえ、目の付け所のセンスになるほどなぁと思わされます。みなさんはどう思われますか。

簡単なICFの説明

ICFとは、「International Classification of Functioning, Disability and Health」の略称で、日本語では「国際生活機能分類」といいます。ICFは、元々WHO(世界保健機関)で1980年に制定された「ICIDH(国際障害分類)」の改訂版で、人間の「生活機能」と「障害」に関する状況を把握することを目的とした分類です。これまでのICIDH(国際障害分類)は、身体機能の障害や生活機能(ADL・IADL)の障害、社会的不利を分類するという障害重視の考え方であったのに対し、ICFは環境因子や個人因子等の背景因子の視点を加えて、障害があっても「こうすれば出来る」というように生活すること・生きることの全体像を捉え、プラスの視点を持つように広い視点から総合的に理解することを目指しています。

意味わかりましたか?私は最初この文を読んだとき、とても日本語とは思えませんでした。専門家というのは日本語をかくも外国語のような言葉に変えてしまう人たちだと恨んだものです。簡単に言えばどうなるのでしょうか。

これまで障害者と言えば「できない人」という見方ばっかりしているから、あれができない、これができないとなり、「普通になるために」もっとがんばらなあかんという考え方に本人もなってしまうので、もっと前向きな考え方としてICFがでてきたのです。つまり、できることに着目して、できないことは環境や支援でカバーすればいい。できないのに普通にできるようになる努力は必要はない。支援者と一緒に工夫してそこそこできたらそれで良しとする、ということです。

これがICFの考え方です。視力が悪いのに眼鏡もなしに見る努力。聴力が悪いのに補聴器せずに音を聞く努力。歩けないのに車いすも使わず移動する努力。計算できないのに計算機も使わず計算練習する努力。書けないのにPC入力使わずに文字を書く努力。読めないのに音声教科書を使わずに読もうとする努力。こういう努力は、さっぱり成果が出ないから意味がないのです。本人のプライドが育たないばかりか学習無力感を与えて人の言いなりになる人生を用意しているに等しいからやめます。そして、眼鏡最高!補聴器最高!電動車いす最高!電卓最高!PC入力上等!デイジー教科書待ってました!どんどん使いましょう、というのがICFの障害観です。

厚生省や文科省、福祉課や教育委員会がこんなふうに言ってくれたら、子どもたちに、「こんな苦労も、かけまいに」と寅さん(昭和の人しかわからない?)に唄いそうになります。始業式を迎え、一つでも多くの学校が、「そうは言っても、文字くらいかけないと」「ひっ算くらいはできないと」と言うのをやめて、苦手な事ばかり子どもにさせないで、いいところを応援してくれることを切に願います。

障害告知のタイミング

当事業所では子どもへの障害の告知は必要だと考えています。ただ、発達障害のことを本人にどう伝えるかは、子どもの年齢や障害の特性によって大きく変わるため、一概に言えません。でも、決して隠すものではありません。特に発達障害は目には見えませんから子どもの理解がまちまちになります。だからこそ正確に伝える必要があります。

先日、子ども達だけで話していました。「俺はADHDやから失敗しても仕方がない」と言うA君を、「それはちゃうやろ。努力は必要やろ」とB君が諭します。「俺も障害があるからここにきている」。C君が「え?B君も障害あるの?」と言うと、「ここに来ている子はみんな障害があるよ、君も障害があるよ」とB君。C君「え?俺障害あるの?」A・B君「当たり前やん」

このように、会話の出来る子どもは、子ども同士で憶測も含めて話していますし、インターネットでも簡単に検索できます。親や関係者がいくら最適期をと、善意から「今は伝えない」という選択をしていても、関係機関を利用する限り知らないままで過ごすことはありません。そういう意味では通級指導教室や放デイなどの特別支援関係機関を利用するときが告知のスタートラインかもしれません。

障害告知の時期は自己客観視ができる7歳以降にという専門家もいますが、自己客観視や自己フィードバックが難しいのが発達障害の特徴であることも少なくありません。客観視の力ができるまで待っていると思春期に入ってしまう人もいるので一律に年齢ではいえません。小さな時期から、みんなちがうのが当たり前で、全て一緒である必要はないこと。助けを求めるのは良いこと。支援者と一緒に工夫することが大事だと伝えていく必要があります。ただ、受け止め方がダイレクトな子どもも少なくないので、ゆたぽん君のように「学校がいやならいかんでええ」という結論を持つ場合もあるかもしれません。論理の飛躍が生じてしまうのは、困ったことを抱えながらも支援された実体験がない子どもに多いように感じます。

逆に、告知をしてはいけないタイミングというのはあります。それは、子どもが失敗した時です。こうした状況で、例えば「そんな失敗をするのをADHDっていうのよ!」といったふうに、失敗と紐付けて障害を告知することは避けなければなりません。こう言われると、子どもは自身の発達障害を悪いもの、なくすべきものと受け取ってしまいます。障害をなくすことはできないので、お子さんは自分の中にずっと悪いものがあると思って生きていくことになりかねません。 

先のA君の発言「失敗しても仕方ない」はやや学習無力感も伴っているようです。眼鏡をかけたときの、「なんだ、みんなはこんなに良く見えていたのか」「これを近視(遠視・乱視)と言うのか」「だったら眼鏡を利用しよう」とするのと同じようなタイミングが発達障害の告知には重要です。子どもの気持ちが前向きになっているときに告知を行うと、本人も受け入れやすいと思います。

怒りのコントロール

発達障害の方で、家の中で怒りを抱えているという人は意外と多くいます。今回は、家庭内での「怒りの爆発」を考えます。些細なことでも怒ってしまうという悩みは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の人には、非常に多いです。中でも、子どもについ言い過ぎてしまうとか、パートナーに感情を爆発させてしまうといった家族に対する怒りの問題は少なくありません。おそらく、近所の人や仕事上の付き合いのように、短時間我慢すればなんとかなる関係ならば問題にならないのですが、家族のように長期間一緒にいる関係では、取り繕いにくく、コントロールできない自分が出てしまうからです。

「怒り」の問題は、ADHDの症状のひとつである「衝動性」にかかわるものです。具体的な行動としては、・思ったことをすぐに言動にうつす・人の会話を遮って自分の話をしてしまう・相手が別のことに集中しているのに遮って自分の要求をしてしまう・衝動買いをしてしまう等、があります。やりたいことを用意周到に計画して実現するという場合には、エネルギーはなだらかに上昇します。しかし、ぱっ、と思いついて行動するADHDの場合には、エネルギー放出は爆発的です。感情の動きもまた同じです。瞬間湯沸かし器のように、怒りが一瞬で上がって爆発する方も少なくありません。このような怒りの問題を持っていると、まず人間関係が破綻しやすいです。怒りの問題を抱えている人は、その場では自分の主張を通すことができるかもしれませんが、長期的にみれば、冷遇されている人が多いです。誰だって、イライラした人、キレる人のそばにいたいと思わないからです。

さらに、問題となるのは、怒りの爆発を繰り返すことで、自己嫌悪に陥って、自暴自棄になっていくことです。多くの人は「自分自身を直視すること」が苦手です。自分のことを考える事は同時に感情のコントロールを必要とします。冷静になって自分を直視しようと口では簡単にいえますが、それができれば苦労はないのです。冷静が維持できなければ、考えれば考えるほど感情の渦に巻き込まれ、途方もなく消耗していくのです。人はこうした自分から目をそらすために、ウソをついたり、理屈を並べてごまかしたり、派手な突拍子もない行動で気を引いたりします。暴言も暴力も、感情がコントロールできない結果の行動といえます。ではどうすればいいかを明日から考えていきます。

怒りのコントロール2

怒りのコントロールのNGの一番は、怒りをぶつけて怒鳴り散らすことです。怒りを爆発させたり、怒りで自らの要求を押し通したりする様子を子どもが見れば、「ああやって怒鳴り散らせば、すっきりするし、人を動かすこともできるんだ」と学習してしまいます。また、怒りをぶつけた相手は応戦するかスルーするかのどちらかです。つまり、解決はしません。解決は冷静な合意の中にしかないからです。NG2番目はその場しのぎです。その場で問題を解決しようとすることです。怒りを感じたとき、私たちは思った以上に頭が働きません。人によっては、相手の言ったことが聞こえなくなったり、論理的な思考ができません。そんなときに問題を解決しようとしても、逆効果です。親がイライラする様子をみた子どもは萎縮するだけでなく、イライラしたときに、より弱い相手にイライラを発散させる事を学ぶのです。その場だけで解決するのは限界とリスクを伴う可能性があります。NGの3番目は、「怒りを抑え、我慢しよう」と思うことです。ところが、抑圧した怒りほど、他人からは恐ろしく見えるものです。忍耐にはいつか限界がきます。忍耐、我慢だけではひずみが生じるのです。

コントロールの第一は、とにかくその場を離れて感情の爆発を避けることです。子どもに怒りの爆発の火の粉を浴びせないことが大切です。一刻も早くその場から立ち去ることが大事です。ひとりになれる場所へ行くのです。「逃げている」とか「相手を取り残している」と考える方は、怒りを爆発させた結果と比べたらまだましな選択と考えるのです。ひとりになれる場所では、思いきり怒りを感じましょう。「もーー!なんで忙しい時に!何回同じことを!」と十分に怒りを感じましょう。「これくらいでイライラしてはいけない」等と感情に蓋をせずあるがままにします。いったん怒りを感じきれば、対人関係でのしこりや、怒りを抑えすぎたことで出るストレス症状の予防にもつながります。

十分に怒りを感じきると、やがて怒りはおさまっていきます。「どうすれば、あんなことにならないか」という再発予防を支援者や関係者と話し合います。犯人探しをするような後ろ向きな考えではなく、前向きに計画を立てます。怒りの問題を抱えている人の中には、「蒸し返したくない」と振り返りを避ける人もいますが、どうすれば同じことを繰り返さないか対策を立てておくことが、イライラの一番の予防です。それでは、どうやって再発予防計画を立て持続さればいいのか、次回は考えていきたいと思います。

怒りのコントロールには運動を

怒りを鎮めるにはには運動が即効薬です。運動不足は怒りを誘発しやすくなります。怒りの感情が生じたときは、身体を使った運動をしましょう。スピードウォーキングが最近流行しています。スピードウォーキングとは、早足散歩です。運動系と呼吸系を合わせたエクササイズです。運動するとエンドルフィンが生成されます。いわゆるランナーズハイです。エンドルフィンはゆったりした気持ちよさを誘い幸せ感を高めます。呼吸するとセロトニンが分泌されます。セロトニンは穏やかな気持ちを作ります。うつ病はセロトニンの不足が原因の一つです。ネガティブ感情を理屈抜きで解消する効果的なエクササイズですので、ぜひ取り入れてみてください。自宅の近くの公園まで早足散歩する、コンビニまで早足散歩する、いろいろなところで活用できると思います。明日は怒りのコントロールの方略を考えます。

怒りのピークは6秒間

さて今回は怒りの予防策と持続可能性について考えます。怒りのコントロールは、アンガーマネジメントの名前で知られています。その名の通り「怒りと上手に付き合う」方法。自分や他人の怒りに振り回されず、怒りを上手にコントロールすることで快適な生活を手に入れようという方法です。怒らないことを目指す精神修行ではありません。知識と技術を使って「怒り」を取り扱う技術のことです。根拠やデータは不明ですが、人は怒りを上手にコントロールできると、年収が約2倍になり、平均寿命が7年長くなるという話もあるそうです。

怒りと上手に付き合うには、なぜその感情が生まれるのか、その原因を知ることも大切です。
・怒りというのは、何らかの要望を表現するための表現方法の一つであり、それによって何か物事を動かそうとします。ベストセラー「嫌われる勇気」の中では「人は怒りを捏造する」項で、「怒りとは出し入れ可能な道具であり、この母親は怒りを抑えきれずに怒鳴っているのではなく、ただ大声で娘を威圧するため、それによって自分の主張を押し通すために怒りの感情を使っているのです。」とあり、怒りは道具として使われるわけです。
・「怒り」は「二次感情」だと言われています。つまり、最初に「苛立ち」「恐怖」「不安」「恐れ」「寂しさ」といった一次感情が存在し、それが怒りという表現として噴出しているわけです。怒りの裏側には「わかってもらいたい」一次感情が隠れているということです。
・人間は怒りに対して怒りで反応し伝染します。怒りを内面に鬱積させている人と接していて胸がザワザワします。怒りを抱えている人は、周囲の人の潜在的な怒りも目覚めさせてしまいます。また、身近な人に対してはより強くなってしまう性質もあります。

アンガーマネジメントでは、衝動・思考・行動という観点から「怒り」にアプローチします。 第1は、6秒我慢することです。怒りのピークは6秒間だといいます。そのため、この6秒間怒りを抑えることができれば、怒りに任せた衝動的な行動を抑えることができます。前回、怒りの感情は抑えないほうが良いと書きましたが、これは一人になった部屋で感情は抑えなくてよいと説明しています。関連させて言うと、この絶頂期の6秒間を乗り切って一人になる判断をすればいいというわけです。

第2は、不要な『べき』は捨てることです。怒りは、自分が信じている「こうあるべき」という価値観が破られた時に生まれます。自分にはどんな「こうすべき」「こうあるべき」が存在しているかを知っておくとが役に立ちます。自分はどんなポイントに反応しやすいのか、自分はどこまでならOKで、どこからがNGなのか、境界線を理解しておくことも役に立ちます。イライラしてしまう場面があったら、自分の中の境界線を洗い出してみましょう。例えば、約束時間に関して5分前には絶対に来る「べき」か、5分以内の遅刻なら許せるか、 連絡があればば30分遅刻しても許せるか、など人によって様々な基準があります。自分の中に『~すべき』が多く、強いほど、怒りが生まれやすいので、不要な『べき』は捨て、「まぁ、いいかぁ」という許容範囲を広げていくのです。許容範囲が広がると、怒りやイライラは軽減します。 どうしても譲れない『べき』は、適切な表現で相手に伝えれば良いのです。いきなり怒って伝えては、今度は相手が「こんな事で怒る『べき』じゃない」という相手の『べき』を呼び出して修羅場になってしまいます。

第3は、自分の怒りによって変えられることと、変えられないことがあることを理解しておくことも大切です。例えば、「せっかくの休みなのになんで今日に限って雨なの」とイライラしても天気は変えることができません。どうにもならないことに対してイライラしたり、思い悩んだりすることは、不要なストレスを抱え込むだけです。自分にコントロール不可能なことは「まぁしょうがないよね」と割り切って自分ができることに集中すればよいのです。意外と理解されていないのは人の価値観は変えられないということです。別の人間なのですから、ほとんど自然現象と同じだと割り切っていた方がよいのです。ただし、行動は変えることができます。これは応用行動分析の掲示板に述べています。人は自分の利益で動くのです。嫌な事(被怒り行動)でも動かせますが、これはこちらが怒り続ける必要があり持続可能とは言い難いものです。

怒りのピークは6秒間。『べき』のストライクゾーンを広げる。人の価値観は自然現象(雨が降るように風が吹くように)と同じものと考える。これなら様々な場所で応用でき持続可能な方略とできるかもしれません。

自分の内面と向き合えばプラス感情は生成される

ずっと周りへの不満をぼやき続けたり、自分は不幸だとか、ツイてないなという感情を吐き散らしているのは、無駄だなぁと思いつつも、手放せないことが多いです。エイブラハムの感情の22段階を示してみました。上の方の感情でいることが常態になると、瞬間的に嫌な気分があっても戻しやすくなります。マイナス感情を否定したり、蓋をしたりするのではなく、「許せん!」って思ってるなと感じて、この表を想起すると気分を変えやすいのです。マイナス感情を外して、自分が喜ぶことを考え、ワクワクすることに時間を割くモードに入りやすいのです。

言葉も大事です。嫌な言葉を吐いている自分に敏感になって、「ありがとう!」「嬉しい!」を多用します。好きなことに没頭すること、ワクワクに従い、心地よくをいつも選んでいくとトップ感情に近づいていきます。つまり、上に行くほど自分の内側に向きあっていて、下に行くほど、自分の外側に意識があることがわかります。

 

始業式と子どもの自殺

不登校や引きこもりなどの情報交換や交流などを目的とした『不登校新聞』の石井志昴編集長は、子どもたちのギリギリの状況を「宿題ができていない、体調不良などは赤信号。1学期に不登校ぎみだったら、最後のSOSだと思ってください」と言います。自殺の原因や理由はさまざまだが18歳以下の自殺者数は年間約300人~400人のあいだでほぼ横ばいです。対策するものの減らないといいます。「いじめはどこの学校でも起きています。早期発見、早期予防が肝心です。しかし、今でも学校は、いじめを認識したがらない。教育現場はいじめがあればしっかり認め、いじめへの感度を高めるための努力をしていく必要があります(文科省担当者)」と教育現場の鈍感さに注文をつけます。

「男子は暴力系、女子はコミュニケーション系のいじめ。しかし大人からそれは見えません。子どもたちは隠します。いじめられている子も、苦しさを見せません」(石井編集長)。生徒たちの状況をいじめと先生が認識していない場合もあります。当該の生徒はいじめられて嫌な思いをしているかもしれませんが、大人はそれに気づけない。ふざけているだけなどと、いじめにカウントしないこともあるのです。新学期を迎えすでに東京で中学生の飛び降りと首吊り自殺事件が報道されました。「学校は命をかけてまで行くところじゃない」という石井編集長の言葉をかみしめたいです。みんな違ってみんないいのですから。

 

自分の気持ちや感情の認知

ASDなどの発達障害の人が、相手の気持ちや感情を理解することができない特徴はよく知られていますが、中には自分の気持ちや感情を認知することが難しい場合もあります。子どもに学校の様子を聞いても「特に」「別に」といった返事しか返してくれなかったりするのは思春期の場合は面倒くさいからですが、ASDの人たちの場合は自分の思った気持ちや感情を理解することができないためかも知れません。自分の気持ちや感情が理解できない場合には、読書感想文などの宿題が出た際にも自分の感想が無いので感想文を書くことができなかったり、書いてもあらすじだけになってしまうということはよくあります。

発達障害の子も感情が全く理解できないわけではなく、なんとなく理解したりぼんやりと感じていることはあるにですが、感情がぼんやりとわかっても、自分が「怒っている」のか、「不安」なのか、「悲しい」のか、「怖い」のか、「悔しい」のかの違いがわからず、ただ単に不快な気持ちとなって溜まってしまうと、いろいろな問題に発展する可能性があります。

自分の感情を自覚するのが難しい状況は、感情は有るがそれがどのような状況なのかを自分で理解することができないのです。ストレスを感じても気がつかなかったり、気づくまでに時間がかかってしまう為、ストレスなどが原因で発生する様々な心身症を発症しやすかったり、心身症になった際にも治るまで時間がかかってしまいます。発達障害の子どもが自分の気持ちや感情を理解するのが難しいのには、自分の行動として「楽しい」「怒る」「悲しい」などは有っても、それぞれ別の感情であったり、意味を持った気持ちだということを認識しておらず、基本的な喜怒哀楽を理解していないということも有ります。感覚が鈍感だと、外部から受けた情報を感じるのが鈍くなってしまうため、結果として感情の理解などにも影響が出るのだと言いう人もいます。

自分の気持ちや感情は、対人関係やコミュニケーションなどの社会経験から学ぶことも多いです。発達障害の子どもはコミュニケーションを初めとした様々な社会経験が少ないため、自分の気持ちや感情を意識する機会が少ないことも考えられます。不安や怒りなどの負の感情をモヤモヤと感じていても、当初は本人も気がつかなかったりあまり気にしないこともあります。しかし、何かのタイミングで自分の感情に気がつくと急に癇癪(かんしゃく)を起こしたように怒り出したり、溜まってしまった気持ちを受け止めきれずにパニックになることもあります。これらの場合は原因となった事が発生した後に自分の感情に気づくため、今現在ではない事に対して怒ったり、場合によってはフラッシュバックを引き起こします。フラッシュバックについては前回(8/23)に書きました。

発達障害の人は相手の気持ちを感じ取ることや、相手の思っている状況を理解することが苦手です。これは相手のとの会話の内容や、表情、仕草などから相手の気持ちを理解することが難しい場合と、自分の感情がわからないため相手の気持ちに共感することができないということが考えられます。悲しい気持ちを共感しなければならない場面でも、自分の悲しい気持ちがわからずに、状況にそぐわない言葉や仕草をしてしまいトラブルにつながってしまう事もあります。自分の感情や気持ちを感じ取ることができないと、相手や状況の共感を得ることが難しく、場にあった会話や表情などの行動をとることができなくなります。自分の気持ちや感想を聞かれた場合にも、『わからない』『特にない』といった答えになってしまい、会話が続かなくなってしまいます。本人は自分の感情が理解できないことから真面目に、『わからない』『特にない』と答えていても、周囲からはふざけているととられてしまう事もあります。

感情を感じることが難しいため、苦しい時や辛い場面でも無表情や笑顔を浮かべていたり、逆に楽しい場面でも真面目な顔やしかめっ面をしてしまうこともあります。気持ちと表情が一致しないと円滑なコミュニケーションをとるのが難しくなったり、本人の調子が悪いときでも周囲の人が気づいてあげることができなくなる場合もあります。自分の気持ちが自覚できないために、不安や苦しみなどの感情が分からず心身が悲鳴を上げていてもキャッチできないことがあります。本来ならば休息すべき部分でも休むことをしないため、結果として疲労などから体を壊してしまうこともあります。また、体を壊すだけでなく、各種心身症(ストレスなどから体に影響が現れる病気)や、二次障害としてうつ病など精神面の病気につながることもあります。なお、感覚鈍磨(感覚の受け取りが極度に鈍い状態)の特徴を持っていると、体の痛みや疲れ、暑さや寒さなどの感覚を正確に受け取ることができないため、より注意が必要です。

自分の気持ちや感情がわからない子には、周囲の人がその子の気持ちを代弁し、一緒に確認して感情認知の機会を作ります。例えば、怒っている時には「~で怒っているんだね」、楽しい時には「~は楽しいね」など話しかけて、子どもに気持ちや感情を意識できるように促します。大人と一緒にそのときの気持ちを確認することで、徐々に自分の気持ちや感情の存在に気づいていきます。ロールプレイで様々な場面を設定し、「こんな場合にどう思うか?」と、子どもと学習する方法もあります。自分の気持ちや感情を意識して表出し、周囲の人も原因の是非はともかく、感情に気づいてもらえるようになれば、ストレスでのイライラやパニックなどを起こす事はとても少なくなります。

子どもからのDV

感情の問題や怒りのコントロールについてこれまで述べてきました。多くの読者の方は、これを自分の行動に当てはめて読まれていたかも知れません。この怒りのメカニズムは子どもの理解に役立て欲しいと思います。例えば、DV(家庭内暴力)です。発達凸凹の家族なら子どもが家で暴れたり、お互いを罵ったりして修羅場と化すことは少なくありません。子どもが暴言や暴力を暴発させた時は、子どもは怒りを暴力で発散したかったのではなく、コントロールできなくなった怒りを親に止めて欲しいのだと理解することが大事です。外でおとなしくて家族にだけ暴力を振るう子どもは暴力が悪いことだとわかっています。だから本当は暴力を振るいたくない。でもやってしまうことによる罪悪感に苦しんでいます。

暴力や破壊をいくら繰り返しても何かモヤモヤした感じが残ってスッキリしないのは、罪悪感から自己嫌悪に陥ってしまうからです。子どもの暴力をやめさせるために親がすべきことは、何をされても我慢して受け止めることではありません。暴力を振るう子どもが自分の感情をコントロールできずに苦しんでいることを理解しながら、コントロールできるようにサポートしていくことなのです。まずは、子どもが暴力行為をしてきたら、親が感じた気持ちを正直に伝えることです。

「痛い」「嫌」「悲しい」「つらい」といった暴力行為を受けることで感じたことを子どもに言うようにします。感情を伝えるのです。暴力を受けることで親が感じる痛みを子どもの心に届かせるイメージで、できる限り詳しく伝えてください。怒りを怒りで返すのは簡単です。怒り以外の表現があることを伝えることが重要なのです。

「暴力を振るう人間は最低だからやめなさい」などの常識論は逆効果になります。大声を出したときに「近所迷惑になるからやめなさい!」、物を壊したときに「もったいない!」といった理屈で説き伏せようとする対応は子どもの感情を逆撫でして余計に怒りを助長します。

子どもが家で暴れることにはそもそもの原因があります。しかし、親も子どももその原因から目を逸らしている状態であるため、親からして子どもがなぜこんなに暴れるのかわからないし、子どもからしても自分がなぜ暴れてしまうほどイライラするのかわからない状態になっています。そして、お互いがよくわからないまま表面化している暴力暴言だけに焦点をあてると解決できません。そこに至るまでの、親に悪気はないですが子どもにしてみれば不適切な接し方があり、子どもはそれに対する不適切な感情の抑圧、我慢があります。

カウンセラーや専門家など他者の力も借りて、少しずつ、目を逸らしてきた本当の問題に気付き、働きかけをしていくことによって解決することは可能です。暴力を周囲から受容されて育った子どもは自分の感情をうまくコントロールできず、人に表現することが難しい人になりやすいです。結果、自己中心的な考えに支配されることでストレスを抱えやすくなるため、依存症や対人恐怖症といった心の悩みを抱えてしまいます。

子どもの暴力がエスカレートしてきたり、怒っても聞かない、逆により暴力が過剰になるかもしれないと思うと恐くて何もいえなくなる気持ちはわかります。「もう無理だ」と投げ出したくなるときもあると思います。感情をコントロールできず苦しんでいると理解すれば冷静に向き合うことは可能です。そして、一人で悩まないで他人の力も借りましょう。他人に相談しても、最後は親子でしか解決できない問題だという腹さえくくれれば、他人への相談は少し楽になるはずです。

日中一次支援事業

日中一次支援事業の特徴は、放課後等デイサービスと比較するとわかりやすいです。放課後等デイサービスは、その役割機能を特定されているのですが、日中一次支援事業は、放課後等デイサービスのような役割機能の制限がつけられていないという特徴があります。放課後等デイサービスが始まる前でも、障害のある児童生徒が活動する場として保護者の就労支援やレスパイトのために、地域のニーズと事業者が提供可能なサービスの折り合いをうまくつけていくサービスとして日中一次支援事業は利用されました。この日中一時支援は今でも利用されますが、児童の場合は、結局放デイの支援量が足りない分を日中一次支援で補完するという目的になってしまいます。

放課後等デイサービスは、基本的には以下のような視点でサービスを提供するよう、ガイドラインが設定されています。
1) 自立支援と日常生活の充実のための活動
2) 創作的活動・作業活動
3) 地域交流の機会の提供
4) 余暇の提供
上記のような役割の中で、提供するサービスや各施設の特徴という視点から分類すると、大きくは次の3つのタイプがあります。どのようなタイプのサービスを提供するかは、サービスを提供する事業者によって異なります。
A) 学童保育にあたるようなサービスを提供するタイプ
B) 専門的な療育サービスを提供するタイプ
C) 習いごとのような感覚で利用できるタイプ
すてっぷは、概ねAとBの混合タイプです。

そもそも、日中一次支援事業は、障害のある方の保護者を中心としたご家族の方が、必要な休息が得られることを目的に、障害のある方の日中の活動の場を一時的に提供するサービスです。この背景としては、家族に必要な休息が得られない場合、家族の過負担によるさまざまな問題が発生する可能性があるからです。例えば成人しても日常サービスが休みの時は仕事のある家族も休息が必要です。そこで休日の日中等、家族の介護を任せてゆっくり休息や余暇が楽しめるように、あわせて障害のある方が休日を有意義に過ごせるように設定されたのがこのサービスやショートステイ事業です。ですから、サービスの内容は一律に定められているわけではなく、地域ごとの実態やニーズに合わせて設計されています。利用される場合にはその点も踏まえて、どのようなサービスが提供されているのかなど、きちんと確認することが重要になると言えるでしょう。そして、各事業者を統括する行政や自立支援協議会は、放デイに一律的な量的規制を加えると、結局はこのサービスに食い込んでしまい、本来のサービス目的による地域ニーズ開拓の障壁になってしまうことを考えてほしいと思います。

障害児通所受給者証について

放課後等デイサービスを利用するには、「障害児通所受給者証」が必要になります。療育手帳を持ってないと、放デイには行けないと誤解されている方がいますが、発達に課題があるお子さんであれば、市町村の自治体に申請すると受給者証を発行してもらうことができ、放デイサービスが利用できます。

受給者証とは、福祉サービス等を利用するために発行される証明書です。市町村などの自治体に申請することにより、交付されます。受給者証には、児童の名前や住所の他、放課後デイサービスなどを利用できる日数(支給量)や、月額の利用料の上限額(上限負担額)が記載されています。1人の児童が複数の施設を利用できるため、利用している放課後デイサービスの名前や利用日数なども載っています。

受給者証は「福祉サービス」を受けるためのものと「医療」を受けるためのものがあります。
障害福祉サービス受給者証・地域生活支援事業受給者証・障害児通所受給者証・障害児施設受給者証
障害者医療費受給者証・自立支援医療(精神通院医療)受給者証・特定疾患医療受給者証 などです。

放課後等デイサービスを利用するには、上記の「障害児通所受給者証」を交付してもらう必要があります。
前回(7/17特別児童扶養手当)でも掲載しましたが「障害者手帳」や「療育手帳」は、障害の名前や状態、程度を証明するために都道府県から発行される証明書です。一方、「受給者証」は福祉サービスを利用するために、市町村から発行される証明書です。障がいの診断がなくても、医師の意見書などがあれば発行してもらうことができます。不登校などの場合も、お子さんの健康状態や精神状態を伝えて審査を受けると取得可能です。一度、お住まいの自治体の窓口で相談してみてください。

受給者証の申請は、下記のような流れで行います。
1. 自治体の窓口で手続き相談をする
子育て総合支援センターや区役所の保健福祉課などで、放課後デイサービスのサービス内容や計画の説明を聞き、申請手続き(申請書記入・聞き取りなど)をします。
2. 利用計画書を作成する
この利用計画書は「相談支援専門員に依頼して作成してもらうパターン」と「保護者が作成するパターン(セルフプラン)」の2種類があります。
相談支援員に計画書を作成してもらう場合、子どもの特性に合わせた専門的な意見がもらえたり、長期にわたって相談できるというメリットがあります。一方、相談支援員とのやりとりが入るため、手続きなどで時間がかかるというデメリットがあります。セルフプランの場合、手続きがスムーズに進むというのがメリットです。ただ、利用日数が多く取れないなどのデメリットが生じることもあります。自治体によっては「相談支援員がついていないと月●日以上利用できない」というようなところもあります。(乙訓近辺での自治体では聞きません)
3. 利用計画書の提出
上記の計画書を、子育て総合支援センターや区役所の保健福祉課に提出します。
4. 審査>受給者証の交付
1.の申請書と2.の計画書をもとに審査が行われ、受給が決定します。
その後、保護者に受給者証が郵送されます。自治体によって異なりますが、通常は申請してから2~3週間くらいで受給者証が交付されます。
受給者証は、基本1年毎に更新の手続きをします。更新の際は改めて診断を受ける必要はありません。

【以下は他の自治体のものですが、どこも同じような書式です】

台風一過:風台風15号

台風15号は千葉市付近に上陸したあと茨城沖の海上に抜けました。台風一過の置き土産として15号が運んできた南の暑い風で東京都心で最高気温が36度、静岡、名古屋では37度、大阪、福岡でも35度の猛暑日が予想されます。この猛暑日は明日(10日)も続くそうです。

15号の猛烈な風は、一時千葉市内で最大瞬間風速が57.5メートルを観測しました。時速にすると207キロという新幹線並みで、観測史上1位を更新しました。それでも、強烈な台風が首都圏を直撃した割には、昨年の9/4に上陸した21号で関空が機能不全に陥るような風台風の大きな被害はなかったそうです。置き土産の猛暑で、9日夜も30度前後の熱帯夜が予想されます。湿度も高く、こまめ水分を取って熱中症には十分気を付けるよう気象庁は呼び掛けています。

京都市放デイ総量規制

京都市は、事業所数が急増している放課後等デイサービスについて、地域ごとの事業所の必要数を算出し、上回る場合は他地域への参入を促す「総量規制」を今年中に導入するそうです。京都市内の事業所数は2012年4月の9カ所から昨年9月に145カ所へと急増。伏見区や山科区などが多い一方、南区と東山区はいずれも3カ所と地域的な偏りが課題となっています。(5/30京都新聞)

京都市は今後、地域ごとの見込み利用者数と必要な事業所数を算出します。総量規制の導入後は、サービス供給が過剰な地域で開設を希望する事業所には別の地域で開くよう促し、市の要請に応じない場合に開設を認めるかどうかはガイドラインを決めていくそうです。

総量規制は昨年4月の改正児童福祉法の施行で可能となりました。浜松市は今年5月から本格実施しており、市が定めた上限数以上の開設を認めていません。また、山科区の事業所で給付金を不正受給していた事件を受け、本年度から放課後デイの指導、監査を担う京都市は部署を2人増員したそうです。

ただ、京都市の場合は利用者のニーズ量を調べてから事業所数を決めるものですが、乙訓の場合は利用量を最初から原則週3回と決めており、これは利用者の権利侵害に当たる可能性があります。もちろん、利用実績から予算を割り出すのはどの行政にも必要なことです。しかし、行政や事業者同士で総量を一律規制するのは新規参入を意図的に抑止することにつながる恐れがあり結果利用者の権利制限につながる可能性があり、検討を要します。

放課後デイ事業所が540万円不正請求

放デイの総量規制のことを書いていたら同じ日に京都市放デイの不正請求事件が京都新聞に報道されていました。以下記事掲載します。

------------------------------------------

放課後デイ事業所が540万円不正請求 受け入れ停止処分、京都

 京都市は10日、伏見区醍醐で障害児が通う放課後等デイサービス事業所を運営する一般社団法人「ガジュマル」(同区醍醐)が人員基準に違反し、個別支援計画の未作成の状態で給付費など計約540万円を不正請求していたとして、11日から6カ月間の新規利用者受け入れ停止の行政処分を行ったと発表した。
 市によると、同法人の施設「放課後デイサービス ガジュマル」で、配置義務がある現場統括役「児童発達支援管理責任者」が不在となった2018年8~11月、代わりの人員を置かず、8月分について必要な減算をせずに給付費を請求。17年8月~18年10月には、延べ217人分の個別支援計画に関して、内容や作成手順に不備があった場合の減算をせず、給付費を請求したという。
 ほかにも欠席時対応の加算などを合わせると、不正請求による受取総額は約540万円に上り、市は同法人に40%の加算金と合計で約760万円を返還請求した。不正行為には改善勧告を出し、1カ月以内で報告を求めた。
 市の監査に対し、同法人は「忙しくて対応を怠ったり、制度への理解が不十分だったりした」と述べているという。
【2019年09月10日 20時04分】
Copyright (c) 1996-2019 The Kyoto Shimbun Co.,Ltd. All rights reserved.

---------------------------------------

要するに、放デイも必要な資格のある人をおくことで、サービスの質が維持できるとして、その条件を満たせばサービス単価を上げることができる仕組みなのですが、資格者がやめているのに単価を変更しないで不正請求したなどで、3年で540万不正に受け取ったというものです。放デイは1事業所当たり年間平均2千万から3千万の受給があるので1年で約1割程度の請求が不正だったということです。「忙しくて対応を怠ったり、制度への理解が不十分だったりした」とは事業者側の弁ですが、プロとして許される言葉ではないです。こうした不正がたびたび起こるのはほとんどの利用者が1割負担で、あとは税金で賄われるので事業者の罪の意識が薄れてしまうのかもしれません。これは、介護の世界でも医療の世界でも同じことが言えます。病院の不正レセプトも記事にすらならないほど後を絶ちません。そもそも、請求ルールが複雑と言う問題もあります。今やAIの時代です。労務管理システムと請求システムを連動させればこんな不正はできなくなります。あけても暮れても性善説に立ってあれこれ非難しているよりも、簡単に不正できないシステムを公的請求ラインで確立する方がよっぽど早いと思うのは私だけでしょうか。それが進まないのも不正受給されたお金が税金だからでしょうか?

電話対応

電話はどの職業にとっても大切な連絡ツールです。少しの工夫で、電話対応力はより磨かれます。電話応対では、顔を合わせて話ができる対面と違って、声だけで相手に気持ちを伝えなければいけません。電話の印象は、【声の表情と抑揚の付け方】で変わります。まず声の基本は、【姿勢を良く】です。何かにもたれ掛る姿勢や、猫背だといい声が出ず相手にもいい印象を残すことが出来ません。次は、【深呼吸をする】です。電話を受ける時も掛ける時も、しっかりと深呼吸して、しっかりとお腹から声を出すように意識します。最後は、【声の表情を変える】です。笑顔で「あー」と声を伸ばした時は、声の明るさや伸びが全然違うのです。顔の表情が、声の表情として、相手にも伝わります。つまり、基本的な電話対応は笑顔で明るく。クレーム対応やトラブルの際は、神妙な表情で少し声色を落とす。表情を変えることで声の表情も変わり、より誠意が相手に伝わりやすくなります。」

次に必要なことは「相手の最も伝えたい情報は何か」「相手が最も知りたい情報は何か」を即座にキャッチし、適切な返答をするということです。電話の相手は、必ず目的をもっています。その為、無駄な会話を避け、必要な情報を的確に聴きだす必要があります。【1.電話の目的の把握】【2.目的に沿った質問をし情報を引き出す】【3.内容に対する的確な返答をする】という3ステップを抑えれば、電話対応は劇的にスマートになります。

相手からクレームの電話を受けることもあります。相手は感情的になっているケースが多いです。その為、言葉使いや相槌一つとっても、細心の注意を払っていく必要があります。相手がお話をされている時には、最後まで相手の言葉を聴くことが基本です。そして、言葉と言葉の合間に、短く「はい」と相槌を入れることが大事です。ここでは、「きちんと自分の話を聴いて理解してくれている」と相手に感じてもらうことが何より重要です。相手の言葉に被せて相槌を打ったり、毎回「申し訳ありません」「すみません」など謝り続けることは、逆効果となります。「きちんと私の話を聴いてくれているのか?」「謝れば済む話をしているのではないのだが」と、相手に不快感を与えてしまうこととなり、誠意が伝わりにくくなります。

また、【クッション言葉】も大切です。例えば「恐れ入りますが」「お差し支えなければ」「ご面倒をおかけ致しますが」など会話のクッションとなる言葉です。このクッション言葉を適度に挟んで会話を続けると、相手の気持ちが和らぎ、相手の伝えたいことを正確に把握できるようになります。

 

指示待ちの原因

指示待ちの強い人は、行動する前に「どうしよう、どうしたらいいんだろう」と悩むので、いつまでも行動に移せません。それは自分の考えに自信がないので迷いが生じてしまうからです。自信がない原因は、自発的に行動した結果、成功体験が著しく少ないせいか、失敗体験が著しく多いせいだと考えられています。

周りの人の気持ちや状況に無関心が指示待ち人間になっている原因とも考えられます。いわゆる空気が読めない人です。空気が読める人は、周りの人の気持ちやその場の状況から自分は何をしたらいいのか、どうすることが正解なのか答えを導き出せます。しかし指示待ちの人は、例え周りの人が忙しそうに仕事をしていても、気づいていないので援助する行動がとれません。

ややこしいのは、指示があるまで「何か手伝うことはありますか?」「他にできる事はありますか」と自分から聞きに行かず余計な仕事を増やしたくないという人です。このタイプの指示待ちは合理主義で損得勘定でわざと指示を待つような態度を取ります。指示があれば文句も言わずに任せられた業務に手をつけますが、それまではわれ関せずな態度を取ります。目的をもって行動しないという意思を持っているものは指示待ちとは言いません。

マニュアルに沿って行動することは得意でも、ちょっとしたトラブルで冷静さを失ってしまい、臨機応変な対応を苦手とするタイプの指示待ち人間もいます。社会人経験の浅い若者、バイトなどで働いた経験がない人に多いです。また、今まで誰かに言われる通りに生きてきた人に多いかもしれません。親や教師の言うことを聞いていれば失敗しなかった環境から、自分で考えて行動しなければならない環境に変わったのに、切り替えられずに対応できないのです。

責任を背負いたくない人は、自分が思いついて行動したことで失敗した場合、何らかの責任を負わなければならないという状況に恐怖感すら感じます。「もしもうまくいかなかったらどうしよう、嫌われたり怒られたらどうしよう」と責任を負うことに不安を感じてしまうのです。失敗の体験から、自分で考えて行動するよりも指示を待つほうがリスクが少ないと思っているのです。

指示待ちになるのは、結局、自分のやりたい事がはっきりしていないという事です。自分のやりたい事、これを実現するために仕事や生活があります。大事なことは自分のやるべきことを自分の判断で小さなことから実現して自信を積み上げることです。そして、「報連相」と指示待ちは異質のもので、他者にイライラや怒りを誘発させるような精神的負担を負わせるのは「報連相」ではないことに早く気付くことです。

ただ、空気が読めない人のためには、明日から空気が読めるようにはならないので、もう少し配慮が必要です。なんでもかんでも人に判断してもらう指示待ちはNGだけど、どのレベルなら自分で判断すべき仕事なのか、どのレベルなら相談した方がいい仕事なのかを質問するのは、有意義な「報連相」行動だと、みんなで確認しておくことは大事です。「そのレベルは自分で判断します」「その先は相談します」という明確なガイドラインがないと、自己判断と相談のボーダーラインはグレーゾーンのことが多いので、指示待ちだった人は混乱してしまいます。指示待ち行動は、その人の責任にしても解決はしないので、関係者全員が指示待ちの人の支援にあたることが重要です。

自立課題

個別課題と自立課題は良く混同されて使いますが、意味が違います。個別課題と示すときは、その名の通り、子ども一人一人の課題に合わせて個別に大人に教えてもらう学習形態や内容をさしています。初めて取り組む課題や十分に身についていない課題は「個別課題」として、大人が個別に指導をします。そして、ある程度できるようになった課題は「自立課題」として、子どもが一人でできるように進んでいきます。つまり、「個別課題」→「自立課題」という図式です。確かに指導上はこうした流れをとることも多いので間違いではないのですが、コミュニケーション学習の「自立課題」はあり得ないし、集団場面で使うスキルをマンツーマンで教えてもらうことも「個別課題」にはあります。「自立課題」という言葉は「個別課題」とは全く関係なく、自閉症支援として日本に輸入された重要なキーワードなのです。

自閉症の方をはじめとする音声モードの情報処理の弱い人に、音声モードで学習や作業、生活をさせていては、何歳になっても分からないことが多すぎて、依存的になったり拒否的になったりして、結果として自立しようとする芽を摘んでいるのではないかというTEACCHの考え方が1970年頃から世界に広がりはじめました。「構造化」した環境で「自立課題」を取組むことで、ASDの方に「自分でできる」という自信と自尊心を育てることができたという実践が各地で報告され検証されました。「構造化」や「自立課題」と言う言葉は、ASDの方の自信と自尊心のキーワードとなる言葉です。そして2000年代以降もう一つの柱として、「自発のコミュニケーションスキル」が重要と言われています。これも視覚モードを使って自分で伝えるPECSを代表とするので「自分でできる」という目標は同じです。

昨日のブログでも紹介しましたが、強い指示待ちは、ASDの受動タイプの方や、高学年で行動が落ち着いてきた方に時々見受けられます。いつもの日常の生活行動なのに、強く指示して促さないと動けない緊張病(カタトニア)として医学書に紹介される症状です。原因がはっきりわかったわけではないですが、この予防策として、視覚情報モードで自立的に生活していれば、日常の生活行動に促しをかけることも減るので、予防には有効ではないかと考えられます。ただ、だからと言ってしつこく声をかけるとみんなカタトニアになるわけではありません。このことについては別に詳しく述べる機会を作ろうと思います。

敬老の日

今日は、敬老の日。 毎年9月15日を敬老の日としていたものを、2003年(平成15年)から9月の第3月曜日にしました。兵庫県多可郡野間谷村の村長と助役が、お年寄りを大切にし、昔から伝わる知恵を借りて村作りをしようと、昭和22年(1947年)「としよりの日」が決められました。農作業も一段落して敬老会を開くには丁度よい日取りだったようです。これが全国的に広まって、「としより」という言葉の響きが良くないということで、「老人の日」となり、昭和39年(1964年)国民の休日として「敬老の日」が制定されました。

高齢者とは、日本の統計調査では65歳以上と定めています。家族に高齢者がいる世帯は全世帯の4割を超え、その中で高齢者の一人暮らしと夫婦のみの世帯をあわせた数が半分です。病気やけがをしている高齢者は半数、生活に支障をきたすほどの重症の人は2割程です。高齢者の世帯支出は、勤労世帯で月36万、無職世帯は26万ほどが平均支出です。全世代世帯の平均支出月額は29万ですから、若年世帯と同じくらいから経済的に余裕がある範囲に入リます。

65歳から74歳までの人を「前期高齢者」といいます。前期高齢者は、64歳までと変わらず国民健康保険や被用者保険の給付を受けることができます。高年齢者雇用安定法で、本人が希望すれば65歳まで働けるようになったため、定年後も同じ職場で働き続ける人が増えています。これからはさらに現役で活躍する高齢者が増えていきます。また労働人口が減る一方で、前期高齢者に含まれる65歳から69歳までの男性の約半数が働いています。

定年後も自分の居場所を見つけ、自立した生活を送ることが大切だと言われますが、大きなお世話です。高齢者ですらない宙ぶらりんの60歳以降はそう思っています。もう少しで、ゴールだと走り続けてきたら、勝手にゴールテープを後ろに移動された感が強いのです。だったら走る(就労する)前からそう説明してほしいと思ったのは筆者だけでしょうか。昭和30年代生まれの方は、60歳で定年だと言われつつ安い賃金で65歳まで雇用されることになり、寿命が延びているのだからその後も働いて当然だと言われるのは、どうもすっきりしないという人は少なくありません。

文明の進化とともに寿命が伸びることは周知のことです。年金掛け金が収入の2割で、年金月額が生涯平均賃金の5割を支払える釣り合いの取れる答え(年数)はひとつしかありません。「(平均寿命-20)÷1.4=掛け金年数」「掛け金年数+20=支給開始時期」という小学生の算数です。最初からわかっているのこの単純な関係が説明され、「平均寿命が延びたら、掛け金期間と年金支給開始時期がのびる」「年金は長生き保険」とさえ学んでいればこんなに違和感(損した感)はなかったと思います。

国民の8人に1人が後期高齢者といわれています。そして75歳の誕生日から後期高齢者医療制度への加入が義務付けられました。75歳を過ぎると入院や長期療養が多くなり、後期高齢者の約4分の1が要介護認定を受けています。また80歳以上の約8割が経済的な不安を感じず暮らしていて、後期高齢者の半数以上が趣味やレジャーを楽しんでいるそうですが、この人たちは2004年の厚生年金保険料の引き上げ開始前に定年を迎えた方たちです。前と後ではえらい違いだと思うのは筆者だけでしょうか。敬老の日に、敬老されてるのかなぁ。高齢者ではないしなぁ。なんだかなぁという複雑な思いで一日が過ぎていきました。

自粛はご遠慮下さい

熊谷俊人(千葉市長)が以下のツイートをしました。
『養護学校の生徒が水遊びしていることについて「災害の中、不謹慎」との苦情が入りました(その方は停電は発生していない地域にお住い)。 確かに千葉市内を始め、県内が停電・断水な中、不謹慎と思う方もいるかもしれませんが、自粛しても意味がありません。心を寄せて頂いた上で、自粛はご遠慮下さい。13:40 - 2019年9月11日』

風台風の影響を受けて、千葉県は未だに電力や水道が復旧していない地域が少なくありません。みんなで助け合おうという声掛けは大事ですが、災害時の被害が大きければ大きいほど、「みんな」を強調するあまり全体主義の危うさを感じさせる発信が時折見受けられるのも事実です。ただ、正面からその発言を批判するのは「返り討ち」に合う恐怖感があり足踏みをしてしまうのも本音です。市長の勇気ある発言に対して多くの人が共感を寄せました。災害時は社会的弱者への偏見が顕在化します。だからこそ、「みんな」で非常事態の言動には危機管理の観点からも敏感になる必要があります。

「障がい」

熊谷俊人(千葉市長)について昨日コメントしました。支援学校の子どもが水遊びを自粛しても、台風で止まっている電力や水道は復旧しない。意味のない自粛の呼びかけは控えてほしいというものでした。この考えと同じようなツイートが4年前にもありました。


熊谷俊人(千葉市長)
▼「障害者」とは「社会の障害」でも「身体に障害を持つ者」でも無く、「社会との関わりの中で障害に直面している者」という意味であり、私たちはその障害を一つひとつ解消していくことが求められている、と理解しています 。
▼その考えから、私は「障害」を「障がい」と置き換えることには反対です。「障害」という言葉が引っかかるからこそ、それを社会的に解消しなければならないわけで、表現をソフトにすることは決してバリアフリー社会の実現に資するものではありません。2015年5月20日
▼表記を変えるべきとよく言われて、それに対応する時間を本来の障害者行政に割きたいので、表現を変えても意味が無いと申し上げただけです。2015年5月25日

2011年に提出された障害者基本法改正案に「障がい」を盛り込むために、かつての鳩山由紀夫内閣が設けた「障がい者制度改革推進本部」は、差別解消のために表記を「障がい者」とすることを議論しましたが、有識者らからは「『障害』が広く普及している」などの意見が出され、合意には至らず、改正案には盛り込まれませんでした。しかし、この流れからあちこちの自治体で「障がい」表記が増えました。

この流れに一石を投じたのが、先述した熊谷市長のツイートなのです。ポリティカルコレクトネス( political correctness)とは、政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語をさします。看護婦ではなく看護師、保母ではなく保育士、スチュワーデスではなくキャビンアテンダント等です。障害ではなく「障がい」表記の流れもポリコレ運動の一つと言えます。

市長の意見は、今回の自粛発言と同じく、その議論に差別・偏見をなくす効果があるのか?というものでした。ポリコレがどうこうと言う前に、政府として決着を得た話に、ふたたび市役所が時間と税金をかけて「害」か「がい」かと議論していること自体に役所の仕事として意味があるのかと疑問を投げかけています。

 

 

効果のでないスケジュール

放課後等デイサービスでは、絵カードを用いたスケジューリングが行われている事が少なくありません。しかし、これが多くの場合あまり機能していないのではないかと感じています。大人はある程度1日のスケジュールを頭にイメージして行動しています。ASD児にとってのスケジュールの必要性は大人のそれとは違います。ASD児の多くは『突然』だったり『変化』だったりに対処することが苦手です。そして、その不安に押しつぶされそうになりパニックを起こしたり、易刺激性(些細なことですぐに不機嫌になる)を発揮させてしまいます。予めスケジュールを立て、見通しを持ちやすくすることで『突然』や『変化』という『不安』を極力減らしていこうというものがスケジュールです。大切なのは『個別性』。見通しが持てず不安になる子どもへの支援としての『スケジューリング』は必要なのです。

しかし、折角作ったそのスケジュールが機能的に使えていない場合が多いように思います。ただ貼ってあるだけのスケジュール、子どもは毎回同じ繰り返しなので見向きもしていないスケジュールはよく見かけます。スケジュールの目的は、忘れたり漏れを無くす為に用い、円滑に生活を送っていくために必要なものです。放課後等デイや自宅・学校で行うスケジューリングが将来、社会人としてスケジュールを確認し仕事や友人関係を円滑に行っていくことに繋がっていくように取り組むのです。子どもの予定を支配するために、おとなしくしてもらうためにあるのではないのです。スケジュールを機能的に用いるというのは、将来役立つ形で用いるということです。

支援とは日々の工夫があって生きてきます。もちろん、支援作業をルーティン化して効率化することは仕事には欠かせません。だけど、意味のない支援になってしまっては元も子もありません。だから、子ども達への支援は常に、将来にも役立つことをイメージしておく必要があります。自閉症支援では『予防』という考え方を一番重要視する必要があります。かつて「言葉がわからなくても言葉をかけてあげてください」「少し様子を見ましょう」という鉄板のフレーズで地域で暮らせない行動障害の山を作った歴史を忘れてはいけません。子どもたちにとっての予防とは、大人になった時に生活しやすいスキルを身につけておくことであり、保護者の方の心配を極力減らすことです。全ての支援は子どもたちの発達に繋がり、適切な習慣づくりに役立って意味を成します。スケジュールの使い方については間違った使い方があちこちで散見されるので機会を見てまた書きます。

EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocess...

名大、睡眠中に記憶消す神経発見 起床直前の夢、忘却に関与か?
共同通信社 2019/09/20
レム睡眠と呼ばれる浅い眠りの間に、記憶を消す働きを持つ神経細胞を発見したと、名古屋大の山中章弘教授(神経科学)らのチームが19日付の米科学誌サイエンス電子版に発表した。起きる直前に夢を見ても、すぐに忘れてしまうのは、この神経が働くためかもしれないという。夢には記憶を整理する機能があるとされるが、とっぴなストーリーのような副産物も生じる。山中教授は「脳は睡眠中に重要でない記憶を消し、次の記憶に使える容量を増やしているのではないか」と話した。

この記事をみて、「やっぱりそうだったかー!!」と驚く人は、トラウマ治療に深い関心がある人です。EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing:眼球運動による脱感作と再処理法)は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に対して、科学的に根拠のある心理療法と言われています。また、他の精神科疾患、精神衛生の問題、身体的症状の治療にも、学術雑誌などに成功例が詳細に記述されています。とはいうものの、この山中教授のような実験結果ははじめてなのです。記憶を消すメカニズムがやっとわかりそうだという事です。

例えば、震災でトラウマを負った方は。不安なことがあると地面が揺れているように感じたり、自分の意志と関係なく当時の凄惨なシーンが蘇ったりするPTSDで苦しみます。そこでEMDRを使って治療を行います。対象者は一つのトラウマ(悩まされている恐怖体験)のエピソードを頭に思い浮かべます。治療者は対象者の顔の前に指を立て、腕を左右に振り、対象者はその指先を目だけを動かして見続けてもらいます。これで目の眼球は左右に動きます。基本的にはそれだけです。そうすることにより、トラウマ記憶がどんどんと変化していきます。そして、それにともなって、トラウマ記憶にともなう認知や感情、身体感覚も変化していきます。

1990年に発表されたEMDR。嘘だろうと最初はだれもが思いました。フランシーン・シャピロという人物はとんでもないエセ心理士だという人もいました。ただ、浅い睡眠時のレム(REM:Rapid eye movement:急速眼球運動)睡眠は記憶の整理をしているという仮説は広く知られていました。「眼球運動と記憶の理屈は合っている」と考えた精神科医や心理士がやってみるとうまく治療できたケースが多かったのですが、それがどうして有効なのか物質的な証拠が見つからなかったというわけです。そして今回、その証拠かもしれない神経細胞が見つかったというのですから、30年前のシャピロの仮説が証明できるということです。

科学は根拠から出発しますが、根拠が見つからないものもあります。むしろその方が多いのかもしれません。それでも人は直感と経験を頼りに実践を切り拓きます。そして、誰でも同じ効果が得られて長く持続できたものが生き残ります。これを一枚一枚はがすように説明するのが科学の面白さでもあります。

お彼岸

昼と夜の長さがほとんど同じ長さである秋分の日は、お彼岸の中日にあたります。例年9月23日ごろが秋分の日です。秋分の日は、1948年に公布・施行された「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ日」とされています。 戦前、秋分の日は「秋季皇霊祭(しゅうきこうれいさい)」と呼ばれていました。秋季皇霊祭とは、毎年秋分の日に宮中で、歴代の天皇や皇族の神霊をまつる儀式です。その後、庶民の間にも徐々に広がり、戦後「秋分の日」と改名されました。

秋分の日の正確な日程は、国立天文台が作成する「暦象年表」に基づいて閣議で決定されます。そのため、必ず9月23日が秋分の日であるわけではありません。天文計算上、秋分の日は2044年まで9月23日です。(うるう年に限り9月22日)

お彼岸は年に2回あり、春分の日にあるお彼岸を「春彼岸」、秋分の日にあるお彼岸を「秋彼岸」と言います。「彼岸」とは先祖がいる「極楽」を指します。反対の「此岸(しがん)」とは私たちが生きている世界のことです。仏教では、彼岸は西に位置し、此岸は東に位置すると考えられています。春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇り真西に沈むため、彼岸と此岸が最も通じやすい日と考えられました。

「暑さ寒さも彼岸まで」というように、お彼岸は季節の変わり目を感じることができる日です。農耕生活が中心だった時代、日本人は太陽を崇拝しており、気候が良いお彼岸は五穀豊穣を祈願する絶好の時期でした。春分の日は種まきが始まる時期で、秋分の日は収穫の時期です。そのため、春には収穫を祈り、秋には収穫を感謝してお供えをしたと言われています。昔からある日本の自然信仰と仏教の教えが結びつき、お彼岸は定着しました。

秋分の日には、家族でお墓参りや寺で開かれる彼岸会(ひがんえ)に行く方もいると思います。秋分の日は、お墓周りや仏壇周りの掃除をします。秋分の日のお供え物といえば「おはぎ」が定番です。実は秋分の日にお供えするおはぎと、春分の日にお供えするぼたもちは同じもので、名前だけが異なるのです。おはぎは秋に咲く萩の花にちなんで、ぼたもちは春に咲く牡丹の花にちなんで名付けられました。日本では昔から、小豆には邪気を払う力があると信じられていました。お彼岸におはぎやぼたもちを供えることにより、祖先への供養を行います。

ロスジェネ

----------------------
“就職氷河期世代”の採用試験 約550倍の狭き門に 兵庫 宝塚
2019年9月23日 7時28分 NHK NEWSWEB

兵庫県宝塚市で「就職氷河期」世代を対象にした正規職員の採用試験が始まり、3人程度の募集に対し、1600人を超える人たちが受験しました。「就職氷河期」に希望どおりの就職ができなかった30代半ばから40代半ばの人たちを支援しようと、兵庫県宝塚市は、この世代から正規の職員を採用する取り組みを始め、22日に1次試験となる筆記試験が行われました。3人程度の募集に対し、全国から1635人が受験して、倍率はおよそ550倍となり、市は試験会場を急きょ3か所から10か所に増やして対応しました。受験した大阪市で非正規社員として働く36歳の男性は「大学時代の就職活動では面接に進むことすら厳しかった。いろいろな仕事をしてきた経験を生かしたい」と話していました。また、尼崎市の43歳の男性は「安定した働き方をしたいと思って受験した。住民サービスなどの仕事に就きたい」と話していました。宝塚市給与労務課の廣瀬義則課長は「予想以上の方に受験していただき、関心の高さ、支援の必要性を感じている。人生を切り開こうという思いを感じたので、これまでのつらい思いをぶつけてほしい」と話していました。筆記試験を通過した人は面接試験などに進み、11月下旬までには内定者が決まるということです。
-----------------------
この動きは政府の就職氷河期(ロスジェネ)支援策の一環として始まったものです。今後各地の自治体で職員募集が始まります。ロスジェネの支援対象となるのは現在35─44歳で無職とパートやフリーターなど非正規雇用者およそ400万人程度が主な対象者です。ハローワーク、大学・職業訓練機関、経済団体等が連携する協議会を立ち上げ、対象者の把握、地域ごとの事業実施計画を立てるほか、ハローワークには専門部署を置き、人生再設計、就職アドバイス、リカレント教育の情報提供、人手不足企業への就職促進や情報技術等の能力開発等も強化すべきとして政府が方針化したものの行政版が上の記事です。ただ、550倍ってことは、氷河期より超ひどい倍率じゃないかと思う人は少なくないでしょう。1800の大小の地方公共団体が平均3人ずつ氷河期フォローをしても、対象400万人に対してわずかに0.13%の5000人です。しかし、時はあまりありません、20年後から40万人づつ前期高齢者になるのです。それまでにかけた年金が少なければ、到底生活はできず生活保護受給がどんどん増えていくのです。試算ではこのうち147万人が生保予備軍となり、自己責任と言ってかたずけられない、国家規模の問題なのです。

ただ、行政の職員募集だけでの達成は焼け石状態で到底不可能ですし、経済の回り方としても不健全です。今、人手不足の民間で給与を上げて、就労人口を増やすことで、経済は好循環を起こします。消費が上向けば、GDPも上昇し、緩やかなインフレも始まり、すべてが良い方向に動き出します。なのに、10月から増税です。増税と言うブレーキを踏みながら雇用拡大というアクセルをふかしているのです。

 

人手不足

放課後デイの仕事の休みは日曜日だけ、土曜も祝日も全て開所しますから、ほとんど開所日です。しかし、給与は中堅で年収400万程度です。民間の平均には違いないですが、土曜祝日の年間70日の出勤日は他の職種より勤務日が多いのでみなさん敬遠されるのです。最近は給与額だけでなく休日がどれだけあり有給休暇が取りやすいかどうかが就職決定の大きな条件になります。

年間休日が60日以下のこの事業は全く人気がないのです。人を増やせば休暇も増やせますが、人が増えないことには休暇も増やせません。このジレンマに中で「すてっぷ」は持続可能性の瀬戸際に立たされています。子ども関係や福祉の仕事を考えておられるお知り合いの方がおられましたら是非ご紹介ください。来年に向け少なくとも2名の新規採用が必要ですが、このままでは新規採用への応募は大変厳しいです。どうかお知り合いの方のご紹介のご協力お願いします。求人条件は左上の「求人情報」の内容です。

 

ラグビー・ワールドカップ

先週、ラグビー・ワールドカップが開幕しました。初のアジア開催ということもありたいへん盛り上がっています。日本はロシアに初戦勝利です。ところで、初めて観戦した人は、日本チームを見て「え?外人チームなの」と思った方もいたかと思います。ラグビー ワールドカップ 日本代表は31人中14名の外国出身者がいます。ラグビーの場合は国際ルールで、代表チームはその国の国籍を持たない外国人選手であっても登録が認められています。その条件は、出生地がその国、両親・祖父母のうち一人がその国の出身、その国で3年以上継続して居住していることです。このいずれかの条件に該当し、他国の代表選手になっていない場合、代表チームに入ることができます。ラグビーでは「国籍よりも実際にプレーしている土地」を優先するのです。

ナショナルチーム編成のコンセプトから言えばどうでもいいことですが、日本チームは14人のうち9人が日本国籍を取得しており、他国のチームより帰化割合は高いです。ヴァルアサエリ愛やリーチマイケルは、高校で来日して高校ラグビーや大学ラグビーでも活躍し、日本ラグビー文化を体現し、帰化もした真っ当な日本代表選手です。帰化してないトンプソン ルークや南ア戦逆転トライのカーン ヘスケスは長く日本で生活し、日本のトップリーグと日本代表合宿、代表戦を経験して日の丸を背負う覚悟と誇りをもって戦ってきたのです。ルークはさすがに年齢で無理にしても、他のみんなは次回のW杯目指して頑張ってくれるだろうと思います。

ところが、外人ばかりが目立って日本チームと言えないと非難する方がいます。しかし、他国チームでも同じくらい外国人選手はいます。サモアチームやUSAチームは日本チームより外国人が多いのですが、肌の色や顔つきが同じで目立たないだけです。故郷を離れて日本で戦ううちに日本が好きになり、文字どおり、体を張って日本チームの為に活躍してくれている代表選手の活躍を素直に喜びたいと思うのです。「国家への所属」よりも「チームへの所属」を優先する。ここがオリンピックや他のスポーツと違うところで、いいところだと思うのです。がんばれニッポン!

秋のおすすめ講演会

スポーツの秋、行楽の秋、食欲の秋、読書の秋。秋には様々な講演会も開かれます。普段は講演会なんて行く暇がないのですが、秋にはちょっと出かけて講義を聞いてみませんか。きっといいヒントが見つかるかもしれません。

◆『内山登紀夫先生 講演会』

日 時: 2019年10月13日(日) 13:20~16:00

場 所: ドーンセンター 4F 大会議室(大阪市中央区大手前1-3-49)
内 容: 青年・成人期の実態調査から見て、大切なこと、必要なこと
これからの自閉症支援 現在から未来へ~切れ目のない支援、ライフステージを考える~
講 師: 新澤 伸子 先生(武庫川女子大学 教授) 内山 登紀夫 先生(よこはま発達クリニック 院長)
参加費: 一般 2000円、会員 1000円
定 員: 70名
締 切: 10月6日(日)
主 催: 自閉症スペクトラム児・者を支援する親の会オアシス
申込み&問合せ: Fax.06-4862-4158 E-mail Kinenjigyo@oasc.jp
詳 細: https://oasc.jp/pickup03/10月13日%E3%80%80オアシス講演会


◆『京都府自閉症協会50周年記念大会』
日 時: 2019年11月9日(土) 10:50~16:30(開場10:30~)
場 所: KBSホール
内 容: “わたし”を取り戻す いつか親業を卒業する日のために・・・
講 師: 上野千鶴子先生(NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長)
参加費: 無料
(祝賀会 平安ホテル  18:00~20:00(受付17:30~)参加費:5.000円(洋食))
定 員: 700名
主 催: 京都府自閉症協会
申込み&問合せ: http://as-kyoto.com/?p=1207
詳 細:http://as-kyoto.com/wp-content/uploads/2019/04/追刷50周年オモテ面.pdf
詳 細:http://as-kyoto.com/wp-content/uploads/2019/04/追刷50周年裏面.pdf

9月病


長い夏季休暇が明け慌ただしい日常に戻るとき、変化に順応できず気分がふさいでしまうことを、欧米では9月病と言われてきました。日本でも、9月に調子の悪さを感じる人がふえ、9月病と言われるようになってきました。体の症状は、疲れが抜けない、過食(食べすぎる)、眠れない、過眠(眠りすぎる)、体や頭が重い、だるさがつづく、頭痛がする等です。心の症状は、気分がおちこむ、やる気がでない、元気がでない、楽しくない、悲しい、めんどくさい、心配になる、焦燥感(どうしていいのかわからない)、イライラしてる、けんかばかりする等です。大きく分けて、5月病の秋バージョンの「秋うつ」タイプと、夏の疲れからくる「秋バテ」タイプに分けられます。

秋うつタイプの9月病は、秋になるとなんとなく悲しい気分になったりする季節性感情障害(SAD)という病気があります。もともとの9月病はこのタイプで、日照時間なども関係して脳の働きが不調になるようです。秋うつタイプの特徴としては、気分が沈みがちということに加え、過眠・過食がみられます。秋バテタイプの9月病は、エアコンの効いた部屋での体の冷やしすぎが大きな原因です。秋バテタイプの9月病の特徴は、夏の疲れが蓄積された疲労感です。体温調整の乱れが原因のことも多く、夏の間に冷たいものを食べる習慣がついて胃腸の調子が悪くなっている人もいます。そして、両者に共通するのは自律神経の乱れです。

秋うつタイプの9月病の子どもの気持ちは、長い夏休みを終え、新学期が始まり、「早起きが嫌だ」「だるい」「夏休みの生活が良かった」などの思いがとても強くなってしまった状態です。秋バテタイプの9月病の子どもは、冷えが原因で、アイスの食べすぎだったり、涼しくなったのにタオルケット1枚で寝ている場合などです。共通する自律神経の乱れを正すには、規則正しい生活(睡眠・食事・適度な運動)です。でも、9月病で体調が悪いから生活が乱れているのですから、そう簡単には直せません。それでも、楽しい活動を朝方に用意する、お日様の下で活動する、ぬるめの風呂にゆっくり浸かるなど、体内バランスの正常化が何より大切です。そして夜中のブルーライト(PC等液晶の光)は脳の混乱の長期化につながりますので、何はともあれ、しばらく禁止してみましょう。眠れぬ人は無理に眠ろうとしなくていいので、布団に包まって癒し系の音楽を流すとか、それでも眠れぬ過ごしが辛いなら、落語や一人語りのオーディオブックをかけてみるとかして、酷使してきた視覚系を休めて聴覚系の入力に切り替える工夫をしましょう。ラベンダーの香りが嫌いでないならこれもオススメです。

グレタ・トゥーンベリさん

9月23日にニューヨークの国連本部で行った演説が、大きな反響を呼んでいるグレタ・トゥーンベリさん。しかし、彼女が動かしているのは、温暖化問題への人々の関心や行動だけではありません。その強い意思と行動力は、「障がいとは何なのか」という問いを全世界に投げかけているようにも思います。彼女は、スウェーデン出身のグレタ・トゥーンベリさん(16歳)。地球温暖化対策を訴える行動が評価され、2018年3月にはノーベル平和賞にノミネートもされました。

彼女の呼びかけはシンプルです。「地球温暖化が私たちの生存を脅かす重大な問題ならば、どうして私たちは行動しないのでしょう」というものです。スウェーデンで総選挙が迫っていた2018年8月。グレタさんは、「気候のためのスクールストライキ」というプラカードを掲げて、ストックホルムの国会議事堂の前で座り込みました。ストライキは総選挙までの2週間、毎日続けました。その後も、毎週金曜日には学校を休んで、座り込みを続けています。彼女の行動はまたたく間に世界中に広がり、地球温暖化対策を求める大規模な抗議運動へと発展しました。

「#FridayForFuture (未来のための金曜日)」というハッシュタグと共に、欧米を中心に多くの若者が運動に参加し、その様子をSNSで発信しています。グレタさんは12月には、ポーランドで開かれた会議COP24(通称:国連気候会議)、2019年1月にはダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で演説しています。

グレタさんは、アスペルガー症候群と強迫性障害、場面緘黙であることを公表しています。Twitterのプロフィールは「16歳のアスペルガーの環境活動家」です。アスペルガー症候群とは、知的障害を伴わない自閉症のことです。対人コミュニケーションが苦手、興味の対象が限定的、などが主な症状です。 しかし、グレタさんは「アスペルガーは病気ではなく、1つの才能。アスペルガーでなかったら、こうして立ち上がることはなかったでしょう」とFacebookに書いています。

「アスペルガーだからこそ、人とは違った視点で世界が見れるのです。もし私がアスペルガーでなかったら、そんな風に世界を『外側から』見れなかったでしょう。私のようなアスペルガーの人間にとっては、ほとんど全てのことが白黒どちらかなのです。私たちは嘘をつくのがあまり上手ではありません。(中略)私にとってこれ(地球温暖化)は白か黒かの問題です。生き残りの問題となればグレーな部分はありません」と言います。

「正直すぎること」もアスペルガー症候群の特徴の1つです。これは、コミュニケーションにおいては「空気が読めない」という欠点にもなりますが、「社会のルールや常識にとらわれず、思ったことをはっきり言える」という利点にもなります。グレダさんの「温暖化は深刻な問題なのに、なぜ私たちは行動を起こさないの」というまっすぐな問いかけは、「正直で」「白黒つけないと気が済まない」というアスペルガー症候群の彼女の個性からきているのかもしれなません。

一方で、グレタさんは障がい者としての生きづらさも語っています。「自閉症であることは、学校や職場、そしていじめとの終わりなき闘いです。それでも、正しい環境下で、正しく適応すれば、(自閉症であることは)スーパーパワーとなり得ます」とFacebookで語り、「アスペルガーは才能」「アスペルガーであることは私の誇りです」とTwitterに投稿しています。

不便を便利にするあゆみ

自閉症支援における構造化は、生活や学習のさまざまな場面で、その意味を理解し、自分に何が求められているのかをわかりやすく伝えるための方法です。「自閉症」は、「自閉症スペクトラム障害=ASD」を意味しており、知的障害の合併の有無は関係ありません。また、構造化のことを自立課題やスケジュールカードのこととしか理解していない方がいますが、構造化は机の上も、机の周りも、部屋の中も、生活の中で意味を説明しなければならないすべてのものに適用するのものです。構造化はカードや衝立などモノをさすものではなく、視覚による意味の伝え方です。

下図は、「必要な支援により成長を促すための一番の土台は、教育や療育の環境であり、その土台の上に特性に応じた工夫が、またその上に学習を支える学びがあり、この土台の上に学習内容が位置づくのだ」というものになります。このように、「視覚的に表現する」ことの効果は、わかりやすさにあるということです。ただし、視覚化は細かな情報を伝えにくい面もあり、何もかもを視覚化できるわけではありません。「自閉症教育の基本構造」は、自閉症教育というより「すべての教育や療育の基本構造」と考えても良いものです。
 
教育・療育における構造化の利点を言い換えれば、当事者にとって便利で快適だということです。
1) 支援を受ける側の方々が、理解しやすい、不必要な混乱をしなくてすむ
2) 効率的に学習するのを助ける
3) 安心して自信を持って学習、生活できる
4) 必要な情報に注意を集中しやすくする
5) 地域でできるだけ自立して生活する
6) 行動をマネジメントする
3)~6)で示していることは、構造化は教育や療育の場だけで利用するものではなく、家庭や地域社会、職場でも利用できる考え方と言えます。誰でも構造化された方が自立しやすいのは当たり前です。一人でも多く自立すればそれだけ生産量や消費量が向上します。だからこそ世の中はどんどん便利になっていくのです。人類の歴史は、いつも不便を便利にして新しい価値の創造や次の目標を見出してきたのです。

消費税

消費税が今日10%に引き上げられました。五年半ぶりの増税です。今回は軽減税率が導入され、飲食料品(外食と酒類を除く)と定期購読の新聞の税率は8%に据え置かれます。キャッシュレス決済のポイント還元制度も始まり、消費税の仕組みは、これまでより複雑になります。

軽減税率の導入により、外食と酒類を除いた一般的な飲食料品は、一日以降も軽減税率で8%と変わりません。しかし、8%か10%か、店頭で戸惑いそうなものも多いです。例えば調味料は8%ですが、みりんは酒税法で酒類に分類されるため、10%。みりん風調味料なら8%、料理酒も例外はあるけど8%です。また、キャッシュレス決済のポイント還元制度では、対象店舗でクレジットカードなどで支払うと、ポイント還元が受けられます。還元率は中小の店舗が5%、フランチャイズチェーン店舗が2%。事実上の「減税」となります。全国では約五十万店舗が還元制度を導入しますが、対象事業者の四分の一にとどまっており、店頭ポスターやノボリなどで確認する必要があります。

ややこしい、ややこしいと言いつつ、キャッシュレスの方がポイントがつくので、筆者は5%ボーナスポイントのあるPayPayにして、コンビニ(2%還元)ではじめてスマホ購入をしました。便利です。レジのお兄さんも、キャッシュの出し入れが少なくなって楽ちんとは言っていました。食品はしばらく据え置かれるとはいえ、放デイの消耗品も賃貸料もあれやこれやを消費税をかぶり続けるわけにいかないのでどうしたものかと検討中です。

パチンコ理論

応用行動分析を学んでいる方ならパチンコ理論は耳にした方は多いと思います。パチプロでない限りは、パチンコはトータルでは負けるものと相場が決まっています。そうでなければパチンコ屋さんは倒産しているはずです。それを知りながらも、「私だけは違う!儲けられる!」とつぎ込んでいく仕組みがパチンコ理論です。パチンコでフィーバーするとジャンジャン球が出てきて、脳内に報酬ホルモンのドーパミンもバンバン出てきて気持ちいいのです。あの気持ちよさをもう一度という生理的欲求とあわせて、フィーバーはたまにごく稀に法則性もなく実現するから、今度こそ当たるかもしれないという動機を強く作るのです。これを部分強化といいます。

部分強化の王様は変動比率スケジュール(Variable Ratio schedule:VR)と言い、強化子が与えられる条件が変動する回数のスケジュールです。回数が固定している法則性があるものを固定比率スケジュール、ないものを変動比率スケジュールといいます。変動比率スケジュールで獲得された行動は、高頻度で自発され、消去されにくい傾向があります。ほとんどのギャンブルが変動比率スケジュールで強化されていきます。

さて、これを不適切行動に置き換えると、大声を出したり、奇声を上げたり、地べたにひっくり返ったり、嘘をついたりすると、たま~に要求が実現します。しかも実現しない日もあるので、これは法則性がなく変動比率スケジュールと言えます。つまり、このパターンは、変動比率スケジュールで獲得された部分強化の行動であり、高頻度で自発され、消去されにくい傾向があるのです。いわゆるパチンコ理論による「しつこく繰り返される不適切行動」がこれにあたるわけです。この部分強化された行動をどう消去すればいいか、以前もすこし応用行動分析の投稿「応用行動分析を支援に生かす (7/23)」で書きましたが、次回に考えてみたいと思います。

固定比率スケジュール(Fixed Ratio schedule:FR)

変動比率スケジュール(Variable Ratio schedule:VR)

 

消去抵抗に負けないで

「部分強化効果」連続強化条件よりも部分強化条件の方が消去抵抗につよい(消去しにくい)のです。つまり、何回もこれが大事だというより時々これが大事なんだと言った方が効果が高いということです。彼氏に毎回会いにいきその度に好きだよと言われるより、毎回会いにいき時々好きだよと言われる方が嬉しい気持ちは高いといえばわかるでしょうか。しかも、ランダムに言われる。いつも言われるよりはるかに効果が大きいのです。だから毎回欠かさず会い行くことになります。これが変動比率スケジュールによる最強の部分強化です。

この最強の部分強化が不適切行動に応用された場合、消去するのは並大抵ではないのです。きっとまた好きと言ってくれるかもという最強の部分強化の餌食になるからです。これをきっぱり「彼は私を金輪際好きとは言わない」と自ら納得するにはどうすればいいでしょう。

自分の思い通りに周囲をコントロールしたいという動機に対して、それは叶わないと諦めてもらうには、思いが実現しない期間の長さと、願いはきっと叶うという不適切行動がバースト(エスカレート)しても耐え忍んで対応(無視)し続けることです。そうすれば時間はかかっても消去の時がやってきます。

行動療法を実践する人が、なぜそんなに力強く言えるのかと言うと、もちろん科学的根拠に基づくのはいうまでもないですが、この「パチンコ理論の行動消去に何度も成功した」という部分強化の学習をしているからです。期間も違うあれこれの問題行動の消去を直接にも間接(助言)にも実現したと言う変動比率スケジュールの部分強化の体験をしているからです。

貴方もくじけないでください。必ずやってくる不適切行動の消去まで頑張りましょう。子どもが受け入れてくれるには時間は相当かかります。だから、様々な不適切行動の結果として、ゲームを与えてはいけません。ゲームを買ってはいけません。テレビやゲームの時間を譲ってはいけません。「約束したこと」は不適切行動で譲ってはいけないのです。子どもたちは何の悪気もないのです。前は叶ったから、もしかしたら譲ってくれるかもという変動比率スケジュールによる部分強化の学習をしつこく続けようとしているだけです。その学習は実現させてはいけません。その決意が負の学習の終結を決定します。また、このブログでは繰り返しすぎるほど強調しますが、具体物を含めたあらゆるレベルでの自発コミュニケーションの獲得による適切なコミュニケーション場面の日常的な実現と、適切な行動を褒められる体験が増加する(強化される)機会を意識的に作り出すことが、小手先の無視行動よりもはるかに強い影響を与えます。

感情の理解

発達障害の特徴のひとつに、自分の感情の理解が難しいという場合があります。自分が感じている気持ちがはっきりとわからない時があるのです。たとえば嫌な感じを受け取っていても、「不安」なのか「怒り」なのか「悔しさ」なのかの違いがわからず、嫌な気持ちだけが悶々と溜まってしまい、大きなストレスになったり、溜まりすぎてパニックになることもあります。また怒りを感じても、何に対して怒っているのかが理解できずに曖昧になってしまい、ただ怒っているという感情だけが高まって爆発してしまうこともあります。

ストレスや不安を対処できる人は、ストレスを感じた際には場所や行動を変えて気持ちを切り替えたり、好きなことや楽しいことをして発散することができます。自分で解決ができなくても、親しい人に愚痴を言ったり悩みを聞いてもらうことで気持ちを落ち着けることができます。発達障害の子は自分での解決はもちろん、親や親しい人に自分の思いや悩みを打ち明けることも難しいため、自分一人でストレスや不安を抱え込んでしまいます。また、嫌な事や怒りを感じることがあったら言葉で「やめてください」などと相手に伝えることができますが、コミュニケーションが苦手な子はそれも言えずにストレスがたまる一方になる場合があります。

様々な気持ちや感情とその対処は、コミュニケーションなどの対人関係の中から学ぶことが多いです。発達障害の子どもはそもそもコミュニケーションを取るのが不得意であったり、様々な社会経験を体験する機会が少ないため、自分の気持ちを理解したり感情をコントロールする経験が少なく難しくなることもあります。発達障害の中でもADHD(注意欠陥・多動性障害)などのように、衝動性の特徴が強いと、イライラを感じた際に、自分を抑えることができず突発的に感情を爆発させてしまいます。衝動性とは今の状態や今後のことを考えずに、思ったことをそのまま行動に移してしまう特徴で、衝動性が強いことでここで怒りを爆発させてしまったら後々どうなるかまで頭が回らず、その場で怒ったりしてしまいます。

子どもがイライラした時やストレスを感じた際には、本人に自分の気持ちやその度合いを確認してもらいます。気持ちを確認する上では『どのような気持ちか』『誰に対する気持ちか』『どの程度のものか』が重要になります。子ども本人が自分の気持ちを理解するのが難しい場合には、周囲の大人が子どもの状況を見て気持ちを汲み取ってあげ「○○でイライラしたのだね」「□□に対して怒っているのだね」と気持ちを代弁し一緒に確認をします。イライラなどの怒りやストレスを感じている場合には、誰に対する気持ちなのかを明確にするのも重要です。誰に対する気持ちなのかをハッキリさせると、あの人にそこまで怒らなくてもいいなというフィードバックの力が働いて鎮まることもあります。

自分の気持ちを理解できる子の場合には、イライラの度合いのメーターや表などを用いてどれぐらいイライラしているかを確認しましょう。メーターや表などがない場合には「レベルいくつの怒り?」など聞いてみて、気持ちの度合いを確認する方法もあります。ストレスやイライラを感じていた場合には、落ち着けるような場所や行動へと誘導したり、イライラを解決できる方法を一緒に考えます。自分がストレスなどを感じていても対処方法がわからないため、溜め込んで感情が爆発してパニックなどになってしまう場合には、適切な対処方法を教えてあげましょう。対処方法はその子の特性や発達レベルにもよりますが、クールダウンの方法を教える、誰かに助けを求める、安心できるグッズを持たせるなどの方法があります。

学校などではクールダウンをできる個室やスペースを作って自分で逃げ込めるようにします。スペースが用意できない場合には潜り込む事のできる毛布、周囲の視界をさえぎる為のアイマスク、音を遮断するためのイヤーマフなどを準備し、それらの使い方などを教えます。自分で対処が難しい場合には、親や先生など周囲の人にストレスを感じていることを伝える方法を教えます。言葉で自分の気持ちを伝えることが難しい子どもには、表情の絵カードを用意したり、助けを求めるための簡単なサインやジェスチャーを教えてあげましょう。おもちゃやヌイグルミなど持つことで気持ちの安定がはかれる安心グッズがある場合には、安心グッズを持たせてあげましょう。また、空腹で気持ちが苛立っている場合には飴やちょっとしたお菓子を渡すといった方法もあります。

子どもがどのような状況や状態に弱くストレスを感じているのかを、事前に本人や周囲の人が知ることも重要です。どの場面でイライラを感じたり、ストレスを受けるかがわかれば対処もしやすくなります。ストレスから癇癪やパニックを起こした場合には、その状況や原因を記録して確認をしましょう。また、直近の出来事ではなく、以前の出来事を引きずってフラッシュバックしていたり、過去のことでストレスを感じていることもあるので事前に何が有ったかなども必要です。様々な感覚過敏がある場合には、音、光、臭い、場所、雰囲気、人や物など、感覚として影響するものを確認しておきましょう。

サプリメント

体脂肪を減らしたい、階段を楽に上り下りしたい、血糖値を下げたい……。さまざまな期待からサプリメントを中心とした健康食品を手放せない人が増えています。約6割の消費者が現在利用中であり、50代以上の約3割がほぼ毎日利用しています。また、年齢が上がるほど併用数が増え、日常的に5種類以上を併用している人も少なくありません。グルコサミンやコラーゲン、ヒアルロン酸など多様な種類のサプリがインターネット通販で売られているほか、コンビニから100円ショップなどでも取り扱われています。裾野も拡大しており、犬猫などペット用ばかりか、子ども向けサプリまで登場。国立健康・栄養研究所が2010年にまとめた調査結果によると、就学前幼児の15%にサプリの利用経験があるという結果も出ています。

サプリとともに健康食品と呼ばれる特定保健用食品(トクホ)も、最近ではサントリー食品インターナショナルの「特茶」や花王の「ヘルシアコーヒー」などがヒットしています。今やサプリ、トクホを含む健康食品の市場規模は巨大な産業になっています。しかし、産業としては発展途上です。トクホは国の制度によって個別製品ごとに審査して許可されたものである一方、サプリについては、特別な許可も届け出もいりません。錠剤やカプセル、粉末など医薬品を連想させるものをサプリと呼ぶ風潮があるものの、明確な定義はなく、便宜上「いわゆる健康食品」としてまとめられています。サプリも、一定の規格基準を満たせば、「栄養機能食品」と呼ぶことができますが、ビタミンとミネラルの計17成分に限られており、ほとんどのサプリがそれ以外です。

日本の法律では口に入るもので「医薬品」でないものが「食品」です。健康食品は食品に含まれ、その中にサプリも入ります。サプリは薬ではないため、「~に効く」などの効果・効能をうたえば、薬事法違反になります。しかし、売る側としては効果・効能を消費者に伝えたいですし、消費者が望んでいるのも、このサプリがどういう場合に効くのかという十分な商品情報です。

ただし、健康食品の中でも「脂肪の吸収を抑えます」など、国が一定の範囲内で効果・効能に“お墨付き”を与えているものがトクホです。トクホ制度は91年にスタート。当時の日本の研究によって、食品には栄養補給(1次機能)とおいしさ(2次機能)のほかに、生体調整機能(3次機能)があることがわかり、これについて「機能性食品」と位置づけた世界初の制度です。しかし、機能性表示ができる機能が整腸作用やコレステロール、中性脂肪など9分類から広がらず、メーカーの開発意欲は低下し07年をピークにトクホは縮小傾向にあります。トクホと同じく一定の効果をうたえる栄養機能食品についても、ビタミンとミネラル以外に対象成分が広がりませんでした。

これに対して、今後の成長が見込まれるのは、皮肉なことに法制度が未整備のいわゆる健康食品であるサプリです。機能と種類が豊富であるほか、原価率が非常に低く、中小企業でも参入が容易で、トクホのように数億円する莫大な開発費用や期間もかからないのです。日本通信販売協会によると、サプリを販売する会員企業のうち、サプリ事業の売上高が1億円未満の企業は約3割を占め、同10億円未満で見ると、その割合は約6割にも上ります。

テレビで何度も繰り返される宣伝には閉口しますが、それくらい資本投下しても儲けがある証拠です。テレビのバラエティー番組などで扱われているものは、その後ろで札束が飛び交っているかもしれません。そもそも何々酵素がどうのこうのと効能を言いますが、酵素はタンパク質です。そして口から入ったものは全て腸の中でアミノ酸に分解されてしまいますから、酵素は消えてしまいますし、体の中でそれだけが再生産されるわけでもありません。科学的な装いのコマーシャルの実態はとんでもないエセ科学である場合があります。発達障害や認知関連のサプリメントにも様々なものが紹介されています。全て眉唾と言うわけではないですが利用者の足元を見た商売のための宣伝が多いのも事実なので見極めの目が必要です。

アップデート

OSやソフトウェアーのアップデートは、新しい機能やこれまでの不具合を改善するために行われるものです。昔に比べてネット環境が整備されてきたのであらゆるアップデートの回数が極端に増加しています。バグが出ても簡単にアップデートできるからと、不完全なプログラムが十分な検証なく商品化されている傾向があるとも言われます。ユーザにとっては、仕事や生活に利用しているものが良くなるなるのは許せますが、エラーが出て動かなくなることは1日でも困るものです。ところが、どんなに万全を期しても、プログラムはそれ一つで動くものではなく、機器そのものを動かすインターフェースプログラムと全体をコントロールするオペレーションソフトプログラムと利用者のニーズに応えて動くアプリケーションプログラムの3つの相性というものがあります。この3つも頻繁にアップデートを行うのでお互いに相手のアップデートの内容を完全には把握できないのです。その相性でエラーが起こるようです。

Appleは、9月にiOS13.1とiPadOS 13.1、iOS13.1.1とiPadOS 13.1.1に続いて、iOS13.1.2とiPadOS 13.1.2を一般ユーザー向けにリリースしました。約1週間で合計3回と、高い頻度でアップデートが公開されています。iOS13.1.2についてAppleは、iCloudバックアップが完了していてもプログレスバーが表示され続ける問題や、カメラが動作しない問題、LEDフラッシュライトが点灯しない問題、一部の自動車でBluetooth接続が切断される問題などが修正されている、と説明しています。iOS13.1.2、iPadOS 13.1.2へのアップデートは、「設定」アプリの「一般」メニューから、「ソフトウェア・アップデート」を開いて実行することができます。ダウンロード容量は、利用している端末やインストールされているバージョンによって異なりますが、アップデートは、通信環境の安定した場所で、時間に余裕を持って行うことをお勧めします。

何よりアップデートがあっても、今まともに動いているなら、すぐに更新せずに3ヶ月ほど待ってSNS等の評判も見ながら更新するのをお勧めします。一度エラーを起こしてしまうと何が原因か掴むのに相当の時間を要するからです。焦らずゆっくりと更新するのがアップデートの極意です。


 

子どもが幸せになることば

この本にこんなことが書いてありました。ーーー子どもの発達障害への対応として、しばしば見聞きする対応で気になるのが次の二つです。第一は、不安に思っているが、「問題が表面化していないから」「担任の先生から言われてないから」などの理由で、気がついていないふりをします。親は一番身近にいて、子どもが苦しんでいることに真っ先に気がつく存在です。親が味方になってくれないと、子どもは苦しみます。もし本当に障害があるのなら、早く気がついて対応してあげることで、無用の傷つきを防ぐことができます。二つ目は自分の子には障害があるかもしれないと感じているが、子どもの苦手なことや欠点と見えることについて、親の自己流のやり方で(ネットで調べたり、本を読んだりして)克服させようとする。苦手なことを克服するために「慣れさせる」ことで解決しようとするケースをよく見聞きします。たとえば、ざわざわした音や人混みが苦手な聴覚過敏の子を「鍛える」ために、無理にそのような環境に耐えさせる。野菜の味が苦手で受けつけない子に、無理やり食べさせたりするなどです。障害がある子にとっての「苦手」は、本人のわがままや身勝手というレベルではなく、「耐えがたい苦痛」かもしれないのです。いちばん信頼している親から無理強いされることは、心の傷(トラウマ)となる可能性もあります。ーーー

とはいうものの、毎日子どもを育てているのは保護者です。気づかないふりではなく子どもの成長の可能性にかけてみようとしたり、見よう見まねで解決しようとするのはそんなにおかしなことではないです。むしろ、不安と孤独の中でそれを取り組みながら、「育児を失敗して、不幸になったらどうしよう……」「自分の思い通りに育てられない……」「正直、子育てを楽しめない」「子どもを好きになれない。できることなら一刻も早く自立してほしい」「子どもの意見を尊重したいと思うけど、つい口が出てしまう」などのネガティブな自分に嫌気がさしてしまい、心が病んでしまうことこそ要注意です。そんな時、「言いがちなことば」を「信じることば」へ変えてみるだけで親の心持ちが楽になり、結果として子どもとの関係性が改善されるというのが、この本の内容です。

【子どもが急かしてくるとき……】
・言いがちなことば「待っててって言ってるでしょ! 」
・信じることば 「ほんとに楽しみだね!」
【こぼさずになんとか食べられたとき……】
・言いがちなことば「えらいね! 」
・信じることば 「おいしかった?」
【指しゃぶりしたり爪を噛んでいるとき……】
・言いがちなことば「もう小学生になるんだからやめなさい! 」
・信じることば 「小学校、楽しいといいね」
【「もう学校には行かない! 」と言ったとき……】
・言いがちなことば「そんなことを言わないの! 」
・信じることば 「それぐらい嫌だったんだね」
【親からみて間違ったことを主張してきたとき……】
・言いがちなことば「いやそれは間違っている。その理由は……」
・信じることば 「自分の意見を言えるのはいいことだ」
【夜遅くまでテレビを観ているとき……】
・言いがちなことば「いつまでテレビ観てるの! 」
・信じることば 「先に寝るよー。おやすみ! 」
【進路に悩んで立ち止まりそうなとき……】
・言いがちなことば「あの高校に入れさえすれば……」
・信じることば 「おつかれさま。悩んでいるみたいだね」
【元気づけようと思って……】
・言いがちなことば「型にはまらず、自由に、自分らしく生きてほしい」
・信じることば 「そのままがいい。そのままで大好きだ」……etc.

子どもが幸せになることば
単行本– 2019/2/28 田中 茂樹 (著)     読んでみてください。

通所受給者証の使い方

この間、当事業所との契約・再契約のために持ってきていただく通所受給者証について、利用者の方の認識がまちまちですので再確認したいと思います。(京都府乙訓圏域のものを使って説明しますので、他地域は異なる記載のこともあります)

通所受給者証とは、福祉サービスを利用するための証明書で、居住される自治体から交付されます。
受給者証は、乙訓なら全部で12ページ(裏表6ページづつの2枚構成)あり、以下の項目が記載されています。時々、2枚目の「支援事業者記入用」用紙の昨年分を「書き込める空白があるから」と事業所に持って来られる方がありますが、受給者証と支援事業者記入用の2枚とも毎年更新されるもので、前年の用紙は使えません。以下、一番下に掲載した受給者証画像をもとに説明していきます。

(一)通所受給者証
住所・保護者の氏名、生年月日
児童の氏名、生年月日
交付年月日
(二)障害児給付費の給付決定内容
支援の種類
支給量等(全てのサービスを合わせて月に何日利用できるかの記載)
給付決定期間(通常1年間)
(この内容で2枠分)
特記事項欄 ※放課後等デイサービス指標該当 有・無 (どちらかに○がある)
(三)障害児給付費の給付決定内容(前頁と同じ内容、他のサービスがあれば記載)
支援の種類
支給量等
給付決定期間
(この内容で2枠分)
特記事項欄 ※放課後等デイサービス指標該当 有・無
(四)障害児相談支給給付費の支給内容
支給期間
指定相談事業所名(利用者が選んだ相談事業所名)
モニタリング期間(通常「6月ごと」等と記載)
予備欄(モニタリング対象月等が記載)
(五)利用者負担に関する事項
負担上限月額(通常は一割負担の上限限度額「4,600円」が記載)
適用期間(通常は給付決定期間と同じ期日)
食事提供加算対象者(放デイは非該当)
利用者負担上限額管理対象者該当の有無(該当か非該当が記載)
利用者負担上限額管理事業所名(複数事業所の中で上限額管理をする事業所)
特記事項欄(「複数障害児あり」と通所事業を使う兄弟がいる場合に記載)

(予備欄)乙訓はここまで6ページが1枚目(ほかの自治体では12ページ全部つながっているところもある)

障害児通所受給者証(支援事業者記入用)(2枚目の表紙)
(六)(七)障害児通所支援事業者記入欄
事業者及びその事業所の名称(育ちの広場すってぷ等を事業所が記入)
支援の内容(放課後等デイサービス等と記入)
契約支給量(すてっぷ等に月何日来るのかの契約量を記入)
契約日(事業所と利用者が新規契約又は更新契約がされた日を記入)
事業者確認印(事業所が押印)
当該契約支給量による支援提供終了日(上記契約内容を終了した日 事業所をやめる時に)
支援提供終了月中の終了日までの既提供量(契約支給量のこと)
事業者確認印(事業所が押印)

この繰り返しが数字番号で6枠続きます
予備欄
(八)(九)注意事項欄
以上が二枚目の6ページ分
乙訓圏域内でも微妙に書式が違います。例えば、特記事項欄 「放課後等デイサービス指標該当 有・無」の項目は長岡京市にはありませんし、向日市は記載はあるけど有無が記されていません。実はこの指標該当記入内容が物議を醸しだしているのです。このことは次回に書きます。

 

放課後等デイサービス「指標該当」

「指標」という項目は、状態像判定というものによって、指標(該当、非該当)が決定されます。この「該当」、「非該当」とは、簡単に言うと支援の多い利用者であるかどうかです。この項目は、放課後等デイサービスなどの事業所の基本報酬を決定するために使用されます。基本報酬とは、事業所の収入です。「該当」の割合によって基本報酬が決められます。「該当」になるためにはハードルが高いのです。これまでは、食事、排せつ、入浴、移動、行動障害のうち3つ以上について全介助 を必要が「該当」でした。一部介助、全介助を選択する基準もあいまいでした。そのため、排せつ、入浴、移動が本当であれば全介助であるにもかかわらず、一部介助となっているため、保護者から判定者(相談事業所)に伝えてほしいというお願いもあったそうです。

保護者にしてみれば、排せつ、入浴、移動は、少しは出来ているので、放課後等デイサービスの職員から〇〇君は、「全介助ですよね」と言われると嫌な気持ちになると思います。しかし、放課後等デイサービスの事業所からすると収入が減るので必死です。放課後等デイサービスにとって受け入れたがっているのは、指標該当児で軽い発達障害児です。手がかからないからです。収入が高く手がかからないのであれば、そちらの方を選ぶ事業所が増えるのは当然です。

現在の指標基準は、さらにハードルが上がり、そのほとんどが強度行動障害判定の12項目(10点以上)と、新たに「そううつ状態」「反復的行動」と「読み書き」の困難度が加わり(全体16項目中残る1項目は「大声・奇声」ですがこれは行動障害の中に入るものです)ました。その各項目(週1回で1点・毎日が2点)合計が13点以上でないと該当しないのです。この該当者の利用が半分以下だと報酬を減額するという事です。確かに、放デイには民間進出が激しく、「儲かる福祉」として参入してくることで、アニメとビデオゲーム漬けという放デイがあることや、スタッフの給与を安く抑えて経営者や株主だけがハイリターンの報酬を得ている事実も見逃せません。しかし、だからと言って強度行動障害基準に毛の生えた程度の判定基準で児童の発達支援事業の報酬基準にするのは間違いだと思うのです。

手がかかるというのはお世話の手数のことではないのです。行動障害が生じないようにいくつもの手立てで予防療育を実施したり、支援付きの援助でもよいから将来自立を目指す人に育てるのが放デイの仕事です。お世話一つにつき何円というような基準があてはまるはずもありません。支援の時間コストでいえば衣・食・移動が自立している発達障害の方に一つ一つ話を聞いて支援の最適化までの時間コストは重度の方と同じ場合もあります。ですから単純に見かけの障害の軽重で支援の軽重を図るべきではないというのが多くの支援者の弁です。そして、日本に8000人、療育手帳所持者の1.2%ほどと言われる強度行動障害の判定基準で放デイ該当児童を決めるというのは実態に合っていません。だから、多くの行政が独自の基準を持とうとしているのは良いことです。しかし、隣町に行くと基準が違うというのは税で処遇されるサービスとしては公平性に欠きます。厚労省の正しい見直しが図られるのが一番だという事です。

 

教員いじめ問題

MBSニュース10/8(火) 11:55配信
神戸市立東須磨小学校で、去年から今年にかけて30代から40代の教員の男女4人が、20代の男性教員に対していじめを行っていた問題。男性教員は激辛カレーを目にこすりつけられたり、買ったばかりの車の上に乗られたりなどのいじめを受けていました。男性教員は今年9月から精神的に不安定になり学校を休んでいます。

学校では今年4月に新しい校長が着任しましたが、関係者によりますと男性教員は去年9月から今年3月まで前の校長にいじめについて相談していたということです。市教委は初めて学校がいじめを把握したのは別の教員が相談した今年6月と発表していましたが、それより早く学校は事態を把握していたことになります。市教委は今後、実態解明を進めると共に加害教員らの刑事告発も視野に処分を検討しています。
-------------------------------------------

連日この報道でメディアは大騒ぎです。確かにまともな大人社会ではありえない光景です。これは、いじめではなく暴行傷害・器物損壊・偽計業務妨害・名誉毀損・強要の罪に問われる刑法の範疇です。さらに奇妙なのは、管理職は勿論、周囲の教員は何を恐れて黙していたのかです。おそらくこの加害の中心人物は巻き込み型人格なので恐ろしくて手が付けられない教員だったのかと推測します。確かにこういう輩はいるのでしょう。教育現場だから目立ったという事で、どこにでもいるのだと思います。関電と元助役の事件とも背景がよく似ています。

目的と規律を失った組織は、自分たちの地位や安全は暴力と不正の恐怖の中で成立していると錯覚させます。構成員の錯覚で揺るがない恐怖は「生贄」を探し始め、理性を失い粛清が始まります。これは組織の大きさに関係ありません。古今東西の迫害は、全て組織の堕落とそれを原因とした錯覚から生じる恐怖の連鎖が生み出しました。圧倒的な不正や暴力が正義に置き換わり、異常人格者が祀り上げられて行きます。なんだか情けなくなりますが、つらくても私たちはこの事実と向き合って、一つ一つ正していくしかありません。

子どもたちに伝えるべきことは、One for all, All for oneと言うだけでなく、人は誰でも環境によって堕落するということも伝えなければなりません。堕落した組織は恐怖に怯え理性を失ったヒトの群れでしかなく、群れは恐怖で共食いをするということです。それを予防するには、組織ガバナンスと組織規律が必要だという事です。要はリーダーの良き采配とそれを支持して行動するメンバーシップが大事だということを政治教育と合わせて行うことが大事です。One for all, All for one.「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」は、多様性社会のバックボーンだと思います。

 

 

スクラップアンドビルド

あれがいい、これがいいと教育現場場はこれまでの行事を削ることなく新しい内容を増やしてきました。英語、プログラミング、土曜授業復活、学力テスト対策。これらは昔はなかったのに、新たに増えた学習です。新たに荷を積むのに古い荷を降ろさなければ、船は沈みます。教員の時間外勤務が増えるのは至極当然です。また、時代に合わない行事はカットすべきです。子どもだってその量の多さと時代遅れの行事に負担を感じています。

市町によっては4年生から実施される宿泊行事。実施前は旅行代理店の如く行き先との折衝や宿泊先・保護者とのアレルギー対応のやり取り、保護者説明会や子どもたちの部屋決めなど、実施中は夜尿の可能性のある子を夜中に起こしたりの24時間勤務です。思い切ってやめてしまえば、下見と本番に使っていた出張費を新しい教育に対応する研修に使え、他にかかっていた予算も削減できます。共同生活からの学びは多いですが、寝るのはシングルかツイン部屋で、食事も好きなものを選択する時代に、大集団で寝泊りすればギャップの大きさに苦しむ子が出て当然です。クラスには1人か2人でも、毎年3%を切り捨てるほどのメリットは見当たりません。

運動会のそもそもの目的は、日頃の成果を発表することが表向きで、裏向きは地域共同体としての祭りの一環というのが慣しでした。実態は見てもらうための運動会を目指して普段はほとんどやらないダンスやら組体操をひたすら練習しています。もちろん良い面もありますが、時間コストと照らし合わせるとコスパはかなり低いです。応援団・全体練習等の指導、うちわやプログラムの作成、当日のテント・機器の準備。基礎学力の底上げ教科内容の充実を片方で強調しながら費やす時間は莫大です。地域社会への還元といっても、校門には「部外者入場お断り」の不審者防止の貼り紙で地域からの決別を宣言しています。日頃の成果の発表なら、体育の授業+授業参観で充分です。

学芸会も運動会同様、これも見せるためのイベントです。もちろん脚光を浴びる体験は大事です。しかし、一方で学校生活12年間、脚光も浴びずに、木の役やら石の役をいやいや協力してきた人もいます。脚本選び、配役、演出、衣装作り、照明、進行、会場準備と演劇には多くの学びがあります。ただ、子どものためにと費やす時間が多い割には、残念な思いをしている子どもと保護者がかなり多いのです。劇発表は国語・英語の授業+学級活動+授業参観でOKです。

こうした主張をすると、学習は集団活動で得た仲間意識の向上の中で効果が上がるものだという反論があがります。学級集団活動は宿泊や運動会や学芸会がないとできないものでしょうか。教科学習の中ではできないのでしょうか。或いは、仲間意識が学力向上と本当に相関しているのでしょうか。ただ、大事な言葉を並べているだけのようにも思います。教科指導技術の低さを生徒指導で挽回しようとしているようにも見えます。この二つは悪循環を起こしています。生徒指導で忙しいから教科指導技術が向上しない。教科指導技術が向上しないから学力不振で子どもが満足せず、ますます生徒指導にのめり込むのです。

学校をよく見ていると教科指導の優れた先生は学級指導も上手な先生であることが多いです。教科指導の下手な先生は学級指導も下手なことが多いです。どちらかだけ上手という先生は少なく、あまりいません。自費参加の研修会に行かれる多くの先生は良い授業をしています。公費研修会にしか行かない方の授業は残念な指導が多いと感じるのは偏見でしょうか。ただこれは、研修会の主催や中身とは全く関係がないと思います。要は、一流の講師の研修は自腹を切ってでも受けたいという、プロフェッショナルとしての仕事への向かい方の違いだろうと思います。学校は勉強する場所という基本に立ち返り、これまでの集団活動を優先すべきか新たな学習課題を優先すべきか考えてスクラップアンドビルドを実行してほしいものです。一番疲れているのは子どもです。

 

ワールドカップ・ベスト8

10月13日、ワールドカップ予選プール最終戦。ワールドカップでは3度対戦して、一度も勝利したことがなかったスコットランドに、28-21で見事に日本は勝利しました。「今週は多くの人に感動や勇気を与えるチャンスだったので、常に準備することを意識してやってきた。ピッチ立っていた23人だけじゃなく、『ONE TEAM』で勇気を持ってプレーできた」と主将リーチ・マイケルは語りました。「台風19号で被害に遭われた方がたくさんいる。ラグビーを通して、日本中に感動・勇気を与えられるようなプレーをしよう」日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は試合前のホテルで、選手に伝えたそうです。

スコットランド戦の勝因を、リーチは「我慢。最後まで走って、立ち上がって、タックルに行ったこと」と答え、フォワードを引っ張った堀江は「めちゃくちゃ強かったが、練習の成果が出た。フィジカルで圧倒してこようという気迫がすごかった。(後半は)流れが向こうにいくと思っていたので我慢した。ベスト8に入れて、めちゃくちゃうれしいです」と表情を崩しました。試合後、ジョセフHCは、「今週は万端の準備ができた。まぐれではない。いろいろな人たちが懸命に努力した結果だ。(中略)なにより、選手たちの『勝ちたい』という気持ちがスコットランドを上回った。ベテランも若手も150%の力を出し切った。それが勝利につながり、こうした景色をつくり出した」と語りました。

日本代表は「ワールドカップ・ベスト8」を目標に掲げてきました。ただ、戦いはまだ続きます。監督頼みの受身のチームではなく、リーダーグループがチームを引っ張り選手主体で行動できるチームに、選手たち自らが考えてチームを引っ張る集団にと、ジョセフHCは4年間かけて育ててきました。それが、今のジェイミー・ジャパンの強さです。10月20日、日本代表は準々決勝で、W杯優勝2回を誇る南アフリカ代表と対戦します。前回大会で逆転勝利を飾った「ブライトンの奇跡」を彼らは必ずリベンジしようと待ち構えているはずです。4連勝の勢いと『ONE TEAM』のジャパンプライドを、ラグビー強国南アフリカにぶつける大勝負が楽しみです。

余暇支援

自閉症や発達障害の人は、時間を持て余してしまったり、空いた時間に何をして良いのかわからない事があります。待ち時間などでも自分から時間をつぶすことが出来ず、手持ち無沙汰から悪戯をしたり、ふらふらと立ち歩いたり、常同行動を取ってしまうこともあります。また、時間を持て余すあまり、イライラして不機嫌になり、場合によっては怒り出すこともあります。大人になって社会に出てからも、平日は働いたり施設に通って時間を過ごすものの、休日には何もやることが無く、一日中家でテレビやアニメを眺めたりゲームをしているだけという事も多いようです。自分からやりたい事がないと、せっかくの休日も何もせずに終ってしまい、リフレッシュや気分転換もできなくなってしまいます。

自閉症などの発達障害の人は目に見えない時間の概念の認識が難しく、時間の感覚や流れへの理解が乏しいということがあります。そのため、休み時間が10分あるとわかっていても10分とはどれ位なのか、10分間で何が出来るのかがわからないということがあります。また時間の開始と終わりが明確でないと、何処から何処までの時間が自由に過ごしてよい時間かわからず、気が付いたら自由時間が終わってしまったということもあります。時間の間隔や配分などが難しい子どもの場合には、自由時間の開始と終了を明確にすることで時間への理解を促します。自由時間は開始の時間と終了の時間をタイマーや時計の針を具体的に示すことで理解できるようにします。終了時間前には「あと何分で終わりだよ」と何度か声をかけたり、残り時間がわかりやすいようなタイマーを使用することで終わりの時間が意識しやすくなり、行動の切り替えもスムーズになります。

自由時間の前後だけでなく、1日の流れやスケジュールを説明する際にも、何時から何時までが自由時間かわかるようにしておくと、見通しを付けやすくスムーズに行動できるようになります。本人がやりたいことや好きな事を事前に把握しておくのは何より大事です。やりたい事を把握しておくことで、本人が時間を持て余している場合には、好きな事を提示してあげることが出来ます。あらかじめ好きな事リストを作っておき、本人が暇そうにしていたらリストを見せて、自分でやりたいことを選んでもらうという方法も取ることができます。この方法を用いることで、空いている時間を過ごす方法としても使うことが出来ます。

やりたい事や好きな事の把握が難しい場合には、周囲の大人が本人の取り組める課題を与える方法もあります。時間を持て余してしまうと不安などからイライラするような子どもでも、出来る範囲の課題を与えると集中して取り組める事が出来る事も多いです。課題だけでなく本人の好きそうな活動を提示したり、お手伝いを頼んだりするのでも効果があります。


自分でやりたい事を選択できる場合には、いくつかの課題や活動内容を提示し、本人に選んでもらうのが一番ですし、選択できないなら選択できるように取り組むことはとても大事です。人から言われて行動できることは大事ですが、やりたくもないことを続けるのは誰でも苦痛です。余暇支援と自発の伝達手段や選択行動は裏表です。自分で選ぶから余暇は楽しく安心できるのです。

時間を持て余している際には自分から親や先生などに「暇である」「やることが無い」という事を伝えられるようにするのも重要です。発達に遅れのある子どもは自分の意見や気持ちを人に伝えるのが苦手であったり、伝え方自体が分からないという子どもも多いです。そのため、暇で時間を持て余している際には、その事を他人に伝える事を教える方法を教えましょう。「やることが無い」「何をして良いのか分からない」という事を他人に伝えて指示を受けることは、社会人として働きに出た際にも必要な報告と相談になるので、子どもの頃からこれらの報告が出来ると社会に出てからも役に立つことでしょう。

発達に遅れのある子どもはその特性などから、暇を持て余した際に何をやれば良いのか分からないということがあります。自分で決めることが難しい場合には選択できる方法を取ったり、周囲の人が声をかけます。好きな事や興味の幅を広げるのも重要な事の一つです。新しい物事に取り組むのにも抵抗を示したり時間がかかったりする事がありますが、新しい物事に触れさせてみたり、色々な場所へ外出する機会を作ることが必要です。また、発達障害の人は様々な外部の刺激などから、疲れやすいという特徴もあります。時間を持て余している場合には活動を行わせるだけでなく、休息やリフレッシュなど、のんびりする方法の開発や提案も重要です。

Snoezelen

スヌーズレンは、オランダ語の造語です。オランダのエーデという町にある知的障害を持つ人々が住むハルテンベルグセンターで生まれた活動とその理念です。創始者は、アド・フェルフール。1970年代の半ばからアドさんや近隣の施設でのアイデアや活動から始まりました。スヌーズレンの語源は2つのオランダ語、スニッフレン<クンクンとあたりを探索する>、ドゥースレン<ウトウトくつろぐ>から造られた造語であり、「自由に探索したり、くつろぐ」様子を表しています。どんなに障害が重い人たちでも楽しめるように、光、音、におい、振動、温度、触覚の素材、こんなものを組み合わせた感覚を重視した部屋が生まれました。出来上がった部屋は、障害を持つ人のみならず、その傍らにいる、介助者にとっても心地いい空間となりました。

スヌーズレンは、治療法でも、教育法でもありません。支援者は、治療効果や発達支援を一方的に求めることはせず、障害を持つ人のオープンな楽しみ方をありのままに受け入れ、一緒に楽しみます。スヌーズレンは、障害を持つ人が、自分で選択し、自分のペースで楽しむための、人生の大切な時間だという考え方です。そして共に過ごす人との相互作用により、社会的な存在を表す時間なのです。スヌーズレンを実践する上で、大切なことは、障害を持つ人と支援者が、同じ人間として同じ場で同じ感覚を経験し、互いの感じ方や喜びを共有すること、それを通して人と人との関係をより深めることだと言います。

今では、重い知的障害を持つ人々の分野だけではなく、様々な分野へと広がっています。そしてヨーロッパ本土、イギリス、アジア各国、アメリカ、カナダ、世界中の国々にも広く理念と活動が浸透していきました。特にヨーロッパでは、認知症を持つ老人、精神障害を持つ人々、小児病院、普通幼稚園、町のコミュニティセンターなどにも広がり、あらゆる人が利用し、心地よい時間を過ごす場と認知されるようになってきているのです。ここ日本でも急速な広がりを見せています。大事なことは、くつろぐ空間を多様な人で共有するという目的です。共有・共存の場、そのために、様々なスヌーズレングッズやスヌーズレンスペースが開発されてきたのです。ウォーターベッドやバブルチューブなど高価なアイテムと空間と言うイメージが強いですが頭だけ突っ込むようなスヌーズレンボックスなども開発されています。人工的な空間と思いがちですが、秋の黄昏時のベランダのハンモックと落ち葉とか、みんながうっとりできればそれは自然の中でもいいわけです。

 

不登校児の学校リリース

ASD不登校児者に再登校・教室復帰を目標とした指導を行うことは、ASDの特性から必ずしも適切とはいえないです。 ASD児者にとって安全で安心できる学校にするためには、そのための環境づくりが必要であり、できるだけ小規模の学校で少人数学級であり、教師が多様性を受け入れられる子どもたちを育てる能力があることが重要だと考えます。しかし、現状では 学校をASD児者の特性に合わせた環境にすることは難しく、その特性から不登校になるASD児者が少なくありません。

本人の特性や不登校に至った原因やその時の本人の状態等を充分にアセスメントしたうえで、再登校・教室復帰を目標にしない指導や、本人が安心して学習できる場所や制度を用意すべきだと考えます。 ASD当事者の体験から、小中学校でいじめを受け、学校に行くことが苦痛 にもなったが、不登校にはならなかった理由に、小学校から高校まで通った教会の日曜学校が居場所になっていたという報告があります。そこには、重度の知的障害や肢体不自由のある子どもたちも通っていて、その子たちと親しくなり手助けをすることで、自分にも誰かの役に立つことができると実感でき、学校とは違って自分が無条件に受け入れられる喜びも感じたと言います。 重度の知的障害や肢体不自由のある子どもたちは、めまぐるしい動きをすることが少なくて安心でき、通常学級の中ではできないことの多い自分が誰かの役に立てることで自尊感情も高められたというのです。

例えば、地域活動支援センターや就労支援施設 (喫茶)な どの福祉施設が、社会とつながるために定期的に通う居場所になると思います。そこで、個別指導の形で学習をしたり、施設の利用者と交流したりすることも大事かもしれません。ASDの特性は幅広く多様ですから、一人一人に合った居場所が必要で、幅広 く多様な選択肢があることが望ましいと考えます。学校にこだわらず、地域にある公民館、図書館、福祉施設、NPO等による子どもの居場所など、不登校になったASD児者が通えるところをその子の学校にするということができるなら彼らの発達保障の可能性は大きく広がります。その際、学校や教師や保護者が安全安心だと考える場所ではなく、本人が安全で 安心だと思える場所で学習できるようにすることが重要だと思います。

現在、公の適応指導教室等に馴染まないASD不登校児者については、民間のASD児者を受入れているフリースクールや学習支援等をする形でのホームスクールなどが受け皿となっていますが、経済的負担も大きく、数も少なく、本人に合ったところを見つけるのも難しいため、引きこもりになってしまうことが少なくありません。学校に限りませんが、 周囲と違う者を排除しようとする風潮は簡単にはコントロールできないし、教師は多忙で余裕がありません。学校 (社会)をASDにも優しいものにしていくためには、学校関係者だけではなく、地域の専門家や住民も含めた地域全体で特別支援教育に取り組んでいく必要があります。その中で、教育と福祉の連携について、制度的にクリアしなければならない点も含め、具体的にどのようにすればよいかを、大きな行政の動きを待つのではなく、最小限の自治体レベルでの工夫と実行が急務だと思います。発達障害と不登校問題は、いわば現代教育の制度疲労であり、従来の学校だけをあてにしていても、学校だけで解決できる問題ではないと思います。

 

言い訳への対処法

言い訳をする人は傷つきやすいので、言い訳をしたからといって頭ごなしに怒るのは逆効果です。言い訳をする人は怒られることが怖いので、表面上謝っていても心の中では言い訳をして責任逃れをしています。ただ怒っても心の底から反省することはありません。とても臆病なので自分のせいだと素直に認めることができないのです。相手に事の重大さを気付かせたい、同じ過ちを繰り返してほしくないと思うのならまずは怒らないで話をしなければなりません。言い訳を始めたら、ひとまずその主張を聞いてあげるのです。怒られないで言い分を聞いてもらえることで、相手は少し冷静になれるでしょう。大きな問題を起こしてしまった時などは、ついカッとなって怒ってしまいがちですが言い訳をする人を相手にする時はこちらが堪えなければならないのです。

言い訳をされても怒らず、ある程度相手の話を認めてあげることが大切です。すべてを否定されると逃げ道がなくなってしまうので、言い訳をする人は精神的につらい状況になってしまうのです。本来なら、悪いことをしてしまったのなら怒られるし謝るのが普通なのですが、言い訳をする人は心が弱い人なのでそれに耐えらえません。なので言い訳を少し認めてあげる必要があるのです。嘘でもいいので、君の意見も一理あるけれどなどと付け加えて話をしてあげましょう。そして優しくなにが悪かったのかを説明してあげるのです。そうすることで、自分の言うことも少しは正しいのだと思うことができます。全面的に自分が悪いわけではないと思うことでほっとして、こちらの話もすんなり聞き入れてくれるようになります。言い訳をする人というのは繊細な生き物です。面倒ですが、相手をする時はこちらが大人になってあげなければなりません。

自分が悪いことに気が付きつつも認めるのが怖いだけの人ならまだ扱いやすいのですが、言い訳をする人の中には本気で自分は悪くないと思っている人もいます。このタイプは厄介で、こちらが一生懸命説明したところで自分が悪くないという考えは変わりません。何故なら、自分の立場からしか物事を考えていないからです。言い訳をする人は自己中心的な人とよく似ているのです。こういうタイプにわかってもらうには、実際に相手が嫌がるようなことをして同じ言い訳をするのが一番です。自分で言い訳をしている時は自分のことしか考えていないので、言い訳をしていることにすら気が付いていない可能性があります。しかしこうして自分がやられてみて、その時初めて言い訳をされる方の気持ちがわかるわけです。君がやっているのはこういうことなんだと教えてあげれば、言い訳は恥ずかしいことなのだと理解できるかもしれません。

言い訳をする人の中には、なにを言ってもちっとも効果がない人もいます。残念ですがこういう人はもう変わりません。できるだけのことをやって、それでも言い訳をしてくるようなら言い訳を始めた直後に席を立つようにします。言い訳を聞くのもストレスになりますし、尽くしても変わらない相手にわざわざ付き合い続ける必要はありません。それに、席を立つことで不快に思っていることをアピールできます。黙ってその場を離れてしまえば、話をするわけではないので言い訳はできません。それを繰り返していれば、言い訳をすると話を聞いてくれなくなってしまうということを覚えるでしょう。人から無視をされるのは痛いですから、次第に言い訳も減っていきます。荒療治ですが言い訳を聞かなくてすみますし、言い訳をする人も自分の発言についてよく考えるようになるかもしれません。

恐怖を感じることによる言い訳など、多くのケースは「自分は悪くない!」ということを伝えたいために生じる場合がほとんどです。少し悪い表現で表すのなら彼らは「臆病」なのです。言い訳が悪いという考えはいったん捨てて、自分の考えを伝える、相手の思いを受け止めるという意識をすると、無駄なエネルギーを使わずに済むかもしれません。

 

デイジー教科書

「マルチメディアデイジー教科書」は、学習障害やADHD・アスペルガー症候群など発達障害の子どもや、弱視などの障害のある子どものために作成されている教科書のことです。通常の教科書に、音声読み上げ機能と、テキストのハイライト機能がついており、音声を聞きながらハイライトされたテキストを読むことができます。デイジー教科書は、小学1年生から中学3年生まで、全国で使われている主要科目の教科書が提供されています。簡単な申請をするだけで、希望の教科書を無料で利用できます。デイジー教科書は学校での利用だけに限らず、家庭での音読の補助や授業の予習復習に活用できるのでとてもおすすめです。学習障害の傾向のある子供、または文字を読むことや音読が苦手なお子さんをお持ちの方は、ぜひ利用してみてください。

「マルチメディアデイジー教科書」とは、学習障害(読字障害)など発達障害、弱視など視覚障害やその他の障害で、通常の教科書を読むことが難しい児童のために、制作されているデジタル教科書です。2008年から文科省の委託事業として(公財)日本障害者リハビリテーション協会とボランティア団体によって制作・提供されています。デイジー教科書は、音声のナレーションに合わせて、文字がハイライトされます。また、子供に合わせて、音声のスピードや文字の大きさ、文字色や背景色などが細かく調整できます。デイジー教科書には、文字を読むことが苦手な学習障害の子供にとって様々なメリットがあります。
1どこを読んでいるか分かりやすい
2文節の区切りが分かり、どう読めばいいのか理解できる
3漢字や単語の読み方、イントネーションが分かる
4デイジー教科書で下読みをして予習をしておくことで、授業の理解度が深まる
5教科書にルビをふるなど、保護者の負担が軽減される

デイジー教科書を利用したい場合は、利用申請をします。医学的診断や学校の許可などは必要ありませんが、年度ごとに申請する必要があります。デイジー教科書のサイトのフォームから、メールアドレス・パスワード・保護者氏名を入力します。 デイジー教科書申請フォーム確認メールに記載してあるページにログインし、デイジー教科書の申請を行います。住所や、利用する児童の学年や学校名を入力します。利用を希望する教科書を選択して申請します。申請が承認されると、 約1週間以内に【SchoolBook】よりメールが届きます。以上で申請が完了し、デイジー教科書のデータがダウンロードできるようになります。

 

日本ラグビーを育てたダイバーシティー

ラグビーW杯の日本と南アフリカの試合は、残念ながら日本は敗退してしまいました。しかし日本代表の躍進は海外からも予想だにしないほどの活躍ぶりとなりました。何より、日本国内の注目を一気に集めた1カ月間でした。このブログでも、以前に「ラグビー・ワールドカップ9/25」に書きましたが、外国人選手が半分いることで、日本人のラグビー力量が引き上げられているのです。日本が強くなったのは、外国人選手のおかげと言うよりも、生まれた国が異なる人がいるというダイバーシティーな環境が世界水準に日本ラグビーを育てたということです。

そして、海外から来た選手は日本のことを本当に好きになって日本も、日本のファンのこともリスペクトしています。試合相手の南アフリカ出身のピーター・ラブスカフニは、「南アフリカ出身であることが誇りであるのと同じくらい、日本代表であることが誇り」「第二のベースホーム=祖国」だと言います。日本に帰化し長く日本で貢献してきたトンプソン・ルークはこてこての関西訛りで「南アフリカめっちゃ強い」と言いながら、引退声明を翻して4回目のW杯に最後まで関わりました。みんなちがってみんないいの原理を今回のラグビーW杯は見せてくれたような気がします。

これでベスト4が決まりました。準決勝は10/26イングランド対ニュージーランド、10/27ウェールズ対南アフリカです。11/2横浜国際球技場で優勝はどこのチームでしょう。最後まで目が離せません。

ADHDと遺伝

親がADHDの場合、その子どももADHDである可能性は非ADHDの親の場合と比べると5〜10倍高いといわれています。これを確率に直すと、親がADHDの場合、50〜80%(平均70%)の確率で遺伝するという研究結果が出ています。このようにADHDと遺伝の関係は有力視されていますが、ADHDの発症にかかわる特異的な遺伝子はまだ発見されていません。なぜなら、ADHDは遺伝要因単体では発症せず、そこに経済的問題、家族背景、虐待などの環境要因が組み合わさることで発症するためです。しかし、ADHDの発症に関与している可能性のある遺伝子がいくつか指摘されています。

家族や近親者の病歴がADHDの発症に影響している可能性が指摘されています。保護者の方が、過去に自分がADHDと診断された経験があったり、現在ADHDの症状があり困っていたりする場合、子どものADHD診断や対処法の手がかりとなることもありますので、まずはかかりつけの小児科医など身近な医師に相談してみましょう。実際、ADHDの症状を持つ保護者がADHDの子どもの様子をみていると「自分の子どものころとそっくりだ」と思うこともあるようです。その場合、保護者は「自分が感じてきた生きづらさを子どもにさせたくない」という一心で厳しく育てようとしてしまうことがあります。一方で、「ADHDの症状を知っている理解者であり、経験者」として子どもをサポートできる可能性を持っています。

ADHDは、昔はわかりませんでしたが、早期に専門的な介入を行い、適切にケアをしていけば、日常生活における困難さを低減することが可能です。これは学習障害や自閉スペクトラム症にも言えることです。充実した学校生活を送り、社会で自立できるよう、気になることがあれば医療機関の受診や地域の発達障害支援センターなどへ相談することが大事です。一人で解決しようとしないで、他者の力を借りて行けばいいのです。自分の信用できる関係者を思い出してください。困ったことを放置しないで「助けて」と言ってみましょう。誰だって苦しい時はあります。一人で乗り越える必要はありません。助けてもらっていいいのです。そして、誰でも助けでくれるわけでもありません。助けてくれるまで発信し続けるのです。下手な鉄砲も数うてばあたります。まずは「助けて」ということです。

片付けられない

片付けられない状態が悪化すると、家がゴミ屋敷化するだけでなく、精神的にも不安定になり約束を忘れたり締め切りが守れないなど社会生活も乱れてきます。それは原因と結果が逆じゃないかと言う考えもありますが、環境状況が精神に与える影響は絶大です。まずは環境に原因を求め、それでも効果がなければ病的な原因も考えます。要らない物やゴミを処分するには分別したり、ゴミ捨て場までゴミを運んだりしなければなりません。ゴミが大きければ簡単には捨てられませんし、高齢になるほど『捨てる』ハードルは高くなるでしょう。捨てられなくなっているのは、高齢者ばかりではありません。子育て中の若い世代にも片付けられない人は増えています。

『子育てに専念しているから』『忙しくて時間がないから』など理由はそれぞれですが、特に深刻なのが何らかのストレスでうつ病を発症した人です。婦人のうつ病は、産後のホルモンバランスの乱れから発症する場合が多く、発症すると何も手につかなくなります。片付けをする気力もわいてこないので、部屋が散らかっても対処できないのです。うつ病は、気力の喪失・判断力の低下が顕著です。様子を見ておかしいと感じたら、なるべく早く専門医に相談するように勧めることが大事です。

『AD/HD(注意欠如・多動症)』の人も片付けが苦手です。注意力に欠けていたり、落ち着きのない行動が目立ったり、頻繁に忘れものをするなどが症状です。発達障害は、脳の神経伝達物質が十分に機能しないために起こります。当人の意思とは関係ない不具合なので、この症状が出ているなら、片付け下手を責めても意味がありません。服薬などで解決しなければ『片付けが苦手』という個性として理解します。ただ、AD/HDとうつ病は併発しやすいので、医療のサポートが重要です。

家の中が片付いていない子は、物を大切にできない、忘れ物が多い、段取りが悪い事が多いです。片付けをしない家では物が散乱しており、何が大切で何がいらないものかわかりません。結果として子どもは物を大切にできなくなります。また、整理整頓とは程遠い暮らしのため、片付けられない親を持つ子は、段取りをつけて物事に当たることが苦手で、無駄な動きが多く、忘れ物の多さも目立ちます。また、掃除がされない家では、ダニやカビ、害虫が繁殖します。ホコリで気管支炎を患ったり、ダニや害虫でアトピー症状が出たりする子もいます。汚すぎる家での子育ては、一種のネグレクト(育児放棄)ともいわれます。気になる子を見つけたら、役所等に相談するとよいかもしれません。しかし、家の中をかたずけたいという気持ちが親になければ問題は解決しません。

サポートするのは、行政だけでなく協力者やサポートチームが必要です。近親者や友人、ご近所でも、その親が信頼できる方ならだれでもいいと思います。片付けを行う時に重要なのは、不要な物を捨てることです。しかし、物を捨てるなら、持ち主の承諾が必要になります。『捨てる、邪魔』などマイナスな言葉は使わず「不要な物を減らして、快適な暮らしをして欲しい」など暮らしをサポートしたいという気持ちを示すことです。それでも手に追えなかったり、片付けに時間が取れなかったりする場合は、片付けのプロに発注することも視野に入れます。例えば、イオングループで家事支援事業を展開する『株式会社カジタク』には、『片付け名人プレミアム』というコンサルティング型片付け整理収納サービスがあります。このサービスは、オリジナルな片付け方を提案してくれるのが特徴です。ライフオーガナイザーは、生活動線や生活パターンまで配慮してプランを提案してくれるので、自分たちでは難しい理想の片付けを実現できます。片付け終了後に渡されるアドバイスシートがあれば、その後もリバウンドなく綺麗な家を保てます。

片付けがうまくいったとしても、これまでと同じ生活パターンを送っていては、すぐに元の状態に戻ります。居心地のよい部屋をキープするには、部屋を散らかさないように努力しなければなりません。部屋を散らかさないために最も重要なのは、むやみに物を買ったりもらったりしないことです。物が増えてきたら収納を増やすのではなく、物を減らすのです。たとえそれが生活に必要な消耗品でも、大量に所持する必要はありません。物の保管スペースを決めて、そこに収まる分だけに所有すれば綺麗な部屋を長くキープできます。

こまめに掃除する習慣を身に着ければ、ゴミや汚れを溜め込むことはありません。掃除道具を身近な場所に置く、毎日決まった時間だけ掃除するなど、小さな事から習慣にします。それでもついつい忘れてしまうという人は、掃除スケジュールを管理できる掃除アプリなどを活用します。なかなか片付けに取り掛かれない人は、ブログやSNSで『#掃除宣言』するのも効果的です。他人に宣言すると、モチベーションが上がります。結果や成果も逐一SNSに上げていけば、同じような境遇の人からアドバイスや共感の声をもらえるかもしれません。片付け作業が孤独に感じる人は、他人と共有することで孤独感からも解放されます。

学習障害

学習障害のある子どもは、勉強していく上で必要となる「書く・読む・聞く・話す・計算・推論」のいずれかまたは複数の力が、同年代の子どもに比べて一著しく低いです。中には知的障害やASD・ADHDなど他の発達障害が併発する人もいます。ただ、勉強ができない理由には、知的障害が原因の場合もあります。知的障害と学習障害では原因が違います。原因が違えば支援方法も異なるので注意が必要です。知的障害は読み書きが必要な学習面だけでなく認知の全般的な遅れです。学習障害は、認知能力の凸凹であり、会話をしていると全く遅れを感じないばかりか優れた洞察力や創造性がみられる子どもも少なくありません。近年、学習障害と診断される子どもが増えてきていますが、これは学習障害の認知度があがったためで、昔は学習障害に気づかれず適切なフォローをされないまま大人になっていくケースが多くありました。

学習障害は、脳機能の障害のため、その原因の一つは遺伝です。ただ、学習障害が親から子へと遺伝するメカニズムは未だ解明されていません。親や兄弟で学習障害の人がいると、学習障害の発症率が高くなることから原因の一つとして遺伝が挙げられています。ただ、学習障害でない親から学習障害をもつ子どもが産まれることもあり、単純に遺伝だけで説明がつくものでもありません。学習障害が遺伝するメカニズムが容易に解明されない理由の一つとして、「学習障害はある特定の遺伝子が原因ではない」ということが挙げられます。また、学習障害になりやすい原因となる遺伝子が親から子への遺伝しても、必ず学習障害の症状が出るわけでもありません。。

学習障害は環境要因も原因となります。遺伝は、学習障害の原因の一つでありますが、全てではありません。学習障害は、遺伝的要素の他に環境要因が合わさって発症するとされています。学習障害を含む発達障害の子どもに対して、「親の育て方やしつけがなっていないせいだ」と心無い発言をされることがありますが、様々な研究により学習障害を含む発達障害は、先天的な脳機能の障害のため、親の育て方が原因でないことは明らかになっています。現在は、学習障害に対しての世間の認知度も高くなってきているので、親を責める発言は減ってきていますが、学習障害児に対して学校や社会で適切なフォローがされず、親の責任とされているケースは今でもあります。以前は学習障害そのものが見過ごされていた事例も珍しくありません。ただ、先にも述べたように環境因も合わさって発症する場合があるので、通常の子どもの環境と比べて劣悪な場合(睡眠・食事・運動など日常生活のリズムが小さな頃から家族全体で崩れている等)は、保護者の責任がないとは言えません。

学習障害の子どもを持つ親にとって大切なことは、原因を知ることよりも、子どもが学校や社会で困難が少なくなるようにサポートしてあげることです。学習障害は、本格的に勉強を始める小学校入学以前はなかなか親も気づきにくいですが、子どもの様子に他の子どもと違う点が多いように感じたらできるだけ早く専門家に相談してみましょう。より早く学習障害と診断されることで、早期に療育を開始できるため、より高い効果を期待することができます。学習障害の原因は、遺伝だけでなく、様々な環境要因が合わさってています。環境要因の中には、親の力ではどうすることもできないものが多いので、学習障害を予防することはできません。学習障害の子どもに対しては、子どもの症状にあった学習法を見つけてあげ、子どもがより意欲的に学習に取り組めるようにサポートしてあげることが大切です。

渋々でも納得する練習

子どもが何か希望通りに行かず機嫌が悪くなった時などに、納得させようとして言葉で色々説明したり、子どもの希望が通るように(要求が通るように)動いてあげることがあります。また、事前にそのような状況にならないように工夫し、機嫌を損ねないように環境を整えるかもしれません。

思った通りにいかない場面や、要求が通らない場面があまりにも多ければ、ストレスが大きすぎるので配慮してあげる必要はあります。しかし、子どもの機嫌を損ねないように配慮するだけではなく、思い通りに行かないことがあることを知り、渋々でも納得するという経験を積むことも大切です。

日常生活を送っていると、物が壊れて直せなかったり無くしてしまったり、決まった時間に家を出ないといけなかったり、家族に急な用事が入って楽しみにしていた予定をキャンセルするなど、実際にどうすることもできない場面があると思います。そのような場面で、機嫌を大きく損ね、長く引きずるようであれば日常生活に困難をきたします。また、少し思い通りに行かない些細なことで、機嫌を損ねるようになるかもしれません。集団生活にも支障をきたします。上手くいかなくても渋々納得する力をつけるためには、渋々納得する経験を積んでいく必要があります。

状況を理解する力や知識をつけるため、なぜ我慢しないといけないかを分かりやすく説明してあげることは大切です。例えば、「壊れてしまったからもう動かない、お母さんも直すことができないから、あきらめるしかないです」など。子どもの言語スキルによっては、絵にかいて説明してあげても良いです。しかし、説明しても子どもが納得せず、怒ったり、駄々をこねたりしたとき、それ以上言葉や絵で説明して納得させる必要はありません。もうその状況を受け入れるしかないことを経験させてあげてください。「もう仕方ないです」とだけ言って取り合わないようにし、子どもから離れます。

子どもは泣いたり怒ったりすると思いますが、時間が経つと諦めます。子どもが諦めて落ち着いたら、何もなかったように普通に接してあげてください。「よく我慢したね」と軽く声をかけてあげても良いです。子どもが思い通りに行かず混乱したり、怒ったりした時に、機嫌を直すために何とかしてあげようと働きかけるのではなく、学習の機会と考えて渋々納得させる、諦めさせるということも大切です。そういった経験を積むことで、思い通りに行かない時に怒っても仕方がないことを知り、我慢できるようになってきます。このような対応に合わせて、状況を理解する力や知識を伸ばしてあげることで、大きく混乱することなく生活できる時間が増えていきます。

ただ、大人の勝手な都合(大人側のミス)だけでなくなったり変更したりする理不尽なトラブルで諦めさせることを経験させると、信頼関係が崩れて本人も約束を破るようになって回復がとても困難になるケースがあるので、大人側のミスであるなら、正直に理由を述べて丁寧に謝る、がっかりさせたことについて詫びる、お詫びのしるしに金品を与えるのではなく子どもの苦情をよく聞いて共感するという行動を大事にする必要があります。

家で子どもが荒れる理由

家で子どもが荒れる理由はいろいろあります。保護者はあれこれ環境の変化を考えて外で何かあったと推測します。学校でなにかあったんだろうか?学童保育所や放デイで嫌なことがあったのだろうか?いじめられているんだろうか?怒られたのだろうか?あれこれと考えてみます。でも、お世話になっている先生に何かあったかとは聞き辛いものです。また、何かあれば先生から書面や電話で連絡してくるし、先生が何もないと考えていれば、聞いたとしても「いつもとかわらない」という返事が返ってくるのがほとんどです。

次に、傾向や確率で考えてみます。A先生が担当なら荒れることが多いとか、何曜日がよく荒れるとかそれなりに根拠を探します。そこに法則性が見いだせるなら、次に原因を推測します。同じ曜日に荒れるのは、嫌なことがある日と考えて共通する取り組みを考えます。実は、このようにして原因を追究するのは事業所も学校も同じなのです。家で何か変化があったかと考えるのです。そして、少ない情報から多大な憶測を元に原因を探します。保護者と関係がとりにくい場合はなおさらその憶測と思い込みは激しくなります。

結論としては、わずかな情報と憶測で原因がわかるなら、誰も苦労はしないということです。多くの事象の原因は一つではなく複合的で、複雑に絡み合っていることが多いです。ただ、一つだけ言えることは、自分の目の前で起こっている子どもの荒れなのに、他の場所に原因を求める発想では、その荒れはなかなか収まらないことです。原因は自分かもしれないという可能性を捨てず、まず自分の対応を見直すことが大事です。自分の対応を見直す中で子どもの課題がわかってくるし、他の場所での子どもの課題や成長も見えてきます。ただ、この作業は子どもに関わる全員が取り組む必要があります。家庭と支援先で子どもの発達や障害に基づく支援について同じ理解ができていない場合は子どもの混乱は長引きます。つまり、関係者が一同に連携して支援を見直すことができれば、トライアンドエラーの時間はかかっても必ず子どもの混乱は減少していきます。

その連携のために、相談支援という仕事を専門に引き受けている事業所があるのです。親や事業所や学校は相談事業所に動いてもらって連携できるようにするわけですが、これは絵に描いた餅だなと思うことがあります。相談事業所はまず保護者と話し合ってサービス利用の中身を考えサービス利用計画書を作り行政にも会議で示します。次に必要な事業所を保護者と一緒に選びます。運よく一度で決まったなら次は最長でも半年後にモニタリングの文書を保護者聞き取りや複数の事業所から聞き取って作成します。これが定型の仕事です。

少なくとも3回の会議と2回の文書作成がノルマです。継続モニタリングだけでも年2回会議は必要です。年間稼働日が250日とすれば相談事業者が抱えることができる利用者は100人が限界でしょう。相談員はだいたいこの件数を超えて抱えています。新規で最初の基本報酬は年3万円程度、継続のモニタリング2回で年2万6千円程度、一人が稼働して必要収入を得るには新規継続合わせて100人程が経営収支ラインでもあるからです。

基本の会議だけでこんなにパンパンな状態のところに、さらに他の連携会議を入れる余地は少ないし、丁寧に会議を重ねるとなると持ち出しが多くなります。事業所や学校は招集されても会議費すら保障されないものですから善意で来てもらうしかありません。家で子どもが荒れる理由を探して解決する連携会議が合理的に専門的にできるようになるには、まず相談事業の根本から見直さないと難しいという課題が見えてきます。そうはいっても真摯な連携に勝る策はありません。

 

感情を学ぶ

感情は、チャールズ・ダーウィンが提唱した6つの基本的感情である<喜び><驚き><悲しみ><恐怖><嫌悪><怒り>の他に、心理学者のポール・エクマンが加えた10の感情<楽しみ><軽蔑><満足><当惑><興奮><罪悪感><得意><充足><官能的な喜び><羞恥>の16の感情があります。

基本的感情は赤ちゃんも持つ感情で、追加された10感情は成長ともに持つようになる感情です。例えば、軽蔑の感情や罪悪感に苛まされる赤ちゃんはいませんが、成長過程で軽蔑や罪悪感などの感情を持つようになるからです。

なぜ人は感情を持つのかは多くの議論があり、大きく分けると「遺伝」「身体的反応」「思考」「文化」の4つ仮説があります。どれか一つではなく複合的な要素が絡みあっていると考えられていますが、ネガティブ感情をコントロールできるようになるのも成長の証です。

ネガティブ感情を持った時に感情をコントロールできるようなれば、※人前であがらなくなる。※怒りにまかせて酷いことを言ってしまうことがなくなる。※失敗しても消沈せず、平静な気持ちでいられる。※自分の欠点を恥ずかしいと思ったりしなくなる。※恋に盲目的になり、感情に突き動かされて大失敗しなくなる。その為には、それぞれの感情がどんな時に、そしてなぜ沸き起こるのかを理解する必要があります。

最近、怒りのコントロール方法が紹介されるようになりましたが、文化的遺伝的側面で考えるのであれば欧米人のように怒りを抑えずに自分が怒っていることを表す傾向がある民族もいれば、日本人のように怒りを抑えてしまい鬱積した感情としてストレス化してしまう民族も存在します。「怒り」の感情ひとつをとっても生活ベースによって対処方法が違う場合もあるでしょう。

「恥ずかしい!」と思った瞬間や嫌な気持ちになった時、それがなぜ起こっているのかを冷静に判断し対応することができる人を社会性が高い人と言います。感情の揺れは、自己肯定感に大きく影響します。自分の失敗に関する感情(怒り、悲しみ、罪悪感など)を処理しきれない状態が続くと、自分のことを認めることは難しくなってきます。レジリエンス(逆境から離脱する力)は、「自己肯定感」の影の力で「感情力」とも言えますが、自己肯定感というベースを固めるために「感情コントロール」は避けて通ることができません。

「怒り」「羨望」という感情のコントロールは「自分との関係」(自己肯定感や自己評価)を改善することができます。自分との関係が良好になると、次に変化するの家庭や職場など、身近な人との人間関係が変化します。感情を学ぶと相手の感情を理解し、共感することができるようになるからです。感情の学習は集団活動の中でしか行えません。しかし、自然に身につく人とそうでない人がいます。そして現代社会は、後者の人たちが増えています。感情を学ぶことが必要な社会になっているのかもしれません。

「お節介な人」と「気が利く人」

同じことをしていても、「お節介な人」と言われる場合と、「気が利く人」と言われる場合があります。人それぞれ、考え方や感じ方が違うので、お節介になったり、気が利く人になったりします。電車に乗っていて、年配の方に席を譲る行為も、席を譲られた方によっては、「お節介だな」と思って断る人もいれば、「気の利く人だな」と思って、ありがたく席を譲ってもらう人もいます。受け取り方は人それぞれです。

同じことをしても、全員から「気が利く人」と受け取られる訳ではありません。逆に、全員から「お節介だな」と受け取られるということもないでしょう。でも「お節介」と「気が利く人」の受け取りは相手次第と言うわけでもありません。お節介な人と称されることが多い人と、気が利く人と称されることが多い人の違いは自分優先か他者優先かです。

自分の意見を押し付けたり、相手が拒否しているにも関わらず何かをしようとする人は、お節介と称されることが多くなります。それは、相手の内面を見ているというより、自分を見ているからです。「何かをしてあげることができる自分」に意識が向いているのです。だから、相手がそのことに対して、「お断り」の意思表示をしたときに、落ち込んだり、傷ついたりもするのです。相手の気持ちや意志、状況に、あまり関心がなく、自分に関心があると、お節介な人として称されることが多くなってしまいます。一概には言えませんが、お節介と称されることが多い人は、自信がない人が多いかもしれません。自信がないので、「何かをしてあげること」で、自己有能感を得たくなるのでしょう。また、意識が自分に向いていますから、相手が明確なお断りをしないで、困った顔をするだけでは、相手が困っていることに気づくことができません。

気が利く人と称されることが多い人は、相手の気持ちや意志、状況に関心をもっています。「何かしてあげることができる自分」ではなく、「相手」に意識が向いているのです。だから、相手が明確なお断りの意思表示をしなかったとしても、相手が困っていることに気づくことができます。そして気付いたら、「必要なかったのだな」と、サッと手を引くことができます。また、「余計なことをしてしまって、ごめんなさい」と謝ることもできます。自分ではなく、相手を尊重することができていると、気が利く人と称されることが多くなります。気が利く人と称されることが多い人は、相手の態度に左右されないですし、自分の気持ちと相手の気持ちの両方を見ることができますので、自信がある人が多いのかもしれません。人と自分の意見や気持ちが違っていても、それで自己価値が左右されることがないのです。

相手が、「お断り」の意思表示をしたときに、それを快く受け入れることができるかどうかは、「お節介」と「気が利く人」の違いなのかもしれません。「お断り」を「拒絶」と受け取ってしまうと、快く受け入れることができないので、相手への押し付けということになってしまい「お節介」になってしまうのです。自分に意識が向いているか、相手に意識が向いているかの違いなのかもしれません。

喜怒哀楽の感情表現が難しい

ASDを持つ人は、「喜怒哀楽」の表現をすることに、人一倍苦労します。ASDを持たない方の場合、辛い時は「辛い!」という表情や表現をしますが、表現に労力を要する人が辛い時、表現そのものができなくなります。辛いことで「無表情」「無反応」になっているのですが、客観的には「全く堪えていない」「受け止める気がない」ように見えてしまいます。受け手はASDの方を反応をさせようと、語気を強めるなど「力」を使ってくることがあります。そして、さらに思考が停止して相手の語気が強まる…という悪循環が生じます。また、苦しくて困っているのに「嬉しそうな表情」をしてしまうことすらあります。こうなると双方のコミュニケーションは取りようがありません。

ASDを持たない人は動揺している時ほど感情表現が激しくなります。しかしASDを持つ人は一つ一つの感情表現にエネルギーを使うため、急激な驚きや不安はフリーズ(思考停止)してしまいます。怒られて反省しているのに、それが伝わらず「反省の色がないな!」と言われてしまう方も多いです。ASDを持つ人は、怒られるなどの激しい感情を受けた場合、激しく動揺します。これを真正面から受け止め表現しようとすると、精神が壊れてしまうので、感情に「フィルター」をかけて「何も感じない」ようにすることで身を守ろうとしているのかもしれません。

ASDを持つ人は、対人緊張を持ち合わせているケースが多くあります。そのため、人と対面しているときは常に張り詰めた状態でいることがあるのです。緊張していれば、当然表情は硬くなります。表情が乏しいと、相手にはどのように受け止めているかが分かりにくくなります。また、表情が乏しいことで相手には「余裕を見せている」「微笑すらしている」ように見えることがあります。「挑発されているのではないか」と誤解されることで、相手はさらに感情が高まります。そうしてどんどん、コミュニケーションが難しくなってしまいます。

ASDを持つ人は反応がなくても、心のダメージは残っています。また過去の情報をうまく消化することが苦手です。そのため、フラッシュバックが生じ、いつまでも悪い記憶がよみがえってしまうのです。そして今回の「傷」がもとで、フラッシュバックされた分もまとめて感情を爆発させることがあります。「あの時も分かってもらえなかった!!」と過去の分の怒りまでその時の相手にぶつけてしまうこともあるのです。このようなヒステリック状態になるとお互いの関係に溝ができるほか、何より本人にさらに深い傷がついてしまいます。

このような事態を未然に防ぐには、事前に辛い時にどうなるかを伝え周囲が理解しておくことです。「辛い時には無表情もしくは微笑しているようになります」と事前に伝えておく、ということです。相手の中で「辛い=無表情」ということが分からないからこそ、語気を強めたり感情的になったりするわけです。『無表情』は障害を持たない方にとっての「堪えていない」反応だからこそ、最悪の形で誤解されてしまいます。

また、辛い時の対応も大切ですが、そもそもは辛くなる前に対処することが前提です。定期的にキーパーソン等と相談をもち、辛いことや悩み、問題を早めに解消させるように心がけます。相談の機会が多ければ、その中でどういう感情表現をするのか相手に理解してもらえるからです。対面でのやり取りだと、表情や雰囲気など「ASDにとって誤解されやすい状況」が多いです。大切な報告や指示などは書面などの対面以外の方法を双方が使えるようにすることも大事です。

「9歳の壁」「10歳の節目」

9歳の壁とは、こどもの発達課題を示す表現で、1.学習の深化についていくのが難しくなり 2.対人関係の複雑さについていくのが難しくなり 3.本人の発達の凸凹が矛盾となって様々な困難が顕在化してきます。

1.は3年生からの学習が急に難しくなることです。割り算があり、時間の60進法があり、四則演算をつかってものを考えるという学びもはじまります。やっと計算法則を手に入れたこどもたちにこの展開や文章題は本当に難しいのです。3年生の学習はその後の学力を決定づけるターニングポイントです。

2.は子どもたちの対人関係の発達的変化です。ギャングエイジという同性集団で群れ合う時期に入ります。現代は遊び集団が小さくなる中で厳密な意味でのギャングエイジはみえにくくなっているようですが、排他的で、同一性を重視する仲間集団という性質は同じです。3年生だけでは遊びに響きあえない仲間を巻き込める余裕はないので、適応できない子どもは締め出されます。

3.は発達障害児自身の発達的凸凹とその変化のことです。5歳台で難しかった心の理論(相手の立場になって考える)や内言の育ちがこの時期ようやくできる(理屈でわかる)ようになり自己を対象化できるようになります。みんなと違う自分が意識されるようになります。当然できない自分も意識できるので不安も強まります。合わせて幼児期に多動性衝動性のために意識しにくかった母親への愛着がこの時期に形成される子らもいて、不安を家族との密着でしのごうとする言動もみえたりします。「どうせ僕なんか」という語りに直面して家族の困惑も深まります。

この時期はいろんな手立てで困難を軽減=壁を低くする足場つくりをしたいです。高学年に向けて学びの場や仲間の居場所作り。学びの質も、がむしゃらな訓練ではなく普通のエネルギーでできる特性に合った学習方法の確立。また、困難が顕在化してきたらピンチはチャンスという視点も持って別のやり方を模索する機会として考えたいとも思います。自己対象化できる育ちの中で、自分の特性を知るチャンスも訪れてきます。自分を知ることは困難もつらいことも多いですが、そこからはじまることも多いのです

「9歳の壁」の姿は「10歳の節目」ともいいます。早期から支援にとりくみ、継続してきたこと、チャレンジしてきたことが実ってくるのは10歳頃です。障害の影響の強い時期を経て、家族と支援者が頑張ってきたことが、生活の積み重ねとしてかたちになってくる時期です。簡単に言うと、落ち着いてくる。思春期の前のまとまりなんてことを感じる時期でもあります。「9歳の壁」と「10歳の節目」一見すると矛盾すると思われるかもしれません。しかし、こどものあらわれ全体像を見つめた時に困難だけではなく新しい息吹もあるのです。


 

ナンバーセンス

読み書きのつまずきと同じ位に子ども達が苦戦しているのが、算数です。すてっぷにも算数が苦手な子が多くいます。小学校入学前の子ども達は、ことばを次々と覚え理解して行きます。同時に、「数」についての理解も進んでいくのですが、「数の習得」には、視覚・触覚・筋感覚など全身の感覚が関与しています。「大きさ・長さ・重さ」などは目で見るだけではなく、手で持って感覚的に理解していきます。1個の積木を運ぶだけなら、軽くて小さいからつまんで運べるくらい。でもそれが10個だったら?もっと多い20個だったら?両手を使わなきゃいけない位に大きくなり、材質によってはかなり重くなります。こうした経験と運動・感覚によって1より10が、10より20が、大きく重たいということを感覚とともに学んでいきます。

さらに、物の移動を把握することで、「多い/少ない」だけでなく「増える/減る」がわかるようになります。これが、足し算・引き算などの演算の源になると言われています。ことばも体を動かし、経験の中で学びますがそれ以上に「数」と「身体・運動」には密接な関係があります。数はかなり感覚的なもので、日常生活に密着したものです。3歳頃から、めきめきと発達する「数に関する感覚」を「数感覚(ナンバーセンス)」や「数量概念」と呼び、研究が進んでいます。これらは、算数・数学の土台となり視覚的に捉えるものが多いです。

このナンバーセンスが育っていないと、四則演算は意味を成しません。つまり、増えるのか減るのか感覚でわからないまま計算手順だけ獲得してもそれで量を把握したという実感が伴わないからです。分数で躓くのはこの感覚のあるなしで決まります。2分の1と4分の1のどっちが大きいかは二人で山分けと四人で山分けする経験があれば即座に量の感覚がイメージできるはずですが、このイメージがでてこないと4のついた方が大きいと誤解するのです。さらに2分の1と4分の2が同じだという事も、物を切り分けた経験があれば感覚としてわかるのです。算数は論理的で訓練的なものだと思われがちですが、実は経験による感覚がものをいうのです。従って、やってもやってもできない算数があるなら、一度ナンバーセンスを確認してみましょう。子どもの発達は全て具体から抽象へ進むからです。食事の給仕やピザが上手に切り分けられる子は分数理解の素養があるのです。

明日の支度

子どもが明日の支度に自分から取り掛かり、習慣化させる方法はあります。小学生のうちに、自分で明日の支度ができるようになると、忘れ物を減らせたり、自分で予定を決めて実行できるようになります。

夕方の時間帯は1日の疲れが出るので、子どもが明日の支度をするのは、大人が思っている以上に大変です。まずは、子どもと明日の準備がしやすい時間を話し合ってみます。支度をする時間帯は、帰宅後すぐ、おやつ前後、夕ごはん前後、お風呂前後、就寝前などがの候補となります。そのなかに、子どもが取り組みやすい時間が、必ずあります。時間を決めたら、毎日その時間に、明日の支度をするように習慣付けます。

明日の支度や宿題を忘れて困るのは本人だと分かっていても、親はあれこれ言いたくなるものです。しかし子どもは、親からうるさく言われなくても、「自分がやらなければならないこと」を案外よく分かっていますす。宿題をしたり翌日の支度をする時間は、子ども自身が決めるほうがいいです。本人に任せると時間は掛かりますが、自分で決めたことに責任を持つようになっていきます。

学校の持ち物といっても、さまざまなものがあります。教科書、ノート、ドリル、筆記用具、習字道具、体操服のほか、高学年になれば細々とあります。それらを1度にまとめる作業は、子どもにとっては大変です。そこで、まずは教科ごとに分けておく習慣を付けましょう。例えば「国語」であれば、教科書、ノート、漢字ドリルを1つのファイルや袋へまとめてしまいます。「家庭科」なら、エプロン、三角巾、マスクを全て1つのケースや袋へ入れておきましょう。必要な袋やファイルをすぐに取り出せるよう、教科名を書いておくことをお忘れなく。こうしておけば、時間割に合わせてカバンへファイルを入れるだけで支度できるので、支度がぐっと楽になります。

子どもが1人だけで支度できるようになるには、時間が掛かります。まだ1人では大変そうな場合は、親がそばで見守ってあげます。大人がそばで見てくれているだけでも、子どもは嬉しいものです。低学年のうちは、支度と宿題ができたら「ごほうびシール」を貼ってあげるのも効果的です。子どもは一進一退を繰り返しながら少しずつ成長していきます。できるようになったらすぐに任せきりにしてしまわず、時どきそばで見守ってあげると、支度や宿題の習慣が定着しやすいです。

翌日の支度は、できるだけ同じ時間に取り組むようにすると、体が覚えて定着しやすくなります。なかなか支度の習慣が定着しない我が子のせいにする向きがありますが。支度が習慣化しない原因は、帰宅後とても疲れていることが多いのです。支度に取り組む時間を子どもと相談して決め、子どもがスムーズに支度できるようにサポートしていくことで、だんだんと支度の習慣が定着します。「自分で支度できない」「支度をしようとしない」といった問題の背景には、子どもなりの理由があるのです。紹介した方法以外にも、その子にあったやり方が必ずあります。子どもができる方法を一緒に探って、子どもが「自分でできる喜び」を感じられるように応援したいものです。

 

上手く謝ることができない

発達障害の中でも、上手く謝ることができない傾向が多く見られるのは自閉スペクトラム症(ASD)の子どもです。ASDの特性は、コミュニケーションが苦手・他人と目を合わせられない・人の気持ちを理解できない・その場の状況に合わせることが苦手・皮肉やたとえ話が理解できない・柔軟な考え方をすることが苦手・決まった順序や道順、食べ物などのこだわりが強い。これらの共通点は、コミュニケーションが苦手で人の気持ちを理解できないことです。相手がどう思ったか、どんな状態なのかということに関心が持てないのです。このため、自分が悪いとしてもなぜ謝らなければならないのかを理解できないのです。

ASDの子どもに謝ることの大切さを教える前に、まずは大人である私たちが普段どんなときに謝罪しているのかを考えます。1.相手の健康を損なった場合 2.故意や不注意で相手にケガをさせた 3.まわりに迷惑や不利益を与えた場合 4.経済的な損失を与えた 5.行動の邪魔をした 6.時間と労力を無駄にさせた 7.社会のマナーに反した場合 8.公共の場で騒いでしまった 9.飲み物をこぼしてしまった 10.自分がミスをしてしまった場合 11.グループ行動で一人だけ遅れてしまった 12.頼まれたことができなかった。ざっと思いつくだけでもこれだけあります。相手に与えてしまった被害の大きさや状況によって、どの程度の謝罪が必要かは変わってきます。しかし、ASDの子どもはその微妙な加減を理解できません。一般的に考えると、上記の前半の場面では特にしっかりと謝罪する必要がありますから、子どもにも優先的に理解させていきましょう。

ASDのない人は、その場の状況や相手の反応に合わせて謝罪の仕方を変えることができます。しかし、ASDの人は、場の空気や相手の気持ちを汲み取ることを苦手としており上手に謝罪ができません。そのため、「こういう時は謝罪が必要」という風にパターン化させて覚えさせることが必要です。
①どんなときに謝るべきかを理解させる
「ごめんなさい」と言うべき場面をイラストなどを見せて教える。
子どもがイメージできる状況を例示し、そのときの相手の気持ちも交えて、なんと謝ればいいかを教えていきます。
例えば、友だちにケガをさせてしまった。友だちが嫌がることを言ったりやってしまった。友だちとぶつかってしまった。約束を破った。等です。

②ロールプレイングで練習する
同じ謝るという行為でも、目も合わせずにボソッと「ごめん…」と言うのと、きちんと相手の目を見て「ごめんなさい」と言うのとでは、伝わり方が違います。実際に起こりうる場面を再現し、相手が泣いているとき、怒っているときなど、どういう態度でどのくらいの謝罪をすればいいのかを考えて謝ることを練習させましょう。謝ることができなければ、友だちと付き合っていくことが難しくなってしまいます。出来るだけ早い段階から、謝罪の必要性や状況に応じた謝り方を丁寧に教えていきます。他者の感情の学習にもなりますから、理解が進めば子どもの対人関係も良くなっていく場合があります。

また、何より大事なことは褒められること「ありがとう」と言われることを、一方でたくさん準備しておくことが謝罪の学習の成功につながります。教育支援の原則はバランスよくです。

 

疲れやすい原因

発達障害を抱える方は、周りの人や環境に適応しようとする中で神経をすり減らしてしまうことで疲れやすい方が多いです。例えば、ASDの方は、空気が読めないという特性があるために、周囲の人の雰囲気や感じていることを把握するために、頭をフル回転して周りの状況を分析するケースが挙げられます。このように、発達障害ではない多くの人が無意識にしていることでも、発達障害を持つ人にとっては心身に過度の負荷をかけていることがあるのです。

発達障害を持つ方は、二次的な問題として、睡眠障害を抱えて疲れやすい方が多いです。具体的には、音が気になって寝つけなかったり、逆に日中の仕事で疲れ果てて夜に寝すぎてしまったりで、日常生活に支障をきたしてしまう場合がある、ということです。睡眠不足や過眠は、疲れにつながります。特にADHDの方は、子どもの場合25%〜50%が睡眠に問題を抱えていると言われています。発達障害の方の中には、一般的には不快に感じないレベルの音、光、匂いや肌触りなどの刺激に対してとても敏感で、疲れやすい方がいます。例えば職場のエアコンの音が気になって仕事に集中できない、首周りに触れる服(タートルネックなど)を着ると違和感で吐き気がするなどがあります。

発達障害を持つ方の中には、極端に不器用だったり、力の入れ具合を調節することが苦手だったりするために、身体を効率よく動かすことができないことで疲れやすい方がいます。「電車でつり革を持って立つ」、「靴ひもを結ぶ」といった日々行われる動きを上手にできず、普通に生活しているだけでも疲れてしまう方が多く見られます。

発達障害者の方には、注意がそれやすい一方で、自分の興味がある事に対しては過度に集中することで疲れやすい方がいます。締め切り間近の書類仕事を短時間で終わらせたり、学校の試験中に問題へ没頭することで高得点をあげたりといったメリットも見られます。ですが、過集中は、多くの場合で心身に大きな負担をかけることになります。

対策①周囲への適応を気にせず、社会常識にとらわれないようにする
周囲に適応しようと無理をして疲れやすい方は、社会常識にとらわれない考え方を身につけるとよいでしょう。「常識」に無理に合わせないことで、疲れが発生しなくなります。

対策②睡眠のためのリラックス法を行う
睡眠をうまく取れなくて疲れやすい方は、寝る前にリラックスする方法を試してみるとよいでしょう。良質な睡眠を取ることができれば、疲れは発生しません。

対策③敏感な感覚を緩和するため、器具を使ったり服装を工夫したりする
感覚が過敏で疲れやすい方は、ITやテクノロジーの力を借りたり、身体に触れるものを工夫しましょう。特に、周囲の環境によって症状を大きく左右される方にオススメです。自分の特性に合う器具や工夫が見つかれば、疲れなくなります。

対策④身体を上手に動かせないなら、苦手な動作などを避ける。
体を上手に動かせなくて疲れやすい方は、苦手な動作を求められる状況をなるべく避けるとよいでしょう。変えられる動作を見つけて変えることで、疲れなくなります。

対策⑤集中しすぎてしまうなら、アラームを使う
集中しすぎて疲れやすい方は、アラームを使って、意識的に集中を途切れさせるとよいでしょう。特に、自分では集中していることに気づかない人にオススメです。過集中が発生しなければ、疲れも発生しません。

 

解離症状

発達障害の人は二次障害を抱えている場合が少なくありませんが、解離性障害とも関係があると言われています。特にASDの人に多いのですが、対人関係や感覚の問題が多いASDの方は日常生活において他の方より精神的に疲れて不安も高いので解離しやすいのかもしれません。

大きなストレスを感じた時、記憶がなくなってしまう解離健忘症
自分で行っている事でも自分が行っていないような感覚になる離人症
気付いたら知らない所にいる事がある解離性遁走
人と話をしたり体を動かす事が出来なくなる解離性昏迷
昏睡状態や思っているように体が動かなくなる解離性てんかん
複数の人格を持つ多重人格、解離性同一障害

どのような症状かで細かな病名も変わるのですが、記憶がなくなったり過去をすっかり忘れる場合もあります。また、頭の中か遠くから音が聞こえるなどの場合は統合失調症か解離性障害の可能性があり、発達障害の人にとって程度の差はあっても何等かの症状があってもおかしくはないです。

先にも掲載したように「疲れやすい原因:11/12」、定型発達の人でも強いストレスを感じたり嫌な事があれば自己防衛能力が働きます。ASDの人は常に強いストレスを抱えている場合が多く、人間関係が円滑に進まない・空気を読んだ会話が出来ない・人に理解してもらえないなど、普通なら感じない部分で問題を抱えています。そのため常に自己防衛をしている状態だと考えると、診断は出ていなくても同じような状況を感じた事があってもおかしくはありません。

症状があるなら、まずは医療にかかる事が何よりも大切です。ASDやAD/HDの診断と精神疾患を疑い相談すれば、何が問題になっているか分かるはずです。この症状はセロトニンが少ない事で発症することが多いので、ASDは合わせて発症しやすいのかもしれません。早めの処置が出来れば改善していく部分や楽になれる事も沢山あります。本人は混乱していて的確な判断ができないことが多いので、家族や関係者が解離性障害かもと考えて医療に一緒に足を運んであげてください。

いじめの原因と対処

誰にでも、どこでも起りうるのが「いじめ」です。なぜ、いじめられるのか?いじめてしまうのか?大きな原因は「人と違う」ということです。学校は集団で生活をする場所です。全員が同じ勉強や生活をしています。しかし、人には個性があります。体型や性格など違いますよね。大人でも特異な人に警戒心を抱いたりすることがあります。特に子どもは自分と違うということを受け入れることが出来ない場合があります。太っていたり、家が裕福じゃないなど原因は様々ですが自分と違う服装や体型、考えを持った子を見ると「変な奴!」となって、それを受け入れられず排除しようとしてしまうのです。特に年齢が低いほど「人と違う」ことが、いじめのキッカケになりやすいです。

子どもの世界は楽しい事ばかりではありません。勉強や家庭の中でのトラブルなど、ストレスを抱えてしまっている子がストレス発散のために友達をいじめてしまうことがあります。自分より弱い存在をストレスのはけ口にしてしまいます。子どもがストレスを抱えたときに周りの大人が気づいてケアをしてあげることが予防につながります。

親が日常的に暴言を吐いたり暴力をふるったりしていると、子どもはそれが普通だと思ってしまい悪い事だと思わなくなり気に入らないことがあったら暴言や暴力で解決すればいいと思ってしまうのです。それから親が子どもに無関心な家庭もさみしさから、いじめっ子になってしまうこともあります。逆に過干渉な親の子も、普段は家では良い子でいなければならないため、ストレスが溜まってそのはけ口を外に向けて友達をいじめてしまったりしてします。

たとえば、友達が「学校に遅刻した」「宿題をやってこなかった」「遊ぶ約束したのにこなかった」など、周りの和を乱した時、「あの子が〇〇したから注意しただけ!」と言ったことから、いじめが始まることもあります。いじめる方は和を乱した子が悪いから自分は正しいと思っているので、いじめているという感覚がない場合があります。いじめられる側の子も自分が悪いから、といじめられても周りに相談できなくなってしまいます。いじめる側の正義感からくるいじめはエスカレートしやすいです。

いじめというのはクラスの中に首謀者がいるものです。その子がリーダー的存在だったらその子に同調していじめてしまう事も多いです。また、被害者側についたりしたら今度は自分がいじめられるかもしれないと言った不安から、みんなに合わせて、いじめてしまうのです。「みんながするから」「やらないと仲間外れにされる」そんな理由でいじめに加担してしまう子は多いです。

いじめは被害者になるばかりではなく、誰でも加害者にもなれます。我が子が加害者になった時は、まず事実を確認したうえで、子どもと家族で話し合い、何があってもいじめはいけないこと、いじめによって起きる悲しい事件などを良く話し、子ども自身に「いけないことをしたんだ」と自覚させることが大切です。「二度としない」としっかり約束させてください。被害者への誠意を込めた謝罪の覚悟もしなければいけません。被害者が納得いくまで謝罪をしましょう。そして家庭の在り方を見直してみることも再発防止には重要です。子どもがストレスを抱えてないか、信頼関係など良く振り返ってみます。

子どもが、いじめられているとわかった時、なるべく冷静に確実に対処します。「なぜ言わなかったのか?」などと責めたり、問い詰めたりしないで、子どもが話をしやすい雰囲気を作ってあげます。そして子どもが話をしてくれたときは、子どもの話をしっかり聞いて決して否定したりせず子どもの辛い気持ちを受け止めてあげます。できれば父母一緒に話を聞いてあげます。「パパもママもあなたの味方だよ」と、子どもに安心感を取り戻させます。それだけで気持ちがスッキリして元気になることもあります。今後どうするかも親子で意見をすり合わせて行動します。

いじめが原因で「学校に行きたくない」と子どもが訴えてきたときは無理に登校させてはいけません。子どもが学校へ行きたくないと言ってきたときは緊急事態で、もう限界なのです。そんな時は無理に登校させずに、ゆっくり休ませます。いじめを解決するには学校との連携は不可欠です。まずは事実関係をしっかり確認して、まずは担任の先生に相談し、埒が明かなかったときは教頭や校長に相談しましょう。そのときに証拠などがあるのであれば、それも持参しましょう。もし、学校の対応がイマイチであれば教育委員会へ直接訴えることも考えます。

いじめを受けた子の心は深く傷ついて、自分の存在価値を見出せなくなっていることが多いです。しっかり子どもの心のケアをします。親は味方であること、ママもパパもあなたが大好きで大切なんだということを教えます。時には抱きしめて気持ちを伝えます。家は子どもにとって安らげる場所であることが一番です。いじめは何があってもいけないこと、気に入らないからといじめて良いわけがないのです。

もしも、自分だけで解決する自信がないならいくらでも相談機関がありますから遠慮しないで利用しましょう。

インチュニブ

最近インチュニブと言うお薬を服薬されている方が増えてきました。これはAD/HDの症状を軽減するお薬です。AD/HDの治療薬というのは大きく二つに分けられます。一つは中枢神経刺激薬です。これは脳のドーパミンを増やす事で脳の覚醒度を上げ、AD/HDの症状を改善させるお薬になります。具体的には、コンサータ(一般名:メチルフェニデート)などがあります。中枢神経刺激薬は、AD/HDの諸症状に対してしっかりとした効果がありますが、耐性・依存性や乱用などといった副作用の問題もあります。「効果は良いけども副作用にも注意が必要なお薬」なのです。そのためコンサータはどんな医師でも簡単に処方できるお薬ではありません。「コンサータ錠登録医師」に登録されている医師が処方します。リタリン(一般名:メチルフェニデート)というお薬も以前はAD/HDの治療薬として用いられていましたが、現在では依存性や乱用の問題からAD/HDの治療薬としては使えなくなっています。リタリンもコンサータも同じメチルフェニデートという中枢神経刺激薬ですが、コンサータは徐放製剤というゆっくり効き始めるタイプのお薬ですからリタリンよりも安全性が高いのです。

もう一つは、非中枢神経刺激薬です。これはノルアドレナリンを増やす作用を持つ「ストラテラ」、そしてアドレナリン2A受容体を刺激する「インチュニブ」があります。非中枢神経刺激薬は効果の強さの面で言えば中枢神経刺激薬に劣りますが、その分安全性に優れます。耐性や依存性、乱用といった問題が生じにくいというのが特徴です。中枢神経刺激と非中枢神経刺激薬はそれぞれ作用機序が異なるため、一方のお薬が効かない場合でももう一方は効く可能性があります。一般的には中枢神経刺激薬が効果が強くて、非中枢神経刺激薬は効果が弱いそうですが個人差があります。人によっては非中枢神経刺激薬の方が効く方もいるそうです。

インチュニブはAD/HDの治療に用いられ、効果は穏やかで、アドレナリンA2受容体を刺激する事で、AD/HDの症状を改善させる効果が速いそうです。不注意・多動性・衝動性の三大症状すべてに効果を認めます。中枢神経刺激薬ではないため、依存性や乱用のリスクがないといった特徴があります。また中枢神経刺激薬のコンサータはコンサータ錠登録医師として登録している医師しか処方できませんが、インチュニブは医師であれば誰でも処方することが可能です。従ってインチュニブは、AD/HDの方で薬物療法が必要である場合、まず用いるお薬として適しています。お薬は安全性の高いものから始めることが原則となるため、まずは安全性の高いインチュニブなどのお薬から開始し、それでも効果が不十分である場合はコンサータなどの中枢神経刺激薬を試すのが良いと言われています。

インチュニブを開始するに当たっては、次の2つを満たしている必要があります。6歳以上18歳未満である事。AD/HDと診断されている事。またインチュニブは体重によって「開始用量(飲み始めの量)」「維持用量(維持で用いる量)」「最高用量」が細かく設定されています。また中止・減量する際もいきなり中止するのではなく、原則として3日以上の間隔をあけて1mgずつ慎重に減薬していく必要があります。インチュニブがこのようにゆっくりと増量・減量するように決められているのは、急激に増減すると血圧や脈拍に変動をきたす副作用が生じやすい事が分かっているためです。元々アドレナリン2A受容体刺激薬は血圧を下げるお薬として使われていますから、血圧低下には注意が必要です。インチュニブはアドレナリン2A受容体を刺激する事で、血圧を下げたり脈拍を下げたりする可能性があります。特に飲み始めや量を増減した時に生じやすいため、投与初期やお薬を増減する時は特に慎重に経過を見る必要があります。インチュニブは効果発現の早いお薬で、1~2週間で効果を感じられる事も少なくありません。特に衝動性や多動性については服用開始1週間後から効果が認められる事が多く、不注意も服用開始2週間後には効果が認められるそうです。

ビバンセは、今年3月に認められたAD/HDの新薬です。

感覚統合アプローチ

頭の固い支援者によくあるのが、椅子に座っていない、立ち歩く、姿勢が悪い、頬杖を付く、寝そべる、体をゆするのは集中していないからと理解して、その行動を叱ったり修正しようとします。或いは、姿勢を正して人の話がきけないのは支援者や大人へのリスペクトが足りないからと、何時代だよと思うような発想の方もいます。頭の柔らかな支援者は、体を動かすのは子どもが体を覚醒させて集中しようとする表れかもしれないと考えます。このように旧態依然とした考えの支援者とスマートな支援者では発想が真逆なのです。

感覚統合によって、人は脳に入ってくる様々な感覚を整理したり、まとめたりしています。人は普段、様々な「感覚」に囲まれています。感覚には一般的によく聞く「五感」(視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚)の他にも、「固有受容覚」と「前庭感覚」という感覚が存在します。脳は次々と入ってくるこれらの感覚を統合(整理・分類)し、無意識に自分の身体をコントロールしています。逆に感覚統合がうまくいっていないと感覚の受け取り方に偏りが出て、他人と同じように状況を把握して、それに応じた行動をすることが難しくなります。その結果、落ち着きがなかったり、乱暴な動作が多いと思われたりします。感覚統合を理解することで子どもの行動を理解し、問題がわかったうえで対応することができるようになります。

「固有受容覚」とは、筋肉や関節によって自分の身体の位置や動き、力の入れ具合を感じる感覚です。固有感覚の役割は大きく分けて5つあり、 ①自己存在感 (例:抱っこを求める) ②身体のイメージの把握 (例:人がしていることを真似できる) ③力加減、動きのコントロール (例:飲み物をそっと注ぐ) ④距離感、方向の把握 (例:自分の下駄箱の位置がわかる) ⑤一連の手順の記憶 (例:文字の学習) があります。子どもは様々な経験をしながら、固有受容覚を養い、他の感覚と統合させて発達しています。例えば、固有受容覚があることで、自分の力や動きをその場に応じて変えることができます。子どもたちは綱引きで力いっぱい引っ張ったり、ジャングルジムをぎゅっと掴んだりして100%を知ったあと、飲み物を注いだり、卵をそっと持ったりするなど力を加減することを学びます。逆に、固有受容覚が未発達だと力の加減がうまくできず、自分は軽く叩いているつもりでも相手にとって痛いと思わせるほど強く叩いてしまうなどのトラブルが起きる可能性があります。

私たちは「前庭感覚」によって、耳石器と三半規管が受容器となって、揺れ、傾き、重力、スピードを感じています。
前庭感覚の役割は大きく分けて4つあり、 ①姿勢とバランスの発達 (例:なわとびができる) ②眼球運動 (例:鬼ごっこをする) ③覚醒の調整 (例:ジェットコースターに乗って興奮する) ④自律神経系の調整 (例:車酔いを防ぐ) があります。前庭感覚は、加速、回転、傾き、高さ、重力などに対して身体のバランスを保つために大切です。例えば、動きながら物を見続けることができるのも、前庭感覚によるものです。子どもたちが遊んでいるときにボールを目で追いかけながら走ったり、教科書を読みながら音読したりすることにも関係しています。一方で、前庭感覚がまだ未発達の状態だと、トランポリンでジャンプしたときにうまく着地できなかったり、ブランコなどで身体が大きく揺れたりすることを極端に嫌がったりします。

固有受容覚と前庭感覚などの感覚の統合がうまくいかないと、落ち着きが無かったり、発語の遅れおくれが見られたり、友達と上手く遊べなかったりと情緒面、言語面、対人面などでつまずくことがあります。しかし、感覚統合が未熟な子どもたちが直面するつまずきに対して、様々な方法で支援することができます。例えば、教科書の文字を意味で句切って読むことができない子どもには、行ごとに定規をあてたり、色を変えたりして指導することで視線があちこちに飛ばないように指導します。これを繰り返すことで上下・左右の眼球運動をコントロールできるようになります。また片手で消しゴムを持ち、もう片方の手で紙を押さえて文字を消したり、アーチ状に浮いている定規を使ったりと、両手を使った動作がうまくできない子どもに対しては、押さえている感覚を強調する支援を行うことで改善することができます。これらはあくまで一例で、それぞれの子どもにあった、感覚統合を成熟させるための支援を行うことが大切です。また、大人にとっては支援・指導でも、子どもたちにとっての遊びになるようにすることが大事です。子どもたちが支援を楽しみ、成功体験を積むことで、さらに別の支援にチャレンジして感覚統合を発達させていくことができます。

感覚統合アプローチは、例えば、子どもたちが立ち歩いたり集中できなかったりするのは感覚統合がうまくいっていないからではないかと考えます。上履きを脱ぎたい人は「机の下できちんと並べる」というルールを作り、自分の集中しやすい、落ち着く姿勢で学習して良いと伝えたクラスでは、子ども達の集中力が上がり、今まで授業中に席に座り続けることができなかった子どもが授業中に立ち歩かなった事例もあります。傍から見ると変な体勢でもその子にとってはその姿勢が一番集中できるのです。このように、子どもたちの行動を頭ごなしに否定するのではなく、その裏にある原因を考え、「気になる」行動が良くなっていくように様々な工夫をするアイデアの理屈が感覚統合理論なのです。

要保護児童対策地域協議会

「児童虐待防止法」が2000(平成12)年に施行され、それ以降、様々な防止施策が講じられてきました。しかし、2013(平成25)年に公表された「第9次報告」によると、この間も保護者からの虐待により50人(親子心中を除く)近い子どもが毎年のように貴重な生命を失っていると報じられています。特に残念なことは、同報告の中に子もの人権を守る立場にある児童相談所や健全な発達を保障する立場にある保健センター等の専門機関が関与していたにも関わらず、子どもが虐待死しているという事例が数多く見られたことです。

国はこのような実態を踏まえて早期対応や早期介入等を行う児童相談所の機能強化に努めてきました。加えて、近年では児童虐待の防止に関係する連携が必要なことから、要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」)の設置を促し、体制強化を図り設置率はほぼ100%近くになました。しかし、その要対協が関わっていながら虐待死したケース数は第9次報告によると14例、全死亡事例(54例)に対する割合は約25%を占めています。この数値は要対協の有効性について疑問を持たざるを得ない数値です。

本事業所でも、各市町の要対協のメンバーとして参加することがありますが、「誰が鈴をつけるか」と言う責任所在のはっきりしない会話が多いのが気になります。もちろん児童やその保護者との接触を日常的に持つ保育所や学校はその矢面に立ちますが、対象家族への指導権限があるのかというと何もないわけです。あくまでも、利用側とサービス提供側という関係で、子どもの支援はしますが、親を指導する立場にはありません。また、この国の法体系は、事案が生じてから動き出す仕組みで、予防的な視点が抜け落ちています。また、相談事業はあくまでも保護者が利用するもので、その押し売りはできません。「もっとも相談してほしい保護者が相談してくれない」のです。

児童虐待は、リスク要因が様々な形で複合して発生しているだけでなく、支援を阻むような要因(情報把握の凸凹など)も少なくないため、その支援が非常に難しい問題です。また対応機関である児童相談所だけでなく、地域の要対協でも職員の専門性、機関による児童虐待の認識の差異などが加わるため、支援者にとっては非常にストレスフルな問題です。調整者として職務についた行政職員はこうした状況に置かれ、自らの能力不足もあって辛い状態におかれます。

こうした状況を軽減するためには、ノウハウを持っている外部コンサルタントの力が有効です。大阪市では、行政事情を十分に認識した上で、外部コンサルタントを導入する方針をだされた。それが「SV(スーパーバーイザー=虐待事案専門相談職)の要対協への派遣事業」です。この派遣事業にはいろいろなメリットがあり成果も上がっています。さらに「地域の医師が参加できないため専門的意見が聞けない」や「法的な問題がよくわからないから不安である」といった場合、派遣されている区の担当SVがそうしたケースに対応できる専門家を呼ぶことが出来るということでも有効です。児童虐待は確かに難しい問題ですが、まったく歯が立たない問題ではありません。それは問題を解く人間の質的、量的確保や社会資源の充実で改善されるし、短期的には不足分をいかに補うかは、子どもの人権をどのように行政や地域が考えているかによって大きく変わってきます。

発達障害のある大人

発達障害のある大人は、「相手の気持ちを読めない」「注意のコントロールが苦手」などの特性のため、子どもの頃から集団に馴染めないということが起こりがちです。そのため、いじめを受けたり、なんとかして周囲に合わせようと無理をして、苦しい思いをしてきたという人も少なくありません。それなのに、なぜ大人になるまで発達障害があると分からなかったのでしょうか?

考えられるのは、周囲の環境や人間関係によってカバーされていた場合です。学校では、決められた日課に沿って生活し、与えられた課題をこなしていれば、人付き合いが苦手であってもあまり問題にはなりません。勉強ができれば、多少場違いな行動があっても、先生や親がフォローしてくれるでしょう。家族や先生、仲のいい友達といった限られた人間関係の中では、発達障害の特性も「個性的」ということで認めてもらえていたかもしれません。しかし社会人になると人間関係は複雑になり、いろいろな人とやりとりをしなければならなくなります。相手の表情や空気を読み取ったり、周囲に合わせて行動するなど、高度なコミュニケーション能力や社会性を要求されるようになります。また仕事や学習においても、人から与えられるものだけでなく、自ら計画を立て、主体的にアプローチしていくことが求められます。そうした周囲からの要求によって、それまで潜在的にあった特性が一気に浮かび上がってきて、社会生活に支障をきたすということが考えられます。

また、発達障害という概念が知られるようになってきたのはごく最近であり、以前はその特性からもたらされる失敗や困難さを、本人の努力不足や親の育て方のせい、とされることはよくありました。いまでもそうした傾向は残っています。そんな誤解の中で自らの特性や対処法を学ぶことなく育ち、社会に出てから頑張って働こうとしてもやはりうまくいかず、深く傷つく中でようやく「発達障害」という言葉と出会い、診断を受けた、というケースも少なくないのが現実です。さらに、せっかく医療機関を訪ねても、成人を診る精神科医の中で発達障害のことがよく理解されておらず、統合失調症など、他の疾患と誤診されることもありました。そのため、誤った治療を受けて苦しんだという人もいます。

自分の「生きづらさ」の原因がわからず、周囲からも理解されず、マイナスの経験が積み重なっていくことは、「自分は周囲に受け入れられていない」という感覚を抱いたり、“普通”になろうと無理な努力を重ねたりすることにつながり、その結果として社会的な不適応を起こしやすいといえます。ある研究によれば、ひきこもりの人たちの3割に発達障害があったことがわかりました。しかもそのほとんどは本人も家族も気づかず、診断されていない人たちです。現在も発達障害に気づかないまま、社会適応がうまくいかず、苦しんでいる人たちは数多くいると考えられます。しかし、大人になってからわかった場合でも、悪化を防ぎ、治療を進めることはできます。発達障害の特性を踏まえた環境の調整、生活の工夫、ソーシャルスキル・トレーニングなどと組み合わせていけば、状況を改善していくことは可能です。

 

人手不足

福祉と介護業界においては、人手不足が年々深刻化してきています。ハローワークなどの公的な就職機関や民間の就職サイトなどを見ても、介護や福祉に関わる求人件数は他の業界を圧倒するほどの数になっています。しかし、一方でそれら求人に応募した人材の多くがすぐに退職をしてしまうという例も多く、せっかく採用をしても長く定着してくれるスタッフがいないことがまた次の人手不足を生むという悪循環を生み出しています。

人手不足と言われ続けている福祉・介護業界ですが、2013年の調査では、介護の現場で業務に従事している人数は約100万人とされているところ、実際に必要であると計算されている従事者数はなんと約140~160万人と言われています。少なく見積もっても約40万人が不足しているという計算ですから、いかにその負担が大きいかということがうかがえます。

人手不足の理由はいくつかありますが、それは主に職場内の待遇が他業種に比べてあまりにも悪いということが挙げられます。力仕事を伴う長時間労働にもかかわらず給与水準が非常に低く、また決定的にスタッフ人数が足りないために一人あたりの仕事負担が多いということがそんな職場の不満を生み出してしまっています。問題点は多方面から言われているものの、これまでのところ決定的な解決方法はまだ見つけられていません。

そして、児童福祉でも同じような現象が想定されます。保母が足りないだけでなく、指導員も正規は足りません。福祉は低賃金で人手不足でよけいに休暇が少ない。障害や子どものことをよく知らない事業主が経営して、預かればいい集めればいいという本音が見え隠れする。個人経営も多くブラックだという印象があるのも否めません。風評が悪循環を起こしている感も否めません。私たちにできることは、こういう風評を駆逐すべく発信をし続けることくらいですが地道に頑張りたいと思います。

模倣と発達

支援者は良かれと思ってスポーツやゲームの様々な模倣を子どもにさせようとしますが、子どもにとっては時として意味不明なリクエストを支援者から求められていることになる場合があります。子どもに模倣で獲得させようとする時、子どもの発達段階を良く見極めておく必要があります。

模倣には、大きく分けて2種類の模倣があります。音や声を聞いてその通りに発声する「音声模倣」、人の動きを見てその通りに身体を動かす「身体模倣」と整理することができます。身体模倣は、発達の初期には、他者が楽器やおもちゃを操作するのをみて真似る(例:太鼓をバチでたたくなど)ことから始まります。まねっこ遊びが難しい子どもの場合は、いきなり身体の動きを真似させようとするよりも、道具の操作模倣から始めるようにします。

発達において、模倣が未形成な段階だった子どもが、次第に模倣の能力を高めていくことはとても重要な意義をもちます。
(1) 人の動きをもっとよく見ようとする認知が育つ
(2) 動きや音の細かな違いを見分けよう、聞き分けようとする弁別の力が育つ
(3) 動きの速度や強さ、身体部位の位置関係などをコントロールする運動調整力が育つ
(4) 他者を意識し、他者に合わせようとする社会性が育つ
(5) 日々のできごとをあとになって模倣表現したり、生活場面のみたてあそびをしたりするようなイメージする力の基礎的条件が培われる

テレビ番組の参加などで出て来る子どもは、モデルとなる動きを見て、その場ですぐに新しい形を真似をしていますが、あれはオーディションがあります。できる子やまぁまぁの子、できないけど場の共有ができる子を選んでいます。全く関心のない子は選んでいません。予備選考ではテレビの前で一緒に模倣したり体を揺らすなどして興味深く見ているかで選考しています。従って、そこまで対応の力が育っていない子にとっては、あの模倣は難しすぎる課題になります。療育現場などで模倣を学習させる場合には、模倣の内容の難易度をおさえて指導を行うことが大切です。
(1) 身体接触型から非接触型へ
「頭、肩、膝、ポン」の歌遊び、拍手、ちょうだいのサインなどは、身体部位に直接触れる動作を模倣します。これは、運動の終わりを伝えやすく、姿勢も保持しやすいため、非接触型の動作(両手を「前へならえ」の姿勢に保つなど)よりも早くから真似しやすい動作であると考えられています。
(2)座位模倣から立位模倣へ
いすに着席した姿勢で模倣をさせたほうが、立位で模倣させるよりも簡単です。これは、姿勢保持の面で安定しやすいということと、モデルとなる人の動きを目で追うときに視線が安定しやすいということが関係しています。
(3) 左右対称模倣から非対称模倣へ
両手を同時に挙げる、両足を同時にひらくなどといった左右の手足を同側的に動かす模倣は、左右が別々の動きをする模倣よりもやさしくできます。左右で別々の動作を行う非対称型の模倣は、運動の方向性を調節するという身体機能の発達だけでなく、2つことを同時に考え続けるだけの記憶や注意といった認知機能の発達が必要になります。
(4) 正中線を越えない肢位から越える肢位の模倣へ
右手で左耳をさわるなどのように、正中線(身体の中央を頭から縦にとおる線)を越えるような動きが入ると模倣は一気に難しくなります。まずは、正中線を越えない動きの模倣から始め、つぎに片手だけが正中線を越えるような動き、そのあと、両手が正中線を越える動きや交叉がある動きなどのように難易度を上げます。
(5) 静止姿勢の模倣から連続動作の模倣へ
静止する姿勢の模倣のほうが、連続動作の模倣よりも早く獲得され始めます。ただし、ジッとしていることが苦手で多動傾向が見られる子どもの場合は、静止姿勢のほうが困難であるということもあります。連続動作が全般的に苦手な子どもであっても、大好きなヒーローの変身シーンのような意味をもつ動きの模倣は得意という子どもがいます。音楽や映像などを用いるとイメージが浮かびやすくなりますので、支援の手立てのヒントにします。
(6) 左右の広がりから前後の奥行を用いた模倣へ
前後、左右、上下などの空間・位置関係を模倣に用いる場合は、いすを用い、自分といすとの位置関係を模倣させることから始めると理解がすすみます。特に前後の奥行を教える場合は、左右よりも見分ける力が必要になるため、いすを基準にすることで自分の立ち位置、姿勢、動きが伝わりやすくなります。
(7)記憶した動作を再生する模倣へ
モデルの動作を一度記憶し、モデルがない状態でも再現ができるようになると、より高度な模倣が可能な段階に入ったということになります。

身体の動きの不器用さがみられる子どもたちの中には、まねっこあそびを嫌がる子どもがいます。嫌がり方もさまざまです。うまくできないことを隠すかのように、わざとふざけることもありますし、他児のじゃまをするような行動をとることもあります。みんなの前で失敗することを恥ずかしいと思う気持ちが強い場合、子どもがモデル動作を示す役になり、大人が失敗してみせるなど、上手に笑いのタネに変えていきながら、楽しんで取り組める雰囲気が必要です。でも一番大事なことは子どもがわかる段階の模倣を選ぶことです。

発達性協調運動障害

全身運動や手先の操作においてぎこちなさのある子どもは、不器用とみなされてきました。ところが、不器用を障害の一つとして位置づけて「発達性協調運動障害」と呼ぶようになり、医師や作業療法士がアプローチを行うようになりました。英語ではDevelopmentalCoordinationDisorderといい、DCDと略記されます。単独で診断名がつくケースもありますが、自閉スペクトラム症(ASD)・注意欠陥多動性障害(AD/HD)・限局性学習障害(SLD)などを併発する例が多いです。

発達性協調運動障害は国内外で関心を集めており、日本でも2016年に日本DCD研究会が開催され、その後は日本DCD学会として正式に発足しました。ここには医療・福祉・教育など多様な分野の人が集まっています。世界的にも小児・発達障害領域では高い関心が寄せられています。

発達性協調運動障害の子どもは、全身を使った粗大運動と、手先を使った微細運動の両方に困難感があります。●なわとびを跳べない●自転車に乗れない●ボールをキャッチできない●ジャンプのときに足がばらばらになる●スキップができない。このように、手足を協調的に動かす場合をはじめとして、視覚的なターゲットやリズムなどに協調して体を動かすときにうまく遂行できないケースが多いです。乳幼児期の運動発達は個人差も大きいですが、ハイハイなどの運動の獲得に遅れが生じているとDCDのリスクが高いと考える人もいます。

また、手先を使った微細運動では、学齢期に図工、音楽などの授業でつまずきが認められ、顕在化する例も少なくありません。●リコーダーや鍵盤ハーモニカを吹けない●コンパス・定規・消しゴム・はさみの操作が苦手●ノートのマス目に文字をかけない●筆圧のコントロールが難しい●エプロンや靴のひもを結べない●服のボタンをとめることができない●箸の操作がうまくできない。このように、「不器用」によって生活や学習に影響が及ぶ場面が多いです。体育・図工・音楽などの教科学習が苦手な子どもを「ただの不器用」として軽視しないで本人の困り感を把握する必要があります。不器用によるニーズを抱えた子どもには、幼児期など早期からできるトレーニングを行うことが望ましいです。

療育場面で子どもの状態を評価するときは、運動機能だけに着目するのではなく、多角的に分析していくことが大事です。発達障害領域の療育場面では、保護者からの聞きとりが非常に重要です。生活上のニーズや達成したい目標などを丁寧に聴取します。指示が理解できる子どもでは、評価スケールを使って運動機能を分析します。観察評価から得られる手がかりも多いですが、こうした記録を残しておくと、あとで比較する際にも役立ちます。

運動だけでなく、認知面・行動面を併せて評価することが大切です。運動の不器用だけでなく、マス目や図形などの視覚情報をうまく処理できず、書字や描画でつまずいている可能性もあります。また、不器用の原因が注意集中に課題があるために、手先を使った活動が大ざっぱになっているという場合もあるので、多角的に状態を分析していくことが重要です。

運動が不器用であっても、繰り返しさまざまなトレーニングを行っていくと成果は上がります。作業療法などでトレーニングを長く行ってきた子どもと、なにもしてこなかった子どもでは、非常に大きな開きがあると言われます。運動のスキルは経験的な影響も受けるので、ちょっとした遊びの工夫が大事です。

発達性協調運動障害の子どもでは、筋肉の緊張が低いために体をうまく操作できないとか、運動経験が乏しいためにパフォーマンスが低いなど、さまざまな背景要因があります。筋肉が柔らかく、体がくたっとしている子どもには、丸太型のブランコにしがみついて、全身に力を入れる運動などを準備として行っておくと、そのあとに行う運動学習に役に立つかもしれません。

協調運動と一言でいっても、そのバリエーションはさまざまです。粗大運動であれば、マス目に合わせてジャンプする運動をしたり、ブランコに乗りながら輪投げをする活動をしたり、さまざまなトレーニングをすることができます。リズムに協調した運動が苦手であれば、手拍子に合わせて運動するような練習も効果的です。微細運動の場合は、机上で線引き課題を行ったり、ジェンガなどで力加減のコントロールを行ったりといった活動をしてみると良いです。

「体育でなわとびができなくて困っている」「中学校で上靴が指定されるので、靴ひもを結べるようになりたい」など、具体的なニーズがあがってくることも多いです。なわとびの場合は、まずフラフープを回しながら輪の中をくぐる練習から始めたり、タオルを両手に持って縄を回す運動だけやってみるなど、工程を細分化します。靴ひもの場合は、色の違う2本のひもを使って手順を学習していくなど、その子どもが理解しやすい手がかりを見つけて練習していきます。

発達性協調運動障害の子どもは、単に不器用であるだけでなく、幼稚園や学校の活動で困っていることがある例が大半です。もちろん運動ができれば良いというわけではありませんが、子どもたちが自信を持って活動や学習に取り組めるよう、療育でフォローしていくことはとても大切です。また、工作や調理等では作る楽しさがすぐに味わえる、逆言うとどうせできないなどと自尊感情を下げない教材の工夫が求められます。

前思春期

「思春期」と聞くと、ティーンエージャーの時期と思いがちですが、実は、小学校の中学年あたりから、助走は始まっています。「今までは学校や友達のことをよく話してくれたのに、最近はなんだか無口。こちらから聞くと、なんだかめんどくさそうで無愛想になった」「きちんと整理整頓するタイプだったのに、最近では部屋や机の上が物置状態!」「最近、まわりの目をすごく気にするようになった」……。それまでは純粋で元気な子どもだったのに、小学生4年生あたりから子どものこんな変化を不安に感じる大人は多く見られます。そろそろ思春期の前触れ「前思春期」なのです。

一口に思春期といっても、年齢によってその表れ方に微妙な差があります。個人差はありますが、第二次性徴がはじまるのが9、10歳ごろ。ホルモンの分泌が盛んになり、成長へ体力が取られて、体内バランスが崩れやすくなる時期です。また、心理の面から考えると、自我が芽生えるのも10歳前後です。自我が芽生えると、幼い万能感が薄れて、現実が見えてきます。正式な思春期の一歩手前を「前思春期」と呼びます。

不機嫌だったり、イライラしていたりと思春期特有の態度は、体内の変化に要因があります。性ホルモンや成長ホルモンといったさまざまな脳内物質の分泌が活発になると、体調も不安定になりがちなのです。とくに、11、12歳くらいは体や脳が急激に発達する時期。思春期のはじまりです。感情中枢も刺激を受けて、イライラしたりだるくなったりと、本人もどうしたらいいかわからないくらい不安定な時期です。

さらに、自我の発達により、自分とほかの人との間で大きく感情が揺れ動く体験をするのもこの時期です。友達と自分を比較して、自分の実力を実感することで自信をなくしたり、自尊心がぐっと低下することもあるでしょう。少し先を想像する力もついてくるので、さまざまなことへの不安を感じるようにもなります。だから、小グループをつくって、徒党を組んで行動したがります。小さな集団は形を変えつつもその構成員である子どもは属性を拠り所とします。逆に友達のいない子どもは一気に所在がなくなります。高学年時にはどの集団にも属さず独りぼっちだったというASDの子どもは少なくありません。これはASDの子どもは徒党を組むことに関心が少ないからでもあります。

とにかく、思春期前後の子どもはかなりハードな環境にあるのだということを、大人はまず認識しておきましょう。子どもだって、好きでイライラしているわけではないのです。いろいろしんどくて、大変な時期なんだなと大人が知っておくだけで、対応もずいぶん変えられるはずです。大人が理解していれば、子どもの不愛想な態度にいちいち腹を立てることがありません。よけいな言い争いも回避することができます。この時期の子どもに、大人にぜひやってほしいのは、言葉に頼らず、子どもをよく見て観察することです。表情や部屋の様子など、さりげなく見守ってあげましょう。自尊心がぐっと低下しやすいときなので、なにかひとつでも子どもが得意なこと、頑張っていることに注目してください。子どもが、自分はこれが得意だ好きだと確認することで、励みになります。

体が変化することは自分の意思によるものではないので、子どもは不安で仕方ないのです。この不安をとりのぞくには、「知識」をつけてあげることです。体の変化はなぜおこるのか、なぜ気分が晴れないのか。それが成長の一過程であり、生理的な現象であることがわかれば、子どもの不安はかなり解消されるます。無邪気だった低学年の頃に比べて、なんだか憂うつ。この年代の小学生は、いつもブルーなのです。思春期は、大人ばなれ、子ばなれの時期。それまでの子育てをシフトする機会でもあります。子どもは大人と少しずつ距離をとり、自分の世界を構築していくので、大人と話したくなかったり、話したくないことが出てくるでしょう。大人の干渉がうっとうしいのも、ある意味健全な成長の証拠です。

子どもの群れる意味

昔、子どもの遊びは「群れる」ことが当たり前でした。そしてその群れの多くは異年齢集団です。遊びは年上の子から年下の子へと受け継がれ、遊び方やルールも異年齢ならではのものがありました。ガキ大将は年下の子の面倒を見なくてはつとまらず、勝手な振る舞いをすればトップの座から追いやられました。遊びのルールは、年下の子を同じ遊びに入れ「遊ばせてやる」ための特別措置が必要でした。大人が意図的に仕組まなくても、こうした集団の中で他を思いやったり自分たちだけの「掟」やルールを作ったりする体験を積むことができていました。これは学校の「学年別集団」では経験できない、貴重な「文化」でした。

現代を生きる子どもたちの多くは、残念ながら集団の中での振る舞い方を体験的に身につけてきていません。それは彼らの責任ではなく、社会、とりわけ子どもの周囲にいる大人の責任ともいえます。しかし、だからこそ私たちは集団で遊んだり遊びを創造する経験を持たせたいと強く願っています。「群れて遊ぶ」ことの意味や価値を知らしめなければ、今後そうした経験をしないまま大人社会へと巣立ってしまいます。

以前、ギャングエイジについて書きましたが(11/7「9歳の壁」「10歳の節目」)、同世代で群れるのと異年齢で群れるのではその構成論理は全く違います。同世代で群れの原理は排除と強者の論理ですが、異世代の群れは多様性の享受であり弱者の擁護と公正の追求です。いじめが仮に生じても、長期化しません。必ずトップが介入して、不正を修正するか排除します。だからこそ従う子どもたちの憧れは強固なものになるのです。そしてそれは細部にまで模倣されて群れの存続につながります。異年齢集団は、民主主義や道徳のあれこれの小難しい理屈を並べなくても、人として何が価値ある振る舞いかを体現します。そこに大人も学校も必要なかったのです。私たちは、この子どもの自然を回復するためにだけ役割があると言っても過言ではありません。

 

ハローワーク

ハロワークに求人募集してきました。1月からは自社でのネット登録の仕様が変わるそうで、今回は直接ハロワークに来てくださいとのことで、京都駅の横にある七条職安に行ってきました。来ているのは求人ばっかりでした。ネットで検索できるので、ハローワークに来るのは、失業保険の手続きの方が多いみたいでした。

今回登録した内容は
以下の通りです。

皆さんのお知り合いにもこのURLを示してご協力ください。見に来るだけでも大歓迎です。

求人番号
26020-32103691
求人情報の種類
一般(フルタイム)
事業所名
特定非営利活動法人 ホップすてーしょん
電話番号
075-924-5010
FAX番号
075-924-5020
代表者名
所長 田中 一恵
所在地
〒617-0006  京都府向日市上植野町樋爪6-9
事業内容
障がいのある小学1年生から高校3年生までの児童に、授業の終了後や学校の休業日に生活に必要なプログラムを提供し、遊びや体験を通して健全な育成が図れるよう支援をしていく事業です。
職種
放課後等デイサービス指導員
就業形態 フルタイム
産業 医療,福祉のうち児童福祉事業
定年制 あり 一律 65歳
雇用形態 正社員
再雇用 あり 70歳まで
加入保険等 雇用 労災 健康 厚生  
年齢 44歳以下
年齢制限の理由 長期勤続によるキャリア形成のため若年者等を対象
雇用期間 雇用期間の定めなし
就業時間
(1)10:00~18:00 又は09:00~18:00の間の8時間程度
週所定労働日数

時間外 あり 月平均12時間
休憩時間 60分
賃金 月給
a 基本給(月額平均)又は時間額
180,000円~200,000円
a + b
180,000円~200,000円
b 定額的に支払われる手当
c その他の手当等付記事項 資格手当:5,000円  (教員免許、保育士、福祉士等)
賞与 あり 前年度実績 年2回・計4.50月分

休日 日 他 
入居可能住宅
年間休日数 105日
週休二日 毎週/*年末年始・夏期3日  
利用可能な託児所 なし
育児休業取得実績 あり
就業場所 京都府向日市
沿線 阪急京都線
従業員数 企業全体:7人 うち就業場所:7人 うち女性:5人 うちパート:5人
採用人数 2人
通勤手当 実費支給 上限あり 月額:10,000円 
マイカー通勤 可 /駐車場自己負担 なし
転勤 なし
仕事の内容
・障害のある子どもたちの療育(個々の子どもの課題に応じ た生活や遊びの指導など) ・レクリエーション等の行事の企画、運営  ・文章作成(個別支援計画書等。作成の仕方はレクチャーし ます。スタッフで協力して作成していきます)  ・子どもの車での送迎
学歴 短大卒以上
必要な経験等 不問
必要な免許・資格 普通自動車免許(AT可)  ペーパードライバーでない方
選考方法 面接 書類選考 その他(作文・実習)
選考結果通知 7日後
応募書類等 ハローワーク紹介状 履歴書→写真添付 職務経歴書 その他(運転免許証)
選考日時 随時
求人条件にかかる特記事項
※バイク・自転車通勤:可  ※駐車場自己負担 なし  ※選考結果:7日後  ※昇給制度あり 前年度実績あり    ※賞与制度あり 前年度実績あり
備考 ※教育・福祉関係の有資格者の方は、資格証をご持参お願 いします    〈コメント補足入力あり〉

 受理日 令和元年11月21日
有効期限日 令和2年1月31日
受理安定所 京都七条公共職業安定所 

 

 

てんかん(その1)

人間の体には、神経が張りめぐらされ、その神経の中を弱い電気信号が通ることによっていろいろな情報が伝達されます。脳には神経細胞が集合し、さまざまな情報を処理しています。たとえば、目や耳から入る情報、皮膚で感じる情報、匂いや味などの情報は、神経を通じて脳に伝達されることによって、「きれい」「暑い」などと感じます。逆に、脳からの命令、つまり、「話す」「走る」などのように、意識することによって体を動かすこともします。さらに、意識していない心臓の動きの調節や呼吸なども脳からの命令であり、感情・情緒・理性などの精神活動や記憶も制御しています。このような働きのある脳内の電気信号が何らかの原因で一斉に過剰に発生するとその部位の脳の機能が乱れ、脳は適切に情報を受け取ることや、命令ができなくなり、体の動きをコントロールできなくなります。この電気信号の一斉の過剰発生をてんかんと呼びます。

大脳は、中央の溝を境に大きく左右(右半球と左半球)に分かれています。そして、右半球は左半身を、左半球は右半身の神経を調整し、また脳は各部位ごとにそれぞれの働きを担っているため、電気信号の乱れや興奮が起こる部位によって発作の症状が変わってきます。てんかんの方は、発作の起こる部位が決まっているために、発作ごとに同じ症状が繰り返されます。たとえば、手を動かす神経の部位で過剰な電気的興奮が起こると手のけいれんが起こり、言葉の部位で起こると言葉がしゃべれなくなります。

脳の神経は興奮と抑制がバランスよく働いています。車のアクセルとブレーキのように、興奮が強くなりすぎると抑制側の神経が働いて興奮を抑える、というようにバランスを取ります。しかし発作が起こる時には、興奮系の神経が強く働いたり、抑制系の神経の力が弱まることで、激しい電気的乱れ(過剰興奮)が生じます。

脳は、中央の溝を境に右半球は左半身、左半球は右半身の神経を調整し、大脳、小脳、間脳、脳幹などから構成されています。その中で、人間らしい複雑な行動をコントロールするのが大脳です。大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の4つに分けられ、それぞれの部位によって働きが異なります。前頭葉:手足など、体の各部を動かす指令を出す働きの他に思考・推理・理性・学習・選択などの高度な情報処理をつかさどります。頭頂葉:皮膚や耳などから入る感覚情報を分析したり空間を認識します。後頭葉:人の顔や物の形など、目から入った情報を認識します。側頭葉:耳から入った音や言葉の情報や情動に関係します。側頭葉の内側には、記憶に関わる領域である海馬(かいば)があり、てんかんの焦点(発作が起こり始める部位)となることが多い部位です。てんかん発作が起こる部位でどんなダメージを受けるのかこの部位によって推測ができるわけです。次回はてんかん発作のタイプについて書きます。

てんかん(その2)

部分発作は、過剰な電気的興奮が脳の一部に限定されて起こる発作です。意識がはっきりしている単純部分発作と、意識障害が伴う複雑部分発作に分けられます。なお、部分発作の中には、限定された部位の過剰な興奮が大脳全体に広がるものもあり、部分発作に続いて全般発作がみられるものがあります。発作の始まり方から部分発作に含まれますが、次の段階で電気的興奮が広がっていくことから、「二次性全般化発作」と呼ばれます。
(1)単純部分発作
本人は意識があるため、発作の始まりから終わりまで、症状をすべて覚えています。過剰な電気的興奮を起こす部位によって、運動機能の障害(手足や顔がつっぱる、ねじれる、ガクガクとけいれんする、体全体が片方に引かれる、回転する等)、視覚や聴覚の異常(輝く点や光が見える、ピカピカする、音が響く、耳が聞こえにくい、カンカンと音が聞こえる等)、自律神経の異常(頭痛や吐き気を催す等)など多彩な症状を自覚しています。
(2)複雑部分発作
意識が徐々に遠のいていき、周囲の状況がわからなくなるような意識障害がみられる発作で、本人には記憶障害がみられます。しかし、意識障害中に倒れることは少なく、 たとえば、急に動作を止め、顔をボーっとさせるといった発作(意識減損発作)や、辺りをフラフラと歩き回ったり、手をたたく、口をモグモグさせるといった無意味な動作を繰り返す(自動症)などの症状があります。
(3)二次性全般化発作
単純部分発作または複雑部分発作の症状から始まり、ほとんどの場合は強直(きょうちょく)間代(かんたい)発作に進展します。発作が始まる前に「前兆」がみられ、意識が消失します。症状だけでは強直・間代発作との見分けが難しいですが脳波の測定により弁別できます。

全般発作は、大脳の両側にまたがる広い範囲で過剰な興奮が起こることで発生する発作です。発作時には、ほとんどの人は意識がありません。
(1)強直間代発作
突然発症して、強直発作と間代発作を起こします。発作後は、自然睡眠(終末睡眠)と呼ばれる30分から1時間くらいの眠りに移行することがありますが、その後は普段の生活に戻ります。発作直後は意識がもうろうとしていますので、物にぶつかったり、熱い物に触ってやけどをするなど、発作そのものよりも、もうろう状態での事故も少なくないので注意が必要です。強直(きょうちょく)発作:突然意識を失い、口を固く食いしばり、呼吸が止まり、手足を伸ばした格好で全身を硬くしていきます。数秒から数十秒間持続します。強直したまま激しく倒れ、けがをすることもあります。間代(かんたい)発作:膝などを折り曲げる格好をとり、手足をガクガクと一定のリズムで曲げたり伸ばしたりするけいれんが起こります。一般には数十秒で終わりますが時に1分以上続くこともあります。
(2)脱力発作
全身の筋肉の緊張が低下・消失するために、くずれるように倒れてしまう発作です。発作の持続時間は数秒以内と短く、発作と気づかれにくいこともあります。
(3)欠神(けっしん)発作
数十秒間にわたり意識がなくなる発作ですが、けいれんを起こしたり、倒れたりはしません。話をしたり、何かをしているときに、突然意識がなくなるので、急に話が途切れたり動作が止まったりします。注意力がない、集中できない、などと思われて、周囲の人がてんかん発作であることに気が付かないこともあります。学童期や就学前に症状が現れることが多く、女児に多い発作です。
(4)ミオクロニー発作
全身あるいは手足など、どこか一部分の筋肉が一瞬ピクッと収縮する発作です。瞬間的な症状のため、自覚することが少ない発作ですが、連続して数回起こることもあります。また、転倒したり、持っている物を投げ飛ばしてしまうほど症状が強いこともあります。光によって誘発されることもあり、寝起きや寝入りに起こりやすい傾向があります。

てんかん重積状態とは、発作がある程度の長さ以上続く状態、または短い発作の場合でも繰り返し起こってその間の意識がない状態で、生命に危険が及ぶ可能性があります。従来は、発作が「30分間以上続いた場合」に重積状態とされていましたが、最近の考え方では5分から10分間以上発作が続く場合はてんかん重積状態と判断しててんかん治療を開始します。

てんかん(その3)

てんかんは、主に抗てんかん薬により治療します。抗てんかん薬はてんかん発作を起こさないように、大脳の過剰な電気的興奮を抑える働きをもっており、発作を起こす可能性のある間は、続けて飲む必要があります。現在、日本には多くの種類の抗てんかん薬がありますが、抗てんかん薬はどのような発作に効果があるかわかっていますので、医師は発作のタイプを考慮し、また年齢や性別、体重、合併症や服用中の薬との飲み合わせ、過去の副作用の経験なども考えてその人に合った抗てんかん薬を選びます。

どんな薬にも共通しますが、すべての人に効く薬はありません。てんかん発作のタイプによって使用する抗てんかん薬の種類や量が異なります。また、同じてんかんでも、年齢や性別、体重、合併症や現在服用中の薬との飲み合わせ、過去の副作用の経験などによって使われるくすりが異なり、主治医はその人にあった抗てんかん薬を選んでいきます。ですから、同じてんかん発作でもAさんに効いた薬がBさんに効くとは限りません。Bさんのくすりがないからと言ってAさんのくすりをもらって飲むことはできません。

抗てんかん薬以外にも薬を何種類か飲んでいるときは、それぞれの薬がお互いに影響しあって、薬の吸収や代謝に影響があらわれることがあります。薬物相互作用のため、薬の効果が弱くなったり、強くなりすぎたりすることがありますので、抗てんかん薬以外に何か薬を飲んでいる人は主治医や薬剤師に相談してください。また、一部の健康食品(セイヨウオトギリソウ)も抗てんかん薬の作用に影響することがありますので、そのような時には、主治医や薬剤師の先生に相談することが重要です。

てんかん発作は、大脳の神経細胞の過剰な電気的興奮と、その興奮が広がることによって起こりますが、抗てんかん薬はこの「興奮系」を抑えるタイプと、興奮の広がりを抑える「抑制系」の働きを強めるタイプがあります。神経細胞は、ナトリウムイオンやカルシウムイオンが細胞の膜を通過して細胞内に入ることで興奮します。これらのイオンの動きを抑えることにより、過剰な興奮が起こらないようにします。また、脳の中にはGABA(ギャバ)という興奮を抑える働きをもつ物質がありますが、抑制系を強める抗てんかん薬はGABAの働きを強め、てんかんの症状を抑えます。なお、新しい抗てんかん薬には、これまでとは違った働きをする薬もあります。一般的に、抗てんかん薬により発作が消失する割合は、最初に飲んだ抗てんかん薬により50~60%、2番目以降の抗てんかん薬で10~20%で、残りの20~30%は抗てんかん薬が効きにくい難治性のてんかんといわれています。難治性てんかんには、抗てんかん薬を2種類以上併用したり、場合によっては外科手術などが行われます。

てんかん(その4)

抗てんかん薬の多くは、脳全体の働きを抑える作用があり、飲む量が増えると眠気やふらつきなどの副作用を起こしやすいことが知られています。また、飲みはじめの早い時期にみられる副作用として発疹などのアレルギー反応、長期間の服用では、肝機能の低下、白血球減少、脱毛などがあります。また、抗てんかん薬によって、体重増加、食欲低下、体重減少、発汗低下、歯肉増殖などの副作用が出ることもあります。

ただし、副作用の起こり方は人によって違うので、同じ薬を同じ量飲んでいても、同じように副作用が起こるとは限りません。一般に薬を初めて飲むときには、副作用を避けるために少ない量から始め、薬の効果や副作用を確認しながら徐々に増やしていきます。また、定期的な血中濃度測定や血液検査などをチェックして副作用を避けるようにします。

血中濃度測定は、飲んだ薬がどの程度血液中に入ったかを調べるものです。人は同じ薬を飲んでも、体重や年齢、性別、薬の飲み方(回数や量など)などで薬が腸から血液に入る量が変わってきます。そして、吸収された後も、薬が体の隅々にいきわたり方、薬の効き方、尿や便などを通じて体外へ出ていく量が人によって違うため、抗てんかん薬の血中濃度は変わってきます。

しばらく発作が止まっていたり、副作用を心配するあまり、本人や家族の判断で薬を飲まなかったり、回数を減らしたりして、てんかんの症状を悪化させてしまうことがあります。患者さんが医師の処方どおりに服薬することを「コンプライアンス(服薬遵守)が良好である」といいます。最近では、単に処方で定められたように薬を服用するコンプライアンスよりも、本人自身が十分納得して治療のために積極的に薬を服用する「アドヒアランス」という言葉が使用され、治療が医師からの一方的なものではなく、本人や家族と協力して行われるという考え方が定着しつつあります。薬は納得したうえで指示されたとおりに飲み、副作用が心配なときは素人判断せずに主治医に相談することが大事です。

感情表現は社会的産物

感情のコントロールは家族や先生、近所の人など身の回りの人からのフィードバックから学びます。嬉しい、悲しいといった感情は基本的に主観的であり、自分自身の感情状態を知るのは自分だけです。「スキップしそうなくらいワクワクしている感情は”嬉しい”という感情」「涙がこぼれ落ちそうで気持ちが沈む感情は”悲しい”という感情」という風に感情状態に名前をつけます。また、感情をコントロール出来るようになるためには、環境からのフィードバックが欠かせません。

例えば、子どもがおもちゃ屋さんで欲しいおもちゃがあったけど、買ってもらえず、怒って床に転げまわる時。大人が「おもちゃが欲しかったんだね」となだめたり、「怒っちゃったんだね。でも、床で転げまわったらだめだよ」と諭したりすることで、子どが落ち着き、「自分の思い通りにならなくてイライラする感情は”怒り”で、おもちゃを買ってもらえなくても、床でジタバタしたらダメなんだな」と感情に名前があることを知り、感情をコントロールすることが必要だということを学びます。

しかし、このとき大人が大声で怒鳴ったり、過度な罰を与えてしまうと、子どもにとって効果的なフィードバックとはならず、過度の罰によって引き起こされた強い恐怖で必要以上に自分の感情を押し殺すようになる可能性があります。このようなフィードバックに関して、研究者らは大人の適切なレベルでの抑制が子供の正常な感情表出につながると論じました。つまり、大人の抑制が強すぎると、自分の感情を押し殺す傾向が強くなり、抑制が弱すぎると、過剰な感情表出をする傾向になる可能性があるということです。

また、どのような場面でどんな感情表出をすれば良いのかというのも周りのフィードバックから学びます。例えば、プレゼントをもらった時に嬉しそうにすると、プレゼントをくれた人も喜びますが、不満そうにすると、プレゼントをくれた人が悲しそうな顔をします。このようなフィードバックを受けることで、「プレゼントをもらった時は、嬉しい顔をした方がいいんだ!」と感情を表すときの規則を学んでいくのです。

子どもの感情の表現は、このように大人や周囲の人からフィードバックされ社会的価値として学習されはじめてコントロールされる、極めて社会的な産物なのです。

リタリコ

最近youtubeのCMによく出て来るリタリコ就労支援。障害者向け就労支援サービスでは、全国600社以上の企業をインターン先として紹介することで、障害者やその親がそれまで気づかなかった適性を発見するチャンスを増やしています。発達障害などの「生きづらさ」を抱えた子どもの学習支援では、気持ちのコントロールや友人との付き合い方などのソーシャルスキルを、一人一人異なる方法で教えています。放デイ事業にも乗り出し、リタリコ独特のアレンジでトップを走り続けています。

2005年に仙台市で創業。本社を東京都目黒区に移し、2017年には東証1部に上場。社員約1600人を擁し、障害者支援分野では国内最大手。成長を牽引しているのは社長の長谷川敦弥さん(33)です。障害者支援や子育て支援、教育をはじめ、福祉、医療、環境、地域活性化などの分野で、社会が抱える課題をビジネスの力で解決することを目指す起業家が、最近どんどん生まれています。

リタリコの鮮やかなウェブサイトは、「儲からない」「地味」という福祉のイメージを覆します。長谷川さんは、名古屋大学理学部を卒業後の2008年に新卒でリタリコに入社しました。当時はほぼ無名で東京の社員は十数人。営業職などを経て、翌2009年には社長に就任。いまリタリコが掲げるビジョン「障害のない社会をつくる」は、長谷川さんの体験から生まれたものです。

岐阜県多治見市の出身。幼稚園の頃から集団生活が苦手、言う事を聞かない子どもで、中高生時代も学校のルールや教師の教えを疑問に思うことが多く、それらを変えようと発言したり行動したりして「気持ち悪い」と言われたり、嫌がらせに暴力を振るわれたりしたそうです。

大学1年のアルバイトで働いた焼き肉店のオーナー夫妻が、「いい声してる」「お客さんに好かれる」「行動力がある」と、否定され続けた長谷川さんのすべてを評価してくれたのです。「敦弥くんには世界を良くする力があるかもしれない」「東京かニューヨークに行ってみなさい」という夫妻の言葉に背中を押されて大学を休学。上京して3年間、IT企業で働き「ITはすごい。これをゲームや戦争ではなく困っている人のために使いたい。そうすれば若くても、社会をいい方向に変えられる」と思ったそうです。

東京で出会った政治家や起業家は、常識に縛られるのが苦手で、周りからちょっと浮いていた学生時代の自分とうり二つであることも発見したそうです。社会起業家を育成するNPO法人や若者に議員事務所でのインターンシップを斡旋するNPO法人など現代を代表する社会起業家たちは、長谷川さんの社会を変えていこうという強烈な思いを感じたといいます。

学校では、創造性を発揮すればするほど規則を破る迷惑行為として非難されるけど、社会を変えていくのはそういう人。人と違うのはいいことで、そういう個性を大事にできる社会の仕組みや教育をつくりたいと思うようになったそうです。障害は人ではなく、社会の側にある。それをなくしていくことが目標と言いいます。

売上高は約90億。「ビジネスはあくまで手段。うまくやりたいという願望はゼロ」と言い切る長谷川さんだが、上場したことで信頼度が上がり提携話も舞い込むなど、チャンスは圧倒的に広がっています。利用者から「不思議だけど自分たちが認められた気分になりました」と言われたことが何より嬉しいそうです。そして、一社では、社会は変わらない。リタリコが自己犠牲ではなく『ビジネス』としての持続可能性を示すことで、障害者支援はニッチな市場でビジネスとして成り立たないと尻込みしていた人や企業にどんどん参入してもらい、新しい支援ビジネスを生み出すことが必要だと語ります。

視覚障害支援(その1)

視覚障害者はひとりで買い物に行けないのでは?と、思う方がいるかもしれません。けれど、最近ではサービスカウンターやコンシェルジュを設置するスーパー、デパートが増えてきました。商品の場所や値段を教えてくれるだけでなく、なかには新鮮な野菜を選んでくれたり、必要な量を見てくれたりと、さまざまな配慮をしてもらえるお店もあるのです。

見えないのではなく、見えにくい人の場合、値札が読めなくて困ることが多いそうです。そういう人は、携帯型の拡大読書機を使ったり、最近ではスマートフォンで写真を撮って拡大したりと、工夫して買い物をしています。ただ、店内写真撮影お断りのお店では、店員さんに声をかけておかないと誤解されることもありますので注意が必要です。
拡大読書機やスマートフォンがなくとも、商品を顔に近づければ見える人もいます。「あの人、お肉のパックを顔に押し当てている!」などと驚くことがあるかもしれませんが、もしかしたら値札の表示を見ようと一生懸命な視覚障害者の可能性もあります。

白杖を持っていないと、なかなか視覚障害者とは分かりづらいです。でも、社会には見えない人、見えにくい人も大勢いて、ひとりで買い物に出かけることもあります。もし見ることに困っていそうな人がいれば、お店の人に手伝ってあげるように伝えるだけでも助かります。

視覚障害者で点字を使える方は約10%です。点字は文字のひとつで、使いこなすためには、まったく新しい文字をイチから覚える必要があります。先天性の視覚障害者であれば、子どものころから点字を習う機会もあるでしょう。けれど、中途視覚障害者にとって、点字はなかなか難しい道具・文字です。

ですから視覚障害者であっても、「点字が読めないので音声で聞きたい」「字で読みたい(活字を音声に変換するソフトがあります)」という人がたくさんいることを知ってください。もちろん点字は街中さまざまなところで使われているので、習得した方がいいです。特にエレベーターの階数表示や、切符を買うときのボタンなど、数字だけでも読めると便利です。ただ、ITが普及した現代では、点字が読めなくてもデジタルデータが代行してくれることが増えました。長い時間をかけ訓練する必要がないことは、とてもいいことです。ITを視覚障害のために活用する道具や方法が標準的になっていくと思います。

また、行政が発行する案内は点字が用意されていることが多いです。公務員試験などでも点字の受験が可能になっています。反面、パソコンを使った受験にはまだ制約があるようです。点字ではありませんが、シャンプーの容器にはブツブツした突起がついていて、コンディショナーと区別できるのをご存知ですか。ほかにも、牛乳パックの頭には切れ目がついおり、目を閉じていても見分けがつきます。こういったユニバーサルデザインのものは身近にたくさんあるので、ぜひ探してみてください。

視覚障害支援(その2)

見えなくても使える便利グッズ
音声で聞けるもの、触ってわかるもの、見やすいもの、見やすくするものといった、視覚障害者の生活を助けてくれる便利グッズはたくさんあります。

わくわく用具ショップ「視覚障害者用商品カタログ」

なかには、押すだけで調味料を量れるキッチン用品や、音声を聞いて操作できる電化製品などが紹介されています実は、最近では100円ショップでも似た機能の商品が販売されているのです。もちろん普通の雑貨屋さんでも視覚障害者にとって便利なものを見つけることがあります。つまり、便利グッズは視覚障害者だけが使用する特別なものではないのですね。見えにくくなった高齢者、文字の読めない子どもなど誰もが扱えるからこそ、便利で身近なものなのです。これらは、ユニバーサルデザインと考えていいかもしれません。

ガイドヘルパー
視覚障害者が外出する際、ガイドヘルパーに付き添ってもらうという方法があります。この制度は通勤・通学には利用できませんが、買い物や通院、旅行などへの外出や活動を介助するものです。ヘルパーは移動や排泄・食事の介護、代筆・代読、危険回避のための支援などを行ってくれます。これまで家族に付き添ってもらっていた視覚障害者のなかには、「家族に迷惑をかけて悪い」「頻繁に外出するのは気兼ねする」と、外出を控えていた人がいました。いまではこの制度を使うことで、自分の好きなときに外出できるようになったのです。

ガイドヘルパーを利用するには事業所に登録し、予約をしないといけないので、急な外出には間に合わないということがあります。また、1ヶ月の利用時間数に制限があり、計画的に利用しないといざというとき外出できません。利用料がかかるため「経済的負担が増えた」という声もあります。しかし「好きなときに好きなだけ出かけたい!」と考え、白杖を持ってひとりで外出できるよう歩行訓練を受ける人は増えてきています。行きなれた場所へはひとりで、はじめて行く・介助が必要だと思う場所へはガイドヘルパーと一緒に、と使い分けるようになっているそうです。
6面すべて白一色のルービックキューブです。各面の感触が異なるため、手触りで面を判断し、そろえていきます。

視覚障害支援(その3)

白杖(はくじょう)を持っている人がいたら、「目の見えない人が歩いている」と思うかもしれません。ですが、白杖は全盲の人だけでなく、見えにくい人も持っている道具です。たとえば、視力は良くても視野が狭い障害の人がいます。この場合、足もとが見えにくい、横から人が急に出てくる、といったことから危険が生じるため白杖を持つことが勧められます。つまり、白杖は目が見えない・見えにくい人であれば誰もが使用できるのです。

白杖の選び方や基本的な使用ルールは歩行訓練士さんから指導されることが多く、きちんと歩き方を習得すれば安全にひとり歩きできるようになります。もちろん、白杖を持っているからといって、ひとりでどこへでも行けるわけではありません。知らない場所や道に迷ったときなど、助けを必要としている場合もあるかもしれません。もし白杖を持っている人を見かけ、時間に余裕があったら「何かお手伝いできることはありませんか?」と声をかけてください。「いまはひとりで大丈夫です」と言われたら、「お気をつけて」でいいのです。「道に迷っています。駅はどちらでしょうか」などと聞かれたら、その人が必要としているお手伝いをします。視覚障害者にとって親切なひとことは、次の外出の勇気へとつながっていきます。

白杖は字のとおり白い杖ですが、形状や長さのなどの違いで100種類以上あると言われています。一般的にひとりで出歩く人は直杖(まっすぐ長い杖)を持つことが多いです。必要なときだけ使用する、または予備として持ち歩く人用に折りたたみ式のものもあります。最近では、カラフルなグリップに換えたり、マスコットや鈴をつけたり、シールを貼って自分だけのデコ白杖にアレンジする人も増えました。これは、おしゃれとしてだけでなく、自分の白杖を見分ける工夫でもあります。

視覚障害者が横、または斜め前を歩く人の腕や肩を持って歩くのを見かけたことないでしょうか。これを「手引き」と呼びます。手引きする人は専門の資格を持ったガイドヘルパーだけではありません。地域のボランティアや家族、友人が行っている場合もあります。視覚障害者だからと言って必ず白杖を持って歩くわけではなく、ひとりひとり歩きやすい方法や道具が異なります。

たとえば、ひとり歩きに慣れている人は、手引きをされると歩くペースを崩し、逆に危険なことがあります。特に階段では、手すりや壁をつたう方が安全に歩ける人が多いです。手引きする人・される人で身長差がある場合、腕と肩、どちらが持ちやすいか最初に確認するとスムーズにいくと思います。それから、視覚障害者は急に手を引っぱられたり、背中を押されると恐怖を感じる人が多いです。

視覚障害者も全員が歩行訓練を受けているわけではありません。なかには手引きのされ方を知らない人もいます。安全な誘導には、まず声を交わすことが大切です。そうすることで、お互いに気づくことがあります。また、男性のガイドヘルパーが少ないため、女性ヘルパーが視覚障害者の男性をガイドするケースは少なくありません。その際、女性ヘルパーがトイレの中まで付き添うこともあります。洗面台や便器の位置を確認するだけなのでご理解ください。

 

同期のサクラ

「同期のサクラ」と言うドラマが人気を呼んでいます。ルールを守るのは大切なことです。しかし、そのルールに反発する人がいるのに従わせようとすることで、様々な社会的関係を崩してしまうことがあります。いわゆる「正義感が強い」と言われる人たちの行動です。緊急性や、例外というものに全く融通がきかなくて、そのルールを人に押し付けてしまうこともあります。おそらく、このドラマは高機能ASDの言動をまねた脚本だと思います。(鋭く他者感情を読むなど当てはまらないところも多いですが・・・)ASDの子どもたちもこうした融通の利かない正義で自分自身が苦しむ場合も少なくないです。

赤信号で渡ってはいけない。列に横入りしてはいけない。制服を崩して着てはいけない。このように守らないといけないルールもあります。そのルールを守っていない人に何も考えずに「ダメだよ!!!」と注意をしにいってしまいます。相手が大人であっても、上級生でも下級生でも、怖そうな人であっても、誰にでも後先を考えずに行動してしまいます。正論が正解というわけではない、ルールは社会や関係を守るためにある、ルールのために人間がいるわけではない事の理解がしにくいのです。「ルールがあるんだから、守ります」と、周りにもルールを強制してしまおうとするときもあります。どうしても許せない。どうしても直接注意しないと気が済まない。どちらが合っているのかを、はっきりさせないと気が済まない場合が多く、お友達とぶつかるときもあります。相手の人格を否定してしまうほど攻撃的になってしまう子もいます。

自分が正しいのになんで?と、結果的に嫌がられたり、生きづらくなってしまったり、苦しみを抱えてしまったりします。しかし、学校の先生には気に入られる事があったりします。なぜなら進んで憎まれ役をしてくれ、決まりをみんなに伝えてくれる、良い子だという評価になりやすいからです。だから余計に仲間の気持ちが読む訓練ができません。そして、大人がいなくなった時、異質を締め出して自分たちの帰属感を高めようとする、いわゆるいじめという集団からの総攻撃に合うこともあります。

許せない!のは自分にも言えることで、金曜日に上履きを持って帰るルールがあって、もし、子ども本人が持ち帰りを忘れるとします。そうなるとルールを破ってしまった子と、自分で決めてしまうのです。そして、ルールを破ってしまったことを自分で許せずに泣いてしまうとか、癇癪を起してしまったりと。ルールに柔軟性がないというのは、自分自身も苦しめることになるのです。

身近なルールを互いに守るには「信頼」関係が必要です。これは大人から教えてもらえません。「当たり前」なのでわざわざ教えないのです。お友達を仲良くするってそもそも、どうしたらいいのかと言うのも同じです。挨拶をするのはなぜなのか。貸してと声をかけるのはなぜなのか。ありがとうというのはなぜなのか。ごめんなさいという意味はなぜなのか。一緒に遊ぶ意味はなんなのか。お名前を覚えるのはなぜなのか。なんとなく親がしているからだとか意味を分からずに、挨拶をしたりしている子どもも多いです。

どこから、どこまでの線が仲がいいのかというラインですら、人それぞれです。自分は自分。人は人。という感覚がなく。僕が思ったから、あの子も思ってると、相手に思いを強制する場合があります。相手には相手の意見があって、それが正しいと自分が思わない時だってあるという感覚が必要なのです。でも、それを相手に「悪いことだからダメなんだよ!」というのはたんなる押し付けになるのです。ここは本当に難しくて大人でも分かり合えないときもあります。集団が大きくなればなるほど権力関係と同調意識が支配し、通常なら間違ったことが正しいとされる時すらあります。むしろ、社会はその方が多いのでさらに彼らは混乱するのです。

ルールを守ることで必死になると、関係性という大切なところを見落とします。なぜルールが出来たのか、なぜルールを守らないといけないのかルールは例外があります。なんらかの考えがあってルールを破るわけです。(ルールは破らない方がいいですが)ルールが先にあるわけではなく、人間を守るために、ルールが存在すると根気強く教え、自分と他人とは考え方も全て違うのだと、形式的に理解させることも必要だと思います。線引きが上手くいかなければ、どうしても「私がこうなのに、なんで守らないの?」となってしまいがちです。そこを、自分は自分、他人は他人、だから違う事もあるし違って当たり前だと教えます。

また、基礎となる「信頼関係があるのか」「相手に好きだと思ってもらっているか」「尊敬をされているか」などの関係性が整っているか、また関係性を作る努力をしているのか。とっても難しいことですが人間は関係性がないと、人の話を聞くことが出来ないのだと教えます。本来、ルールとは誰かに言われて守るものではなく、自分で理解し自分で守るもので、強制する事は難しいことだと話していきます。

自家中毒

子どもの自家中毒とは、本質的に大人の偏頭痛の症状と似ています。子どもでも大人同様偏頭痛の症状は現れ、数時間で軽快するものの、周期的に嘔吐や頭痛を繰り返すことから、周期性嘔吐症とも呼ばれています。子どもは自分に起きている症状を周りの大人へうまく説明することが難しい場合も多く、具合が悪そうだとしても、それが頭痛症状による嘔吐(もしくは吐き気)だと見分けることが難しい場合もあります。

自家中毒(周期性嘔吐症)とは、ケトン体が原因で起こります。通常私たちは、ブドウ糖という糖分を燃やして体を動かすエネルギーを作っていますが、自家中毒症の場合は、ブドウ糖をエネルギー源として利用する回路がうまく働かなくなり、脂肪が主なエネルギー源になります。脂肪がエネルギー源として急に燃えると、その過程でケトン体という物質ができます。ケトン体は酸性の物質で、体に溜まると、吐き気、頭痛、腹痛を催し、脳の嘔吐中枢を刺激し、頻回に吐くようになります。2歳から10歳ぐらいの子どもは、ブドウ糖や脂肪の代謝に関する脳の中枢や、自律神経の機能が安定していません。自律神経には交感神経と副交感神経があります。交感神経は体の活動時や緊張している時に、副交感神経はリラックスしている時に優勢に働きます。子どもに限らず私たちは、交感神経が活発に働くと、脂肪の代謝が盛んになります。この年齢の子どもに肉体的、精神的なストレスが加わると、ストレスに過敏な子は交感神経が優位になり、エネルギー源がブドウ糖から脂肪に代わり、ケトン体が体に溜まって、自家中毒症特有の症状が現れます。

子どもの自家中毒(周期性嘔吐)症は自覚症状が主となるため、自分の症状をはっきりと説明できる年齢にならないと判断が難しいということはもちろんありますが、聞いただけではそれが頭痛からくる嘔吐や気分の悪さだと判断し辛い場合も多くあります
【子どもの自家中毒(周期性嘔吐症)の例】
①「気持ちが悪い」と言い、ぐったりする
②しばしば吐き「お腹が痛い」と訴える
③部活動(運動系)をすると頭痛や吐き気が起こる
④「登校が嫌」等、一見親の注意を引きたいだけのように見える
③の運動をすると頭痛や吐き気が起こるパターンは、運動が自家中毒を誘発している可能性がありますので、運動量と頭痛の関係性を観察する必要があります。また④のように原因をはっきり伝えられないことにより、誤解を生じてしまうパターンもあります。学校にいても、急に授業中に症状が出て保健室で休むものの、数時間で軽快するため下校時には元気になっていることから、学校が嫌なのでは、と教師から心配される場合もあると聞きます。子どもの頭痛症状というのは、様々な原因や症状、その表現の仕方、またそれぞれの子どもの性格によっても慎重に判断をする必要があります。

子どもで自家中毒(周期性嘔吐症)のように、偏頭痛の症状を訴える場合、三半規管の感度が良すぎるため、車酔いがひどく、バスでの遠足などに行けない場合も少なくないです。その場合は三半規管の感度を落とすような薬を処方することにより、多少症状を和らげることもできる場合もあります。

 

読字障害チェックリスト

読字障害チェックリストはたくさんありますが、簡単なものがあったので紹介します。全ての質問に「Yes」か「No」で答えてください。
1. 右か左かを混乱することがありますか?
2. 地図を読んだり、知らない土地を歩き回ったりするのにわからなくなることがありますか?
3. 音読するのは苦手ですか?
4. 本を1ページ読むのに、普通より長くかかりますか?
5. 自分が読んだ言葉の意味を思い出すのに苦労することがありますか?
6. 長い本を読むのが苦手ですか?
7. つづり方(書き取り)は苦手ですか?
8. あなたの書く字は読みにくいですか?
9. 多くの人の前で話をするときに混乱してしまうことがありますか?
10. 電話で受けた伝言を、人に正確に伝えることが苦手ですか?
11. 長い単語を口にしなければならないとき、正しい順序で発音することができますか?
12. 紙や鉛筆を使わずに、頭の中だけで計算することは苦手ですか?
13. 電話をかける時に、番号を押し間違えることがよくありますか?
14. 1年の月の名前を順番にすらすらと言うことができますか?
15. 1年の月の名前を逆に言っていくことができますか?
16. 日付や時間を混乱し、アポイントメントを忘れてしまうことがありますか?
17. 小切手を書くときに、間違えることがよくありますか?
18. 図形を見分けるのが難しかったり、区別がつかないことがありますか?
19. 95と59など、乗り物などの番号を間違えることがよくありますか?
20. 掛け算の九九を覚えるのは苦手でしたか?
以上の質問に9つ以上「Yes」と答えた方は、読字障害を抱えている可能性があります。要は短期記憶とワーキングメモリー、あと日本語は音だけでなく漢字で意味が取れ発見しにくいので、読みの流暢性や速度を見ています。いわゆる形が読みにくいという視知覚の問題だけでの読み障がいは少なく、視知覚の問題は書き障がいで顕在化しやすいと思われます。

読み書き障害の簡単な指導方法

Dyslexia には音韻処理障害を背景とする解読(文字を音に戻す=デコーディング)の障害があります。従って、まずは平仮名一文字が楽にスムーズに読めるようにする解読指導を行います。もっとも簡単な方法は五十音順指導です。「あ、あいうえお。あか、かきくけこ。あかさ、さしすせそ。・・・」と五十音表を意識して暗唱します。どこでつまづいたかフィードバックしてもらい。その後50音ひらがなと50音カタカナを書きます。これを3回繰り返して終了です。こつは読むも書くも流暢さを目指すことです。半年で効果が表れるといいます。

さらに精度を上げた訓練法は、解読指導は平仮名一文字を書いたカードを準備し、それを順不同に子どもに示して音読させます。なるべく早く読むように教示して、スムーズに読めた文字を A、少し考え込んだり、間違えて言い直したりしたものを B、正しく読めなかったものを C に分類して記録しておきます。そして B と C だけを何度も音読する練習をします。

1 日 1 回、 5 分を目安にします。練習の最後にもう一度すべての文字を読ませて、同じように分類し、「A が何枚増えたね、 B と C が何枚減ったね」と練習の成果を示すなどして励ますとよいです。この解読指導は 3 週間を目安にして毎日練習します。様々な研究で効果があることが確認されています。この解読指導によって習得していない文字を覚えますし、曖昧に覚えている文字の誤読を減らすことができます。症状の重い症例では、拗音を外した直音だけで練習し、そのあとで拗音を加えるとよいです。これを簡便にするための音読アプリも提供されています。アプリの検索で、「音読指導アプリ」と検索すると見つかります。iPad やスマートフォンで簡単に指導ができます。

解読指導によってある程度、音読が上達したら、今度は語彙指導をします。語彙指導は、国語の教科書に載っている単語や語句のなかで、指導を受ける子が知らない単語や語句を選び、その読み方を聞かせ、意味を教え、例文つくりをするというものです。文章独特の単語や語句をしっかりと覚えることで、文章を読むときの速度が向上することが期待できます。これも研究で確認されています。教材は学校生活の様子などを描いたSST関連の絵カードが良いと思います。

つまり解読指導によって誤読を減らし、語彙指導によって音読速度を改善します。語彙指導の効果が表れるには時間が必要です。症例によっては 1 年以上かかることも少なくありません。焦らず、あきらめず、根気よく続けます。また本の読み聞かせが言葉と言葉のネットワークを形成するのに役立ちます。ご家庭で絵本の読み聞かせを毎日すると、このネットワークが形成されて意味を理解しながら読むことを大いに助けますし、その延長として子どもが本好きになり ます。本が好きになって自分で読み始めることが最終的なゴールとなります。

dyslexia は音韻処理障害を背景とする常染色体優性遺伝の疾患です。本来は医師が診断し言語聴覚士が治療すべき疾患です。しかし、まだまだ学校教育の問題としか見られていません。小児や精神に関係する医療関係者にも、行動の問題だけでなく、読み書きの問題に関心を持って欲しいと思います。

 

クリスマスプレゼント

クリスマスが近づきました。プレゼントの由来はいろいろあるようですが、今はサンタクロースと呼ばれているセント・ニコラウスという人が由来とする説が強いようです。東ローマ帝国小アジアのシュラ(現在のトルコ)に実在したカトリック教会司教セント・ニコラウスは裕福なクリスチャンであり、自分でお金を一人で保持しているよりも貧しい人にお金を分け与えた方が良いと考えていました。彼は貧困のため苦しむ娘たちの家に窓からこっそり金貨を投げ入れようとしたところ窓が開いていなかったので、煙突から家の中に金貨を落としました。それが丁度暖炉に干してあった靴下の中に入ったと言われており、これがクリスマスプレゼントの始まりだとされています。サンタや煙突、靴下などのキーワードがでてきているので、この説が一番現代の風習に近いようです。

小学生になると、単純に「おもちゃ」をプレゼントするのも悩ましいところです。ゲームやアニメ、スポーツに夢中な男の子、目線が大人に近づく現実主義な女の子、欲しいものを親に教えてくれない子どももいて、プレゼント選びに困っているご家庭も多いかもしれません。今回は、小学生向けに流行しているクリスマスプレゼントを10点を調べてみました。見た感じ男子向けが多いです。女子のほうが多様な選択をされるのでランク付けするとトップテン入りしていないものが多いようです。価格や写真はググって調べてください。

1. タカラトミー 人生ゲームプラス 令和版
これまでの人生ゲームはお金持ちを目指していましたが、令和版の人生ゲームで目指すのはトップインフルエンサーです。
勝ち負けの判断は「フォロワー数」!最近では小学生が将来就きたい職業にもYoutuberが入ってきているので、ゲームを通じて疑似体験させてあげるのもいいかもしれません。
2. タカラトミー リズモ
今年流行の「育てるぬいぐるみ」系のアイテム。そのなかでもこのリズモは、最初はただの毛玉のようなシルエットですが、声や歌などのコミュニケーションをとることで進化していきます。カラーはベリー、アクア、スノーの3色。住宅事情から最近ではペットを飼えない家も多いので、進化するリズモは子どもの情操教育にいいかもしれませんよ。
3. バンダイ オリケシ すみっコぐらし たっぷりすみっコDXセット
小学生の女の子は、なぜか消しゴムにハマってしまう時期があります。そんなときにプレゼントしたいのが「オリケシ」です。付属のデザインシートに合わせて消しゴムを並べ、水をつけて電子レンジでチンすれば、あっという間にすみっコぐらしのキャラ消しゴムが作れます。
4. カタン スタンダード版
世界で2000万個以上の販売数を誇る、大ヒットボードゲーム「カタン」。カタンという無人島を舞台に、自分の家を建て、道を作り、島を開拓していきます。単純なルールながら、必要な資源を計算したり相手と交渉したりと戦略が必要。運だけでは勝てないのが楽しいポイントです。
5. ギガミック コリドール ミニ
世界の教育現場で採用されているボードゲーム。コマを進めるか、相手の進路にフェンスを置いて妨害するかを選択してゴールを目指します。ルールが簡単だから子どもでもすぐに遊ぶことができます。自分の動きと相手の動きの先を読むことで、戦略的な思考が鍛えられます。
6. 立体4目並べ
4×4に並んだ棒に順に玉を刺していき、先に縦・横・斜めのどこかで先に4つ同じ色の玉を並べた方が勝ちという単純なルールです。玉の並びを立体的に考えなくてはいけないので、かなり頭を使いますよ。
大人が子どもに負けちゃうこともしばしば!?家族で盛り上がること間違いなしのアナログゲームです。
7. ブロックス
他のプレイヤーの陣地を取りつつ、自分の手持ちのピースを減らしていくゲーム。直感的にできるゲームなので、子どもでもすぐルールを覚えられます。2人?4人で遊ぶことができるので、家族でも友達同士でも盛り上がることができますね。
8. キッズ ジュニア用 エスボード
スケボーのような「エスボード」は左右交互に重心を移動させ、その推進力で前に進みます。少し練習すれば乗ることができ、乗るほどにテクニックが上がっていくのが面白いところ。遊びながらバランス感覚や集中力が身につきますよ。カラバリ豊富なので、子どもの好きな色を選んであげてください。
9. MakeBlock Codey Rocky
2020年から小学校でも必修化するプログラミング。そんなプログラミングを楽しみながら身に付けられるのがこのアイテムです。プログラミングといってもブロック遊びのように簡単にできるものから、パソコンで本格的に打ち込むものまでできるので、低学年から高学年の子まで、年齢に合わせて遊べます。
10. 壁を走るラジコンカー ウォールラウンダー
こちらのラジコンは、床からそのまま90度の壁を登れる驚きのおもちゃです。スムーズにスイスイ走っていく姿に、子どもは引き付けられること間違いなし。カラーはレッド・ブルー・ブラックの3色展開。コストパフォーマンスの高さも、うれしいポイントです。

ギガミック コリドール ミニ

今年の人-米誌タイム(Time)-

【ニューヨーク時事】米誌タイムは11日、恒例の「今年の人」(パーソン・オブ・ザ・イヤー)に気候変動対策を訴えるスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(16)を選んだ。1927年に同誌が「今年の人」の選出を始めて以来、最年少。
以前にもグレタさんのことはASDの環境活動家として紹介しました。(グレタ・トゥーンベリさん 09/28)化石燃料はエネルギーの8割を占めています。100万年かかって二酸化炭素から生成した石油を1000年で消費するとすれば(石油会社は後40年と言い、学者は採掘可能な理論値は8000年と言う)、少なくとも千倍の速度で大気中に放出していることになり、地球環境に全く影響がないというのは無理があります。ただ、温暖化の証拠についてはいくつかの子どもだましのウソがあり、これがいまだに信じられているのが問題です。

例えばツバル諸島が温暖化で融けた氷の影響で海水面が上昇して「島が沈んでしまう」 というのはひどいウソでした。盛り土した土砂が海水で削られた場所だけを映像でアピールしていたのと、衛星から観測するとツバルは実際には2%陸地が拡大していることが分かったのです。それから、北極の氷が融けて水かさが増え海水面が上がるという嘘も、アルキメデスの法則を知っていればすぐわかることです。また、南極の氷は、南極の平均気温が氷点下50度から例え10度上がったにしても氷点下40度ですから、氷が溶けだす温度ではないので海に流れるわけがないのです。また、森林は光合成で昼間は酸素を放出しますが、夜中は二酸化炭素を放出します。森林の伐採は生態系の維持には良くないことですが、二酸化炭素の増減とは関係がありません。焼き畑は、それまで植物が吸い込んできた二酸化炭素を焼いて放出しているだけなのでこれもバランスの世界です。また畑を作るので、植物が成長すれば二酸化炭素はそこに吸収されます。

このような明らかなウソが世界中にイメージ操作(メディアの主張を映像等で誘導する)で拡散され、大臣クラスの人までこの嘘(嘘と知っているかどうかは知りませんが)を平気で言い続けているのが温暖化議論の世界ですから、どうしても政治的な狙いが見え隠れします。下の表は、二酸化炭素の放出ランキングです。その下の図はGDP比率つまり1ドル生産するのに二酸化炭素を何十グラム放出するかの国ランキングです。こうした観点で各国の環境政策を見ることも大事です。若すぎるから仕方がありませんが、グレタさんの言っていることは体制批判だけで根拠を示した生産的な論点がありません。グレタさんは学生生活を放棄せずにもっともっと様々な角度から勉強すべきです。大人に踊らされているとは思ってはいないでしょうが、彼女の大西洋ヨット航行を何人もの大人が二酸化炭素を大量排出する飛行機で往復して支えている背景はかなり複雑そうです。大人は高校生環境活動家などと彼女を祀り上げて利用するのではなく、大人の力で証拠と事実に基づいた正当な議論を大人らしく行うべきです。

 

大学入試新共通テスト

2020年度から実施される大学入試新共通テストの目玉とされたのは「英語民間試験の活用」と「国語と数学への記述問題導入」でした。民間導入で格差が生じると前者の延期を発表した後、次いで「記述問題導入」への批判を取り上げた報道が広がり結局導入は延期されました。

新共通テストは現行センター試験の後継の共通テストとして計画されています。共通テストは1月に実施され、それを受けた受験生は自己採点の結果に基づいて2次試験を受ける大学を決定します。受験生は例年50万人を超えます。試験の実施から国公立の2次試験までは約1ヶ月あるが、各大学への出願期間は試験実施の約10日後からの10日間に設定されています。大学入試センターは、共通テストの成績を受験生の出願先の大学に直接送付します。当然、記述問題の成績も同様の扱いとなるので、記述問題の採点も2週間程度で完了する必要があります。

記述問題は、受験生の手書きの答案を人が肉眼で読み、採点基準に従って採点することになります。そこで、まず物理的に採点が可能なのかが問題となります。採点者は1万人とも2万人とも言われていますが、50万超の答案を短期間に正確に採点することは極めて困難です。正解例や採点基準は事前に策定されるが、必ず出題者の想定しない解答も現れます。その場合には、新たに正解例を追加したり、採点基準を調整したりする必要があり、その決定を全採点者に周知しなければいけません。また、その時点で既に採点を終えた答案の再点検も必要になります。そのような作業を50万超の答案と1万単位の採点者に対して行うことはほとんど不可能だということが延期の理由です。

そもそも、試験の内容を統一したのは、1979年共通一次テストが最初です。これは受験戦争と言われた当時の課題を解決しようとして始まった国公立大学の試験の一元化がはじまりです。この時は議論になったのは、同じ試験だけで足きりや合否を決めると大学の独自性がなくなるということでした。そこで1次試験はマークシートで共通、2次試験は夫々の大学で記述試験や面接を行って決定するというメリハリの効いた試験制度になっていたのです。そして、私学を取り込むことで一気に国家レベルの「支配力」を持つテストにする狙いで、1990年には私学も参加するセンター試験に変わりました。そして最近では、8割の私学が面接などはありますが、ほぼセンター試験の結果だけで合否が決まるようになってしまったのです。しかし、それではまずいだろうという事で、英語のリスニングが増え、さらには英会話もできた方がいい、記述試験もやったほうがいいと、かつては各大学の特色に応じてやればよかったものを、センター試験に取り込もうとして今回の混乱を引き起こしたわけです。言わば文科省の大学支配欲を動力とした共通試験の自己増殖作用が招いた結果とも言えるのです。文科省は各大学とテスト業界の要望を何でもかんでも取り入れて、大学と業界の支配と天下りの実現につなげようとしているとしか思えません。

ころころテストを変えて迷惑なのは受験生です。なんでも横に並べて揃えたらいいというものではありません。しかも、そのことが日本の教育の最も大きな課題だと言われているのにです。受験生に多様性と創造性を求めるなら、大学にまず多様性を求めるのが王道です。試験の細かなやり方まで国家が介入するべきではないのです。欧米のやり方が良いとは言いませんが、高校段階で学力テストを実施してそれを大学は参考にして必要なら他の選考試験も独自に行えばいいのだと思います。それから、発達障害の学生に対する試験の配慮事項はどう変わるのでしょうか変わらないのでしょうか。今回の試験内容の改定は読み書き障害の学生には不利な事ばかりなので、公平な試験のためにもっと検討されるべきです。

 

怒る・叱る・諭す

子どもが問題行動を起こしたり、他の子をいじめたりしている様子をみると、「ダメでしょ!」「どうしてそんなことしたの!」とついつい感情的に叱ってしまいます。でも、また同じことを繰り返して、その度に叱るけれど、全然言うことを聞いてくれない…という悩みを抱えているスタッフは多いです。感情的に叱っても子どもには伝わりません。なぜなら、感情的に叱っても、子どもはなぜ叱られたのか、なぜその行動がいけないのかを理解できないからです。

「ダメでしょ!」という感情的な言葉だけでは、子どもに「なぜダメなのか」を伝えられていません。しかし、イライラして感情的になっている時は、自分の感情に気づかず、勢いで叱っています。子どもを叱る時は、まずは自分が冷静になるように心がけ、どうすれば子どもに伝わるのかを考えながら行動します。

「友達が話しているときにお喋りされると、自分の話を無視されたと思い、友達を悲しませるかもしれないのでやめようね」というように、叱る時にダメな理由を添えると、子どもは理解してくれます。子どもはさまざまなことに「なぜ?」と感じるので、叱るのにも理由が必要です。小学生には自分で考えさせることも必要ですが、相手の気持ちや場面が読みにくい子どもには、明確に叱っている理由を教えてあげます。

理由を説明しながら叱っても聞いてくれない時は、代替案を提示します。「○○をしてはいけない」と否定で終わるのではなく、「○○はダメだけど、△△ならいいよ」と代替案を提示することで、子どもの行動を制限せずに叱ることができます。子どもは制限をするとかえって反発してしまうものですし、別の道を示してあげるのも大人の役目です。男の子なら「こうしたほうがかっこいいよ」とか、女の子なら「このほうがかわいいよ」とか、子ども心をくすぐるような代替案を考えてみます。

叱る時はその場で叱ったほうがいいのですが、かといって他の子どもたちが見ている前で叱るのはよくありません。子どもにも自尊心があるので、叱るのであれば、みんなからは見えない場所で叱ってあげてください。たとえば、高学年の子どもが低学年の子どもの前で叱られると、年上としての自尊心が傷ついてしまいます。そういう時は、みんなから見えないところまで連れて行って、「○○君は○年だから、低学年の子たちがケガしないように見てあげてね」というように言ってあげると、自尊心を守りつつ叱ることができます。

叱る時は、伝えたいことを簡潔に言うようにします。いっぺんに伝えても子どもは混乱しますし、覚えられないので、大事なことをひとつだけ伝えるようにします。大人だって、長々と叱られるのは嫌ですし、一度にたくさん言われると、何を叱られているのかわからなくなってきます。子どもだって同じです。だらだらと叱っても伝わらないので、きっぱり簡潔に、何がどんな理由でダメなのか、それだけを伝えるようにします。

子どもは理解できる言葉の数がまだ少ないので、理由を説明しても理解できないことがあります。そういう時は、感情の言葉を混ぜてみましょう。たとえば、「こうしてくれたら嬉しいな」とか、「これをしたら○○ちゃんは悲しいと思うな」とか、「嬉しい」「悲しい」といった感情を叱る言葉に混ぜると理解しやすくなります。そうすると、「これをしたら先生は嬉しいんだ」「これをすると○○ちゃんが悲しむ」といったように、相手の気持ちを考えるようになってくれるので、意味のある叱りになるでしょう。

子どもはそれぞれ発達のスピードが違うので、大人びた子もいれば、幼い考えの子もいます。子どもの発達に合わせて叱り方を変えるなど、その子の成長速度も考えた上で叱ってあげてください。理解できる言葉の範囲も年齢や個人差があるので、どういった言葉を使うかも大事です。「悲しい」ことを伝える時に悲しい表情をしてみたり、言葉以外でも絵で伝えたりすることもできます。叱るということより、「伝える」ことを意識します。感情的に怒鳴ったりせず、子どもに理解してもらえるような工夫が大事です。

叱るのは子どものためであって、大人の感情を一方的にぶつけるものではありません。子どもに伝わらないのは、叱り方が適切でないからです。何度も叱っているのに聞いてくれないのであれば、叱り方を見直してみます。スタッフも叱り方を工夫する努力が必要です。ところで「叱」と言う字は「口」を「切」るという文字で、短く鋭く怒鳴るという意味だそうです。ですから、説明をするのは叱るの原語とは少し離れた意味になりました。ここまで述べてきたことは、怒る・叱る・諭すで言えば、諭す事が大事だということです。

 

鬼門のガールズトーク

小学生2、3年生ぐらいまでは、女子も男子も混ざって一緒に鬼ごっこしたり、遊具であそんだり、ドッジボールしたり、あまり男女に別れて遊ぶこともなく、遊びの内容も女子と男子でそんなに違いはありません。ASDの子も人数合わせみたいな感じで誘われたりして、特に仲良くなくてもなんとなく参加しています。ASDの子にとってはけっこうそれが楽しかったという話が少なくないです。ASDの子はコミュニケーション、特に雑談は苦痛ですが、子供の外遊びは、会話はほとんどしなくてもいいからです。ただ、ルールに従って、ひたすら走ったり、追いかけたり、純粋に身体を動かすことを楽しめばよいからです。追われるドキドキ感や追う楽しさ、遊具を使って体が浮く感覚など、努力せずともみんなと同じ感覚を共有できるので、自然と楽しさを共感できるし、自然と互いに笑顔になることができ、なんとなく、心が通じ合ったような感覚を得られます。

女子は男子よりもコミュニケーションにおける成長が早いです。小学4年生ぐらいから、女子は男子のように体育館や外で体を動かす遊びをしなくなります。そんなことよりも、好きなアイドルの話や少女漫画の話、ドラマの話、好きな男子の話、おしゃれの話など、雑談の方が楽しくなってきます。休み時間や放課後は、男子はほとんど外か体育館で遊ぶのに、女子はほとんど教室で仲が良いグループ同士で固まり、雑談に興じているのが全国の標準的な姿です。友達がいないASD女子にとっては、この時期から困った状況になります。

今までは、誰とも仲良くなくても、なんとなく一緒に遊んで笑い合えたのに、雑談となると、仲良くないとグループに参加できないし、なんとなくグループに参加できたとしても、雑談ができず、みんなの話にも興味が持てず、わけのわからない話がどんどん展開されるのをただオロオロしながら聞くのが精一杯と言う状況が続きます。そもそも、共感力が低く、コミュニケーションレベルも低いと「会話を楽しむ」という行為の意味がわからないし、なぜ会話することが楽しいのかも全然わからないので、何が楽しい?男子はいいな…と女子のコミュニケーションレベルの成長に全くついていけず、ASD女子はなんともいえない孤独感を感じるようになります。

外遊びや体育館遊びでの交流がなくなると、友達がいなく雑談もできないASD女子にとっては、クラスの同級生との交流の手段が完全になくなり、さらに孤独な学校生活になります。こうなると、学校は何の楽しさもない、ただただ勉強するだけの場となり、本当につまらない場所となります。それどころか、つまらないだけでなく、コミュニケーションや雑談が必要な状況もあり、激しい苦痛も伴う場所にもなります。

この苦痛を取り除くためには、コミュニケーション力や他者感情を読む訓練をすればいいのでしょうか?私は違うと思います。こうした人がいることを男子も女子も子どもも教員も保護者も、みんなが当たり前のように知り、ガールズトークより外遊びの好きな高学年女子がいること、別に人が嫌いじゃなくて話すことが苦手な人がいることを、早い段階から知識として学び、仲間に入りたくても入れない仲間をそのまま受容する人間性を培う学校に一日も早く変わって欲しいと強く願います。

冬休み

冬休みは、地域によって異なります。また、私立校と公立校の違いや、同じ県内、市区町村でも学校によって異なることもあります。冬休みの期間を決めるのは、公立校の場合は地域の教育委員会で、私立校の場合は学校の理事会です。京都府の小学校は12月25日(水)~1月6日(月)の13日間ですが、北海道は12月26日(木)~1月19日(日)の25日間です。沖縄県は、12月26日(木)~1月5日(日)の11日間です。

雪が多く、冬の寒さが厳しい北海道や東北地方は冬休み期間が長くなり、「冬休みが長くていいなぁ~」と思いますが、その分、夏休みが短いですから年間授業日数は同じです。冬休みは、クリスマスが終わったらすぐに年末年始なので、あっという間に過ぎていきます。早め早めにスケジュールを考えて、楽しい冬休みにしたいです。なんて言っているうちに始業式を迎えるのが冬休みです。

年末年始は冬型が強まり、寒波がやってくる可能性があります。日本海側は雪、太平洋側は晴れる所が今の所多くなり、厳しい寒さとなりそうです。きょう18日(水)は全国的に気温が平年より高くなっています。この先1週間は気温が平年並みか高い傾向の所が多い見込みです。年末年始は冬型の気圧配置が強まり、上空に強い寒気がやってくる可能性があります。平地でも雪を降らせてもおかしくないような寒気が日本列島をすっぽり覆う見込みです。日本海側は雪、太平洋側は晴れる所が今の所多くなり各地厳しい寒さとなるようです。

28億円稼ぐ小学生ユーチューバー

【AFP=時事】米誌フォーブス(Forbes)は18日、動画投稿サイト「ユーチューブ(YouTube)」で今年最も稼いだクリエーターのランキングを発表した。1位は年収2600万ドル(約28億円)を稼いだ8歳のライアン・カジ(Ryan Kaji)君だった。ライアン君(本名:ライアン・グアン〈Ryan Guan〉)は、昨年すでに年収2200万ドル(約24億円)で最も稼ぐユーチューバーとして同誌に取り上げられていた。ライアン君のチャンネル「ライアンズ・ワールド(Ryan's World)」は、2015年にライアン君の両親が始めたもの。開設から3年ほどでチャンネル登録者は2290万人に上る。

当初は「ライアン・トイズレビュー(Ryan ToysReview)」というチャンネル名で、主にライアン君がおもちゃの包みを開けて遊ぶ「開封」動画を配信していた。ソーシャルメディアを分析するウェブサイト「ソーシャルブレード(Social Blade)」によると、いくつかの動画は10億回以上再生されており、チャンネル開設以降の合計再生回数は約350億回に上る。消費者擁護団体「Truth in Advertising」は、ライアン君のチャンネルがどの動画にスポンサーがついているのか明示しておらず、企業が自社商品を特集してもらうために資金提供しているのかわからないとして、米連邦取引委員会(FTC)に訴えていた。

フォーブス誌のユーチューバーランキングでは、ライアン君が米テキサス州出身のグループ「デュード・パーフェクト(Dude Perfect)」をしのいだ。デュード・パーフェクトは、ビルの最上階やヘリコプターからバスケットボールのシュートを決めるなど、一見不可能に見える技に挑む動画を配信している。 デュード・パーフェクトは、2018年6月1日~19年6月1日で2000万ドル(約22億円)を稼ぎ、昨年の3位から上昇して2位につけた。3位はロシアのアナスタシア・ラジンスカヤ(Anastasia Radzinskaya)ちゃん。わずか5歳で1800万ドル(約20億円)を稼いだ。アナスタシアちゃんは「ファニー・ステイシー(Funny Stacy)」などのチャンネルで計7000万人近くの登録者を抱え、ロシア語や英語、スペイン語で動画を配信している。

28億を稼ぎ出したのは、ライアン君ではなく彼の両親ですが、要するに父母のプロデュースの能力がそこらのプロダクションよりはるかに高いという事だと思います。ただ、環境問題のグレタさんも親が仕込んでいるそうですが、大人に踊らされている感がなんともひっかかります。子どもを金儲けや政争の具にしないでほしいと思うのです。

いじめ加害生徒への賠償金を命じる

【毎日新聞 2019/12/20 13:59】  

佐賀県鳥栖市立中1年だった2012年に同級生から繰り返し暴行や恐喝などのいじめを受け、重度の心的外傷後ストレス障害(PTSD)になったとして、同市の男性(20)と家族が、同級生8人と市などに計約1億2700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、佐賀地裁は20日、同級生らに賠償金の支払いを命じた。市への請求は棄却した。
 訴状などによると、男性側は、12年4月の入学直後から約7カ月にわたり、被告8人を含む同級生十数人から殴られる、蹴られる、エアガンで撃たれるなどの暴行を受け、多額の現金を恐喝されたと主張。教師らが安全配慮義務に違反したなどと訴えていた。【樋口岳大】

--------------------------------------------------

この事件は暴行恐喝事件ですが、たとえ凶悪な犯罪行為であっても、『14歳未満の場合は、犯罪として罰せられないし警察の強制捜査もできない』という少年法の規定があります。警察が捜査もできない現行の少年法では、加害行為がどれほど酷いものであっても、刑事事件化はもとより少年事件化すら不可能なのです。

それにしても、暴行恐喝の加害生徒を3日間だけ他の生徒から離して学校の別室で指導するだけでなく、鑑別所送致などは最低あってしかるべきでした。加害者に甘すぎる社会は他にもあります。神戸の教員による教員いじめも同じです、こちらは大人ですから厳罰が当然です。年休消化で加害教員を休ませている場合ではなく、刑事事件として学校は告発すべきです。こうした一つ一つの疑問を市民から行政にぶつけて学校を変えていくしかないのです。いじめを受ける子どもたちの中に発達障害の子どもたちは少なくありません。そして、彼らのサポーターである友人もいじめのターゲットにされる可能性が高いのです。発達障害支援関係者は注意深く敏感にいじめの問題に向き合う必要があります。

『鬼滅の刃』

現在アニメ界爆走中の『鬼滅の刃』は、原作コミックが年間売り上げで11年連続首位だった『ONE PIECE』を超えました。主題歌『紅蓮華』(ぐれんげ)を歌うLiSAは紅白出場が決定しました。舞台は大正時代、夜の街にはびこる鬼を狩る少年たちを描いた『鬼滅の刃』は、吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)が「週刊少年ジャンプ」で2016年より連載中の漫画です。主人公の少年・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼と化してしまった妹・禰豆子(ねずこ)を人間の姿に戻そうと、「鬼殺隊」と呼ばれる鬼の殲滅部隊の仲間とともに激しい戦闘を繰り広げます。2019年4~9月にテレビ放映されるて大ブームが到来します。さらに2020年にはテレビシリーズに続く物語として、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の公開が決定しています。

とはいうものの、『ONE PIECE』は94巻、全世界で通算4億5千万部発行でダントツです。年季が違うとはいえ18巻2500万部の『鬼滅の刃』は足元にも及びません。第2位は『ドラゴンボール』42巻2億5千万部。同位『NARUTO』72巻2億5千万部。第3位『名探偵コナン』97巻2億部。同位に『ゴルゴ13』195巻2億部と続きます。漫画王国ニッポンの地位はゆるぎないです。

ミラーニューロン

ミラーニューロンとは、自分が行動する時だけでなく、他人が行動するのを見ている時にも活動電位を生じさせるニューロン(神経細胞)です。鏡のような反応を示すことから、「ミラー」ニューロンという名前がついています。ミラーニューロンは、視覚情報に反応しているだけでなく、他人の行動の意味や意図を理解する機能を果たしていると考えられています。

ミラーニューロンは、1996年、イタリアのパルマ大学のジャコーモ・リッツォラティによって発見されました。リッツォラティは、対象物を掴んで操作する手の運動に関する神経細胞を研究するために、マカクザルの下前頭皮質に電極を設置して、マカクザルがエサを取ろうとする時の神経細胞の活動を記録していました。その途中で、実験者(人)がエサを拾い上げるのを見た時に、マカクザル自身がエサを取ろうとする時と同じ活動を示す神経細胞を発見しました。これがミラーニューロンです。つまり、まったく別の研究をしていて偶然発見されたのです。実験を重ねた結果、マカクザルの下前頭皮質と下頭頂皮質のうち、約10%の神経細胞が、マカクザル自身が手を動かした時と、自分以外が手を動かすのを見た時の両方で同じ反応を示すことを明らかになりました。

人の脳にミラーニューロンが存在するという確実な証拠は得られていません。ただし、MRIを利用して脳の血流動態反応を視覚的に見る方法(fMRI)により、自分の手や指を動かす時と、他人が手や指を動かすのを見る時の両方で、下前頭回が活動することは確認されています。また、自分の口を動かす時、他人の口の動きを見る時、他人の口の動きを真似する時のいずれでも下前頭回と下頭頂小葉が活動することも分かっています。そのため、人の場合、下前頭回にミラーニューロンシステムが存在していると考えられています。

人の場合、新生児から生後12ヶ月頃までに発達すると考えられています。ただし、ミラーニューロンがどのようにして「自分が行動する時にも、他人の行動を見る時にも反応する」機能を備えるのかについては、明らかにされていません。ミラーニューロンが発見されて以降、その機能についてたくさんの研究結果が発表されています。現在、ミラーニューロンの機能と考えられている主なものは、次のとおりです。
他人の意図の理解:他人の意図を理解して、次の行動を予測する機能
共感:他人の動作を見て、自分のことのように感じる機能
模倣の獲得:他人の行動を真似する機能を得ること
言語:言語を獲得する機能
心の理論:他人の心を推測する(感情を察する、目的や意図を見透かす、信念や疑いの心を感じ取る)機能

ミラーニューロンの欠如とASDの関係を指摘する研究者はいます。また、ASDの人の脳は、健常な人の脳に比べてミラーニューロンに関わる脳の領域が薄いという解剖学の研究結果もあります。しかし、ミラーニューロンの欠如が自閉症の原因の一つだと言えるだけの根拠はなく、今後の研究の進展を待ちます。ニューロン(神経細胞)は、単体で特定の反応を生じさせるのではなく、ニューロンネットワーク全体が、ある行動を行う時に活性化すると考えられています。そのため、ミラーニューロンが存在するとされている下前頭回のニューロンを活性化させて、神経回路をつなげることが重要ということになります。

しかし、下前頭回の鍛え方(ニューロンを活性化させる方法)は確立されていないのが現状です。一般的には、色々な経験をさせてあげることや、相手の気持ちを察して行動すること、モデルとなる人を見つけて真似することなどが効果的だと言われていますが、そうした方法で下前頭回のニューロンが活性化するかどうかは推測の域を出ません。知育分野でも、「ミラーニューロンを鍛える」という文言をよく耳にします。ミラーニューロンの鍛え方として紹介されている方法は、子どもの共感性や社会性を育む上では役に立つこともありますが、ミラーニューロンを鍛えているかどうかは不明です。